小学校理科 確かな学力を育てるPISA型授業づくり

小学校理科 確かな学力を育てるPISA型授業づくり

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科学的リテラシーの視点から新学習指導要領を読み解き実践を提案

小学校理科のリーダーで今回の教育課程改訂にも深く関わった著者が、確かな学力の育成をPISA型授業づくりの考えに基づいて自ら書き下ろした、小学校理科授業改善の具体的な戦略。理科重視の中、必ず読んでおきたい基本図書。


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ISBN:
978-4-18-630111-3
ジャンル:
理科
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 21世紀型教育から見た理科教育の方向
○ 章の内容
§1 21世紀型理科教育からの検討
1 21世紀型理科教育から検討するに当たって
2 21世紀型教育における理科の目標
3 学習内容の構成原理
(1) 学習内容の系統
(2) 能力の系統
(3) まとめ
§2 理科の改訂の歴史
1 理科の改訂の歴史から検討するに当たって
2 検討の仕方
3 明らかになったこと
(1) 教科目標の分析について
(2) 内容の分析について
(3) 教科課程の構成原理・構造
(4) 今次改訂の意義
U 今後PISA型が重視される背景
○ 章の内容
§1 学校教育法
§2 学習指導要領改訂の基本的な考え方
1 基礎的・基本的な知識や技能の習得
(1) 基礎的・基本的な知識・技能とは
(2) 繰り返し学習
2 問題解決に必要な思考力,判断力,表現力などの能力の育成
(1) 問題解決に必要な思考力,判断力,表現力などの能力の育成とは
(2) 思考力,判断力,表現力の分析とその指導法
(3) 学習意欲
3 問題解決に必要な思考力,判断力,表現力などの能力を育成する学習過程
(1) 比べる力としての思考力の育成の場面
(2) 関係づける力としての思考力の育成の場面
(3) 表現力の育成の場面
§3 教育内容に関する主な改善事項
1 言語活動の充実
2 理数教育の充実
(1) 理数教育の充実
(2) 理数教育の充実のための実践モデル
V 確かな学力とPISA型授業
○ 章の内容
§1 言語力の育成という視点からの授業改革
1 理科における言語活動
(1) 比較や分類,関連付けなどの考える技法
2 経験を組織化する言語
(1) 科学的な概念の理解など,基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着
(2) 科学的な思考力・表現力の育成
(3) 観察,実験や自然体験,科学的な体験の充実
(4) 体験を経験化する方略
3 体験を経験とし,自ら知を組織化,構築していく学習指導過程
(1) 問題を見いだす
(2) 問いをもつ
(3) 要因を見いだす
(4) 実験方法を立案する
(5) 実験方法を実行する
(6) 実行結果を仮説と比較する
(7) 実行結果を仮説,方法との関係で検討する
4 知を構築する言語の系統性
§2 確かな学力の育成という視点からの授業改善
1 確かな学力とは
2 確かな学力を構成する要素の育成
(1) 知識や技能の育成
(2) 意欲の育成
(3) 思考力の育成
(4) 判断力の育成
(5) 表現力の育成
3 確かな学力を育成する学習指導の具体化
(1) 子どもが自分の目標あるいは問題を見付ける場面
(2) 見付けた目標を実現したり問題を解決するための見通しや実現方法あるいは解決方法を考える場面
(3) 子もが考えた方法で実現方法あるいは解決方法を実行し,その結果を得たり,見直したりする場面
§3 PISA型読解力の育成という視点からの授業改善
1 基礎的・基本的な知識や技能を習得させる授業
2 PISA型読解力を育成する授業
(1) PISA型読解力とは
(2) PISA型読解力と問題解決過程との関係
(3) PISA型読解力を育成する問題解決過程における工夫
3 PISA型読解力を育成する授業における教師の働きかけ方
(1) 情報の取り出し(問題の見いだし)場面での教師の手だて
(2) 解釈(問題となる事象を説明するための仮説を発想する)場面での手だて
(3) 解釈(仮説の真偽を確かめるための実験方法を立案する)場面での手だて
(4) 熟考・評価(実験結果を得て,実験結果について考察する)場面での手だて
(5) 新たな問題を見いだす場面での手だて
(6) PISA型読解力の育成のための手だて
W PISA型読解力を育成する学習指導の事例
○ 章の内容
§1 第3学年の「植物を育てよう」の事例
1 単元の目標
2 具体目標
3 本単元における育てたい子どもの力
4 教材について
5 指導計画
§2 第6学年の「水溶液の性質や働き」の事例
(1) 単元目標
(2) 単元計画
(3) 単元計画の特徴
(4) 指導展開の詳細
§3 第6学年の「動物の体の働き」の事例
1 単元名 動物の体の働き
2 単元の目標
3 単元について
4 子どもについて
5 指導について
6 単元の構想(指導計画)(11時間配当)
7 本時の学習(2/11)
8 本時の学習(3/11)

まえがき

 学習指導要領が改訂されると,その解説をする書物はいろいろな種類で出版されている。これに対して,本書は,今回改訂された学習指導要領を読み解き,その読み解きから実践を提案するという新しい企画である。

 改訂された学習指導要領を読み解き,その読み解きから新しい実践を提案するためには,まず,学習指導要領を読み解くための立場を明らかにする必要がある。ところで,今回の改訂は,平成20年1月17日に答申された中央教育審議会の「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」における,「5.学習指導要領改訂の基本的な考え方,棺思考力・判断力・表現力等の育成」に明記されているように,PISA調査の結果などが大きく影響している。このため,本書では,学習指導要領を読み解くための立場として,標準の学力を目指した,PISA調査のフレームワークに注目した。そして,そのフレームワークの一つである科学的リテラシ−を検討した。

 PISA調査の枠組みの一つである科学的リテラシーを,PISA2006の枠組みから検討すると,以下の3点に整理できる。

@ 科学的な問題を見いだす力

A 科学的に現象を説明する力

B 科学的な証拠を使える力

 @〜Bは,学習者が学校教育あるいは地域や社会において,人間や科学,技術などに関する基底となる科学的な知識を獲得するとともに,自ら事象に働きかけ科学的な知を獲得していく力であるといえる。つまり,科学的リテラシーとは,人間や科学,技術などに関して,基底となる科学的な知識と,自ら事象に働きかけ科学的な知を構築していく力であるといえる。

 そこで,

 (1)基底となる科学的な知識を獲得させること

 (2)自ら自然の事物や現象に働きかけながら科学的な知を構築していくこと

 という視点から,改訂された学習指導要領を読み解き,これからの実践を提案した。


 以上のような考え方を基に,本書では学習指導要領を読み解き,第4章において,新しい実践を提案した。この実践は,話型や言語技術などの視点を導入し,きわめて具体的に学習指導過程を構想し展開した。第4章で示した学習指導過程は,これからの新しい理科教育学の動向にも耐えうるものになっていると確信する。

 本書が多くの学校関係者のみならず,教育に関心のある方々にも読まれて新しい学習指導過程を工夫していただければ,幸いである。


 なお,最後に,本書は,明治図書編集部の安藤征宏氏や,第4章第1節では東京都品川区立大井第一小学校の原景子先生,第2節では広島市立江波小学校の堀井俊宏先生,第3節では19年度全小理の開催校である福井県鯖江市立進徳小学校の先生方の実践を援用させていただいた。これらの人々の協力なくしては本書は完成しなかったと思う。記して,心より感謝の意を表する。


  平成20年6月   /角屋 重樹

著者紹介

角屋 重樹(かどや しげき)著書を検索»

 博士(教育学)

 広島大学大学院教授教育学研究科教授。

 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会,小学校・中学校理科専門部会委員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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