- まえがき
- 第T章 授業開きで生徒を引き込もう「これが理科だ」を初対面から印象づける
- 事例1 1年生「お金が磁石につくか」で生徒の目が集中 /小森 栄治
- 事例2 2年生理科の授業開きはこれでばっちり /吉原 尚寛
- 事例3 3年生 教室をプラネタリウムにしよう /宮澤 和孝
- 第U章 観察・実験の技能を高めるパフォーマンステスト
- 事例1 ガスバーナー /小森 栄治
- 事例2 顕 微 鏡 /鈴木 勝浩
- 事例3 電圧計・電流計 /鈴木 勝浩
- 事例4 岩石の判定テスト /吉原 尚寛
- 第V章 基礎基本を定着させる方法
- 事例1 合格のゴム印で個別評定する /小森 栄治
- 事例2 形成的テストで学力保障 /小森 栄治
- 事例3 用語の定着をはかる――パーツを入れ替えて繰り返せ―― /間 英法
- 事例4 自己評価カード『学習のあゆみ』 /小森 栄治
- 第W章 科学的な思考力を高める方法
- 事例1 未知の気体Xを探る(1年) /小森 栄治
- 事例2 学習指導・テスト問題の工夫(1年)――個別評定・テストで鍛える科学的な思考力―― /吉原 尚寛
- 事例3 ふだんの授業での理解をテスト問題で確認!(2年) /三好 美覚
- 事例4 学習指導・テスト問題の工夫(3年) /鈴木 勝浩
- 第X章 生徒が熱中,納得する授業
- 事例1 圧力をこう教える /小森 栄治
- 事例2 岩石や鉱物の実物標本作り /鈴木 勝浩
- 事例3 原子カードで化学反応式はバッチリ /三好 美覚
- 事例4 電気の学習の導入は「電気と遊ぼう」小森 栄治
- 事例5 電流単元を探究的に学習 /小森 栄治
- 事例6 酸化と還元をこう教える /山本 芳幸
- 事例7 生物どうしのつながりをこう授業する――「変化のある繰り返し」を意識して授業を組み立てる―― /宮澤 和孝
- 事例8 宇宙はヘッド・アース・モデルで /小森 栄治
- 事例9 TOSSランドをこう使う /山本 芳幸
- 第Y章 理科の学び甲斐を感じさせよう
- 事例1 日常生活との関連を感じさせる /三好 美覚
- 事例2 生命の大切さを感じさせる /鈴木 勝浩
- 事例3 地球の未来のための理科――地球温暖化現象と地球の未来―― /宮澤 和孝
- あとがき
まえがき
「テストで点数をとっても理科は嫌い」「中学生になると理科嫌いになる」などと,よく言われている。IEA(国際教育到達度評価学会)の1995年の調査(TIMSS:第3回国際数学・理科教育調査)では,「理科が好き」という生徒の割合は,シンガポールの92%,アメリカの71%に対し,日本では56%と21カ国中,最下位である。「理科の勉強が楽しい」についても下から2番目である。「理科は生活の中で大切」という割合は,シンガポールの93%,アメリカの80%に対し,日本では48%と最下位である。(表省略)
そういうものだと思ってはいけない。理科嫌いにしているのは教師なのだ。中学生になっても理科が好きになるし,好きになれば高度な内容でもワクワクしながら学ぶ。下の表は,2002年4月入学の本校1年生に対して,TIMSSとほぼ同じ設問で調査した結果である。中学生でも,このように理科好きは増えるのである。
新聞やテレビでは,遺伝子,エネルギーなど理科関連のニュースが毎日のように扱われている。それらに目を向け,理解しようとする興味関心を高め,基礎的な知識を中学生時代に身につけさせたい。
そのためには,知的に楽しい授業,わかる授業が展開されねばならない。中学生を知的に興奮させる理科授業の組み立て方,確かな基礎学力を身につけさせるノウハウを本書に集約した。
向山洋一氏は,理科授業について次のように言う。
―― 子どもがあきるまで実物にふれさせる ――
これが理科教育の根本である。
「ものがなければ理科の授業ではない」
(『教え方のプロ・向山洋一全集』8巻 11,12ページ)
中学教師こそ,理科専科としてダイナミックな授業,生徒がワクワクするような授業を行えるはずだ。
本書に紹介したような授業を行えば,中学生から次のような反応が返ってくるはずだ。
・理科の授業が待ち遠しい。
・小学校のときより難しくなったけれど,よくわかる。
・高校入試問題も実験場面が思い出されて,すらすら解けた。
より多くの中学生を理科好きにし,21世紀を生きる上で直面する様々な問題を科学的に考え判断できるようにしていくことは,中学理科教師の使命である。
本書がその一助になることを祈っている。
/小森 栄治
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