TOSS道徳「心の教育」19
いじめを乗り越える子を育てる道徳授業

TOSS道徳「心の教育」19いじめを乗り越える子を育てる道徳授業

いじめを道徳でどう授業するのか。豊富な資料、授業例を掲載

「いじめを乗り越える子を育てる道徳授業」例を低・中・高・中学校で示す。「いじめにつぶされない子を育てる道徳授業」、「いじめられている子のことを心から考える子を育てる道徳授業」、「いじめに立ち向かう子を育てる道徳授業」など豊富な実践例を示す。


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ISBN:
978-4-18-808517-2
ジャンル:
道徳
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年6月25日
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もくじ

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まえがき
はじめに
【資料活用編】
T いじめを乗り越える子を育てる道徳授業
一 低学年
─悔しさをばねにして、新たな目標をもって努力する人間を育てる
1 自分の体験を振り返る
2 いじめられた人の話を聞く
3 三人のいじめ克服を知る
4 受けたいじめをばねに強く生きる生き方を考える
二 中学年
─自分の心の中を考える授業
1 一冊の本をもとに
2 子どもの感想
三 高学年
─いじめはどこにでも起こり得るものなのだ。いじめに負けない強さを育てる授業
1 古今東西、いじめはどこにでもあり得る
2 いじめに負けず立ち向かった人のエピソード
3 授業の流れ
四 中学校
─いじめを乗り越える事実を宍戸江利花さん(アジャコングさん)から学ぶ
1 いじめに負けない子を育てる
2 心に響く資料
3 授業の流れ
4 授業を終えて
U いじめにつぶされない子を育てる道徳授業
一 低学年
─絵本『からすたろう』を使って、いじめにつぶされない子を育てる
1 主人公になりきって、いじめにつぶされない気持ちをもつ
2 あらすじ
3 授業の展開(一時間完了)
二 中学年
─全盲の金メダリスト「河合純一氏」から学ぶ
三 高学年
─短期決戦・本気で臨む
1 いじめ発覚
2 いじめが続くのは、なぜか
四 中学校
─「いじめの正体」を知り、いじめをしない、されない子どもにする
1 保護者からの切実な言葉
2 四月、早い時期にいじめを授業で扱う
3 実際の授業の様子
V いじめられている子のことを心から考える子を育てる道徳授業
一 低学年
1 使用する資料
2 授業の流れ
二 高学年
─たった一言が友達を助けることになる
1 断固として教える
2 実際の授業
三 中学校
─疑似体験から学ぶ
1 想像する力
2 役割分担で模擬体験をする
3 相手のことを心から考えられる子
【ライフスキル編】
W いじめに立ち向かう子を育てる道徳授業
一 暴力にひるまないで対応する方法を身につける
─暴力が小さいうちに対応する─
1 小さな暴力を振るってきた相手への対応
2 「なぜ、叩くの?」という問いに相手が謝った場合の対応
3 「なぜ、叩くの?」という問いに「お前が嫌いやから」「憎いからや」と答えた場合
4 相手にどうしても「なぜ、叩くの?」「叩くのをやめて」と言い返すことができない場合
二 嫌なあだ名を言われた時のスキル
1 あだ名を言われている場面を発見するためには
2 まわりを味方につける
3 クラスに居場所を作る
4 大人になっても残る心の傷
5 えこ贔屓する担任
6 グループに分かれて、いがみ合い
三 「中一ギャップ」を防ぐライフスキルの授業
X いじめをやめさせる子を育てる道徳授業
一 低学年スキル
1 いじめの始まりに気づく
2 よい行動の仕方を知る
二 高学年
─「情報は魔物」の授業
三 中学校
─悪口をやめさせるスキル
Y いじめを相談する子を育てる道徳授業
一 嫌なこと困ったことを話すスキル(低学年)
1 低学年の子どもたち
2 話すスキルを高める授業
二 嫌なこと困ったことを話すスキル(中・高学年)
1 いじめは自分だけで解決できるか?
2 「相談」は、いじめを解決する大きな手段
【番外編】
Z いじめを乗り越える子を育てる
─保護者へのエールを送る
一 学級懇談会・小学版
─教室でのいじめの構造をなんとしても破壊することを懇談会で強く訴える
1 四月の懇談会でいじめについての教師の見解を示すこと
2 学級の保護者の中で、わりと孤立している保護者がいないかを見きわめること
3 学級懇談会でQAをやってみること
二 学級懇談会・中学版
1 ちょっとした差別と闘うこと
2 いじめの授業を行う
3 差別を許さない学級経営を行う
4 楽しい授業、楽しいレクリエーションを行う
5 もし何かあった場合には、すぐに連絡をするように伝える
三 河田学級通信「七色の落書き!」
四 学級通信
─《夢を語り合える学級》という学級目標を伝え、保護者にエールを送る
あとがき

まえがき

  一 理不尽な行為に気持ち悪さを感じる


  弱いものいじめをしない


 集団生活で、子どもに教えるべき規範は、これに尽きる。

 「規範」とは、行動や判断の基準・手本である。

 規範は、身体化しなければ機能しない。身体化とは、脳に回路ができることである。脳の回路は、一度や二度見聞きしただけではできない。

 さまざまな場面で繰り返し繰り返し教えられ、やらされてようやくできる。

 人間は、脳にできた回路をもとに判断・行動を決定する。

 それは考えるというレベルではない。

 感じるというレベルである。

 例えば、「はきものをそろえる」という規範がある。

 私は、幼少期、母親から、繰り返し繰り返し教えられてきた。

 外出から家に帰ったとき、玄関で言われた。

 「玄関は、家の顔なのよ。お客さんは、玄関を見て、どんな家かわかるのよ」

 そして、自分の脱いだ履物をそろえさせられた。そのときに、そろえ方も教えてもらいその通りにやらされた。

 これが毎日毎日繰り返される(幼児期のことをこれだけ明確に覚えているのだから相当させられたのだろう)。

 やがて、自分からするようになった。この時点で方法記憶になっている(方法記憶とは、考えなくても体が自然に動いてしまうことである。例えば、服のボタンをとめるとか、自転車に乗るとか。習慣化ともいえる)。

 習慣化し、自分でやっていると、「すごいね、きちんと靴をそろえたね」と褒められる。

 賞賛は、行動の最大の原動力である。

 褒められれば嬉しい。

 だから、またやる。

 やっていると、お客さんに褒められる。

 また嬉しくなる。

 これを繰り返すうちに、そろっていない靴に違和感を覚え始めた。

 「はきものがそろっていないと気持ち悪い」と感じるようになったのだ。

 違和感は、よその家でも感じる。

 友達の家に遊びに行ったとき、自分の履物をそろえる。ついでに友達の履物もそろえる。

 それを見た大人からまた褒められる。

 自分は、これっぽっちもいいことをしたつもりはない。

 「こんな当たり前のことをやって褒められるんだ」と思ってしまうが嬉しい。

 このように、「履物をそろえる」という回路は強化され身体化した。


  そうなっていないと気持ち悪い


 状態にまでなるのが「規範意識」というのではないだろうか。

 理屈で云々ではなく、目の前の状況に強い違和感を感じる。これが、規範が意識化した状態なのだと思っている。

 「弱いものいじめをしない」という規範がある。

 いじめをする子は、自分より立場が弱いものをいじめることに、違和感を感じないのであろう。自分のやっていることへの気持ち悪さ居心地の悪さを感じないのであろう。

 例えば、次のようないじめ。


  教室に入っても誰も雄二君に話しかけないし、見ようともしない。一日中それが続く。授業でグループごとの作業になると、雄二君と同じグループになった子達は「なんでこいつがいるんだよ」と言い、雄二君には何もやらせない。 (山脇由貴子著『教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために』ポプラ社より)


 いじめには、必ずボスがいる。

 ボスは、弱いものをいじめるのが楽しくてしかたない。自分の企てで困っている被害者を見てよろこんでいる。

 「弱いものいじめをしない」という規範が麻痺している。

 小さいころに、親や周りの大人から「弱いものいじめをしてはいけない」ということを、繰り返し繰り返し教えられてこなかったのだろうと推測する。

 周りの子もそうだ。ボスの企てで困り憔悴しきっている被害者を見て何もできない。また、「無視」といういじめに加担する。

 「味方をすれば自分がやられる」という恐怖もあるだろう。それでもなお、このような不正が我慢できないという状態にはなっていない。

 これも、教えてこられなかったのだろう。

 私は、小学生のときにいじめにあっている。

 「無視」である。

 ある日、突然無視がはじまった。

 心当たりは、全くなかった。

 しかし、誰も口を利いてくれなくなった。登校から下校するまで、誰とも話をしない状態が一カ月続いたのである。

 口を開くのは、授業中の発表(指名されたとき)と給食のときだけである。

 あとは、ずっと一人で過ごした。

 下校も当然一人である。数十メートル先には、ボスが、一カ月前までの私の友達と楽しそうにおしゃべりしながら帰っている。

 下校時、私も口を開いた。学校から家までの歩数をぶつぶつ数えた。

 それ以外に口を開く必然性がなかった。友達と話をしたかった。そのときの思いが今でも強く残っている。

 学級の子どもがこのような状態になっているのに、担任は、全く何もしてくれなかった。

 一カ月も一人ぼっちにされているのだから、学級で異質な空気が流れていたはずである。

 にもかかわらず、担任は全く何もしなかった。ボスの手口がよほど巧妙だったのだろう。担任は、気づいていなかったのだ。

 だから、向山洋一氏の「いじめ発見システム」の重要性が実感を伴ってわかる。

 担任は、その後、出世して校長になった。しかし、私は、担任を許せない。学級のたった一人の子の苦しみがわからない教師を私は認めない。

 無視がはじまって一カ月たったころ、以前の友達が打ち明けてくれた。

 「ごめんね。ぼくもこんなことしたくない。でも、『やらないとこんどはおまえだぞ』って言われたから」

 たったこれだけだったが、とても嬉しかった。久しぶりに友達と話ができることへの喜びがあふれた。

 「なんで、おれ、無視されるの?」

 その子に聞いた。

 「おもしろいからって」

 聞いた瞬間に怒りがこみ上げてきた。

 すぐに、ボスのところに行き、殴りかかった。

 ボスは、一瞬あっけにとられた。

 もともと喧嘩が強くてその位置にいたわけではなかった。

 終始こちらが優勢であった。

 喧嘩が終わり、状況は一転した。

 さっきまでのクラスのボスは、最も弱い立場に転落した。

 これも、小さいときに教えられたことだ。

 「悪いことを許してはいけない」「立ち向かえ」と小さいときに刷り込まれてきた。

 だから、このときも小さいとき教えられたことに後押しされての行動だった。いま思えば、手段に問題はあるが。

 もちろん、そんなことは意識していない。

 このように、


  無意識に体が動く


 状態こそ規範が意識化されたといえる。


  二 善悪の判断を教えられる

 またまた幼少期の話である。

 テレビ番組で、兄弟で仲良くお菓子六個を分けあう場面があった。

 「あんたならどうする?」

 と母親に問いかけられた。

 私は、迷わず「弟に三個あげる」と答えた。自信があった。褒められると思っていた。

 しかし、母親は黙っていた。

 少し考えて、「弟に四つあげる」と答えた。すると、褒められた。そして、言われた。

 「どうしたら相手がよろこぶかを考えなくちゃね」

 このようなシミュレーションを小さいころにやらされた記憶がある。

 善悪の判断である。

 また、「ものを粗末にすると目がつぶれる」「そんなことをしたらバチがあたる」「人をいじめたら自分にかえってくる」など科学的には実証しようのないことで善悪の判断基準を教えられてきた。

 でも、それらの積み重ねが、現在の行動の支えになっている。

 このような善悪の判断を小さいころから教え、刷り込まれることにより、規範は意識化する。

 それを担当するのが家庭であり地域であった。

 現在の社会にその機能はなくなった。

 しかし、教えなければならない。

 その役目を学校が担当する。

 授業という形で子どもたちに教え、受け継いでいかなければならない。

 もちろん、教育の場では「確定された真実」を教えなくてはならない。「確定された」とは、「それぞれの学会で認められた」ということである。

 TOSS道徳シリーズ第四期全一〇巻が完成した。

 現在の子どもたちに最も必要なテーマを厳選して編集した。

 全巻、TOSS道徳の授業である。

 全て実践で検証済みの授業である。

 第四期だけで、小・中学校全道徳授業をカバーできる。

 是非とも教室で活用していただきたい。


  平成二〇年四月   TOSS道徳代表 /河田 孝文

著者紹介

河田 孝文(かわた たかふみ)著書を検索»

1964年5月山口県豊浦郡豊北町神田特牛生まれ

1988年 山口大学教育学部卒業

1988年 山口県山陽町立厚狭小学校教諭

1993年 山口県豊浦町立小串小学校教諭

1996年 山口県下関市立江浦小学校教諭

1999年 山口県下関市立川棚小学校教諭

現在,下関市立桜山小学校教諭

1988年教育技術法則化運動に参加する。

向山洋一・22番弟子,槇田 健・1番弟子

TOSS道徳教育研究会代表

TOSS長州教育サークル所属

TOSS/Advance代表

山田 恵子(やまだ けいこ)著書を検索»

1968年山口県生まれ

現在,山口県下関市立角島小学校教諭

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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