- まえがき /酒井 臣吾
- この本の使い方 /廣川 徹
- T 「春」の題材&指導スキル
- 1年の目標入り自画像 /関谷 優作
- 自分の顔を描く/ 肌を着色する/ 1年の目標を作る
- 生活画「自分の顔」 /神谷 祐子
- 自分の顔を触り,下がきをする/ 水彩絵の具で彩色する
- 「にらめっこ」で横顔を学習する /大久保 奈生子
- 自分の顔を描く/ 友達の顔を描く/ 色を塗る/ ポスターにする
- フィンガーペインティングを生かした「歯磨きポスター」 /秋口 裕貴
- キャッチコピーをレタリング風に描く/ 画用紙いっぱいに顔を描く/ フィンガーペインティングで歯を着色する/ 歯ブラシやバイキンなどを描く/ オプション,文字のレイアウトを考えて貼る/ 友達のポスターの良さを出し合い,ほめほめポイントを書き合う
- 人権ポスター「シャボン玉」 /井上 和子
- 水性ペンでシャボン玉を描く/ たらし込みで彩色する/ シャボン玉を1つ貼る/ ストローを持つ手を描く/ 顔を描く/ 体を描く/ 彩色する/ 2人目を描く/ 3人目,4人目と描いていく/ 言葉を考える/ 言葉を書く/ 絵と文字を貼る
- U 「夏」の題材&指導スキル
- クレヨンによる「花火」で思いを伝えよう /青木 勝美
- 花火を描く/ 夜空を塗る
- 「水墨画」にチャレンジ!! /秋口 裕貴
- 雪舟の描いた水墨画を鑑賞する/ 竹を描く/ 生き物を描く/ イメージをふくらませて描く
- 海と波を絵はがきにしよう /渡海 玲子
- 白波の線を描く/ 海を彩色する/ 絵手紙にする
- 理科実験の絵 /角銅 隆
- ネジを持つ手を描く/ 顕微鏡を描く/ 顕微鏡の彩色/ 自分の顔を描く/ もう一方の手を描く/ 頭と手をつなぐ/ 自分を塗る/ 隣の子を描く/ 他の子を描く/ 机を塗る/ バックを下がきする/ バックの彩色
- よさこいソーランを踊る人 /佐々木 智穂
- 顔を描く/ 体を描く/ 手・足を描く/ 彩色をする/ 発展させる
- 「歴史人物カード」を描こう! /上原 美花
- 模写の学習を少し発展させて/ 「歴史人物カード」でつけたい力/ 描き方/ 仕上げ
- V 「秋」の題材&指導スキル
- お話の絵「いちょうの実」 /神谷 祐子
- 物語を読み聞かせる,木をしっかりと描く/ いちょうのスタンプを作り,スタンピングを行う/ いちょうの実を描いて仕上げる
- お話の絵「そらをとぶふね」 /井上 和子
- 背景を描く/ 近景を描く/ 船を描く/ 船を描き,貼る
- 注文の多い料理店 /大谷 和明
- 作品化の場面/ 猟師の顔を描く/ 猟師の手を描く/ やまねこの口を描く/ 鼻と目をつける/ 彩色する(1)(2)(3)/ 切り口上
- モチモチの木 /上木 信弘
- 灯りがついた木を描く/ 人物・家を描く/ 夜空を塗る
- 学校を描く /伊藤 新吾
- 時計から描く/ 校舎を描く/ 花を描き入れる/ 色をつける/ 植物を塗る
- 私のまち /片倉 信儀
- 電柱を描く/ 電柱に色をつける/ 2本目の電柱を描く/ 2本目の電柱に色をつける/ うしろの風景を入れる/ 全体に色を塗る/ 空を塗る/ 電線を描く
- 手話で話すわたしたち /関谷 優作
- 手話で遊ぼう/ 手を描く/ 顔を描く/ 胴体を描いて,手とつなげる/ 2人目以降を描く/ 文字を描く
- お話の絵「雪わたり」 /井上 和子
- 作品のイメージをもつ/ 地平線を描く/ 木を描く/ 木をたらし込みで彩色する/ 2本目,3本目の木を描く/ きつねを描く練習をする/ 踊っているきつねを1匹描く/ 次々ときつねを描き足す/ 遠景の山を描く/ 月の下がきをする/ 空を塗る/ 月を塗る/ 雪原を塗る/ きつねの影を描く
- 酒井式「刀とハサミで描く」版画 /荒谷 卓朗
- 木版画の指導/ 剣玉を描く(下絵)/ 彫刻刀に慣れさせる/ 刀で描く/ 人物を描く/ 紙版画の指導
- W 「冬」の題材&指導スキル
- 鳥を捕る人 /佐藤 則子
- 見本を見せる/ 場面を話す/ 空を塗る/ 鳥を捕る人を描く/ 鳥を捕る人を塗る/ 鷺のラフスケッチ/ 鷺を1羽描いて塗る/ 他の鷺を描いて塗る/ 地面を描く
- 横顔が描けるゴッホの模写の授業 /上木 信弘
- ゴッホの絵を模写する/ 自分の好きな横顔を描く
- やまなし /小林 俊也
- 谷川を描く,かにを線描する/ かにに色をつける/ 別バージョンの描き方
- 刀で彫る模写の作品がひときわ輝くとき(木版画の多色刷り) /青木 勝美
- マス目をつける/ マス目ごとに模写する/ 彩色と刷り/ 拡大バージョン
- ステンシルでちょっと高級な年賀状作り /青木 勝美
- 版をつくる/ 色をつける/ 配置を考える/ 仕上げる
- 鑑賞の最高峰「模写」に挑戦しよう /青木 勝美
- 線描する/ 色をつける
まえがき 教えてほめる:高学年も生命感あふれる作品が描ける技
酒井式描画指導法研究会 主宰 /酒井 臣吾
子どもの絵を見るとき,私が一番大切にしているのが,その絵から発散してくる「生命感」である。ところが,この生命感が高学年になるほど弱くなってくる。
どうしてそうなるか,私にはよくわかる。失敗を怖がるからである。失敗が怖いので線は細切れに引くし,色もちょっぴりずつこわごわと塗る。その結果,見るに堪えないほど小さく縮まった固い作品が生まれる。
これは,すべて,少しでも良い絵をかこうとする子どもたちの健気な気持ちから生まれてくるものだ。いい絵を描きたいからこそ怖いのである。
教師なら,このような健気な子どもたちの気持ちに応えねばならない。
まず,とっかかりが大切だ。例えば彼らの気持ちを一気に高めるぐらいの作品を見せて,「このような絵を描きます」と宣言する。
下手な口上をずらずら述べるよりも,このやり方が百倍も効果的である。
私はほとんどこの手で授業に入る。高学年は「見通し」が立たないと燃えない。
「こんな絵を描くのか,描いてみたい!」と思わせなければ始まらないのである。
この本の中には,多くの作品があるので,それだけで描けるか―と言えばそうはいかない。ゴールは見えたが,そのゴールにたどり着くための過程が見えてこない。
いい絵を描きたいという彼らの気持ちが高ければ高いほど,どこからどうやって描けばいいのかを知りたがる。それに答えるのがシナリオである。
酒井式シナリオのほとんどは,「部分積み上げ方式」で構成されている。部分積み上げ方式とは,1つの部分を完成させることから始まる。1つの小さい部分を描けばいいのだから彼らの恐怖心は小さい。
1つの部分が完成したとき,教師が必ずやらねばならぬことがある。
それは,ほめることだ。そのときに思いついたことをほめればいいと考えてはいけない。ほめる言葉の内容を考えておくのである。このくらいの準備をして初めて教師は本物になるのである。
最初は,多少下手なほめ方であってもいい。それを部分の完成のたびに続けていくのである。1回ごとに教師も子どもも向上していくことになる。
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- 明治図書
- 具体例があり、わかりやすい。描かせ方もありすぐに使える2023/4/23なめこ