向山型算数教え方教室 2003年5月号
平均90点「学力づくりシステム」の構築

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向山型算数教え方教室 2003年5月号平均90点「学力づくりシステム」の構築

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2003年4月
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「平均90点「学力づくりシステム」の構築
学習システムを3日で構築する具体的方法
根本 直樹
教科書を自分で学べるようにする
星原 一宏
きっちりとした基本型できっちりとやり直しをさせる
有村 春彦
向山型算数の授業システムで構築を!
木村 孝康
ほめ続けよ 励まし続けよ
□□□□□
「ブレ」のない授業をしてこそのシステム!
白瀬 嗣大
「芸」を極めるのに近道はない
西田 裕之
ミニ特集 子どもの心をわしづかみする「この3分間」
3年 はかりの目盛りに迫る3分間
木村 重夫
プロの教師は20 秒
豊田 亮平
フラッシュカード 一瞬で授業に入る
鈴木 はるみ
「子ども用百玉そろばん」を1年教室に!
木村 伸一
対抗戦!かけ算フラッシュカード
辰尾 重男
視点制御の意識でサイクルを生む
加藤 延啓
グラビア
技術から技能へ,サークル模擬授業をすすめます。
村田 斎
向山型算数キーワード
必達(ひったつ)目標
木村 重夫
論文ランキング
2月号
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
5月連休前後、全国一斉Tossdayセミナーを口コミで広げよう。授業の腕は、ライブの中でこそ伸びる
向山 洋一
学年別5月教材こう授業する
1年
なんばんめ
石本 康一郎
なんばんめ
伊藤 紀久恵
2年
長さしらべ
古木 聖子
Aひき算のしかたをかんがえよう
小手森 良貴
3年
わり算
井戸 砂織
たし算とひき算の筆算
中川 貴如
4年
わり算(1)
大牧 丈夫
わり算のしかたを考えよう
平田 純也
5年
小数のわり算
山下 理恵
小数のかけ算とわり算B小数の倍
橘内 求
6年
直方体と体積
梶野 修次郎
分数のたし算とひき算
八巻 修
向山型算数に挑戦/論文審査 (第42回)
抽象化を教える前に,具体的イメージを!
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第44回)
どうすれば「説明しない」授業になるか
木村 重夫
向山型算数の原理原則と応用 (第44回)
優れた授業の定跡を学ぶ方法
井上 朋子
向山型算数と出会ってTT授業・少人数授業が変わる (第13回)
座ったままだった担任が,赤鉛筆を持って動き出した
大橋 純子
向山型算数WEBサロン (第38回)
「変化のある繰り返し」を使いこなした向山実践を,「変わり方」の第1時で追試する
赤石 賢司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第38回)
教科書に例示問題が示されていない場合にはどうするか
井上 好文
『教え方大事典』を活用した算数授業体験
2年/擬音と動作化でたしざん開き
松田 信吾
3年/子どもの心を燃やす暗号クイズ
鳥居 範子
4年/横へ!上へ! 1億の巨大さを視覚的に体感させる
池町 徹也
5年/割合文章題は一本の線分図で攻略
北澤 有香
6年/授業開きに最適,交換法則の授業
松木 康将
中学/明確な評定で直線を理解させる
菊田 肯児
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第44回)
低学年
中野 慎也
中学年
中地 強
高学年
浜田 勇一
衝撃のライブ体験「向山洋一の介入模擬授業」を受けて
8分30 秒,介入なし!〜しかし,それはオール兵庫の力だった〜
毛見 隆
微細なところから,プロとは大きな差がある
宮崎 京子
向山型算数セミナー
絶対評価でも学力を保証するには向山型算数セミナーライブで力をつけていこう
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
本物のテンポとリズムを目指す
奥原 淳子
いまでも心に残るあの笑顔
千葉 康弘
子どもも親も教師もうれしくなる
伊藤 佳之
算数なんか大嫌いや!
許 鍾萬
「努力が足りない」のは教師
衣笠 めぐみ
もっと早くこの方法を知っていれば!
行實 克彦
「親と子の証言!」向山型算数は公文を超える! (第2回)
親も子も,問題解決学習なんて大嫌い
松崎 力
実物ノートと指導のポイント
ノートスキルが子どもを変えた
家根内 興一
読者のページ
スキル・赤鉛筆・子どもから学ぶ教師修業
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
向山型算数に挑戦/指定教材 (第44回)

巻頭論文

算数授業へのこだわり

5月連休前後,全国一斉Tossday セミナーを口コミで広げよう。

授業の腕は,ライブの中でこそ伸びる

向山洋一


 3月,私の弟子9人による模擬授業が岡山で開かれた。

 1人の持ち時間は,出入りを含めて10 分。

 その10 分で,これまでの日本にないほど知的で,ドラマチックで,リズムとテンポがあって,新しい時代への問題提起がある授業をしなければならない。

 私が一人一人の採点と評価と授業の解説を加える。

 もちろん私は,そこで授業された「最新の情報にもとづく,質の高い教材や,流れるような授業の組み立てに意見を言わねばならない。

 私も,その場で初めて授業内容を知るのだ。

 アメリカで活躍する日本人医師の「腸と食歴」との関係や,東京裁判でのパール判事の発言,戦前の日本の国家意志決定のしくみと責任の所在,最新の(サイエンスに紹介された)ネットワーク理念の授業,子規,晩翠の作品の授業,生分解性プラスチックと循置型社会の現状など,出されたテーマは広く大きい。もちろん,私は授業者より,もっと深く,広く分析して見せた。

 参加者は,次のような感想を書いた。和歌山県 打越文容

 目の前に繰り広げられるお弟子の先生方のあまりに素晴らしい授業。リズムとテンポ,問題提起など。そのどれ一つとっても私にとって目から鱗が落ちるような授業であった。しかし,それらを厳しく採点する向山先生。明確な基準のもとに行われる評定。そして評価。その様を見て“凄い”という言葉以外に形容詞が見つからなかった。

 今,この場で講座を受けている事が信じられません。

福岡県 田邊ゆかり

 大変充実した一日でした。Tossのセミナーはいつもすばらしいのですが,今回特にすばらしかったです。お弟子さん各々による授業のすばらしさもさることながら向山先生のコメントをドキドキして聞きました。あのようなレベルの高い授業をずばずばと斬っていかれる向山先生の「すごさ」を改めて感じることができました。

 仕事が遅いこの私が年度末のこの時期に,セミナーは九州しか行ったことがないこの私が,どうしても行ってみたいと思ったセミナーでした。予想以上のすばらしいもので参加させていただいて本当によかったです。 向山先生の最後のお言葉には涙が出ました。

 向山先生,大きく,広く,深く,温かく私達を包んで下さって本当にありがとうございます。

 まだまだ未熟もいいところの私ですが,がんばります。感激の一日でした。

 授業は,圧倒的な迫力だった。

 研究授業を100 回やった人の授業を100 点満点で15 点ぐらいと評定するとしよう。

 附属小学校でトップクラスと思える教師の授業が10 点から20 点ぐらいだろう。

 全国で1000 回は,公開授業をしたことがあると思える教師の授業が,40 点から60 点ぐらいとしよう。

 河田,谷,伴の授業は,甲乙つけがたかった。400 名近い参加者のほとんどの人が,あまりのすごさに圧倒されていた。

 私の授業は7項目からなっていたが,合計は3人とも78 点であった。

 この3人の教師は,これから全国各地で1000 回ぐらいの授業,模擬授業をしてほしいと思う。

 わずかに及ばなかったのが,梶原,甲本。

 しかし,2人とも授業はうまい。

 本誌を,さまざまな立場の人が読まれていると思うが,「こちらの方が授業はうまい」という方は,ぜひ,私たちTossと「立ち合い授業」をしていただきたい。

 私たちは,算数の問題選択学習の先生方のように逃げはしない。いつでも,お相手する。

 授業の腕が上がるには,模擬授業をするのが一番いい。サークルがいい。

 それしか上達の道はないと言ってもいいほどだ。

 但し,授業を批評できる人がいるのが絶対の条件だ。向山一門なら問題ないだろう。

 古くから,法則比の活用として,向山の前で模擬授業,論文審査を何回も受けた人も大丈夫だと思う。

 現在,授業を見ることのできる人は,今回でも,わずか数十名ほどで少ないが,しかし,急速に多くなっていくだろう。

 そのために各サークルでは,毎回模擬授業をしてほしい。授業の腕を上げたければ,ぜひとも挑戦をしてほしい。

 ライブを体験すること,サークルでの模擬授業を体験することは,上達に絶対必要なことである。この道だけが,どの人も向上していく方法なのである。

 最近の算数MLで事のような質問が流れた。

 わたしは5年生を担任していますが,今円の面積と円周の学習のところで悪戦苦闘しています。単なる円ならいいのですが,おうぎがたの面積や周りの長さ,正方形から円を引く問題などいくつかの段階を経て求めていくもの,とちゅうたくさんの計算をしていくものでは時間がかかったり,全く分からない子がいたりとなかなか進みません。恥ずかしながら1時間で3〜4問がやっとで教師の指示どおりに書かせていくことが精一杯です。百分率までは何とかスムースにきたのですが…。Tossランドの追試もしているのですがきっとしているつもりで我流もいいところだと思います。

 ここのところを先生方はどのように指導されてきたか,少しでもお聞きできれば嬉しいです。

 この質問に対して,赤石先生は,次のように答えた。

 勇気を振り絞ってのご発言かと思います。ありがとうございます。残念ですが,せっかくの先生の問いに,このML上で何ともお答えできません。何をどうお答えしたらいいのか分からないのです。ただただ,「言葉を削る,10 分の1に削る」とだけ,お答えします。

 教師は言葉を削っているつもりでしょうが,多いです。試しに,授業をテープにとって聞いてみてはいかがでしょう?そして,「ここはいらない」「これもいらない」と,自分の言葉を消してみましょう。

 私が初めてテープに録音し,それを聞きなおしたとき,職員室のいすから転げ落ちそうになるくらい,ショックを受けました。「こんなこと言った筈じゃないのに」「こんなこと言ってたのか」

 授業が進まないのは,言葉が多いのだろうと推定されますので。

 こんなに漠然とした質問では答えようがない。だから赤石先生の言う通りだ。

 とりあえずの解決の方法を一つ示してある。

 私は,別のことを考えた。

 昔,プロの野球の江夏投手とNHKTVで対談した時のことである。

 新人の江夏投手が,合宿で先輩に「カーブの投げ方」を教えてほしいとお願いした。

 先輩のピッチャーは言った。「200 万円持ってこい」

 江夏よ,お前もプロのピッチャーだろう。プロの技術や技を教えてほしいのなら,指導料を払え――ということだ。

 プロがプロに習うのなら当然である。

 「ML上で,ついでに」というわけにはいかない。

 女教師で「ライブ」のために1年間に100 万円使ったという人もめずらしくはない。

 交通費,ホテル代が大変なのだ。

 何回も何回も何回もライブに出て,「やっと少し分かりました」と実感したという。

 外科医が,一番簡単な盲腸の手術がよく分からないとしよう。

 そんな時,「MLでどうやるか教えて下さい」と聞くようなことだろうか。

 また,そうやって「手術できるようになる」ものだろうか。

 こういうことは,ライブやサークルなどでなくではできるようにならないのだ。「MLでちょこっと聞いて,できるようになる」などと考えているとしたら,教師の仕事をずいぶんなめている。

 サークルに足を運び,ライブを何度も体験してやっと分かる,ようになるのである。

 それを使いこなせるには,サークルでの模擬授業が必要だ。

 そうやれば,できるようになる。

 だから,全国には,県の端から端まで高速で3時間もかけてサークルに参加する人もかなりいるのだ。

 もちろん子育ての時期にいけない時もあろう。しかし,そんな時でも,時間をやりくりして,1年に1回か2回は,ライブを体験することである。

 教師を仕事する以上,そうした努力が必要だ。

 勉強を止める時,教師は子どもと親に反乱されるのである。

 子育てを終えた女教師が伸びるのは,「勉強できなかった負い目」を目標にするからであり,「失った日々をとりもどそうとする真剣さ」があるからである。

 自覚し真剣になった時,40 代でも50 代でも急速に成長する。

 教師の勉強をするとき,本気でやらねば駄目だ。しかも,できたら楽しみながらがいい。

 サークルには仲間がいる。きびしい真実のた批評には,誰でも素直になれる。やる気が出てくる。かくして,学ぶ教師は,必ず飛翔するのである。


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