楽しい体育の授業 2006年1月号
“空白時間なし”授業システムをこうつくる

K196

«前号へ

次号へ»

楽しい体育の授業 2006年1月号“空白時間なし”授業システムをこうつくる

紙版価格: 912円(税込)

送料無料

電子版価格: 821円(税込)

Off: ¥91-

ポイント還元20%

ファイル形式

PDF
ジャンル:
保健・体育
刊行:
2005年12月7日
対象:
小学校
仕様:
B5判 76頁
状態:
絶版
出荷:
ダウンロード
定期購読

目次

もくじの詳細表示

特集 “空白時間なし”授業システムをこうつくる
特集の解説
根本 正雄
実践事例
低学年/力試しの運動遊び
数多くの運動遊びを用意する
寺本 聡
低学年/器械・器具を使っての運動遊び
3つのポイントで空白の時間をなくす
岡倉 光悦
低学年/用具を操作する運動遊び
フープを使っていろいろな動きに挑戦!
小川 康行
低学年/ボールゲーム
バリエーション豊かな基本運動を
鮫島 秀己
低学年/表現リズム遊び
「かんじる」「わかる」「できる」「かかわる」を意識して組み立てる
塩苅 有紀
中学年/持久走
「折り返し持久走」はみんなに役割があるから遊ぶ子は一人もいない
熊谷 博樹
中学年/バスケットボール型ゲーム
バスケットボール開始システムは、シュート練習からゴール前攻防までを仕組む
溝端 達也
中学年/サッカー型ゲーム
全員が常に活動している状態をつくる
小野 剛一
中学年/ベースボール型ゲーム
ならびっこキックベースでみんな汗かくシステム作り
近藤 伸彦
中学年/表現
空白を生む2つの問題点を解決する
谷元 忍
中学年/リズムダンス
丁寧な説明はゼロ。見て感じて楽しく覚えよう
鈴木 恭子
高学年/跳び箱
空白を埋める4つの仕掛け
奥田 嚴文
高学年/鉄棒
ゲーム化でできない子も巻き込む
太田 健二
高学年/マット
テンポよく運動させ、個別に評定していく
山下 敏彦
高学年/体ほぐし
次の活動とつながりをもたせて活動させる
八幡 加奈子
高学年/バスケットボール
始まりから終わりまで空白の時間を作らない
福井 三千穂
高学年/サッカー
個人技能から集団技能のスモールステップで空白時間をなくす
松村 聡
高学年/ソフトバレーボール
ルールは簡単!ボールを落とさないことからワンバウンドOKまで
舛田 安生
ミニ特集 体育授業のマニフェスト「サッカー」
低学年での3つのマニフェスト
松本 一樹
集団参加型と個人課題型で、空白時間なしシステムを作る
新川 莊六
基礎技能を高める楽しい課題ゲーム
常田 幸宣
ルールの工夫でだれでもヒーローになれる
戸村 隆之
ゴール&バックで「目指せ!全員得点」
渡辺 良平
ライブで体感!TOSS体育講座
若手vs名人の授業対決「立会い授業が力をつける」
村田 斎
レベルアップ こうすれば体育授業が楽しくなる
今求められる体育授業のミニマム
盛島 ェ
マンガで見る楽しい体育指導 (第70回)
根本体育直伝マンガ(まねっこあそびの巻)
岩野 節男
授業のつかみは最初の1分で決まる (第10回)
すでに始まっている「長なわ遊び」で一気に「つかむ」
村上 弥
体を意識させる器械運動の指導 (第10回)
前方支持回転A
中村 賢
〜額を意識させる〜
保護者も感動!よさこいソーラン (第10回)
祭りの仕組みが違う
割石 隆浩
常識を疑え!この動き (第10回)
もも上げではない。もも下げだ
榎本 寛之
微細技術で子供が燃える (第10回)
走り幅跳びと走り高跳びを組み合わせて
渡辺 喜男
全校動かす体育主任の仕事術 (第10回)
持久走大会は子供の命を落とす
並木 孝樹
インターネットの活用で授業が3倍上手になる! (第10回)
なわとびの教材研究で活用
村田 淳
ビジュアルに学べる保健の学習 (第10回)
文部科学省「食生活学習教材」を併用して授業をする
戸井 和彦
TOSS体育授業研究会報告
リズム太鼓のユースウェアを研究する
阪下 誠
TOSS体育最前線
フレッシュ!“東北フレッシュセミナー”2
TOSS体育中央事務局
効果抜群!ファックスできる体育学習カード
ボール遊び
石田 博一
〜プレルボールで楽しく遊ぼう〜
サッカー
鬼頭 衛
〜やわらかいボールタッチを目指せ!〜
子供が楽しみにするライフスキルの実践
短時間でOK、ゲームで体験するライフスキルの授業
今井 豊
ライフスキルと健康教育 (第46回)
ライフスキルを身に付けて習慣に
武田 敏
授業の腕を高める論文審査 (第165回)
条件が違うこととの比較を!
向山 洋一
体育科における学力保障 (第34回)
桑原和彦氏の長なわ跳びの模擬授業A
根本 正雄
読者のページ My Opinion
編集後記
根本 正雄
TOSS体育ニュース (第49回)
テクニカルポイントはここだ! (第10回)
水泳
横浜YMCA
〜背泳ぎに挑戦〜

特集の解説

“空白時間なし”授業システムをこうつくる

TOSS体育授業研究会代表

根本正雄


 北陸体育上達講座が開かれ、その中で富山県の塩苅有紀氏の「表現リズム遊び『動物園ごっこをしよう』」の模擬授業は優れていた。

 空白を作らないで、次から次へ課題を提示し、動きを高める授業であった。

 空白を作らない体育授業のシステム化が図られていたのである。授業の流れは次のようである。

1「みなさんリズム」にあわせて動物になる。教師が動物の絵を見せ、リズムに乗せながら動物の動きを子供たちが自分で考えて動くようにする。

2動きのよい子供の真似をさせる。

3「うさぎさんのどんな動きがよかったですか」と発問する。

 〇耳をぴんと立てて跳んでいたところ。

 〇手や腕を使っていたところ。

4人型の絵を貼り、動かしたところに印をつける。体全体を使って動くとよいことを視覚的に示し、動きの原則を発見させる。

5「体全体を使ってやってみましよう」といって、よい動きを全体に広げる。

 つまり次のようなシステム化が図られていた。

@課題を提示する。

Aよい動きを見せる。

Bよい動きを発見する。

Cよい動きを全体に広げる。

 課題を一方的に与えるのではなく、子供の意欲を高め、授業にのせる工夫をしている。

 「みなさんリズム」というのを最初に指導しています。いきなり手拍子を打って、教師の真似をさせます。

 教師 み・な・さ・ん。

 子供 なん・です・か。

 教師 こんなこと、こんなこと、できますか?

 子供 こんなこと、こんなこと、できますよ。

 最初はすごく簡単な動きから始め、少しずつテンポを上げ、子供をのせていった。

 拍手をしながらのリズムカルな動きである。模倣なので誰でもできる。

 塩苅氏の明るい、テンポのある、明快な、全体によく通る指示で授業は盛り上がった。次はよい動きを見せた。

 「〇〇うさぎさん、△△ぞうさん、□□ゴリラさん、とっても上手でした。前に出てきてください。みんなは真似をします」

 塩苅氏の指導で優れているのは、見せただけでなく真似をさせたことである。よい動きを真似することによって、よい動きの発見につなげた。

 自分が体験しているので、「〇〇うさぎさんの、どんな動きがよかったですか」と聞かれた時にもすぐに答えることができる。

 「耳をぴんと立てて跳んでいたところ。手や腕を使っていたところ」という発見がすぐに出された。

 自分が動いていないと友達のよい動きは発見できない。自分の動きと比較する中で発見できる。あるいは気づくことができるのである。

 よい動きを教師が直接教えるよりも、このように子供に発見させながら指導した方が子供は理解できる。

 教師は「体全体を使って動くとよい」という原則を指導し、最後に「みなさんリズム」にのせて、ライオン、カメ、サルの動きを行った。

 よい動きを全体に広げ、共有させたのである。よい動きを発見させ、気づかせるだけでは全体に広がらない。

 実際に発見した原則を体験させ、体で確認することが体育科の指導である。体に染み込ませる行為を通して子供の力になっていく。

 塩苅氏の授業のシステム化によって、空白のない、集中と緊張のある楽しい授業になった。

 一連の授業の中で一ヵ所でも空白ができると、塩苅氏のようなスムーズな流れにはならない。本特集では、各領域の実践例が紹介されているので参考にしてほしい。

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ