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起立性調節障害の理解と対応 −二つの「心」にいかに向き合うか?今こそ求められる多職種の協働−
開催地域
神奈川県
日程
2019/8/21
主催
神奈川LD協会(公益社団法人神奈川学習障害教育研究協会)
講師
田中大介先生(昭和大学保健管理センター所長 ・ 教授)
参加対象
幼児・保育/小学校/中学校
ジャンル
特別支援教育/指導方法・授業研究/生活・生徒・進路指導
8月21日(水) セミナーコード305 / 研修室121−123(12階) スキルアップ講座


起立性調節障害の理解と対応 −二つの「心」にいかに向き合うか?今こそ求められる多職種の協働−



10:00-11:15 講義1 起立性調節障害の概要:症状、検査と診断、4つのサブタイプ
11:30-12:45 講義2 起立性調節障害の治療:生活指導から薬物療法まで
13:45-15:00 講義3 事例紹介と外来診療の様子
15:15-16:30 講義4 学校・家庭・医療機関での対応とその工夫、今後の課題、まとめ


Invited Speaker 田中大介先生(昭和大学保健管理センター所長 ・ 教授)


田中先生からのメッセージ

 起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation: OD)は、起立時に血圧や脈拍に異常が生じ、立ちくらみや頭痛、嘔気などの症状を認める自律神経系の疾患で、中には失神することもあります。発症頻度は中学生の約1割に及ぶものの、案外知られていないのが実状です。その理由の一つに「午前中は具合が悪いけど、午後から夜にかけては調子が良くなる」ため、疾患として捉えにくいことが挙げられます。外来でも、本人や保護者から「この疾患を知らなかった」「受診したけど診断されなかった」と話されることも少なくありません。さらに、朝起きられず、学校に行けないのに、午後から夜にかけては元気になることが多いため、怠けやさぼりなどと誤解されます。しかし、殆どの子は「学校に行きたい」と言います。でも、「学校に行きたくても行けない」状態が続くと、身体的のみならず、心理的にも居場所が無くなり、自尊感情は低下し、自暴自棄になることもあります。

 ODの治療やサポートは医療機関のみでは難しく、多職種の協働が求められます。私の外来に来院する患者さんも、学校の担任、養護教諭、スクールカウンセラー、そして校長先生はじめ、多くの先生方に助けられ、励まされたケースは少なくありません。学校に通えないことは、実は本人が一番気にしていると感じています。進学や進級の相談も大切です。また、ODの子どもをサポートする上では、二つの「心」に向き合うことが重要です。血圧や脈拍など心臓に関わる身体面の「心」、メンタル面の「心」です。そして、辛いときはその辛さに共感して休ませ、一方、様子を見計らって、次の半歩を踏み出すためのエネルギーを蓄えるよう背中を押すことも必要です。そして、「あせらず、あきらめず、愛情を注ぐ」ことが大切です。

 このセミナーでは、ODの病態やサブタイプの診断法、治療法、さらに、私がこれまでに経験してきた子どもたちの事例や、学校の先生方との話し合い、また、高校生や高校卒業後のODサポート体制の課題、通信制高校などの説明会、親の会の力も紹介します。さらに、「ヘルスリテラシー」、「ナッジ」、「季節別、学年別のODへの対応のポイント」についてもお伝えしたいと思います。

 ODの子どもを理解し、心身の居場所を作ること、対応について、皆さんと一緒に考えることができれば幸いです。

【田中大介先生のプロフィール】東京に生まれ、埼玉、神奈川で育つ。同志社大学文学部中退、昭和大学医学部・同大学院卒業。医学博士。昭和大学小児科入局、研修出向等の後、昭和大学小児科専任講師、准教授を経て、2015年より昭和大学横浜キャンパス校医、2016年より  同キャンパス産業医、2018年より昭和大学大学院保健医療学研究科教授、2019年4月より現職。昭和大学病院小児科、戸恚、立おとキッズ クリニック等で診療にあたる。専門は、起立性調節障害、低身長、肥満、夜尿症、いじめ問題など。学生時代はラグビー部と合唱部に所属。  趣味は、中学の頃から多重録音、合唱(現在も職場の仲間と歌っています)。パソコンはAppleUe時代からMac党。著書『やさしくわかる子どもの起立性調節障害』(洋泉社)、『お母さんの悩みがなくなる「子育てナビ」』(マキノ出版)など。

※申込方法等の詳細については、当協会HPをご覧下さい。
http://www.246.ne.jp/~kanald/