TOSS道徳「心の教育」21
いじめを許さない学級をつくる

TOSS道徳「心の教育」21いじめを許さない学級をつくる

学級経営をする上で外せないいじめへの仕掛けや対応術を紹介。

子どもたちの出会いでやっておかなければならない五点を示す。いじめが進行していたらいじめの進度によって変わる対応の基本、いじめを跳ね返す学級作り、クラスでこうやっていじめと闘った! 「いじめ」解決後の指導を提案。さらに学級経営に転化させる提案。


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ISBN:
978-4-18-808740-4
ジャンル:
道徳
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年8月26日
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もくじ

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まえがき
はじめに
T 子どもたちとの出会いでやっておかなければいけない五つのこと
一 学級づくり・授業の準備をすることこそ「いじめ」対策
1 学級づくり・授業の準備が「いじめ」対策になる
2 前の学年の時のことにはケリをつける
二 出会いでの語り
─いじめはその子につながるご先祖をも相手にしている
1 いじめは、その子の先祖全員を相手にしているのです
2 語 り
三 黄金の三日間 初日から「いじめ発見システム」を発動させるいじめの実態をつかむ三段階
四 全員を味方につける
1 全員を敵にしてしまう指導
2 全員を味方につける指導
五 いじめのアドバルーンを見逃さない
1 まずは事実を確認する
2 クラス全員を味方につける
3 当事者に確認させて謝らせる
U もしもいじめが進行していたら? いじめの進度によって変わる対応の基本
一 初期段階での基本対応1
─いじめは小さいうちに気づき、対応するから食い止められる
1 いじめの初期段階での対応の原則
2 いじめの初期段階での具体的な対応事例(低学年)
二 初期段階での基本対応2
1 いじめに対する心構えを持つ
2 毅然として対応する
三 中期段階での基本対応1
─まず守り、次に集団の教育力を生かして追いつめる
1 先生が守ってやる
2 集団の教育力を生かす
3 さらに追いつめる
四 中期段階での基本対応2
─ひとりで闘わない
1 いじめの五段階
2 中期段階の基本対応
五 末期段階での基本対応1
─いじめを許さない学級をつくる
1 組織として対応する
2 最悪のケースを想定して対応する
六 末期段階での基本対応2
1 末期とはどのような状態か
2 末期のいじめへの対応
V いじめを跳ね返す学級づくり
一 集団の力を利用する
二 クラスの自浄作用を活用する
─いじめが起きてから動くのではない
三 クラス全体を味方につけて闘う
1 靴隠し
2 全員を巻き込む
3 教室でつめていく
四 教師が毎日すべての子と会話を交わす
1 教師が毎日すべての子どもに話しかける
2 教師の話題や仲間の話題を共有する
3 教師の体験談がものをいう
W クラスでこうやっていじめと闘った
一 「一緒に遊んじゃらん」に対処する
1 いじめ発覚
2 B子との話
3 クラス全体への話
二 素早い対応でいじめと闘う
1 一冊の連絡帳
2 「行為」を叱り、さらに詰める
3 保護者への連絡とその後
三 中学年
1 新学期早々
2 いじめの授業
四 絶対に許さないという気迫を持て!
1 みかんの皮を投げつける
2 クラス全体の前で
3 一人の子をきっかけに
4 闘いを終えて
五 高学年
1 A 子
2 万引き事件
3 新年の誓い
六 高学年
─一対一で闘う
1 写真からいじめを発見する
2 味方になる
3 一人対一人で闘う
七 闘わずして勝つ
1 「勝てない場面」で闘ってはならない
2 これが「闘わずして勝てる場面」である
八 中学校
1 教師が闘うべき相手は誰か?
2 いじめの観衆・傍観者との闘い
3 いじめの指導を成功させるための配慮事項
X 「いじめ」解決後の指導
一 いじめ当事者同士の関係を修復する
1 自信がない場合は距離をおかせる
2 被害者には味方が必要
3 被害者への語り
4 加害者への語り
二 いじめられた子へのフォロー
1 授業で活躍させ、自信を持たせる
2 二度といじめがおこらないという安心感
3 いじめに負けない強さを持たせる
三 いじめた子へのフォロー
1 罪を憎んで人を憎まず
2 最初のフォロー
3 「謝罪できたこと」「改善したこと」をほめる
四 周りでいじめを見ていた子への指導
1 エピソードで語る
2 長州小力氏のエピソードを語る
3 さらにエピソードで語る
Y いじめ解決を学級経営に転化する
一 いじめ解決が教師の信頼を生む
1 いじめは教師だけがなくすことができる
2 子どもは教師を見ている
二 いじめ解決が保護者の信頼に変わる
1 家庭訪問での言葉
2 Aさんへの対応
3 Bさんの場合
三 いじめを解決したことで起きたクラスの変化1
四 いじめを解決したことで起きたクラスの変化2
1 いじめ解決へ向けての話し合い
2 再度の話し合い
3 保護者より
あとがき

まえがき

  一 理不尽な行為に気持ち悪さを感じる


  弱いものいじめをしない


 集団生活で、子どもに教えるべき規範は、これに尽きる。

 「規範」とは、行動や判断の基準・手本である。

 規範は、身体化しなければ機能しない。身体化とは、脳に回路ができることである。脳の回路は、一度や二度見聞きしただけではできない。

 さまざまな場面で繰り返し繰り返し教えられ、やらされてようやくできる。

 人間は、脳にできた回路をもとに判断・行動を決定する。

 それは考えるというレベルではない。

 感じるというレベルである。

 例えば、「はきものをそろえる」という規範がある。

 私は、幼少期、母親から、繰り返し繰り返し教えられてきた。

 外出から家に帰ったとき、玄関で言われた。

 「玄関は、家の顔なのよ。お客さんは、玄関を見て、どんな家かわかるのよ」

 そして、自分の脱いだ履物をそろえさせられた。そのときに、そろえ方も教えてもらいその通りにやらされた。

 これが毎日毎日繰り返される(幼児期のことをこれだけ明確に覚えているのだから相当させられたのだろう)。

 やがて、自分からするようになった。この時点で方法記憶になっている(方法記憶とは、考えなくても体が自然に動いてしまうことである。例えば、服のボタンをとめるとか、自転車に乗るとか。習慣化ともいえる)。

 習慣化し、自分でやっていると、「すごいね、きちんと靴をそろえたね」と褒められる。

 賞賛は、行動の最大の原動力である。

 褒められれば嬉しい。

 だから、またやる。

 やっていると、お客さんに褒められる。

 また嬉しくなる。

 これを繰り返すうちに、そろっていない靴に違和感を覚え始めた。

 「はきものがそろっていないと気持ち悪い」と感じるようになったのだ。

 違和感は、よその家でも感じる。

 友達の家に遊びに行ったとき、自分の履物をそろえる。ついでに友達の履物もそろえる。

 それを見た大人からまた褒められる。

 自分は、これっぽっちもいいことをしたつもりはない。

 「こんな当たり前のことをやって褒められるんだ」と思ってしまうが嬉しい。

 このように、「履物をそろえる」という回路は強化され身体化した。


  そうなっていないと気持ち悪い


 状態にまでなるのが「規範意識」というのではないだろうか。

 理屈で云々ではなく、目の前の状況に強い違和感を感じる。これが、規範が意識化した状態なのだと思っている。

 「弱いものいじめをしない」という規範がある。

 いじめをする子は、自分より立場が弱いものをいじめることに、違和感を感じないのであろう。自分のやっていることへの気持ち悪さ居心地の悪さを感じないのであろう。

 例えば、次のようないじめ。


  教室に入っても誰も雄二君に話しかけないし、見ようともしない。一日中それが続く。授業でグループごとの作業になると、雄二君と同じグループになった子達は「なんでこいつがいるんだよ」と言い、雄二君には何もやらせない。 (山脇由貴子著『教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために』ポプラ社より)


 いじめには、必ずボスがいる。

 ボスは、弱いものをいじめるのが楽しくてしかたない。自分の企てで困っている被害者を見てよろこんでいる。

 「弱いものいじめをしない」という規範が麻痺している。

 小さいころに、親や周りの大人から「弱いものいじめをしてはいけない」ということを、繰り返し繰り返し教えられてこなかったのだろうと推測する。

 周りの子もそうだ。ボスの企てで困り憔悴しきっている被害者を見て何もできない。また、「無視」といういじめに加担する。

 「味方をすれば自分がやられる」という恐怖もあるだろう。それでもなお、このような不正が我慢できないという状態にはなっていない。

 これも、教えてこられなかったのだろう。

 私は、小学生のときにいじめにあっている。

 「無視」である。

 ある日、突然無視がはじまった。

 心当たりは、全くなかった。

 しかし、誰も口を利いてくれなくなった。登校から下校するまで、誰とも話をしない状態が一カ月続いたのである。

 口を開くのは、授業中の発表(指名されたとき)と給食のときだけである。

 あとは、ずっと一人で過ごした。

 下校も当然一人である。数十メートル先には、ボスが、一カ月前までの私の友達と楽しそうにおしゃべりしながら帰っている。

 下校時、私も口を開いた。学校から家までの歩数をぶつぶつ数えた。

 それ以外に口を開く必然性がなかった。友達と話をしたかった。そのときの思いが今でも強く残っている。

 学級の子どもがこのような状態になっているのに、担任は、全く何もしてくれなかった。

 一カ月も一人ぼっちにされているのだから、学級で異質な空気が流れていたはずである。

 にもかかわらず、担任は全く何もしなかった。ボスの手口がよほど巧妙だったのだろう。担任は、気づいていなかったのだ。

 だから、向山洋一氏の「いじめ発見システム」の重要性が実感を伴ってわかる。

 担任は、その後、出世して校長になった。しかし、私は、担任を許せない。学級のたった一人の子の苦しみがわからない教師を私は認めない。

 無視がはじまって一カ月たったころ、以前の友達が打ち明けてくれた。

 「ごめんね。ぼくもこんなことしたくない。でも、『やらないとこんどはおまえだぞ』って言われたから」

 たったこれだけだったが、とても嬉しかった。久しぶりに友達と話ができることへの喜びがあふれた。

 「なんで、おれ、無視されるの?」

 その子に聞いた。

 「おもしろいからって」

 聞いた瞬間に怒りがこみ上げてきた。

 すぐに、ボスのところに行き、殴りかかった。

 ボスは、一瞬あっけにとられた。

 もともと喧嘩が強くてその位置にいたわけではなかった。

 終始こちらが優勢であった。

 喧嘩が終わり、状況は一転した。

 さっきまでのクラスのボスは、最も弱い立場に転落した。

 これも、小さいときに教えられたことだ。

 「悪いことを許してはいけない」「立ち向かえ」と小さいときに刷り込まれてきた。

 だから、このときも小さいとき教えられたことに後押しされての行動だった。いま思えば、手段に問題はあるが。

 もちろん、そんなことは意識していない。

 このように、


  無意識に体が動く


 状態こそ規範が意識化されたといえる。


  二 善悪の判断を教えられる

 またまた幼少期の話である。

 テレビ番組で、兄弟で仲良くお菓子六個を分けあう場面があった。

 「あんたならどうする?」

 と母親に問いかけられた。

 私は、迷わず「弟に三個あげる」と答えた。自信があった。褒められると思っていた。

 しかし、母親は黙っていた。

 少し考えて、「弟に四つあげる」と答えた。すると、褒められた。そして、言われた。

 「どうしたら相手がよろこぶかを考えなくちゃね」

 このようなシミュレーションを小さいころにやらされた記憶がある。

 善悪の判断である。

 また、「ものを粗末にすると目がつぶれる」「そんなことをしたらバチがあたる」「人をいじめたら自分にかえってくる」など科学的には実証しようのないことで善悪の判断基準を教えられてきた。

 でも、それらの積み重ねが、現在の行動の支えになっている。

 このような善悪の判断を小さいころから教え、刷り込まれることにより、規範は意識化する。

 それを担当するのが家庭であり地域であった。

 現在の社会にその機能はなくなった。

 しかし、教えなければならない。

 その役目を学校が担当する。

 授業という形で子どもたちに教え、受け継いでいかなければならない。

 もちろん、教育の場では「確定された真実」を教えなくてはならない。「確定された」とは、「それぞれの学会で認められた」ということである。

 TOSS道徳シリーズ第四期全一〇巻が完成した。

 現在の子どもたちに最も必要なテーマを厳選して編集した。

 全巻、TOSS道徳の授業である。

 全て実践で検証済みの授業である。

 第四期だけで、小・中学校全道徳授業をカバーできる。

 是非とも教室で活用していただきたい。


  平成二〇年四月   TOSS道徳代表 /河田 孝文

著者紹介

河田 孝文(かわた たかふみ)著書を検索»

1964年5月山口県豊浦郡豊北町神田特牛生まれ

1988年 山口大学教育学部卒業

1988年 山口県山陽町立厚狭小学校教諭

1993年 山口県豊浦町立小串小学校教諭

1996年 山口県下関市立江浦小学校教諭

1999年 山口県下関市立川棚小学校教諭

現在,下関市立桜山小学校教諭

1988年教育技術法則化運動に参加する。

向山洋一・22番弟子,槇田 健・1番弟子

TOSS道徳教育研究会代表

TOSS長州教育サークル所属

TOSS/Advance代表

吉谷 亮(よしたに あきら)著書を検索»

1973年生まれ

現在,山口県下関市立神玉小学校教諭

TOSS/Advance所属

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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