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特集の解説
“空白時間なし”授業システムをこうつくる
TOSS体育授業研究会代表
根本正雄
北陸体育上達講座が開かれ、その中で富山県の塩苅有紀氏の「表現リズム遊び『動物園ごっこをしよう』」の模擬授業は優れていた。
空白を作らないで、次から次へ課題を提示し、動きを高める授業であった。
空白を作らない体育授業のシステム化が図られていたのである。授業の流れは次のようである。
1「みなさんリズム」にあわせて動物になる。教師が動物の絵を見せ、リズムに乗せながら動物の動きを子供たちが自分で考えて動くようにする。
2動きのよい子供の真似をさせる。
3「うさぎさんのどんな動きがよかったですか」と発問する。
〇耳をぴんと立てて跳んでいたところ。
〇手や腕を使っていたところ。
4人型の絵を貼り、動かしたところに印をつける。体全体を使って動くとよいことを視覚的に示し、動きの原則を発見させる。
5「体全体を使ってやってみましよう」といって、よい動きを全体に広げる。
つまり次のようなシステム化が図られていた。
@課題を提示する。
Aよい動きを見せる。
Bよい動きを発見する。
Cよい動きを全体に広げる。
課題を一方的に与えるのではなく、子供の意欲を高め、授業にのせる工夫をしている。
「みなさんリズム」というのを最初に指導しています。いきなり手拍子を打って、教師の真似をさせます。
教師 み・な・さ・ん。
子供 なん・です・か。
教師 こんなこと、こんなこと、できますか?
子供 こんなこと、こんなこと、できますよ。
最初はすごく簡単な動きから始め、少しずつテンポを上げ、子供をのせていった。
拍手をしながらのリズムカルな動きである。模倣なので誰でもできる。
塩苅氏の明るい、テンポのある、明快な、全体によく通る指示で授業は盛り上がった。次はよい動きを見せた。
「〇〇うさぎさん、△△ぞうさん、□□ゴリラさん、とっても上手でした。前に出てきてください。みんなは真似をします」
塩苅氏の指導で優れているのは、見せただけでなく真似をさせたことである。よい動きを真似することによって、よい動きの発見につなげた。
自分が体験しているので、「〇〇うさぎさんの、どんな動きがよかったですか」と聞かれた時にもすぐに答えることができる。
「耳をぴんと立てて跳んでいたところ。手や腕を使っていたところ」という発見がすぐに出された。
自分が動いていないと友達のよい動きは発見できない。自分の動きと比較する中で発見できる。あるいは気づくことができるのである。
よい動きを教師が直接教えるよりも、このように子供に発見させながら指導した方が子供は理解できる。
教師は「体全体を使って動くとよい」という原則を指導し、最後に「みなさんリズム」にのせて、ライオン、カメ、サルの動きを行った。
よい動きを全体に広げ、共有させたのである。よい動きを発見させ、気づかせるだけでは全体に広がらない。
実際に発見した原則を体験させ、体で確認することが体育科の指導である。体に染み込ませる行為を通して子供の力になっていく。
塩苅氏の授業のシステム化によって、空白のない、集中と緊張のある楽しい授業になった。
一連の授業の中で一ヵ所でも空白ができると、塩苅氏のようなスムーズな流れにはならない。本特集では、各領域の実践例が紹介されているので参考にしてほしい。
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