生活指導 2010年5月号
面白い教材で楽しい授業をつくる

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生活指導 2010年5月号面白い教材で楽しい授業をつくる

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2010年4月7日
対象:
小・中
仕様:
A5判 123頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 面白い教材で楽しい授業をつくる
特集のことば
面白い教材で楽しい授業をつくる
高橋 英児
小・事例
四コマ漫画を教材に―「サザエさん」を使って〔5年・国語〕―
塩崎 義明
自然のことと人間のやっていること―3年生、理科と社会のスタート―
宮本 誠貴
つながり、安心して取り組める体育を〔5―6年・体育〕
山本 純
中・事例
独自教材で楽しい授業を!〔3年・国語〕
柏木 修
「答え言うなよ―。」の声を求めて―座標の学習で〔1年・数学〕―
岸田 幸雄
論文/今求められる教材づくりの視点
政治性・対立関係を見つける教材研究
子安 潤
実践記録
小さな詩人たち―人と人とをつなぐために
由布院 桃太郎
関連論文
学び合う関係づくり―今、「学習集団」をどう考えるか
福田 敦志
第2特集 教師と保護者がつながる一歩―保護者との出会いをつくり出す―
小学校
ひとりの願いはみんなの願い
北嶋 節子
保護者とのよりよい関係づくり
古関 勝則
中学校
子どもの声が保護者を動かす
上田 華
特集に寄せて
子育ての責任は誰が担うのか?―子どもたちの未来を拓くために―
今関 和子
今月のメッセージ
「子どもの今」を聴きとり、夢のかけ橋を
中野 譲
私の授業づくり (第14回)
小学校<道徳>/道徳の実践と子どもたちの変化
日比野 至剛
中学校<道徳>/祖父から孫へのバトンタッチ
川上 祐司郎
〜沖縄戦から平和を学ぶ自作教材〜
実践の広場
子どもの生活・文化・居場所
圭治との一年―教室実践日誌―
桐島 孝
子どもをつなぐ活動・行事
学年のリーダー集団を育てる取り組み
深澤 恭司
いきいき部活・クラブ
コーチの活用方法
栗城 順一
手をつなぐ―教師・親・地域の人々
A君のお母さんの助けをかりながら…
相川 幸久
私が教師を続けるわけ
今思うと、支えられて27年
立花 大地
案内板 集会・学習会のお知らせ
〈発達障害〉の理解と支援―学級・学校・地域を育てる (第2回)
発達障害の問題を考える〈その2〉
楠 凡之
〜ADHDの子どもたちへの理解と援助〜
教育情報
日本の教師の過酷な労働環境の改善は喫緊の課題
藤井 啓之
〜教師の心身の健康は子どもの教育の土台〜
読書案内
『戦後日本スタディーズ・3 80・90年代』
鈴木 和夫
若い教師からのメッセージ (第1回)
僕らのルールは僕らのもの
三間 シュン
地域生活指導へのアプローチ (第5回)
地域から学校へ、学校から地域へ
大竹 佳樹
〜「ぐんま少年少女センター」の活動に関わる中で〜
学級づくりアイデアシート〈ワークショップ〉 (第2回)
志賀 廣夫
読者の声
3月号を読んで
全生研第52回全国大会案内
全生研の窓
大和久 勝
編集後記
高橋 英児

今月のメッセージ

「子どもの今」を聴きとり、夢のかけ橋を

指名全国委員 中野  譲


昨年、6年間勤めた学校からNの悲劇≠ニいわれる市内の学校に赴任した。赴任した学校に顔を出した初日に校長から呼ばれ、誰も引き受け手がない5年を受け持ってほしいとお願いされた。実情を聞くと、その学年は3年の時に授業崩壊し、とても体力のいる学年ということだった。1クラスの人数は40人。学校そのものも、私が赴任する前年に6年生が大荒れに荒れている。教職員は、とても仲がよかったが、ピリピリしているのを肌で感じることができた。

さて、その学級を持ちしばらくすると、話が本当だということが身にしみてわかってくる。すぐにキレて暴力に走る男子。気性激しく突然泣き出したり、ひきこもったり、『クソ』『死ね』『ふざけんなよ』とためぐちをたたく女子。突然何の脈略もなく昔のことがフラッシュバックして、特定の子になぐりかかったり、机やいすを投げ飛ばしたりするADHDの子がいた。まさに暴力と暴言にあふれた学級だった。

そんな学級で私がまず打ち出した方針は、すさまじくエネルギーのある女子集団をこっちに振り向かせることだった。それは、幼稚な男子集団に対して大変ませた女子をどうにかしないと、指導が通らないと直感したからだった。

男子も女子もエネルギーを感じるこのクラスでは、ラッキーなことがあった。それは、私が話す前に、けっこう地域では名の通った野球のクラブチームのコーチをしていることを子どもたちが知っていたことだった。そういう風評は子どもたちの耳には敏感に入ってくるものだということを、改めて感じた。そして、私の紹介をした日の放課後に、突然『キャッチボール教えて』とやってきた。その日は2時間ぐらい、日が暗くなるまで野球を楽しんだ。

次の日、クラスに手で打つ変則野球をしないかということと、何でも書ける自学ノートをやってみないかと持ち出した。昨日遊んだ女子集団がすぐに支持したので、問題なく取り組むことになった。カラーバットで取り組みたかったが、カラーバット禁止の学校の方針を覆すことができなかったので、手で打つ、つまりハンドベースに切り替えた。

ハンドが始まったのはよかったが、まるでゲームにならない。負けているとキレる。ミスすると暴言の応酬。やーめた、となる子がたくさんいる。ゴロでつかんだボールを近距離で力一杯に投げて相手にぶつける男子もいて、話にならない。話し合いをしようとしても、まるで話し合いにもならない。そこで取った方法が、付箋紙に自分の考えを書いて貼り出し、それに対する感想を書くというもの。あの女子集団が中心になり、書き始めた。書いた後で次もゲームをするのか?するならどういうルールを決めるのか?できるだけやれそうなルールを決めるように言うと、初めてゲームのルールができあがった。それからいろいろ問題はあったが、1学期中夢中になって取り組み、一定の秩序が学級の中にできあがった。

一方自学はというと、女子を中心に1日に何ページも悩みや自己史を書いてくる。そして次の要求はダベリングをしたいということ。毎日毎日ダベリの会は続いた。そして、クラスの男子を巻き込み、クラスの運営部をつくることに発展していく。聴き取ること、具体的な活動を通して子どもの夢を開き、自分たちで秩序を確立していくことの大事さを痛感した。

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