- まえがき
- この本の使い方
- T 酒井式描画指導の基礎基本
- /酒井 臣吾
- 5年生,6年生描画指導の基礎基本
- T 原理原則/ U 造形要素,造形言語/ V 表現技術/ W 材料用具の取り扱い/ X 態度,鑑賞 その他
- U 酒井式描画指導のシナリオ
- [1] 展覧会好評『窓辺の花』 /小松 裕明
- プロローグ/ 傑作づくりのポイント/ 主役の花と実に色をつける/ 主調色を使い全体を彩色/ 構図を考えて窓辺を描く/ 背景を描く/ 背景に変化をもたせる/ 仕上げ−変化と調和−
- [2] 上級シナリオ『主調色で描こう』にチャレンジ /山崎 雄史
- プロローグ/ 遠近法の学習/ 近景下描き/ 主調色の学習/ 近景着色/ 休憩/ 遠景下描き/ 遠景着色/ 点描の空/ エピローグ
- [3] 物語の絵『百羽のつる』 /小林 智子
- はじめに/ お話を聞いて,構図を考える/ まわりの様子(背景)を描く/ 空を彩色する/ 空以外のまわりの様子を彩色する/ つるを描いて彩色する/ 完成/ おわりに
- [4] かたつむりの線で描く夢の列車『銀河鉄道の夜』 /澁谷 一男
- 物語を聞いて,列車をデザインする/ 夜空を彩色する/ 構図を決める/ かたつむりの線で下絵を描く/ 列車を彩色する/ 白の使い方/ 星屑を描くテクニック
- [5] ぼかしの技術を応用したシナリオ『銀河鉄道の夜』 /田村 勝
- 前口上/ イメージをつかんで,ラフを描く/ 蒸気機関車を描く/ 主調色で蒸気機関車を彩色/ 幕間休憩/ 細部の着色/ ラフを活用し,風景を描く/ 夜空はぼかしの技術で/ 夜空に星を描きくわえる
- [6] 酒井式4つの原則を応用した私のシナリオ『自転車に乗って』 /伊藤 孝之 /西田 幸二
- はじめに/ 入り口を狭くとれ「イメージを広げる」/ 入り□を狭く,明確に「自転車を描く」/ 部分の描写を成功させよ「自分を描く」/ 部分の描写を成功させよ「まわりの様子」/ ストップ「まわりの様子を描くA」/ 彩色「塗りながら描け」/ 画面を引き立たせる工夫/ パックを塗る
- [7] 初めてでもここを指導すればうまくいく『校舎の窓から』 /小嶋 瑞紀
- まず,家を5軒描こう/ 隣へ隣へと描き進める/ 町並みに彩色をする/ 窓わくと前景を描く/ タッチを工夫し,前景と空を彩色/ 幕
- [8] 図工嫌いの素人教師でも描かせることかできる /横田 経一郎
- ちょっと長めの言い訳/ 子ども達をその気にさせる/ 構成を意識させる/ 描きたい植物を自由に選ばせる/ 「かたつむりの線」を意識させる/ 1本の植物を丹念に描かせる/ 全て肯定する/ 1本の植物を着色する/ 2本目,3本目を描く/ 遠景を描くポイントを押さえる/ 遠景を描きに出る/ 遠景を彩色する/ 空を塗って,仕上げる
- [9] 満足度100%『電柱のある風景』 /表 克昌
- プロローグ/ まず1本の電柱を完成させる/ 2本目の電柱に挑戦/ バックを描こう/ いよいよ完成へ/ エピローグ
- [10] 民話を切り絵で『こぶとりじいさん』を切り絵にする /佐藤 千佳夫
- プロローグ/ 描く場面のイメージをえがく/ 切り絵にすることを知らせる/ まわりにオニを描く/ 黒画用紙に転写する/ 白い部分を切り抜く
- V 楽しいクラスづくりに役立つ小作品づくりのミニシナリオ
- /田中 博樹
- [1] 1学期――気分は芸術家! 詩画『あじさいの花』
- はじめに/ 小さな花を1つずつ描く/ 1つずつ色を変えて花を彩色する/ 完成した絵に詩を書き込む/ さいごに
- [2] 2学期――抱腹絶倒! 三原色で茶色を作ろう『ウンチ君』
- はじめに/ ティッシュでウンチをつくる/ 三原色を使って彩色する/ 相互鑑賞し,優勝を決める/ 反省/ さいごに
- [3] 3学期――えー! 線描しないの! いきなり絵の具で描く『キミコ方式の顔の絵』
- はじめに/ 鼻,口,瞼,顔全体の順で/ “黒っぽい色”で目元と髪の毛を/ さいごに
- W すぐ使える酒井式描画指導のワーク
- /大河内 義雄
- 2本の紙テープ/ てのひら/ 2色のパズル/ つばさ
- X 索引――題材一覧
まえがき
長い間,現場にあって子どもの造形活動を指導してきて,強く認識することがあります。一言でいえば,子どもは意外なほど強く,「いい絵」を描きたいと思っている――という事実であります。
これは,おとなが考えるよりもずっとずっと強いものであります。
「いい絵を描きたい!」「傑作を描きたい!」という願いは,子どもの根源的な欲求であります。
酒井式は,このような子どもの欲求をはぐらかすことなく,まずはしっかりと正対しようとします。正対したら,子どもの欲求を満足させるような題材を与え,それを完成する過程で,子どもに確かな「表現力」をつけようとします。
酒井式は,基本的な考え方や,理念を述べて具体を示さないやり方をとりません。
具体的な授業のレベルで語ります。それも,「シナリオ」という最も具体的な形で問題提起をします。シナリオは,まる裸のモデルであります。無防備です。どんな攻撃にも素肌をさらしています。
だからこそ,ここまで広がりを見せてきたのであります。
モデルのない時代は終わりにしましょう。
理念のみを述べて,具体レベルは逃げるという今までの悪習を捨て,どしどし新しいモデルを発信していきましょう。
これは,その第一弾であります。もちろん欠点も不備も多いものであります。だからこそ,実践してみるとたくさんの宝石が発見される筈であります。
このシナリオ集が,全国の熱心な実践家に鍛えられ,より逞ましく美しいモデルに変わっていくことはもう明らかであります。
まずは,「実践」をくぐらせてみてください。その上で修正したり,発展させたりした新しいモデルをご提示ください。
第二弾,第三弾の「シナリオ集」を必す出版することをお約束いたします。
編者 /酒井 臣吾
カラーの作品例が豊富にあるとなおよい。