きょういくじん会議
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太陽が一年で一番元気のない日―22日は冬至の日
kyoikujin
2009/12/14 掲載
冬至の太陽

 今年は22日火曜日が冬至です。冬至とは、一年でもっとも昼の時間が短い日。冬、野菜の少ない季節に栄養を補給するためのかぼちゃを食べたり、「とうじ」の音を「湯治(とうじ)」とかけてゆず湯(ゆずを入れたお風呂)に入ったりする風習があります。
 そんな冬至に関するお話を少しご紹介いたします。

 ゆず湯は、「ゆず」だけに「融通が利くように」という言葉にもかけられているといわれています。ゆずの成分には、血行を促進させる働きがあるので、お風呂に入れると身体を芯から温めてくれるそうです。冷え性にも効果があります。ゆず湯は言葉遊びだけでなく、これから厳しくなる寒さへの対策としての実効性もあり、またこの時期が旬でもあるのです。

 太陽は、すべてを照らし植物を成長させる生命の源。そのため、昼の時間がもっとも短くなる冬至は古代とてもおそれられていました。『古事記』にある天照大神の天の岩戸こもりは、冬至の神話化ともいわれています。「天の岩戸こもり」は『古事記』のなかでも重要な場面。それだけ、日本人にとって冬至が重要だったことがうかがえます。
 太陰太陽暦では、冬至が起点として用いられています。遣唐使の吉備真備が中国から持ち帰ったもののなかに「測影鉄尺」という日時計があったそうです。これは冬至の日をもとめるために使ったとされています。冬至はわかりやすいということもあり、暦を作る上でも重要な日でした。
 冬至とは逆に、一年でもっとも昼の長い夏至には、特に決まった風習がありません。冬至にはかぼちゃやゆず湯など今に残る風習があることも、冬至への意識の高さのあらわれといえるかもしれません。

 さてそんな太陽が元気のない冬至ですが、「冬至過ぎれば寒さ本番」などというように、寒さのピークではありません。太陽によって暖められていた大気、海水は、ゆっくりと冷えていくので冬至の時期より遅れて本格的に寒くなることが原因だそうです。

 年に一度の冬至の日。食べ物や入浴だけでなく、たまにはその背景にある文化も考えて過ごしてみるのもいいのではないでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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