- 特集 初心者も安心―プール指導の基礎・基本
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- 〈伏し浮き〉10秒息を止めて伏し浮きをしよう
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- 〈着衣泳〉体験の段階からサバイバル・テクニック習得へ
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- ミニ特集 6月の体育はこう指導する(水遊び・水泳)
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- 1年生にはその気にさせる言葉かけをしよう
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- 入水の仕方と呼吸の練習法
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- ライブで体感!TOSS体育講座
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- 〜第16回日本体育教育技術学会 IN 山口〜
- レベルアップ これだけは押さえたい体育授業の基礎・基本
- 体育が子どもを育て、学級を変える
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- 泳げない子をどうするか…?低学年水泳指導
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- コマとパーツの指導で少しずつ完成させていく
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- 新卒教師必見!体育授業を面白くするコツ
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- 〜ボールの扱いに慣れる〜
特集の解説
TOSS体育授業研究会代表 根本正雄
初心者も安心―プール指導の基礎・基本
面かぶりクロールの水泳指導を参観したことがある。若い教師であったが、指導のポイントが明確でとても分かりやすい指導で、指導のポイントが示されていた。
@ 右手の親指を左手で持ち、両腕を伸ばして耳の後に付け、顔を水につけたら「おへそを見なさい」と指示して、伏し浮きをさせる。
A ばた足のできない子どもは膝の上に子どもの体をのせて、直接両足を持ってばた足をさせる。
B 徹底した個別指導で、よい動きを体で覚えさせる。
C 子どもに伝わるイメージ言葉で指導している。
D 認める、ほめる、肯定する言葉で励まし指導する。
E 変化のある繰り返しの指導をしている。
F スキンシップを多くし、子どもの水に対する恐怖心を取り除いている。
G よい動きを他の子どもに見せながら指導している。
H 短い距離を繰り返し練習させ、正しい動きを身に付けさせている。
右手の親指を左手で持つ指導は理にかなっている。普通見られるのは、「右手で左手首を持ちなさい」という指導である。
これだと「伸ばしなさい」と言っても肘が曲がるので、推進力がつかない。ところが「右手の親指を左手で持つ」と肘が伸び、両手が耳の後に付くのである。
伏し浮きで「顔を水につけたらおへそを見なさい」という指示は効果的であった。
伏し浮きをさせると早く顔を上げようとして頭を上げてしまう。そこで「おへそを見なさい」というとあごが締まり、体が伸びて推進力が付いて遠くまで伏し浮きができる。
一番素晴らしいのは、手の伸びていない子ども、ばた足のできていない子どもへの指導である。片膝をあげて、その膝の上に子どもを腹ばいにのせて直接、手足を持って指導していた。
手足をうまく動かせない子どもは、水慣れができていなく恐怖心がある。そういう子どもにはスキンシップをして、水に対する恐怖心を取り除く。
普通は足だけを持つ。手だけを持つ。腰を支える。体の一部分なのである。
ところが千葉先生は片膝をあげて、手、膝、足の3点を子どもとスキンシップをして指導していたのである。
3点で支えられているので、子どもは安心して教師の指導を受けることができる。リラックスできるので、ばた足も集中して正しい動きができる。両手もリラックスして伸ばせる。
徹底した個別指導である。マンツーマンの指導である。一斉に泳がせたりしない。どの子どもも抱きかかえ、膝を持って正しいばた足を補助してあげている。よい動きを体で覚えさせている。
子どもと一体になっての指導である。肌のふれ合いが多く、スキンシップをしながら、子どもの水に対する恐怖心を取り除いている。
子どもは教師の体の一部のように一体化している。子どもと教師と教師との間に隙間がない。子どもの全てを受け入れている。
それは体だけでなく、言葉でも同じである。教師の指導中の言葉は、認める、ほめる、肯定する言葉で、励ましながら指導している。
そうそう、そのまま、そのまま。いいねー、いいねー。もっとできるよ。足、伸びている。
短い言葉の繰り返しである。全ての行為を受け入れ、認め、ほめ、肯定している指導であった。
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- 明治図書