著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
理科授業でよくある思わぬ質問で困らない!
群馬県中之条町立中之条小学校教諭増田 和明
2013/7/18 掲載

増田 和明ますだ かずあき

1963年生まれ。群馬県内の小中学校で勤務する傍ら、群馬大学大学院教育学研究科で修士号を取得する。そして、群馬県立北毛青少年自然の家に勤務して現在に至る。専門は理科教育学と植物分類学で、日本理科教育学会、植物地理・分類学会などに所属する。共著として「野山の花を尋ねて 榛名山編」(上毛新聞社)、分担執筆として「必備! 理科の定番授業 小学校5年」(学事出版)などがある。

―本書では、「理科の授業中に子どもから予想外の発言が出て困った」「実験がうまくいかずに困った」といった場面で役立つ様々な方法が紹介されています。先生が今までに体験された困った場面と、その対応の具体例を一つ教えてください。

 今年度のことです。日光に当てた葉を脱色し、ヨウ素液をかけてデンプンができているのを調べる実験で、あまりデンプンができなかったことがありました。予備実験をしている時は晴天で大丈夫だったのですが、本番はちょうど梅雨の時期だったことが原因でした。この時は、ヨウ素液を少し濃くして、反応が出るのをしばらく待たせることで対応しました。

―第1部では、実験の大切さについて、言及されています。理科指導に苦手意識のある先生方には、実験がネック…という方も多いのではないでしょうか。無理なく、楽しい実験を行うためのポイントを教えてください。

 やはり、実験はその場で準備して行うのは大変です。事前の予備実験、機材等のあらかじめの準備が苦手意識を減らす方法の一つだと思います。そこをクリアすると、安心して無理なく実験ができます。複数学級なら、放課後に時間を申し合わせて実験の準備をするというのはどうでしょうか。時間の節約になります。単学級なら、「理科お手伝い隊員募集!」などと子どもたちに呼びかけて、ガラス器具等の用意をすれば時間の節約になります。要は、実験の本番前にいかに準備をして、安心な状況をつくっておくかですね。

―第3部では、初めて理科主任になった先生向けに、理科室経営のポイントが紹介されています。理科室経営では、特に備品の管理が大変だと言われますが、上手に備品を管理するポイントを教えてください。

 特に転任して理科専科になって1年目は、理科室や理科準備室のどこに何があるかを探すだけで1学期が終ってしまうでしょう。ですから、夏休みに、名札を付けたり、備品地図をつくったり、職員作業等で他の理科専攻の先生に手伝ってもらって整理するといいと思います。そうすれば、それ以降は管理が楽になるでしょう。

―先生は、本書の中で「特に文系出身で、理科に苦手意識のある先生方に読んでほしい」と書かれています。先生は理科好きと思いますが、理科授業の魅力を教えてください。

 やはり、1番の醍醐味は実験ですね。確かに準備など大変な面もあります。ですが、子どもが(予想通りの、また予想に反した)実験結果を目の当たりにする瞬間は、目を輝かせているもので、その目の輝きが魅力で、それを大切にしていきたいですね。

―最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。

 先生が楽しく感じて授業をすると、子どもたちもそれに乗ってきます。理科ももちろん同じです。ただ、ほかの教科と違い、理科は実験・観察などが重要なポイントになります。また、思わぬ質問に困ってしまうことがあります。理科に慣れない先生がおっかなびっくりせずに、実験や観察をクリアできるような本にしたつもりです。どうぞ手に取ってみて下さい。

(構成:茅野)
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