自閉症教育の実践研究 2011年11月号
23号 自閉症の子どもにこそ生きる力を育む生活単元学習を

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自閉症教育の実践研究 2011年11月号23号 自閉症の子どもにこそ生きる力を育む生活単元学習を

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PDF
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2011年10月20日
対象:
小・中
仕様:
B5判 68頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 自閉症の子どもにこそ生きる力を育む生活単元学習を
特集について
上岡 一世
1 提言/自閉症の子どもの教育的ニーズに合った生活単元学習の創造
太田 正己
2 生きる力を身につける生活単元学習の実際
事例1【小学部】
児童の生活力を高めるために〜「生活」の取り組みを通して〜
一ツ田 啓之
事例2【小学部】
自ら生き生きと活動する〜「ものづくり」を中心とした取り組みから〜
中山 哲
事例3【小学部】
できることを増やし、生きる力につなげる〜「えのぐのくにであそぼう」を通して
松島 由佳/松岡 亜希子/倉田 稔/池戸 知子
事例4【中学部】
「おつかい」「電車の乗り換え」の体験を取り入れた校外学習
浅井 正浩
事例5【中学部】
「やりぬこう!」を合言葉にして〜『小麦』『そば』『米』を育てる3年間の取り組み〜
永井 千恵
事例6【高等部】
「働くための生活づくり」を目指して
中村 泰敏
事例7【高等部】
乗り物に乗って出かけてみよう!〜「ひとり」で、「行きたいとき」に、「行きたいところ」へ行くことを目指して〜
谷ア 正純
子どもの作品
ともだち/遠足の思い出
杉本 クニ子真家 敦子
構造化のアイデア (第22回)
もっている能力を引き出しさらに発展させるための構造化B
小島 秀子
〜「産業現場等における実習」での構造化〜
主体性を発揮する授業のアイデア (第3回)
作業学習における自主性を高める授業展開
岩原 洋生
〜成功体験の要素を多く取り入れ、達成感を感じる授業〜
生活に応用・般化する力を身につける指導・支援 (第3回)
勘違いをなくして社会性を身につける
後山 真吾
社会性が身につく指導・支援 (第3回)
社会性を身につけるための活動場面は実社会
黒田 純子
人とかかわる力を伸ばす指導・支援
人とのかかわり自体を楽しみ分かち合うための指導のポイント
西川 諭
こうすれば不適切行動は改善できる
問題行動から教育課題を見つけて楽しく実践
西田 清
実践研究
自閉症スペクトラムの子どもの社会性の発達を促す支援
佐々木 大輔/佐藤 恵理佳/薄井 久雄
何でも教育相談室
特別支援学級における不登校の自閉症児の支援から学んだこと
石川 純子
わが校の自閉症教育
自立活動部・療育指導担当による抽出指導
矢澤 治
本の紹介
ゆっくりじっくりスローライフ教育
上岡 一世
〜生活・手づくり・共同の12年で育つ〜
自閉症の子どもに効果的な支援ツールの実際 (第3回)
交換記録ツールのねらいと活用
村中 智彦
効果的なコミュニケーション支援の実際 (第3回)
クラスメートとのコミュニケーション(1)
花熊 曉
運動で自己コントロール力をつける (第3回)
ペースを合わせる
倉持 親優
企業で働く人たち (第23回)
「社会人になる」を合言葉に
橋 一郎
〜長所を生かした就労への取り組み〜
働く生活を実現するための指導の実際 (第3回)
「自立的支援」の在り方
石間 浩二
自己肯定感を育む性教育 (第3回)
父親参加型授業を通して
國分 聡子
就労を実現する自閉症教育 (第23回)
人生の質を高める教育を目指す
上岡 一世
編集後記
上岡 一世

特集について

自閉症の子どもにこそ生きる力を育む生活単元学習を

上岡 一世


生活単元学習は,生活上の課題処理や課題解決のための一連の目的活動を組織的に経験させることによって,自立的な生活に必要な事柄を実際的・総合的に学習させようとするもので,領域・教科を合わせた指導の代表的な形態です。知的障害教育においては,昔から,生活意欲を高め,生きる力を身につける上で欠かすことのできない学習として教育課程の中核に位置づけ実践が行われてきました。しかしながら,最近では,特別支援学校はもちろん特別支援学級においても,自閉症の子どもの在籍が多くなり,生活単元学習を成立させるのが難しくなった,という声を聞くようになりました。集団をベースにした学習を苦手とする自閉症の子どもは,生活単元学習よりも個別の課題学習が効果的であると言って,生活単元学習を少なくしようとする動きも見られます。生活単元学習は自閉症の子どもには難しいのでしょうか。決してそうではありません。むしろ自閉症の子どもにこそ重視すべき学習だと思います。

生活単元学習は一人ひとりの子どもが自分のもてる力を発揮し,集団の中で人とかかわりながら協働して,主体的に活動することが求められます。自閉症の障害を考えると難しく感じるのは確かです。しかし,難しいからできないと考えると彼らの自立,社会参加,就労の実現はどうなるのでしょうか。自閉症の子どもであっても,将来の自立的な生活を目標とするならば,生きる力を育む生活単元学習は欠かせません。自閉症であっても積極的に人とかかわり,主体性に集団活動に参加し,生活に適応できる子どもを育てる必要があります。

では,自閉症の子どもに生きる力を身につけるためには,具体的にどのような生活単元学習を設定すればよいのでしょうか。集団の中で自分の存在価値を高めていくためには,単元をどのように展開していけばよいのでしょうか。授業ではどういう工夫や支援が必要なのでしょうか。主体性を引き出すためには,どういう教材や環境設定をすればよいのでしょうか。

今回の特集では,自閉症の子どもに効果的な生活単元学習の実際について,小学部3事例,中学部2事例,高等部2事例の計7事例を取り上げました。自閉症の子どもが生活単元学習を通して,生きる力を身につけるためにはどういう工夫をすればよいかを具体的に提案しています。是非,特集を参考にして,自閉症の子どものための生活単元学習のあり方を確認,検討する機会にしてほしいと願っています。

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