著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
臨床心理学で思春期の中学生の成長に携わろう!
尚美学園大学芸術情報学部教授川島 眞ほか
2013/8/27 掲載
  • 著者インタビュー
  • 生活・生徒・進路指導
 今回は川島眞先生と酒井美恵子先生に、新刊『4コマまんがで楽々ナットク 中学校生徒指導丸わかりガイド』について伺いました。

川島 眞かわしま まこと

1957年生まれ。慶応義塾大学文学部社会・心理・教育学科卒業。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、尚美学園大学教授、教職・資格課程センター長。臨床心理士として社会福祉施設でカウンセリング、心理療法を担当。
主な著書:『心を科学する心理学』(共著、河出書房新社)、『教育心理学ワーキングテキスト』(世音社)、『心理学をはじめようーこころのナビゲート65−』(共著、世音社)他

酒井 美恵子さかい みえこ

国立音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。東京都の公立中学校の音楽科教諭及び指導主事を経て現在、国立音楽大学准教授。日本音楽教育学会、日本学校音楽教育実践学会などに所属。
主な論文・著書等:「J-POPを合奏教材とした一事例」(音楽教育実践ジャーナル通巻9号、日本音楽教育学会、2007)、『中学校音楽科新学習指導要領ガイドブック』(共著、教育芸術社、2008)、『中学校新学習指導要領の展開 音楽科』(共著、明治図書、2009)、『初任者研修実務必携』(編著者、第一法規、2009)、『中学音楽が魅力的に変わる!授業プランの新モデル24 第1学年編』『同 新モデル30 第2・3学年編』(何れも編著、明治図書、2010)、『動いてノッて子どもも熱中!リトミックでつくる楽しい音楽授業』『楽しくつくるアイデア満載!「音楽づくり」成功の授業プラン』『表現力アップの仕掛けが満載!「創作」成功の授業プラン』(何れも共著、明治図書、2012)『4コマまんがで楽々ナットク 中学校評価丸わかりガイド』(著、明治図書、2012)他

―本書は、臨床心理学の考えを用いて、中学校生徒指導に関するアドバイスをご紹介しております。臨床心理学とはどのようなものか、簡単に教えて頂けますか?

 臨床心理学は、心の問題や悩み、精神的不調を解決し、人々の生活がよりいっそう健康的なものになるために援助することを目的としています。そのために、心の仕組みや働き方を探り、心の健康を取り戻すための方法を研究し、それを実践しながら、より効果的なものに改善していく努力を日々続けています。
 何らかの障がいのある子どもからストレスによって心の健康を損ねている大人まで、幅広く対象としています。

―授業だけでなく、日常生活を含めたすべての学校生活において、中学生と対する時に常に心がけた方がよいことはどのようなことでしょうか。

 「思春期」という、子どもたちの成長過程のなかで特別な時期であることを念頭においてください。気持ちが不安定であったり、反抗的であるなど、大人からすれば厄介なことが多いのですが、子どもたちが“大人”になるために必要なことだと理解して相対してもらいたいと思います。具体的には、子どもたちを「よく見て」、「話に耳を傾け」、「気持ちを理解する」ことが重要です。そして、気持ちに寄り添った関わりをお願いします。

―本書は、中学教師が「あるある」とうなずける場面が4コマまんがで紹介されているのが特徴ですね。日々の生徒指導において、本書をどのように活用していくとよいですか?

 まずは中学校現場でご活躍の先生ご自身が、経験と照らし合わせながらお読みいただくことで、生徒理解を深めることができます。また、同僚と4コマまんがを話題にし、お互いの経験を話し合いながら、臨床心理の立場からの解説を確認して生徒指導力を高めることができます。ケース研究といえましょう。そして、教師を目指す方が教育実習前に理解を深めるためにも、そして、教員採用試験における面接対策などにもご活用いただけます。

―最近、学校の先生方のストレスが話題になっています。 同僚の教師、保護者、子ども等々、様々な人間関係の中で過ごす教師に向けて、日ごろ抱える悩みを少しでも減らすためのアドバイスをぜひ、お願いできますでしょうか。

 起こっている出来事や状況のプラス面に気づく習慣を身につけることをおすすめします。例えば、保護者からのクレームを「自分が責められている」と思うのではなく、「保護者との対話ができるチャンス」と捉えれば気持ちも変わります。「ピンチはチャンス」という発想です。また、自分に合った気晴らし術を会得することも役立ちます。ショッピング、一人カラオケ、ジョギング、食べ歩き、音楽鑑賞、何でもかまいません。

―最後に、日々生徒指導に取り組む中学校の先生へ向け、ぜひメッセージをお願いします。

 心身ともに大きく変化する中学生の生徒指導はご苦労だらけだろうと思います。しかし、先生方の努力によって子どもたちが大きく成長することも事実です。まさに「人をつくる」崇高な仕事と言っても過言ではありません。
 ただし、生徒指導にはここまでやったから十分だという目安がないので、ついつい張り切りすぎてしまうことがあります。適度なところで切り上げ、後は生徒の力を信じるということも“あり”だと思います。生徒指導には教師の心の余力も必要です。

(構成:木村)
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