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二束の草鞋で活躍―教師である劇作家の作品が人気
kyoikujin
2009/4/13 掲載
兎の眼 (角川文庫)

 先日、ある先生に「連絡帳などの返事はいつ書くのですか」とお聞きしたところ、「給食を急いで食べて書いています。時間をどう生み出すかは、永遠のテーマです」と返事をいただいた。それだけ、教師の毎日は多忙ということだろう。しかし、中には教師と劇作家という二束の草鞋をはき活躍している人もいるという。

劇作家として活躍する教師

 6日の朝日新聞の記事によると、現役の高校美術教諭でありつつ劇作家として活動する畑澤聖悟氏の作品が、注目を集めているという。
 畑澤氏の作品は、学校を舞台にした問題意識の高い作品が多いそうだ。例えば、「親の顔が見たい」という作品は、いじめ自殺とモンスターペアレントの問題を扱ったものとのこと。生徒指導の経験が長い畑澤氏が描いた作品と言うだけあって、学校現場の内情に深く切り込んでいそうで、興味深い。
 そのほかにも、畑澤氏は多くの作品を生み出している。1999年に全国高等学校演劇大会で優秀賞を受賞した「生徒総会」や2005年に最優秀賞を受賞した「修学旅行」など、学校にまつわる作品もあれば、青森のラジオ局を舞台にした「俺の屍を越えてゆけ」など、作品の種類は、さまざま。これから東京で公開される作品も多いとのことなので、関東近郊の方は見に行ってみるのもいいだろう。

教師と小説家の兼業

 劇作家ではなくても、過去に教師と小説家を兼業していた人はいる。北村薫や灰谷健次郎がその代表と言えそうだ。北村薫は、埼玉県で高校国語教諭の傍ら、小説を発表していた。代表作「スキップ」の主人公が、高校教諭というところから、作者と主人公のつながりが感じられる。また、灰谷健次郎は、小学校教諭の傍ら、児童詩誌の編集に携わっていたそうだ。17年勤めた教員を退職後は、たくさんの児童文学を発表し、代表作「兎の眼」は、ミリオンセラーとなっている。
 兼業ではなくても、教師経験がある小説家もいる。古くは夏目漱石がいい例だ。愛媛県松山市での教師の体験をもとに描いた「坊ちゃん」は、誰もが知る有名作品と言えるだろう。

海外ではビックリする兼業も

 海外では、ビックリするような兼業をしていた教師もいるようだ。古いニュースだが、2007年11月22日のロイター通信の記事によると、イタリアでは、ポルノ女優と教師を兼業していた女性がいたという。ちなみに、この教諭は、停職処分になったそうだが、その際「自分の学校での行動は常にプロフェッショナルで申し分がなかった」と主張したらしい。

 兼業なんて、忙しくてとんでもないと言う先生方は、兼業作家が描いた教師の世界をのぞいて、自分の日常と比べてみるのもおもしろいかもしれない。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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