児童生徒が喜んで挑戦するコンピュータ課題集
情報活用力の育成をめざす

児童生徒が喜んで挑戦するコンピュータ課題集情報活用力の育成をめざす

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自分のアイデアで工夫することで応用力が身につく。

子どものうちに伸ばしてほしい思考力、想像力、創造力を発揮できる課題で情報活用力を育成するため、問題作り、プログラム作りを子ども自ら探求できる課題を多数提案する。


復刊時予価: 2,321円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-268117-7
ジャンル:
その他教育
刊行:
対象:
小・中・他
仕様:
B5判 126頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
T章  情報教育の可能性
〜臨床的アプローチ
1 「思考すること」と「創造すること」
2 インターネットは堕落の長物なのか
3 情報教育の可能性
U章 臨床的に授業研究を進めるための必須アイテム
〜アンケートフォームの作り方
1 臨床的に授業研究を進めるために必要な道具
2 アンケートフォームの作り方
V章 児童生徒が喜んで挑戦する課題集
*課題 1 ナゾ解き行動──なぞなぞ&クイズ
*課題 2 ネコ的行動――タイムラグ
*課題 3 ヒト的行動――人生のシミュレーション
*課題 4 ウソ解き行動――間違い探し
*課題 5 神秘的行動――占い師になろう
*課題 6 放浪癖行動――芭蕉くんの旅
*課題 7 探索的行動――宝を探そう探検隊!!
*課題 8 巡回型行動――山手線ゲーム
*課題 9 突発的行動――びっくりボックスを作ろう
*課題 10 迷子的行動――Webで迷路
*課題 11 参加型行動――読者参加の物語
*課題 12 貯蓄型行動――外貨預金の12週間ゲーム
*課題 13 機械的行動――知識を会話で増殖
*課題 14 対話的行動――「はい」「いいえ」は機械のセリフ

まえがき

 昨今の情報通信及びメディア環境の急速な変貌は,私たちの未来に何か本質的な変化をもたらしているに違いないと,だれもが漠然と感じ取っているのだが,それをクリアに説明することには,だれもまだ成功していない。種々のメディア論,ルポルタージュは多々存在する。しかし,情報社会へ変貌を遂げた様子をルポルタージュすることと,未来の本質的な変化を語ることは全く別物なのである。

 先日,ある研究室を訪れたとき,医学教育のための機材を見る機会があった。バーチャルな画面を見ながら機械と指先を合わせると,胃ガンをもつ人の胃を触診している状況と同じ感覚を指で体験できるものや,内視鏡を人形の口から挿入していくと,挿入の仕方によって,人間の場合と同じ反応を得られるものがあった。その他,画面の前で手を動かすと,遠くに設置してあるロボットが同じ動きをする機械などもあった。これらから予測できることは,手術が初めての医者であっても,事前に何度もシミュレーションを行ってから手術が行えるようになること,危険な場所には人ではなくロボットが出かけていって作業することができること,宇宙での作業や,3Kといわれる仕事には人型ロボットが作業する時代がくるであろうことなどが予測可能であるが,これらの常識的な予測はルポルタージュの域を出ない。

 未来の本質的な変化とは,現在と常識が大きく変わることである。そのようなことを真っ向から語れば,異常あるいは非常識としてだれも見向きもしないであろうし,それをクリアに説明することは大変難しく,試行錯誤しているうちに時がたち未来になってしまうであろう。

 つまり,未来はだれにも予測できないと言って過言でない。予測できない未来を生きる子どもたちが身に付けなければいけない普遍的なものは何か。未知なものに出会ったときに積極的にそれを受け入れることのできる柔軟性,未解決の問題に出会ったときに試行錯誤しながら解決していく問題解決力,これまで存在しなかった知を生み出していく創造性である。

 子どもたちが,現在メジャーなソフトウェアを使いこなす訓練をしたとしても,大人になったころには,おそらく大きく変貌を遂げ,訓練したことそのものが役立つことはほとんどあり得ない。けれども,今存在するマルチメディアやコンピュータに親しむことは,大変有益である。体験したことや学んだ知は,転移して他の状況にも生かされるからである。

 したがって,情報教育でもっとも重要視したいことは,環境や状況が変わっても生かされる,汎用性の高い学び方を学ばせることなのである。そのためには,手順を教員が示して,お手本どおり子どもたちが行い,お手本どおりにできたら満点というような指導のあり方は,見直してもらいたいと思う。もちろん,はじめから放任するのではなく,あるところまでは教員がきちんと指導し引っ張っていく部分も大切であるが,最後の完成は多少ぎこちなくとも子どもに任せてほしい。その方が,作品の検討会などを通して,自分の作品を自己評価し,自己修正していく習慣が身に付くからである。そのためには,何割か教われば,残りは自分のアイディアで工夫しながら探求できるような課題設定を行うことがとても大切である。

 表計算ソフトを用いて見積書や納品書の計算をしたりすることは,教わらずとも,必要に応じて身に付けることができる。5年もたてば,今とは全く仕様が異なることも考えられる。初めて表計算ソフトに触れる子どもたちには,表計算ソフトのおもしろさを知るとともに,様々な未知の情報機器を積極的に活用していこうとする意欲を身に付けてほしい。そのような思いから,児童生徒が自分のアイディアで工夫しながら探求できるような課題,喜んで取り組んでくれる課題は何かを検討し,多くの課題案の中から今回の課題を選定した。

 本書の発刊・編集にあたり,明治図書編集部の仁井田康義氏には,多くの労をとっていただきました。執筆者一同深く感謝申し上げます。


   2003年6月 /加納 寛子

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