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巻頭論文
算数授業へのこだわり
毎日の授業で「学習していくシステム」を身につけさせる。知識記憶よりエピソード記憶を
それより方法記憶を学習させるのである
向山洋一
子どもを教育するとは,学習のシステムを身につけさせることなのである。
「幼児に本を読み聞かせる」という親の教育行為は,「幼児が自分で本を読めるようになる」という,一連の学習行為を身につけさせるためにするのである。
教育とは,とりわけ授業とは,「あれこれのバラバラのことがらをいっぱい教える」というより,「1つのまとまった内容を,はじめから終わりまでまとまって身につけさせる」という行為なのだ。
だから,教師は,「授業の1つのまとまり」を,みがかれ抜いた「システム」を理解しなければ,いつまでたっても,つまらない,その場限りの,行き当たりばったりの授業しかできないことになる。
他人のすぐれた点,いいところを学ぶことは大切であるが,「いいとこどり」という教育のシステムはない。
トヨタとホンダとニッサンとフォードとベンツの「いい部品」を集めても,「すばらしい車」は作れない。あちらこちらガタガタのボロ車ができるのが,せきの山だ。
車にさえ,ならないことにもなる。
それは,世界最先端の「システム」は,1つ1つが,みがかれたものであり,洗練されたものであり,部品の1つ1つに「それが必要」という「必然性」「理由」があるからだ。
授業のシステムも,また同じなのである。
1つ1つに意味があり,必然性があるのだ。
このように,「すぐれた教育」は「1つのシステム」であり,「1つ1つが,みがかれてきたもの」であり,「意味」「必然性がある」ことを理解してこそ,教師の授業は,新しいレベルへの飛翔を開始するのである。
「教育は1つのシステム」であることを理解すれば,サッカーでも,野球でも,大学受験でも,「実力日本一」になる裏には,必ず「すぐれた指導者のすぐれた教育システムが存在する」ことが理解できよう。
このような視点で,世の中のできごと,世界のできごとを見るようになった教師は,あらゆる分野から学びとることができるようになる。教える師,教師は,学ぶ者,学者でもあるのだ。
ただし,学ぶべき対象は,一流のものからだ。口先だけの,一時的な流行現象のことがらからは,「批判的」に検討することが大切だ。
教師1人1人がもつ「志の高さ」こそが,教師のたどる道を決めていくのである。
さて,分かりやすい例として「幼児への本の読み聞かせ」を例にとった。
たった,これだけでも,明確にすべきことがある。
1)いつ読み聞かせるのか。時間帯は安定していた方がいい。学校の時間割も安定していた方がいい。簡単に変更するのはだめ教師だ。
読み聞かせは,普通は就寝前だろう。
2)誰が,読むのか。我が家は家人が担当し,水曜日と休みの日は私であった。
3)時間はどれくらいするのか。
気合が入ったときは1時間も読み,全然読まないときもある――のは避けるべきだ。毎日,無理なく,繰り返せる時間を設定しなければならない。
我が家は3冊と決めていた。15分から30分くらいである。
4)3冊を決めるのは誰か。子どもである。子どもは,好きな本を毎日持ってくる。これが「こだわり」であり,「子どもの秩序」なのである。
大切にしなければならないことだ。
大人は,「今日は別の本にしよう」と簡単に変更するが,避けるべきことだ。
5)我が家にある本は,どうやって購入したのか。
本を選ぶのは,大切なことだ。「すぐれたテキスト」が必要であり,それは「親」「教師」の大切な役目だ。
これがよいと下見をしていて本屋に行く。
そして,子どもがその本を選択するよう上手に働きかけるのである。
6)本を読むとき,どのような「区分け」をするのか。
これこそ,教師の最も大切なことだ。
何かを教えるとき,どこで「区切るか」は,その教師の力量を如実に表す。
だめな教師は,「区分け」を考えていないのだ。棒グラフに,1年分の雨量を記入させるとしよう。
だめな教師は,「では,記入しなさい」と言って,全部をやらせて,のほほんとしている。当然,早くできる子,遅い子,やり方の分からない子などが続出して,教室は混乱する。
作業をさせて,10分,15分してから説明に入るが教室は混乱したままだ。
力ある教師は,最初の1月の棒グラフを記入させたら,持って来させる。
できた子には,「よし」「よしできた」と言いながら,赤鉛筆で丸をつける。
8割の子は,一度でできるだろう。この子たちは残りも全部できるはずだ。
多くの子が,できなかったら,最初の説明が悪いのであり,全体をストップして,修正する必要がある(しかし,修正は,1回目の説明の何十倍も難しい。だから教師は,一度の短い説明で,分かりやすく工夫することが大切だ)。
1回棒グラフを書いて「教師にほめられる」のである。
すぐれた教師は,1時間の授業で,何回もほめる場をつくっている。
間違えた2割の子には,「おしい,もう一度」などと言ってやり直しさせる。
間違えた子のかなりの子が,正しく書き直してくる。友達に教えてもらう子もいる。「間違い直し」を,教師は「よくできたね」と,ほめながら丸をつけるのである。
残った2,3人には,教師が書いてやったり,赤鉛筆で薄く書いてやったりして,指導するのである。
このように,教育では「区分け」をすることが大切だ。
本を読むときも「タイトル,作者」を読むのか?そこで,一言説明するのか。
段落ごとにストップするのか,最後まで通して読むのか?「会話」の部分をどう表現するのか。このくらいのことは,準備しなければならない。
7)「読み聞かせ」の発展の方法をどうするのか。
同じ本を何日も読んでいると,子どもは親と一緒に読むようになる。
「一緒に読んでみよう」ということになることもあろう。
「お父さんが読んだところを,恵理子が1人で言ってみて」と,いうこともあろう。
文字は読めなくても,口伝えでまねをするようになるのである。
8)最後は,1人で読ませて,ものすごくほめてやることになろう。
これらの「本の読み聞かせ」は,「1つのシステム」である。「読み聞かせ」をしてもらった子どもは,こうして「文字」を覚え,「ストーリー」のおもしろさを覚えていく。
お手本としての両親のまねをしながら,身につけていくのである。
こうしたことを,何年か続けていくうちに子どもは「自分で本を読む」ようになる。さらには,「自分で物語をつくる」ようにもなっていくのである。
向山型算数で授業をすると,子どもたちは学び方を身につけていく。
単元ごとに「1つのまとまりの内容」を学習することを理解する。
「単元」は,「3つか4つの小さな部分」から成り立っていることも分かる。
「1つの小さな部分」は,「1回の授業で完了」することもあるし,「2回か3回,少しずつ難しくなっていく」ことも分かる。
そして,大切なことは毎時間の学習の方法を身につけることだ。
授業の最初に「例題」という典型問題を学習する。
それを解くためのヒントが,イラストや線分図,吹き出し等で教科書に書いてある。
問題文を読み,式を書く。分からなければ,式は教科書に書いてある。
計算をして,答えを書く。
「3点セット」は,大切なまとまりだ。
例題を解くと,ほとんど同じような練習問題が出てくる。
今,解いたのと同じだ。すぐできる。
その後に,問題が並んでいるのである。
1問は先生に丸をつけてもらい,早くできた子は,黒板に書く。分からなければうつしてもいい。
この一連のシステムが,教科書を使った学習であり,これを身につけることで,学力も学習方法も向上するのである,向山型は方法記憶まで踏み込む。
これが,子どもに満足感をもたせ,安定感を与えることになる。
向山型算数では子どもが熱中し,問題解決学習では教室が乱れるのも「子どもの充足感」によるのである。
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- 明治図書