- 監修のことば
- まえがき
- T 基本の運動
- 走・跳の運動〈おにごっこ〉
- バラエティ「おにごっこ」で楽しく運動しよう /笠井 美香
- 風船を使った運動
- だれでも楽しめる風船を使った運動 /加藤 菊江
- 縄跳び
- みんなでなかよく,汗が出る縄跳び /井川 裕子
- 力試しの運動
- がんばりと関わり合いを見てもらおう /平田 千晶
- U ゲーム
- 長縄跳び
- みんなでジャンプ,親子のふれあいを一層広げよう /舛田 安生
- ドッジボール
- ルールを工夫して,ドッジボールをみんなで楽しもう! /栗栖 清
- ドッジボール
- どの子もボールに触れ,熱中するドッジボール /村田 耕一
- V ボール運動
- バスケットボール
- 男女が仲良くバスケットボールを楽しむ授業 /迫田 一弘
- サッカー
- 1時間でゲームまでしよう /高橋 恒久
- ソフトバレーボール
- 親子で仲良く楽しもう。いいとこ見つけのできるソフトバレーボール /舛田 安生
- ポートボール
- ゲームいっぱい,保護者も巻き込むポートボール /渡辺 良平
- W 器械運動
- マット運動〈前転・後転〉
- かっこいい技をたくさん見せてヒーローになろう /舛田 安生
- 跳び箱運動
- 保護者も感動するドラマが起きる向山式跳び箱指導法 /今井 豊
- 鉄棒運動
- できること・できたことで授業を組み立てよう /石田 剛史
- X 陸上運動
- ゲーム〈リレー・回旋リレー〉
- どのチームにも勝つチャンスが生まれる回旋リレー /迫田 一弘
- ハードル走
- 子どもの伸びが見える授業 /鬼頭 衛
- 運動会用の運動
- うまくいかないから楽しい! 2人3脚 /渡辺 良平
- Y 水泳
- 水泳
- 保護者から歓声と拍手が沸き起こる水泳の授業 /迫田 一弘
- 水泳
- 1時間で全員が泳げるようになる /高橋 恒久
- Z 表現運動
- ダンス
- 親子でノリノリ! マカレナダンス! /笠井 美香
- ダンス
- 音楽とのマッチが快感! ハンガリー舞曲第5番 /田中 貴美
- リズム
- 保護者も子どももノリノリ,1時間でできるリズムステップの授業 /今井 豊
- [ 体づくり
- 体ほぐし
- 簡単メニューで盛り上げよう /高橋 恒久
- 体ほぐし
- 友だちと協力し合う運動を取り入れよう /石田 剛史
- 体ほぐし
- 親子で心も体もリラックス /鬼頭 衛
- あとがき
監修のことば
初心者の教師から体育の授業で困っているという声をよく聞きます。そういう教師のために,本シリーズを企画いたしました。初心者の教師でもすぐに実践できる内容になっています。
特に体育指導の苦手な教師が,日常の体育指導で困っている内容に対して,すぐにでき,しかも方法がシンプルで,子どもが参加できる指導方法が紹介されています。
TOSS体育セミナーのQ&Aで「クラスが荒れていて,体育の授業が成り立たない。どうしたらよいか」という次の質問がありました。
「すっかりクラスが荒れてしまっているので,うまくいかないこともおおい。A君とB君が授業に参加しません。『先生の体育つまんねえ』というのが理由です。前回の体育で,導入からつまずき1時間ずっとだめでした」
一部の子どもが授業を妨害し,全体の子どもも崩れていきます。私も若い頃に経験したことがあります。
質問された教師は,授業の様子を次のように話しています。
@ この2人は,体育開始に2・3分必ず遅れて来ます。
A 来ているのに,ステージに上がっていたり,用具室に隠れていたりします。
B 「集合」になっても整列しないため,ゲームなどのルールも全く聞きません。
C 結局,全体の活動に乗り遅れるため,できなくなってしまっています。
D そしてつまらなくなるのです。
子どもが授業に参加しない原因は次の3点です。
@ 一部の子どもが教師の指示を聞かない。
A 学習のルールや約束が学級全体に徹底していない。
B 子どもの興味・関心のある授業づくりができていない。
最初は1人,2人の子どもが騒いでいます。教師の指示を聞かず,自分勝手な行動をしているのです。
すると,その子どもに引きずられて,他の子どもも同じような行動を取り始めます。教師が強く指導すると反発し,言葉や体の暴力をふるうようになっていきます。
教師の指示や指導は全体に徹底しないので,学級のルールと秩序は崩壊していきます。質問をされた教師が書かれていたように,「ステージに上がっていたり,用具室に隠れていたりします」という状態になるのです。
荒れたクラスで体育授業を飛び込みで行ったことがあります。リズム太鼓を叩きながら「リズム太鼓に合わせて,自由に走りなさい」と指示しました。
すると,ステージに上がって走るのはいい方で,何と入り口のドアから飛び出し,運動場を走っているのです。重ねてあるマットや跳び箱の上を跳んでいる子どももいます。
教室とは異なり,体育館や運動場は空間が大きく,机と椅子がなく場所が限定されていないので,子どもを掌握するのが難しいのです。
教室であれば座る場所があり,空間も限られています。ところが体育館や運動場は自由な空間が多く,子どもを統率することが困難なのです。
前述した教師は解決策として次のような実践をされました。
@楽しく Aだれにでもできて B説明がいらないものにする。
特に説明のいらない教材はとてもよかったとのことです。説明がくどく分かりにくいと子どもは飽きてしまうのです。
子どもが興味を持ち,楽しくできる風船の学習はうまくできたと報告されています。よい体育授業の一つの方法が示されています。
本シリーズでは,「子どもが参加できる体育指導法」が紹介されています。
@ 授業に参加できない原因と学級と子どもの状態
A 子どもが授業に参加できる体育指導の方法
B 指導によって,子どもはどのように変化したのか
以上のような内容でまとめられています。本シリーズを活用して,楽しい体育の授業づくりをしていただければ幸いです。
本書をまとめるにあたり,明治図書の江部満氏には大変お世話になりました。多大のご指導をいただき,深く感謝申し上げます。
平成18年8月1日
TOSS体育授業研究会代表 /根本 正雄
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- 明治図書