役に立つ教育技術 いくつ持ってますか4
いじめを見抜き闘うノウハウ

役に立つ教育技術 いくつ持ってますか4いじめを見抜き闘うノウハウ

好評4刷

闘い方さえ間違えず、諦めなければいじめには必ず勝てる。

いじめはどの時代、どの地域でも起こっているからと言う諦めがないだろうか。教師が諦めてはいじめは絶対なくせない!教師が諦めなければ闘いに勝つことはできる。断固としていじめと闘う学級、立ち向かう方法を学年段階のさまざまな場面における事例で紹介する。


紙版価格: 2,000円+税

送料・代引手数料無料

当日発送

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
4-18-614411-7
ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
4刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 168頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年7月18日
新学習指導要領解説書籍
テキスト採用品見本お申込みはこちらから

目次

もくじの詳細表示

まえがき ──いじめは初期段階の発見がものをいう──
T いじめを拒絶する学級に育てていますか
1 「黄金の三日間」を大切にしていますか
2 「三日間」で子ども社会の構造を壊す
3 布石を打つ
4 アドバルーンを見逃さず、つぶす
5 称賛し、子ども集団の教育力を使う
U いじめを感知し、認識していますか
1 いじめを「くくって」いますか
2 一瞬の空気をつかむ
3 システムを活用する
4 情報網を構築し、駆使する
V いじめを把握し、闘いに備えていますか
1 情報を収集する
2 情報を把握する
3 「戦略」と「戦術」を練る
W いじめに立ち向かっていますか
1 いじめとの闘い方
2 低学年の事例@(二年女子 Aさん)
3 低学年の事例A(一年男子 Bくん)
4 中学年の事例
5 高学年の事例@
6 高学年の事例A
7 高学年の事例B
X 闘い後の学級を再構築していますか
1 いじめられた側に対応する
2 いじめた側に対応する
3 クラスの子どもたちに対応する
4 家庭に対応する
5 学級全体の再構築を行う
Y 闘い方心得、知っていますか
1 心得十箇条
2 高学年──男子に勝ち、女子に引き分ける
3 インターネットへの対応
4 学校で組織をつくる
5 けんかは時として子どもの心を成長させる
あとがき ──教師は必ず勝利することになっている──

まえがき

 ──いじめは初期段階の発見がものをいう──


 先日、後輩の見舞いに行った。

 盲腸が破裂してしまい、緊急手術を受け、長期入院を余儀なくされたのだった。

 病室に行くと彼は、昼食を食べていた。やっと今日から食べられるようになったという。顔はやつれ、気力も萎えているという印象を受けた。

 「談話室で話をしましょう」というので、「いや、すぐに帰るから。歩かないで」と話すと、「歩けと先生から言われているんです」と力のない笑顔で言った。

 談話室に行き、話をすることになった。

 談話室のソファーに腰掛けると彼は、「いやあ大変でした」と力のない笑顔で言った。正しい診断を受けていれば、五日間、長くても一週間ほどで退院できたのだ。それが一か月も入院しなければならず、その後の療養期間も入れると、一か月半ほどになりそうだというのである。

 私の大切な後輩を傷つけられたという思い。

 彼の家族の思い。

 彼の両親の思い。

 命を預かる医者の軽率な判断に、私は怒りがこみあげてきていた。それと同時に、涙も出そうになっていた。

 そのうち彼の妻君が来た。彼と彼の妻君から話を聞いた。

 彼は、へその横が痛むので近くの病院に行ったという。その病院で、腸炎という診断を受けた。

 医者は、「盲腸ではありません」と断言したという。

 一晩入院し点滴を受けた。家に戻ったが、一向に病状は快方に向かわない。翌日もその翌日も通院し、点滴を受けた。


 そしてその翌日。医者は突如として、彼に言った。

 ──盲腸ですね。切らなければなりません。

 彼は、少しばかり考えた。そして、「小さい子もいるので、実家のあるK市の県立病院で手術をしたいのですが」と申し入れをしたという。

 当然の申し入れである。

 私が彼の立場でも、身の危険を感じただろう。同じことを話したに違いない。

 ──ここで手術をしたら殺される。

 そう思ったに違いない。私もそう思ったであろう。


 それにしても、なんという医者であろうか。誤診もはなはだしい。三日間も点滴を受けさせ、挙句の果ては「盲腸です」という診断の修正である。

 普通なら、ある方法で効果が見えない場合、別の病名を探るはずである。患者によって、診断が難しいこともあるだろう。症状を聞き、問診や触診をしても判断に悩むことがあったのかもしれない。

 百歩、いや千歩譲って、彼の症状の言い方がマズかったのかもしれない(本当は、そんなことなどないのだが)。しかし、どういう理由を考えても次からの話で、その医者の誤診であるという結論に達する。


 後輩の話を続ける。

 後輩は、駆け込むようにK市の県立病院に妻君と行った。行くと、担当の医師は触診や問診を行い、こう話したという。


 ○○さんの症状から、今考えられるのは、ガンと、(  )と、(  )と、(  )と(  )の五つの病名です。

 そのうち、ガンと(  )は、……という理由から考えられません。

 とすると、残りの三つの中に病名があると思われます。


 そう話され、さまざまな検査の結果、やはりあの医者が話した病名だったという。

 すぐさま緊急手術が行われた。盲腸は破裂しており、すでに腐った状態であった。切ったものを奥さんは見せられたそうだが、そこには、盲腸の形などなかったそうである。

 大腸菌などのばい菌が内臓に付着し、腹膜炎を起こしていた。手遅れの場合は、死を覚悟しなければならなかったであろう。おなかに管を入れ、何日もかかって悪い菌を出し、やっと良い状態になってきたという。

 「まだ管が入っているんだろ」と聞くと彼は、「ええ」と言いながら、力のない様子でニコッとほほえんだ。


 前の医者の一連の発言と比べてほしい。

 なんという正確な診断。

 なんという正確な病名の絞り方。

 そして、なんという素早い処置。

 このような医者が、患者の痛みを素早く取り、和らげ、癒すのである。そして、場合によっては、患者の命を救うのである。

 それに比べ最初の医者はどうか。

 なんという間違った診断。

 なんというあいまいな病名の宣告。

 なんという不適切な処置。

 このような医者が、患者の痛みをいたずらに延ばし、苦しみを与え続け、心にも深く傷を負わせるのである。

 いじめへの対処も医者の処置に似ている。

 いじめへの対応で最も適切なのは、初期段階の発見、つまり、できるだけ早く発見することである。

 触診や問診にあたるのが、いじめを発見するシステムであり、日ごろの観察である。それらによって、いじめは初期段階で発見される。

 早期に発見されたいじめは、適切に対処されることによって解決される。これは病気の早期発見によって、抗生物質で治療が済むことに似ている。


 いじめは子ども集団の教育力が育つことによって、自浄作用が働き、子どもたちだけの働きでなくすことが可能になる。

 これは、健康な体をつくることによって自然治癒力が上がり、病気を増殖させない働きに似ている。

 いじめは、教師だけがなくすことができる。いじめは、教師の力によって消滅するのである。いじめられた子はもちろん、いじめた子も大きく変わる。そして、学級はより発展するのである。

 変わるきっかけをつくることができる唯一の存在が教師である。

 教師は、子どもたちの心の医者である。

 教師は、子どもの心のよりどころになる存在である。

 向山洋一氏が、今年のサマーセミナーで話した言葉で心に残る言葉がある。


  教師があきらめることをしなければ、子どもとの闘いに必ず勝つことができる。

  決してあきらめないでほしい。


 それをお聞きしたとき、心がふるえた。

 会場は静まり返っていた。おそらく、一一〇〇名の参加者も同じように、心がふるえていたに違いない。

 そうなのだ。教師がいじめとの闘いの最中にあきらめた瞬間、教師の敗北が決まってしまうのである。

 教師がいじめとの闘いをあきらめることさえしなければ、教師は決して負けない。いじめとの闘い方さえ間違えなければ、必ず教師は、いじめに勝利する。

 例えば、毅然としかるのである。

 例えば、子どもを味方につけながら闘うのである。

 例えば、明確な判断基準があることで闘うのである。

 例えば、最後まで追及の手をゆるめないのである。

 闘い方は実にさまざまだが、闘いの原則は決まっているのである。


  「ネバー、ネバー、ネバー、ギブアップ!」


 向山氏が何度も何度も話されている言葉である。

 われわれ教師は、教室内からいじめを追放し、子どもの笑顔で教室内が埋め尽くされるような学級経営をすべきである。

 断固として、いじめに「NO」と宣言する学級をつくりあげていかなければならない。


 本書は、いじめに関連するさまざまな事例をとりあげたり解説したりしている。

 この本の内容のほんの一部でもいい、読んだあとに一人でも多くの方々が、いじめのときの参考になると思っていただけたら……、そう願ってやまない。


※これを執筆したあと、彼の容態が急変、再手術となった。さらに退院の日が延びたそうである。

 私は怒りがおさまらない。

著者紹介

田村 治男(たむら はるお)著書を検索»

1964年7月生まれ

1987年3月 岩手大学教育学部卒業

現在,岩手県釜石市立白山小学校勤務

TOSS銀河TS代表

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
読者アンケート回答でもれなく300円分のクーポンプレゼント!

ページトップへ