高等学校新学習指導要領の展開 地理歴史科編
平成21年版

高等学校新学習指導要領の展開 地理歴史科編平成21年版

新学習指導要領のねらいを具体化する完全ナビ&ガイド

新学習指導要領地理歴史科について、世界史・日本史・地理それぞれの趣旨や各科目の内容及びその取扱いに関して、改訂作業に携わった執筆者陣が丁寧に解説。主題の設定や学習活動の展開についても事例をあげて説明した、授業計画・改善に役立つこと間違いなしの1冊!


紙版価格: 2,260円+税

送料・代引手数料無料

翌日発送

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
978-4-18-850315-7
ジャンル:
学習指導要領・教育課程
刊行:
対象:
高校
仕様:
A5判 224頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年8月22日
テキスト採用品見本お申込みはこちらから

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 地理歴史科改訂の基本方針と要点
§1 地理歴史科改訂の基本方針
§2 地理歴史科の改訂の趣旨と要点
1 教科目標の改訂の趣旨と要点
2 世界史の改訂の趣旨と要点
3 日本史の改訂の趣旨と要点
4 地理の改訂の趣旨と要点
U 世界史の改訂の解説
§1 世界史A改訂の解説
1 世界史A改訂の趣旨と要点
(1) 改訂の方向と要点
(2) 目標
2 世界史Aの内容と内容の取扱い
(1) 世界史へのいざない
(2) 世界の一体化と日本
(3) 地球社会と日本
§2 世界史B改訂の解説
1 世界史B改訂の趣旨と要点
(1) 改訂の方向と要点
(2) 目標
2 世界史Bの内容と内容の取扱い
(1) 世界史への扉
(2) 諸地域世界の形成
(3) 諸地域世界の交流と再編
(4) 諸地域世界の結合と変容
(5) 地球世界の到来
V 日本史の改訂の解説
§1 日本史A改訂の解説
1 日本史A改訂の趣旨と要点
(1) 改訂の方向と要点
(2) 目標
2 日本史Aの内容と内容の取扱い
(1) 私たちの時代と歴史
(2) 近代の日本と世界
ア 近代国家の形成と国際関係の推移
イ 近代産業の発展と両大戦をめぐる国際情勢
ウ 近代の追究
(3) 現代の日本と世界
ア 現代日本の政治と国際社会
イ 経済の発展と国民生活の変化
ウ 現代からの探究
§2 日本史B改訂の解説
1 日本史B改訂の趣旨と要点
(1) 改訂の方向と要点
(2) 目標
2 日本史Bの内容と内容の取扱い
(1) 原始・古代の日本と東アジア
(2) 中世の日本と東アジア
(3) 近世の日本と世界
(4) 近代日本の形成と世界
(5) 両世界大戦期の日本と世界
(6) 現代の日本と世界
ア 現代日本の政治と国際社会
イ 経済の発展と国民生活の変化
ウ 歴史の論述
W 地理の改訂の解説
§1 地理A改訂の解説
1 地理A改訂の趣旨と要点
(1) 改訂の方向と要点
(2) 目標
2 地理Aの内容と内容の取扱い
(1) 現代世界の特色と諸課題の地理的考察
ア 地球儀や地図からとらえる現代世界
イ 世界の生活・文化の多様性
ウ 地球的課題の地理的考察
(2) 生活圏の諸課題の地理的考察
ア 日常生活と結び付いた地図
イ 自然環境と防災
ウ 生活圏の地理的な諸課題と地域調査
§2 地理B改訂の解説
1 地理B改訂の趣旨と要点
(1) 改訂の方向と要点
(2) 目標
2 地理Bの内容と内容の取扱い
(1) 様々な地図と地理的技能
ア 地理情報と地図
イ 地図の活用と地域調査
(2) 現代世界の系統地理的考察
ア 自然環境
イ 資源,産業
ウ 人口,都市・村落
エ 生活文化,民族・宗教
(3) 現代世界の地誌的考察
ア 現代世界の地域区分
イ 現代世界の諸地域
ウ 現代世界と日本
X 指導計画作成上の配慮事項
1 調和のとれた履修と他教科・他科目との相互関連
2 情報の活用と作業的,体験的な学習
3 政治教育,宗教教育の取扱い
付録・高等学校学習指導要領「地理歴史」

まえがき

 前回の改訂から数えてちょうど10年目の2009(平成21)年3月,高等学校の学習指導要領が改訂された。

 前回の改訂では,「ゆとりの中で生きる力を育む」とのスローガンの下に総合的な学習の時間が設けられ,マスコミの注目を浴びた。だが,改訂直後から「ゆとり教育批判」の論調が噴出し,文部科学省は「確かな学力」の必要性をうたわざるを得なかった。無論,それは「生きる力」の否定ではなく,豊かな人間性,健康・体力とともに「生きる力」を支える三つの環の一つとしての基礎・基本や思考力・判断力に他ならなかったが,教育現場ではややもすると受験学力重視への方向転換と受け取られがちであった。

 その後OECDによる国際学習到達度調査(PISA)の結果,日本の高校生の読解力が低下していることが明らかになり,今回の学習指導要領の改訂では改めて「生きる力」の育成が掲げられた。それはいわばOECDのキー・コンピテンシーを先取りした知識基盤社会に不可欠な力であり,習得した基礎的,基本的な知識・技能を活用して課題を見出し,解決するための思考力・判断力・表現力と定義された。ここからも,「生きる力」としての確かな学力は,決して知識・技能の習得に重きを置く,いわゆる受験学力を意味しないことは明らかであろう。

 また,新学習指導要領では,生徒の思考力・判断力・表現力を養うために,観察・実験やレポートの作成,論述といった知識・技能を活用する学習活動の必要性が指摘された。つまり,資料を解釈して説明したり,記述内容を要約して発表したりする「言語活動の充実」なくして,思考力・判断力・表現力の育成はあり得ないということである。生徒にとって,知識・技能の有用性を自覚するのは,それを活用して課題を見出したり,解決したりした時であろう。また,そうした知識・技能の有用感を体験することこそが学習への関心・意欲を高め,確かな学力の形成につながっていくのではないだろうか。まさに,教師の責任は重いといわざるを得ない。

 その点で,現行の地理歴史科の授業はどうだろう。生徒の言語活動を促す学習を組織し得ているだろうか。旧態依然としたチョーク・アンド・トークに終始してはいないだろうか。あるいは,パワーポイント等の教材・教具を活用したとしても,教師だけが一方的に説明してはいないだろうか。討論やディベートが毎回できるとは思わないし,一気にワークショップ型の授業をやろうとしても環境がそれを許さないだろう。だが,ちょっとした工夫次第で生徒を参加させることはできるはずだ。例えば,教科書の史資料を教師が説明する代わりに生徒に説明させてみる。そして,その説明に対し他の生徒たちに質問させてみるのである。それだけでも,教師の一方的な講義では気づかない生徒の理解度や関心の所在が掴めるのではないか。

 また,地理歴史科の評価はどうだろう。定期考査のペーパーテストだけで知識理解を評価してはいないだろうか。論述テストで思考力・判断力を問うといいながら,結局模範解答の暗記力や国語力を問う結果になってはいないだろうか。現行の大学入試問題等を考えると,知識習得の重要性も否定できない。だが,前回の改訂時より目標準拠型の観点別評価が高等学校にも導入され,普及しつつあるのが現状である。生徒の学力を多面的に評価することに異論を唱える者はいないだろう。だとすれば,ペーパーテスト一辺倒ではなく,ワークシートを活用するなどして生徒の思考力・判断力を測ったり,調べ学習の成果を発表させるなどして資料活用の技能や表現力を測ることも必要ではないか。まさに,「指導と評価の一体化」が求められるのである。

 今回の改訂において残念なのは,地理歴史科の影がやや薄いことである。読解力や言語力・コミュニケーション力育成との関連で国語や外国語が重視され,国際競争力を備えた科学技術の人材育成という文脈で理数教育の充実が図られている。また,法教育や金融教育の導入,コミュニティへの主体的参画という観点から公民科が重視されている反面,地理歴史科は世界史の未履修問題というスキャンダルを除き,世間の注目を集めていない。

 だが,私はこの状況を逆に生かすべきだと考える。つまり,外部の誰かの圧力によって「上からの改革」を迫られるのではなく,地理歴史科の教員自らの主体性によって,「下からの改革」を志向できるからである。その意味で,今回の改訂は地理歴史科教員のプロフェッショナルとしての自覚と力量が試されているともいえるのである。敵は本能寺ならぬ自己自身の内にいる。知識基盤社会,グローバル化社会の只中にあって,生徒に地理歴史科としての生きる力−「国際社会に主体的に生き平和で民主的な国家・社会を形成する日本国民としての自覚と資質」(教科目標より)−を養うことができないとすれば,もはや教科としての存在価値はないだろう。

 本書では,今回の改訂作業に携わった人たちにより,新しい地理歴史科の趣旨や各科目の内容,及びその取扱いに関する解説が丁寧になされている。全国の地理歴史科の先生方が,自らの授業や評価を振り返り,新たな改革を志向していく上で本書が何らかのお役に立てば幸いである。最後に,本書の刊行にご尽力いただいた明治図書編集部の安藤征宏,及川誠の両氏に心よりお礼を申し上げたい。


  平成21年12月   /原田 智仁

著者紹介

原田 智仁(はらだ ともひと)著書を検索»

1952年愛知県に生まれる。

愛知県の公立高校教員から,1990年に兵庫教育大学に転任。

現在,兵庫教育大学大学院教授。専門は社会科教育学。

1997年から2008年まで文部(科学)省の教科調査官を併任し,世界史の学習指導要領の作成と普及にたずさわる。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
読者アンケート回答でもれなく300円分のクーポンプレゼント!

ページトップへ