12日、JST(科学技術振興機構)のホームページに平成20年度中学校理科教師実態調査集計結果(速報)が掲載された。理科教育の実態を把握し、教員も含めた今後の理科教育の充実をはかっていくことを目的に、JSTと国立教育政策研究所が共同調査した。
調査は公立の小中学校を対象に行われたが、今回公表されたのは今年の6〜7月に実施された中学校の調査の集計結果(速報)で、337校572人の理科教員が回答している。
調査項目は、大学での専門分野、指導にあたり苦手意識を感じている分野、実験への取り組み状況、学校の外部に授業について相談できる場があるかなど。
苦手意識を感じている分野は地学が約44%と高く、しかも他の分野と違って、経験年数を重ねても苦手意識が解消される傾向が低い。特に天体は空間把握が難しく、生徒にとっても苦手な分野。今回の調査では、すぐに使える優れた教材情報を求める声が多かったが、天文などの苦手分野を中心にそういった情報を共有できる仕組みづくりが求められそうだ。
やや意外なのは、ICT(情報通信技術)を活用した指導に苦手意識を感じている教員が約51%もいること。他教科に比べればICTへの馴染みがありそうな理科教員でさえ苦手意識を感じていることからも、ICT活用の充実のためのさらなる取組が期待される。
また興味深いのは、科学が日常生活に密接に関わっていることをよく解説しているという教員は約85%なのに対して、理科の学習内容と職業との関連についてよく説明しているのは約35%と低くなっていることだ。日本が科学技術立国を今後も目指していくならば、理科の学習内容と将来の職業との関連についても、もっと普段の授業から生徒たちに伝えていく必要がありそうだ。
逆に地学系の人は化学や物理に苦手意識はあまりないんですかね?