学校マネジメント 2007年4月号
「いじめ」発見・対応の学校システム構築

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学校マネジメント 2007年4月号「いじめ」発見・対応の学校システム構築

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ジャンル:
学校経営
刊行:
2007年3月6日
対象:
小・中
仕様:
B5判 78頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「いじめ」発見・対応の学校システム構築
「いじめ」に関する最近の傾向
現代のいじめのパターン及びいじめられる原因について
山脇 由貴子
閉鎖的な情報社会にとらわれてしまった子供
勝方 信一
「いじめは」巧妙になっている
上木 信弘
「いじめ」解決には、特別支援教育の視点が、必要である
甲本 卓司
いじめは「なれ合い学級」で起こる
吉原 尚寛
狭い世界の中で起こるいじめ
浅川 清
「いじめ」発見・対応のシステム構築=ポイントはどこか
[提言] いじめへの対応「学校がかかえる二つの根本的欠点」を克服して
向山 洋一
[向山提言を受けて] 学校計画の中に、具体的なシステムが明記されているか
井上 好文
いじめ―なぜ生徒は教師に相談しないのか―「いじめ調査」を通して浮かび上がった学校対応の問題
[提言] 教師と生徒のあいだを開き拓く多様な人の広がりを
馬居 政幸
[馬居提言を受けて] もはや教師だけで勝負するのは、黒船に向かっていくようなもの
藤原 和博
いじめに正対する教育・どんな方法があるのか
「教育相談」でするいじめへの対応
松尾 直博
「コーチング」を中心にした学級経営
神谷 和宏
「集団づくり」で規範意識を育てる
青坂 信司
〈管理職がする教師力のチェックポイント〉教育力の弱いクラスで起こるいじめ
甘く見られている教師のクラスで起こるいじめ
星野 裕二
規範意識の指導が弱いクラスで起こるいじめ
小林 義典
叱り方がまずい教師のクラスで起こるいじめ
田村 治男
「いじめ」に歯止めをかけられる教師の教育力
教師だからこそ問われる心のケアと授業による学級づくり
小嶋 瑞紀
「いじめ」加害児への指導・効果がある方法
神谷 祐子
「いじめ」問題・保護者へのアプローチの留意点―モンスターペアレンツへの対応
松岡 宏之
私の体験談・深刻で長期の「いじめ」にどう向き合ったか
「子どもと向き合う」ということ
長 俊介
「なくそう」とするのではなく乗り越える勇気を支える聞き方を!!
富田 富士也
部活の仲間が救ってくれた
吉川 廣二
いじめられている生徒の味方に徹せよ
長谷川 博之
あの人は「いじめ」にどう向き合ったか―いじめはいつでもどこでも起こる
大西実践にみる「いじめ」への指導
大和久 勝
向山実践にみる「いじめ」への指導
大森 修
義家実践にみる「いじめ」への指導
千葉 幹雄
教委発行の「いじめチェック表」を見て思うこと
資料を活かす、教師の感性が重要
水野 惠司
教委は、いつから臨床心理家のしもべになったのですか
吉田 武男
なぜ、十ニ年前の教訓が生かされないのか?
駒井 隆治
教師力「生徒理解力」が肝要
杉山 政一
〈学校現場としての言い分〉「いじめ」に関する報道への不満点
今こそ『頑張っている〈普通〉の教師を、社会も保護者も温かく見守りの応援しよう!』というキャンペーンを始めて欲しい
山田 順子
餅は餅屋に聞け
西林 幸三郎
今こそ、つながりかかわりを再生するための報道を
成田 喜一郎
「いじめ助長」と「自殺助長」―( )で綴る疑問点―
嶋崎 政男
いじめの教材化・授業化―どんな実践があるのか
児童生徒が主体となって取り組むいじめ防止の取り組み―「ふれあいトーク」の実施―
藤井 千恵子
子どもとの信頼関係を築くために、出会いから三日間を大事にしたい
陣内 美和
いじめ裁判判決文を活用した授業
新福 悦郎
いじめ対策とゼロ・トレランス
杉田 荘治
食育のための学校ガーディニング (第1回)
“給食”でする食育
大風 秀康
学校に伝統文化の活動を (第1回)
伝統文化教育の曼荼羅世界
中村 哲
親向け教育情報誌ウォッチング (第1回)
新人類の親たちは学校を尊敬しない
明石 要一
教育バウチャー:いやでも?学校が変わる仕掛け (第1回)
教育バウチャーとは
福井 秀夫
教育課程改定と学校経営の改革点 (第1回)
「基準性」の意義と効用
菱村 幸彦
学校研修を刺激する処方箋 (第1回)
誰が、教育の第一義的責任者か
小森 茂
“割れ窓”理論の生徒指導―ゼロトレランスが学校の秩序を回復する (第1回)
ゼロトレランス方式に対する誤解
藤平 敦
07’管理職に必要なクライシスコミュニケーション (第1回)
「危機管理」は管理ではない。普段の仕事の中こそ「危機管理」はある
伊原 正俊
“地域の声”と学校はどう向きあうか (第1回)
地域と学校の「いい関係」をめざして
成山 治彦
校長講話 3分話の知的ネタ (第1回)
校長先生の講話原稿「漢字は全部でいくつある?」
二瓶 弘行
寺脇研の“教育再生”私案―諸プランの採点に立つ代案提言― (第1回)
挨拶に困る、教育再生会議第1次報告
寺脇 研
管理職のための“教育のレシピと隠し味” (第1回)
気韻生動―心に響くとは
光岡 洋一
編集後記
樋口 雅子江部 満
日本音楽と日本文化 (第1回)
日本の芸能・音楽の原点 天鈿女命
田中 健次

編集後記

 美術館やコンサートなどに行き、名のある絵画や仏像、音楽などを鑑賞すると、心が響き日頃の疲れが癒されることがある。

 同伴者がいれば、その後、喫茶店やレストランで互いの感想を述べ合い、余韻を楽しむ。その時間も楽しみの一つだ。

 このように、人は美しいものを見たり聞いたりすると、なぜ感動したり美しいと感じるのだろうか。

 その答えの一つとして「気韻生動」という言葉があることを美術史家の田中英道(東北大学名誉教授)氏から教わり、思わず合点がいった。

 5世紀の終わり頃、中国の画人・謝赫が『古画品録』という画論の中で、絵画を批評する際に6つの指針(画の六法)があるとして、その冒頭に、この気韻生動を挙げている。

 ちなみに、他の5つの言葉とは、骨法用筆(骨格と筆の用い方)、応物象形(デッサン力)、随類賦彩(色彩感覚)、経営位置(画面の構成力)、伝模移写(伝移模写ともいわれ、模写力)であり、技法の指針である。

 他方、冒頭の気韻生動は、技法ではなく精神の指針であり、気(生命の流れ)と韻(リズム)が生き生きとしている――簡単に言えば精神の躍動感である。

 前述の謝赫は、この精神と技法の6つの指針から、絵を見る視点を説いた。

 確かに、よい絵画を見ると、構図や色使いなどの技法を通して、画家がキャンバスの中に精神の躍動感を表現しており、その絵から発せられる気と韻と、見る者の気と韻が調和し心に響き、感動し美しいと感じるように思える。仏像や音楽、そして映画などもまたしかりである。

 近代日本画の巨匠、横山大観(一八六八〜一九五八)は、『大観のことば』(横山大観記念館編)という小冊子で、この気韻生動について次のように言う。

「画論に気韻生動ということがあります。気韻は人品の高い人でなければ発揮できません。人品とは高い天分と教養を身につけた人のことで、日本画の窮極は、この気韻生動に帰着するといっても過言ではないと信じています」。さらに日本画の精神についてこう記す。

「近時の日本画は、絵を心で描く事なく、単に手を以て描いているに過ぎない。単に眼の命ずるところによって駆使される技法では、それは、事物の客観的な形象を、ただ表面的に説明するにとどまって、物象の真実なる生命を表現することは出来ない」――横山大観は、気韻生動を創作の原点に置き、文字通りそれを実践した。

 さて、昨今の荒んだ世相を見るとき、合奏者が好き勝手に演奏し、不協和音が奏でられるコンサートの練習風景のように感じられる。

 横山大観はこういう。「人間ができてはじめて絵ができる。それには人物の養成ということが第一で、まず人間をつくらなければなりません」。心に響く教育とそれを実践するリーダーが、求められているように思える。


連載 管理職のための“教育のレシピと隠し味”

1 気韻生動―心に響くとは

教育ジャーナリスト 光岡洋一

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