TOSS道徳「心の教育」18
いじめ発見システムの提案
いじめは教師だけが解決できる

TOSS道徳「心の教育」18いじめ発見システムの提案いじめは教師だけが解決できる

担任がいじめを発見、対処するための方法を提案。

「いじめ発見システム」を@問診、A触診、B検査で発見する方法を示す。「いじめ対処システム」を@教育課程の中に入れる、A教務主任の提案、B学校での方策等を示す。「担任にできるいじめ対処法」として低・中・高・中学校で示す。さらに有効な一手を示す。


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ISBN:
978-4-18-808413-7
ジャンル:
道徳
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 132頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年6月18日
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もくじ

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まえがき
はじめに
T 「いじめ発見システム」を提案する
一 問診によっていじめを発見する
1 問診とは
2 低学年の問診票─具体的に問診する
3 中学年の問診票
4 高学年の問診票
5 中学生の問診票
6 いじめを発見したドラマ
二 触診によっていじめを発見する
1 触診とは
2 低学年の触診法─普段の子どもの様子を観察するポイント
3 中学年の触診法
4 高学年の触診法
5 中学校の触診法
6 いじめを発見したドラマ
三 検査によっていじめを発見する
1 「一人ぼっちの子調査」のやり方
2 こんな場面で検査ができる─小学校編
3 こんな場面で検査ができる─中学校編
U 「いじめ対処システム」を提案する
一 教育課程の中に「いじめ対処システム」を入れる計画
1 いじめ対処システムを入手する
2 いじめ対処システムを教育課程の中に入れる
二 教務主任が提案した「いじめ対処システム」
1 「いじめ対処システム」を提案する前の布石
2 提案した「いじめ対処システム」
三 学校で「いじめ対処システム」を提案し受け入れてもらう方策
1 まずは「いじめ発見システム」から受け入れてもらう
2 「いじめ対処システム」は、スピード、明文化、確認が命
V 担任にできる「いじめ」対処法
一 低学年 ─「一人ぼっちの子」をどうするか?
1 学級便りで先手を打つ
2 一人ぼっちの子の特技を見つける
3 昆虫ブームを起こす
4 電車好きの友達ができる
5 運動が不得意な子には運動以外の特技がある
二 中学年 ─子ども集団の教育力を使う〜小さなトラブルを見逃さない〜
三 高学年 ─油断は禁物、人数が少なくてもいじめは起こる
1 黄金の三日間で布石を打つ
2 給食はシステムで仕切る
3 個別に話を聞く
4 授業力を高める
四 中学校 ─いじめは犯罪であることを伝え、いじめをなくす
W いじめ克服に有効だったこの一手
一 低学年 ─「いじめ」との闘いは入学前から
1 幼稚園でも「いじめ」はある
2 「手を出すこと」は許さない
3 他の友達をたくさんつくらせる
二 中学年 ─いじめ撲滅への計画と戦術
1 予防する
2 情報を集める
3 闘 う
4 アフターケア
三 高学年 ─いじめをはぐらかす態度に追い詰める言葉で対応する
1 いじめを解決する二つのポイント
2 五年生のいじめっ子に集団の教育力で対応する
四 中学校 ─終日の校内見回りでいじめを予防する
1 いじめを予防、発見する教師の動き方
2 それぞれの立場で校内を見回り、「死角」をつくらない
3 可能な部分だけでも明文化し、組織的に動きたい
X 担任一人で対処できない「いじめ」の対処
一 いざというときのためにやっておくこと
1 一番おすすめなのは記録ノート作りである
2 トラブルは成長のチャンスである
3 子どもたちにコードを追加する
4 男女の仲をよくする
二 「いじめ」発生時の保護者対応
1 正確さ─事実のみを報告する
2 早さ─トラブルは成長する
三 つね日頃の保護者の対応
1 黄金の三日間─学級通信で担任の姿勢を伝える
2 保護者が安心して相談できるようにする
3 機会を逃さず発信する
四 共に遊び共に学ぶ ─学年で「いじめ」に対処した実例
1 「学年全体」でいじめをなくす
2 すぐにできる小さなことを大切にする
あとがき

まえがき

  一 理不尽な行為に気持ち悪さを感じる


  弱いものいじめをしない


 集団生活で、子どもに教えるべき規範は、これに尽きる。

 「規範」とは、行動や判断の基準・手本である。

 規範は、身体化しなければ機能しない。身体化とは、脳に回路ができることである。脳の回路は、一度や二度見聞きしただけではできない。

 さまざまな場面で繰り返し繰り返し教えられ、やらされてようやくできる。

 人間は、脳にできた回路をもとに判断・行動を決定する。

 それは考えるというレベルではない。

 感じるというレベルである。

 例えば、「はきものをそろえる」という規範がある。

 私は、幼少期、母親から、繰り返し繰り返し教えられてきた。

 外出から家に帰ったとき、玄関で言われた。

 「玄関は、家の顔なのよ。お客さんは、玄関を見て、どんな家かわかるのよ」

 そして、自分の脱いだ履物をそろえさせられた。そのときに、そろえ方も教えてもらいその通りにやらされた。

 これが毎日毎日繰り返される(幼児期のことをこれだけ明確に覚えているのだから相当させられたのだろう)。

 やがて、自分からするようになった。この時点で方法記憶になっている(方法記憶とは、考えなくても体が自然に動いてしまうことである。例えば、服のボタンをとめるとか、自転車に乗るとか。習慣化ともいえる)。

 習慣化し、自分でやっていると、「すごいね、きちんと靴をそろえたね」と褒められる。

 賞賛は、行動の最大の原動力である。

 褒められれば嬉しい。

 だから、またやる。

 やっていると、お客さんに褒められる。

 また嬉しくなる。

 これを繰り返すうちに、そろっていない靴に違和感を覚え始めた。

 「はきものがそろっていないと気持ち悪い」と感じるようになったのだ。

 違和感は、よその家でも感じる。

 友達の家に遊びに行ったとき、自分の履物をそろえる。ついでに友達の履物もそろえる。

 それを見た大人からまた褒められる。

 自分は、これっぽっちもいいことをしたつもりはない。

 「こんな当たり前のことをやって褒められるんだ」と思ってしまうが嬉しい。

 このように、「履物をそろえる」という回路は強化され身体化した。


  そうなっていないと気持ち悪い


 状態にまでなるのが「規範意識」というのではないだろうか。

 理屈で云々ではなく、目の前の状況に強い違和感を感じる。これが、規範が意識化した状態なのだと思っている。

 「弱いものいじめをしない」という規範がある。

 いじめをする子は、自分より立場が弱いものをいじめることに、違和感を感じないのであろう。自分のやっていることへの気持ち悪さ居心地の悪さを感じないのであろう。

 例えば、次のようないじめ。


  教室に入っても誰も雄二君に話しかけないし、見ようともしない。一日中それが続く。授業でグループごとの作業になると、雄二君と同じグループになった子達は「なんでこいつがいるんだよ」と言い、雄二君には何もやらせない。 (山脇由貴子著『教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために』ポプラ社より)


 いじめには、必ずボスがいる。

 ボスは、弱いものをいじめるのが楽しくてしかたない。自分の企てで困っている被害者を見てよろこんでいる。

 「弱いものいじめをしない」という規範が麻痺している。

 小さいころに、親や周りの大人から「弱いものいじめをしてはいけない」ということを、繰り返し繰り返し教えられてこなかったのだろうと推測する。

 周りの子もそうだ。ボスの企てで困り憔悴しきっている被害者を見て何もできない。また、「無視」といういじめに加担する。

 「味方をすれば自分がやられる」という恐怖もあるだろう。それでもなお、このような不正が我慢できないという状態にはなっていない。

 これも、教えてこられなかったのだろう。

 私は、小学生のときにいじめにあっている。

 「無視」である。

 ある日、突然無視がはじまった。

 心当たりは、全くなかった。

 しかし、誰も口を利いてくれなくなった。登校から下校するまで、誰とも話をしない状態が一カ月続いたのである。

 口を開くのは、授業中の発表(指名されたとき)と給食のときだけである。

 あとは、ずっと一人で過ごした。

 下校も当然一人である。数十メートル先には、ボスが、一カ月前までの私の友達と楽しそうにおしゃべりしながら帰っている。

 下校時、私も口を開いた。学校から家までの歩数をぶつぶつ数えた。

 それ以外に口を開く必然性がなかった。友達と話をしたかった。そのときの思いが今でも強く残っている。

 学級の子どもがこのような状態になっているのに、担任は、全く何もしてくれなかった。

 一カ月も一人ぼっちにされているのだから、学級で異質な空気が流れていたはずである。

 にもかかわらず、担任は全く何もしなかった。ボスの手口がよほど巧妙だったのだろう。担任は、気づいていなかったのだ。

 だから、向山洋一氏の「いじめ発見システム」の重要性が実感を伴ってわかる。

 担任は、その後、出世して校長になった。しかし、私は、担任を許せない。学級のたった一人の子の苦しみがわからない教師を私は認めない。

 無視がはじまって一カ月たったころ、以前の友達が打ち明けてくれた。

 「ごめんね。ぼくもこんなことしたくない。でも、『やらないとこんどはおまえだぞ』って言われたから」

 たったこれだけだったが、とても嬉しかった。久しぶりに友達と話ができることへの喜びがあふれた。

 「なんで、おれ、無視されるの?」

 その子に聞いた。

 「おもしろいからって」

 聞いた瞬間に怒りがこみ上げてきた。

 すぐに、ボスのところに行き、殴りかかった。

 ボスは、一瞬あっけにとられた。

 もともと喧嘩が強くてその位置にいたわけではなかった。

 終始こちらが優勢であった。

 喧嘩が終わり、状況は一転した。

 さっきまでのクラスのボスは、最も弱い立場に転落した。

 これも、小さいときに教えられたことだ。

 「悪いことを許してはいけない」「立ち向かえ」と小さいときに刷り込まれてきた。

 だから、このときも小さいとき教えられたことに後押しされての行動だった。いま思えば、手段に問題はあるが。

 もちろん、そんなことは意識していない。

 このように、


  無意識に体が動く


 状態こそ規範が意識化されたといえる。


  二 善悪の判断を教えられる

 またまた幼少期の話である。

 テレビ番組で、兄弟で仲良くお菓子六個を分けあう場面があった。

 「あんたならどうする?」

 と母親に問いかけられた。

 私は、迷わず「弟に三個あげる」と答えた。自信があった。褒められると思っていた。

 しかし、母親は黙っていた。

 少し考えて、「弟に四つあげる」と答えた。すると、褒められた。そして、言われた。

 「どうしたら相手がよろこぶかを考えなくちゃね」

 このようなシミュレーションを小さいころにやらされた記憶がある。

 善悪の判断である。

 また、「ものを粗末にすると目がつぶれる」「そんなことをしたらバチがあたる」「人をいじめたら自分にかえってくる」など科学的には実証しようのないことで善悪の判断基準を教えられてきた。

 でも、それらの積み重ねが、現在の行動の支えになっている。

 このような善悪の判断を小さいころから教え、刷り込まれることにより、規範は意識化する。

 それを担当するのが家庭であり地域であった。

 現在の社会にその機能はなくなった。

 しかし、教えなければならない。

 その役目を学校が担当する。

 授業という形で子どもたちに教え、受け継いでいかなければならない。

 もちろん、教育の場では「確定された真実」を教えなくてはならない。「確定された」とは、「それぞれの学会で認められた」ということである。

 TOSS道徳シリーズ第四期全一〇巻が完成した。

 現在の子どもたちに最も必要なテーマを厳選して編集した。

 全巻、TOSS道徳の授業である。

 全て実践で検証済みの授業である。

 第四期だけで、小・中学校全道徳授業をカバーできる。

 是非とも教室で活用していただきたい。


  平成二〇年四月   TOSS道徳代表 /河田 孝文

著者紹介

河田 孝文(かわた たかふみ)著書を検索»

1964年5月山口県豊浦郡豊北町神田特牛生まれ

1988年 山口大学教育学部卒業

1988年 山口県山陽町立厚狭小学校教諭

1993年 山口県豊浦町立小串小学校教諭

1996年 山口県下関市立江浦小学校教諭

1999年 山口県下関市立川棚小学校教諭

現在,下関市立桜山小学校教諭

1988年教育技術法則化運動に参加する。

向山洋一・22番弟子,槇田 健・1番弟子

TOSS道徳教育研究会代表

TOSS長州教育サークル所属

TOSS/Advance代表

江口 儀彦(えぐち よしひこ)著書を検索»

現在,福岡市立東光小学校教諭

TOSS/Advance所属

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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