特別活動改革叢書421世紀型特別活動の実践構想

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21世紀にむけた教育改革。その大きなうねりの中で特別活動はどのような役割を果し、どのような質的転換を図っていけばよいか。本書はその方向と実践の姿を明確に示す。


復刊時予価: 2,475円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-821005-2
ジャンル:
特別活動
刊行:
3刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 148頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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はじめに
一章 世紀型学校・何が変わったか
§1 学校週五日制の実現
1 中央教育審議会「答申」の基本理念
社会の変化と「子供の生活現状」/ 世紀の教育の展望(ゆとりの中で「生きる力」を育てる)
2 学校週五日制への移行とその課題
親の願い、子供の思い/ 教育内容の厳選(「量」「質」の抜本見直し)/ 新しい「学校の役割」
§2 学力観の転換
1 「生きる力」育成の学力観
世紀に期待される人間像と学力(新しい学力観の一層の推進/ 学校週五日制時代の学力観(「生きる力」の育成)
2 世紀に継承された「人間教育の基本構造」
日本型学校文化の評価/ 学習指導要領は「学力育成の基本構造」
§3 特色ある学校づくり
1 世紀の学校へ(基準の改善「四つのねらい」)
「豊かな人間性や社会性の育成」と特別活動/ 「自ら学び、自ら考える力の育成」と特別活動/ 「基礎・基本の確実な定着と個性を生かす教育の充実」と特別活動/ 「特色ある教育・特色ある学校づくり」と特別活動
2 世紀型学校づくりの課題
学校がつくる教育課程(「総合的な学習の時間」の計画)/ 子供がつくる学校生活/ 学校・家庭・地域の連携でつくる特色ある教育活動
二章 学校改革と特別活動の課題
§1 特別活動の変遷を考える
1 戦前・戦後の特別活動の概観
戦前の状況はどうであったか/ 戦後における特別活動の歩み
2 世紀の学校・特別活動
「大変な時代」の学校/ 「成熟した社会」の実現と特別活動
§2 改革が提示した課題と特別活動
1 教育課程審議会が提示した「課題」
特別活動の実施状況調査の結果/ 特別活動の充実への期待/ 各内容ごとの改善課題
2 特別活動の改善の趣旨を実現する学校経営
新学習指導要領の説明会等で出される質問事項/ 「新」の趣旨実現に積極的に取り組む学校/ 校長の責任・主任のリーダーシップ
3 「新しい評価(答申)」と特別活動
「生きる力」の評価/ 「知の実践化」と「実践知の評価」
§3 現代の特別活動が当面する課題
1 「実践的な社会性」の育成を目指して集団活動をどう充実するか
なぜ「実践的な社会性の育成」なのか/ 特別活動の特質と社会性の育成/ 集団活動を生かす教師
2 「体験活動の充実」を目指して全体計画をどう改善するか
体験重視の背景・意義/ 学校教育における体験活動の重視(質的充実への転換)/ 「教育改革国民会議の審議」が提起するもの
3 「人間関係の広がり」への期待にどう応えるか
子どもの世界で人間関係は希薄になっている/ 「人間関係づくりの教育」と親の願い
三章 21世紀型特別活動の実践を構想する視点
§1 子供の健全育成に関わる視点
1 児童生徒の問題行動の改善に貢献する集団活動の展開
「生徒指導」のとらえ方/ 生徒指導上の諸問題の現状と課題/ 児童生徒の健全育成に貢献する特別活動
2 児童生徒一人一人の個性を生かす集団活動の展開
学習指導要領と個性を生かす教育の実現/ 集団活動で「個性を生かす」とはどういうことか/ 個を生かす集団活動と学校・学級経営の実際
3 自己実現の喜びを味わわせる集団活動の展開
楽しい学校・学級生活づくり/ 目標達成の喜びを味わう集団活動/ 家庭、地域社会との連携で進める健全育成
§2 問題解決能力育成に関わる視点
1 学級生活の諸問題と集団活動
「学級生活上の諸問題」とは何か/ 特別活動における集団活動の組織化(「集団遊び」との違い)/ 問題解決の活発化を図る学級経営
2 学校生活の諸問題と集団活動の展開
「学校生活上の諸問題」とは何か/ 児童会・生徒会の一員としての自覚の育成/ 全校活動の活発化を図る学校経営
3 総合的な学習の時間と関連させた特別活動の展開
総合的な学習の時間の「総合」とは何か/ 両者関連の教育的意義は何か
§3 生き方の充実に関わる視点
1 「集団生活への適応」を図る集団活動の展開
集団や社会への適応/ 「希望や目標をもって生きる態度の形成」の指導に誤解はないか/ 生徒指導の機能を生かす
2 自らのよさを生かし、主体的に生きる態度を身に付ける集団活動の展開
主体的に生きる子供の姿/ 「集団活動の記録」と実践の充実/ 話し合いの基本パターンと問題解決
3 主体的な進路選択能力を身に付ける集団活動の展開
学校生活はじめのオリエンテーション/ 集団思考の質を決める資料づくり/ 題材の精選と授業改善(「総合的な学習の時間」との関連の工夫など)
四章 世紀型特別活動の実践プラン
§1 自発的、自治的な活動の充実
1 自発的、自治的な活動の教育的意義の再認識
なぜ、「自発的、自治的な活動の重視」なのか/ 小学校一年生からの積み重ねがある学校はどこが違うか/ 小・中学校の発達段階と実践上の課題
2 「生活上の諸問題の解決活動」重視の学校経営
「授業時数の確保」の課題/ 「子供が創る学級文化」と集団活動の機能/ へき地の学校からの発信
3 内容相互の関連、集団活動の広がりを目指す
なぜ「内容相互の関連」が強調されたか/ 集団活動の深まりと広がり(学校間交流など)
§2 総合的な学習との連携で図る活動の充実
1 特別活動の指導が生きる総合的な学習の時間
何のための「関連・連携」か/ 「総合との関連づけ」で特別活動の充実を目指す視点/ 両者の連携で「生き方を考える子供に」
2 関連・実践の広がり(事例から学ぶ)
「研究指定校などの実践」から/ 「特色ある市の取組(東京都武蔵野市のセカンドスクール)」から/ 今後の課題
§3 家庭・地域社会との連携で図る活動の充実
1 「開かれた学校づくり」実現に向けた学校・家庭・地域社会の連携
学校と家庭・地域の連携の必要性/ 学校はどう変わらなければならないか
2 学校・家庭・地域社会の連携推進の課題
新しい連携の姿/ 連携推進の課題
【参考】
あとがき ──「今後の実践研究への期待」など

はじめに

 本書をまとめようと思い立ったのは、次のような理由からである。

 第一点は、新学習指導要領が公示され、各学校において特別活動は直ちにその趣旨を生かして実践化することになっているが、必ずしも適切な実践がなされていない実態があるとの声が研究会などで多く聞かれるためである。

 各学校は、平成十四年度からの完全実施に向けて新しい教育課程の指導計画を編成する作業があることに加えて、これまでの改訂期にはなかった「総合的な学習の時間」の指導計画の作成、評価の改善に対応した評価規準等の研究等に取り組み、今年度中に完成させなければならないという大変な状況であることは十分理解できる。しかし、特別活動就中児童生徒の集団活動の教育課程上の役割の重要性、「生きる力の育成」の教育課程改善の趣旨などを考えると、学習指導要領の基準性に基づいてその趣旨の実現に積極的に取り組むことが各学校の責務であると考える。本書をもってそのことを主張したかった。

 第二点は、世紀の学校の行方を予測すると、今、各学校が特別活動の教育的意義を実践を通して明らかにしていかないと、やがて教育課程の構造自体が人間性、社会性の育成の機能が極端に弱いものになってしまうかもしれないと危惧するからである。

 地球市民意識の基礎となる共生・協調性、連帯性、民主的態度の形成を具体的に担っていく教育活動が特別活動であったはずである。「自分もよく、みんなもよいようにするにはどうしたらよいか」を考え、その実現に協働する集団活動が、人格形成上不可欠な教育活動であるとの力強い昭和三十三年の教育課程化当時の理念を再認識するときであると考えたのである。

 第三点は、神戸工業高校定時制課程の南悟先生の教育実践(註1)に触発されて北海道立八雲高等学校定時制課程時代の「夜間運動会」を思い出し、生徒会の自主的な実践活動のすばらしさをこれからの学校に復活させることが必要であると考えたこと。そして、児童生徒の自発的、自治的な集団活動の経験の重要性を各学校の教師が認識し、学校経営上もっと重視していただきたいと考えたからである。

 以上の思いを「世紀の学校へのメッセージ」として示したかった。基本的には新学習指導要領の特別活動解説書パートUといった性格の内容ではあるものの、改善点が示された背景、研究実践の状況の紹介に加えて講演などの内容をも含めてまとめてみたのであるが、本書をまとめた趣旨や紹介した内容などが各学校研究や実践に僅かでも参考になれば幸いである。


  平成十三年七月吉日   著 者

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