TOSS道徳「心の教育」25
心に響く資料で創る「力のある道徳授業」

TOSS道徳「心の教育」25心に響く資料で創る「力のある道徳授業」

好評2刷

子どもの心に響く資料を使った道徳授業の実践事例を紹介。

TOSS道徳の授業には、必ずといっていいほど「心に響く資料」がある。例えば河田孝文の「一粒の豆」「ドレイズテスト」。さらにTOSS道徳トークラインの復刻“伝説の心に響く資料”“学年別の心に響く資料”など「力のある道徳授業」を創るための授業改革を示す。


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ISBN:
978-4-18-809510-2
ジャンル:
道徳
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 180頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年9月18日
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もくじ

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まえがき
はじめに
T 「力のある道徳授業」は教える内容を明確に持つ
1 「力のある道徳授業」とは
2 「力のある道徳授業」は数々の事実を生み出す
U 「力のある道徳授業」の決定版! 河田孝文氏『一粒の豆』の授業
一 実録『一粒の豆』(二〇〇六年中国四国中学セミナーin下関)
二 分析! 『一粒の豆』の心に響くポイントはここだ
1 圧倒的な資料の力
2 語 り
3 自分の生活と結びつく組み立て
三 追試報告『一粒の豆』高学年女子も幼稚園児も涙する
1 高学年女子も涙する
2 幼稚園児も涙する
四 即追試可能『一粒の豆』FAX資料
V 心に響く資料は討論を巻き起こす! 河田孝文氏「ドレイズテスト」の授業
一 実録「ドレイズテスト」(二〇〇六年川棚小四年河田学級)
二 分析! 「ドレイズテスト」の討論のポイント
1 動物虐待は許せない
2 逆のゆさぶり
3 子どもたちの討論
4 動物の犠牲の上に成り立っている
三 追試報告「ドレイズテスト」
1 好きな動物がひどい目にあったら
2 ドレイズテスト
3 討 論
4 追試をしてみて
四 即追試可能『ドレイズテスト』FAX資料
W TOSS道徳トークライン復刻! 伝説の心に響く資料集
一 人に好かれる一番の方法
1 「人に好かれる一番の方法」(小松裕明氏)原資料
2 「人に好かれる一番の方法」実践報告
二 「思いやりのある行動で豊かになろう」
三 『やさしいなみだ』
1 『やさしいなみだ』
2 実践報告
3 実践について
四 『背番号16』の重大な役割
1 資 料
2 実践報告
X 学年別! 心に響く資料で創る「力のある道徳授業」
一 一年 絵本を使って授業をする
1 『と・も・だ・ち』(ロブ・ルイス作 まつかわまゆみ訳 評論社)
2 『にじいろのさかな』(マーカス・フィスター作 谷川俊太郎訳 講談社)
二 二年生 笑うことのよさを教える!
1 笑顔と病気
2 笑顔と脳
3 笑顔と学問
4 みんなで笑おう
三 三年生 「人に優しくすると『エンドルフィン』が出ます」の追試
1 担任の体験談「電車の中で、おじさんが倒れた」
2 「アドレナリン」の話
3 「エンドルフィン」の話
四 四年生 夢を持ち努力する大切さを教える「よしきくんの始球式」
1 資 料
2 授業の概要
五 四年生 「片腕のメジャーリーガー」を通して「あきらめない」ことの大切さを知る
1 あこがれのメジャーリーグ
2 メジャーリーグにあこがれるアメリカの少年
六 五年生 「教室の力が生み出すもの」
1 いじめを受けている子どもたち
2 いじめの作文
3 ある女の子の夢
4 クラスの子どもたちの取り組み
5 生き甲斐を持てば生きる力がわいてくる
6 退院のときに書いた女の子の作文
七 六年生 一冊の絵本から
八 中一 戦争のおそろしさと平和
1 資料のあらすじ
2 授業の流れ
九 中二 進路を前に、夢を持ち、具体的に動くために
1 一四歳=立志
2 心に響く資料
3 授業の流れ
一〇 中三 死を答えとしてはならない
1 重点はおのずと決まる
2 道徳実践「Message」
Y 活用自在! 最新版、心に響く資料集はこれだ!
一 資料@ 朝日新聞二〇〇六年一二月二〇日 「みんなにありがとう」一五歳逝く
二 資料A 「ことばの障害」で得たもの(滋賀県第九回中学生広場「私の思い二〇〇六」最優秀賞)〜滋賀県甲賀市立水口中学校三年 徳地幸村さんの作文より〜
三 資料B 自分にできることから始めよう アグネス・ゴンジャ
あとがき

まえがき

  一 理不尽な行為に気持ち悪さを感じる


  弱いものいじめをしない


 集団生活で、子どもに教えるべき規範は、これに尽きる。

 「規範」とは、行動や判断の基準・手本である。

 規範は、身体化しなければ機能しない。身体化とは、脳に回路ができることである。脳の回路は、一度や二度見聞きしただけではできない。

 さまざまな場面で繰り返し繰り返し教えられ、やらされてようやくできる。

 人間は、脳にできた回路をもとに判断・行動を決定する。

 それは考えるというレベルではない。

 感じるというレベルである。

 例えば、「はきものをそろえる」という規範がある。

 私は、幼少期、母親から、繰り返し繰り返し教えられてきた。

 外出から家に帰ったとき、玄関で言われた。

 「玄関は、家の顔なのよ。お客さんは、玄関を見て、どんな家かわかるのよ」

 そして、自分の脱いだ履物をそろえさせられた。そのときに、そろえ方も教えてもらいその通りにやらされた。

 これが毎日毎日繰り返される(幼児期のことをこれだけ明確に覚えているのだから相当させられたのだろう)。

 やがて、自分からするようになった。この時点で方法記憶になっている(方法記憶とは、考えなくても体が自然に動いてしまうことである。例えば、服のボタンをとめるとか、自転車に乗るとか。習慣化ともいえる)。

 習慣化し、自分でやっていると、「すごいね、きちんと靴をそろえたね」と褒められる。

 賞賛は、行動の最大の原動力である。

 褒められれば嬉しい。

 だから、またやる。

 やっていると、お客さんに褒められる。

 また嬉しくなる。

 これを繰り返すうちに、そろっていない靴に違和感を覚え始めた。

 「はきものがそろっていないと気持ち悪い」と感じるようになったのだ。

 違和感は、よその家でも感じる。

 友達の家に遊びに行ったとき、自分の履物をそろえる。ついでに友達の履物もそろえる。

 それを見た大人からまた褒められる。

 自分は、これっぽっちもいいことをしたつもりはない。

 「こんな当たり前のことをやって褒められるんだ」と思ってしまうが嬉しい。

 このように、「履物をそろえる」という回路は強化され身体化した。


  そうなっていないと気持ち悪い


 状態にまでなるのが「規範意識」というのではないだろうか。

 理屈で云々ではなく、目の前の状況に強い違和感を感じる。これが、規範が意識化した状態なのだと思っている。

 「弱いものいじめをしない」という規範がある。

 いじめをする子は、自分より立場が弱いものをいじめることに、違和感を感じないのであろう。自分のやっていることへの気持ち悪さ居心地の悪さを感じないのであろう。

 例えば、次のようないじめ。


  教室に入っても誰も雄二君に話しかけないし、見ようともしない。一日中それが続く。授業でグループごとの作業になると、雄二君と同じグループになった子達は「なんでこいつがいるんだよ」と言い、雄二君には何もやらせない。 (山脇由貴子著『教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために』ポプラ社より)


 いじめには、必ずボスがいる。

 ボスは、弱いものをいじめるのが楽しくてしかたない。自分の企てで困っている被害者を見てよろこんでいる。

 「弱いものいじめをしない」という規範が麻痺している。

 小さいころに、親や周りの大人から「弱いものいじめをしてはいけない」ということを、繰り返し繰り返し教えられてこなかったのだろうと推測する。

 周りの子もそうだ。ボスの企てで困り憔悴しきっている被害者を見て何もできない。また、「無視」といういじめに加担する。

 「味方をすれば自分がやられる」という恐怖もあるだろう。それでもなお、このような不正が我慢できないという状態にはなっていない。

 これも、教えてこられなかったのだろう。

 私は、小学生のときにいじめにあっている。

 「無視」である。

 ある日、突然無視がはじまった。

 心当たりは、全くなかった。

 しかし、誰も口を利いてくれなくなった。登校から下校するまで、誰とも話をしない状態が一カ月続いたのである。

 口を開くのは、授業中の発表(指名されたとき)と給食のときだけである。

 あとは、ずっと一人で過ごした。

 下校も当然一人である。数十メートル先には、ボスが、一カ月前までの私の友達と楽しそうにおしゃべりしながら帰っている。

 下校時、私も口を開いた。学校から家までの歩数をぶつぶつ数えた。

 それ以外に口を開く必然性がなかった。友達と話をしたかった。そのときの思いが今でも強く残っている。

 学級の子どもがこのような状態になっているのに、担任は、全く何もしてくれなかった。

 一カ月も一人ぼっちにされているのだから、学級で異質な空気が流れていたはずである。

 にもかかわらず、担任は全く何もしなかった。ボスの手口がよほど巧妙だったのだろう。担任は、気づいていなかったのだ。

 だから、向山洋一氏の「いじめ発見システム」の重要性が実感を伴ってわかる。

 担任は、その後、出世して校長になった。しかし、私は、担任を許せない。学級のたった一人の子の苦しみがわからない教師を私は認めない。

 無視がはじまって一カ月たったころ、以前の友達が打ち明けてくれた。

 「ごめんね。ぼくもこんなことしたくない。でも、『やらないとこんどはおまえだぞ』って言われたから」

 たったこれだけだったが、とても嬉しかった。久しぶりに友達と話ができることへの喜びがあふれた。

 「なんで、おれ、無視されるの?」

 その子に聞いた。

 「おもしろいからって」

 聞いた瞬間に怒りがこみ上げてきた。

 すぐに、ボスのところに行き、殴りかかった。

 ボスは、一瞬あっけにとられた。

 もともと喧嘩が強くてその位置にいたわけではなかった。

 終始こちらが優勢であった。

 喧嘩が終わり、状況は一転した。

 さっきまでのクラスのボスは、最も弱い立場に転落した。

 これも、小さいときに教えられたことだ。

 「悪いことを許してはいけない」「立ち向かえ」と小さいときに刷り込まれてきた。

 だから、このときも小さいとき教えられたことに後押しされての行動だった。いま思えば、手段に問題はあるが。

 もちろん、そんなことは意識していない。

 このように、


  無意識に体が動く


 状態こそ規範が意識化されたといえる。


  二 善悪の判断を教えられる

 またまた幼少期の話である。

 テレビ番組で、兄弟で仲良くお菓子六個を分けあう場面があった。

 「あんたならどうする?」

 と母親に問いかけられた。

 私は、迷わず「弟に三個あげる」と答えた。自信があった。褒められると思っていた。

 しかし、母親は黙っていた。

 少し考えて、「弟に四つあげる」と答えた。すると、褒められた。そして、言われた。

 「どうしたら相手がよろこぶかを考えなくちゃね」

 このようなシミュレーションを小さいころにやらされた記憶がある。

 善悪の判断である。

 また、「ものを粗末にすると目がつぶれる」「そんなことをしたらバチがあたる」「人をいじめたら自分にかえってくる」など科学的には実証しようのないことで善悪の判断基準を教えられてきた。

 でも、それらの積み重ねが、現在の行動の支えになっている。

 このような善悪の判断を小さいころから教え、刷り込まれることにより、規範は意識化する。

 それを担当するのが家庭であり地域であった。

 現在の社会にその機能はなくなった。

 しかし、教えなければならない。

 その役目を学校が担当する。

 授業という形で子どもたちに教え、受け継いでいかなければならない。

 もちろん、教育の場では「確定された真実」を教えなくてはならない。「確定された」とは、「それぞれの学会で認められた」ということである。

 TOSS道徳シリーズ第四期全一〇巻が完成した。

 現在の子どもたちに最も必要なテーマを厳選して編集した。

 全巻、TOSS道徳の授業である。

 全て実践で検証済みの授業である。

 第四期だけで、小・中学校全道徳授業をカバーできる。

 是非とも教室で活用していただきたい。


  平成二〇年四月   TOSS道徳代表 /河田 孝文

著者紹介

河田 孝文(かわた たかふみ)著書を検索»

1964年5月山口県豊浦郡豊北町神田特牛生まれ

1988年 山口大学教育学部卒業

1988年 山口県山陽町立厚狭小学校教諭

1993年 山口県豊浦町立小串小学校教諭

1996年 山口県下関市立江浦小学校教諭

1999年 山口県下関市立川棚小学校教諭

現在,下関市立桜山小学校教諭

1988年教育技術法則化運動に参加する。

向山洋一・22番弟子,槇田 健・1番弟子

TOSS道徳教育研究会代表

TOSS長州教育サークル所属

TOSS/Advance代表

大貝 浩蔵(おおがい こうぞう)著書を検索»

1978年7月山口県下関市生まれ

現在,山口県周南市立福川小学校教諭

TOSS長州教育サークル所属

TOSS/Advance所属

槇田健・7番弟子

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 河田孝文氏の授業に感動でした。

      「一粒の豆」の授業、
      文章を読むだけでも感動しました。

      「ドレイズテスト」の授業、
      私の真剣に考えました。

      また、本書に紹介されている数々の授業
      教室で実践したいものばかりでした。

      2008/11/25坂本竜馬
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