現代教育科学 2011年11月号
戦後の「教育論争」から何を学ぶか

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現代教育科学 2011年11月号戦後の「教育論争」から何を学ぶか

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2011年10月6日
対象:
小・中
仕様:
A5判 115頁
状態:
絶版
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目次

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特集 戦後の「教育論争」から何を学ぶか
提言・戦後の「教育論争」から何を学ぶか
不毛で無益な争いだった
菱村 幸彦
「教育論争」自体に関する論議、論争の自己点検、教育論争と教育運動との関係や影響の検討が必要だ
新堀 通也
戦後教育界を混乱させた教育権の所在論争
八木 秀次
「自己絶対化」は認められない!
安彦 忠彦
人間尊重と民主主義による新しい道徳の創造
荒木 紀幸
「単元学習」克服運動と取り残された課題
横地 清
常識が覆った
井関 義久
「教育基本法論争」から何を学ぶか
戦後教育の時代は終わった―伝統的な言語文化重視―
佐藤 洋一
教育目標を「養うこと」はできるか
岩下 修
「ノーサイドにしましょう。もう」 子どもに寄り添った、子どもの事実に基づいた論争をしよう
甲本 卓司
「特設道徳論争」から何を学ぶか
継承したい勝部真長道徳教育論―価値(徳目)確認型道徳教育を―
安藤 豊
新しい内容の学習には子どもの手に届く教材が必要である
松野 孝雄
現場への改革提案は「子どもの事実」による強制力が必要
河田 孝文
「教育内容の現代化論争」から何を学ぶか
現代数学の息吹&現代化理念で伝統的・古典数学教育を再構成―現代「数学教育学」樹立へと昇華・発展
菊池 乙夫
何を学んだか・何を学ぶか
沼澤 清一
歴史が後世に教えてくれること
岩ア 淳
「基礎学力論争」から何を学ぶか
この「世の中」の「各地域・社会」の中の「各学校」
小森 茂
学力向上や保障を支えるのは、すぐれた指導方法や意欲の向上を図ることから
板倉 弘幸
「振り子現象」を乗り越える―系統的な指導事項を「実の場」で教える―
西田 拓郎
「授業論・授業研究論争」から何を学ぶか
正しいと思ったことを検証していく
有田 和正
大切なのは事実を根拠にすること
伊藤 雅亮
「子ども不在」の論・研究は無価値である
長谷川 博之
「教育技術法則化論争」から何を学ぶか
志ある人々との出会いが未来を創る
向山 洋一
「教育実践の評価の基準」と「主体性の原則」
渡辺 喜男
腹の底からの手ごたえと子どもの事実が明らかになった
師尾 喜代子
「教えて考えさせる授業」をめぐって (第8回)
算数教育からの批判に応える
市川 伸一
若い教師への期待 (第8回)
もう一歩の踏み込みが差を生む
大森 修
教師の読み書き (第8回)
「導入」を論ずる言葉 2
宇佐美 寛
TOSS流・学校づくり論 (第8回)
調布大塚小学校の教育課程の編成(2)
向山 洋一
〜大規模災害の避難訓練計画を作る(上)〜
「公意識教育」のあり方を問う (第8回)
「公意識教育」の争点(その1)
長尾 彰夫
〜「愛国心」教育をどうする〜
編集後記
江部 満樋口 雅子

編集後記

○…本誌ではこれまでに二度ほど論争から何を学ぶか、の特集を組んできました。

 多くの論者の中でも上田薫氏の「戦後どれほど多くの教育論争が空しく子どもたちの上を通り過ぎたことであろう」という言葉が強く印象に残っています。(本誌一九九五年三月号から)さらに「教師が子どもたちとどう関わっているか」を問いかけた吉本均氏の「教育学とは、教師と子どもとの交わり関係≠こそ主題として追究するのであり、そこに、それの知の独自性が存在している」という言葉が、今でも心にやきついています。また、戦後の教育基本法をめぐる論争も多岐にわたり、当時の国立教育研究所長であった菱村幸彦氏の「イデオロギー論争からの脱却」という指摘も強く心に残っています。

○…周知のように、平成一八年一二月一五日新しい教育基本法が成立し、同月二二日に公布・施行されました。今回の改正は、これまでの教育基本法が掲げてきた平和主義、民主主義、個人の尊厳の尊重等の基本的な理念を継承しつつ、公共の精神の尊重、規範意識の重視、伝統と文化の尊重などが強調されています。これは解説書などに見られるように「学校教育においてはぐくむべき社会性、道徳性の内容や指導方法の在り方について新しい問題を投げかけることになった」ようです。

○…しかし、早くも反対の声があがっています。「公共という言葉が独り歩きし、国家・社会のための人材育成に偏った戦前の全体主義的、国家主義的教育へ逆戻りすることに繋がる」として懸念を示す声です。「伝統の継承」についても戦前回帰を危惧する意見が表れています。本号は、戦後の「教育論争」を改めて検証する特集です。

(江部 満)

○…本日、九月一一日の朝刊に、「昭和の時代」という特集記事が読売にありました。安保改定で岸内閣が倒れた三〇年代を振り返ったものですが、

・健在だった知≠フ力

・教授を辞した竹内好

・思想的鎖国の完成→江藤淳

という具合の見出しが躍っているなか、

一番私の心にフィット?したのは、

〈消えゆくインテリ〉でした。

 本誌『現代教育科学』も、教育界の知の最前線をオルグしていこうというのが、創刊の志だったのではないか―と思います。

 この裏には?前社長の猛反対を「駄目だったら辞める」で押し切った覚悟と情熱があったようです。

 その到達点が、インテリ払底を招いたとしたらそれはまさに〈歴史の皮肉?いえ、歴史の必然〉だったと思います。何しろ、〈大衆と共に歩む〉が、民主運動の一大テーマでしたから。

(樋口 雅子)

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