- まえがき /向山 洋一
- 第T章 学年別生き方を指導する進路指導のポイント
- 【一年生】
- 自分の未来は、夢いっぱい/ 向井 ひとみ
- 【二年生】
- 手本となるいろいろな生き方を示す/ 橋 薫
- 【三年生】
- 三つの内容を指導する/ 山田 高広
- 第U章 すぐに追試ができる! TOSS流・未来設計の授業
- 伝記で未来を設計する /田上 善浩
- フリーターでは建たない! 未来の我が家の設計図 /松原 大介
- 第V章 TOSS流『中学生のハローワーク』
- 多くの人と出会い、多くのよさに学べ /櫛引 丈志
- 『13歳のハローワーク』で興味ある仕事を探させる /長谷川 博之
- 第W章 自分に自信の持てない生徒への語りかけ
- 乗り越えていく方向を示す /木野村 寧
- 努力の方向を示し、励まし続ける /厚 美佐
- 好きなものを大切にしなさい /川神 正輝
- 第X章 生徒を笑顔にさせる個人面談のシナリオ
- やっていることを認めてあげる /橋 薫
- 生徒が笑顔で退出できる演出をする /染谷 幸二
- 勝負は面談までで決まる /松原 大介
- 第Y章 進路指導で言ってはいけないこと・やってはいけないこと
- 教師がすべてを抱え込まないこと /大北 修一
- 三年生の進路指導で言ってはいけないこと・やってはいけないこと /山田 高広
- 第Z章 生徒も親も教師も笑顔 三者面談の演出
- 徹底したサービスで生徒・親・教師の絆を深める /佐々木 尚子
- お互いの考えを出し合うために、まず生徒の希望を知る /西邑 裕子
- 具体的で有益な情報を提供する /山辺 慎太郎
- 第[章 「一五の春」に挑戦する生徒への語り
- 【一年前】
- 受験生に語る四つのポイント /青木 英史
- 【一か月前】
- プラス思考の生き方を語る /木野村 寧
- 【一週間前】
- 高校入試は一つの通過点にすぎない /西野 一葉
- 【三日前】
- 「言霊百連発」で勇気を与える /藤原 佳澄
- 【前日】
- 担任としての素直な思いをストレートに語る /染谷 幸二
- 第\章 ここだけは伝えたい面接指導のツボ
- 絶対入学(就職)する、という熱意を伝える /佐藤 泰弘
- 面接試験は具体的なエピソードで語れ /岡崎 光男
- 第]章 合格を手にした生徒への語り
- 高校入試の本当の結果は、合格発表の時には分からない /熊谷 琢磨
- 先に合格を手にした生徒が、これから受験に臨む生徒の希望の星になる /染谷 幸
- 第]T章 不合格だった生徒への言葉かけ
- 常に、だめだった時のことを考えさせておく /瀧沢 広人
- なぐさめはいらない。強い強い励ましを! /越智 鈴穂
- 第]U章 最後の進路指導 卒業式(最後の学活)で生き方を語る
- 卒業間近に伝えたかった三つのこと /山本 真吾
- 翌日の卒業式に向け最後の課題を示す形にする /山田 高広
- 夢をもって生きなさい /川神 正輝
- あとがき /染谷 幸二
まえがき
プロの仕事術でムダな時間をなくし、授業を充実させよう!
私はかつて、中学校教師のことを「授業がへったくそな中学教師」と言ってました。
「授業がへた」どころではなく「授業がへったくそ」と言ってきたのです。
私の中学校時代の恩師は、それぞれに個性的であり、知的であり、魅力的な授業でした。そういう教師がざっと数えても一〇人以上はいました。
中学校の授業が魅力的なら、生徒の力も伸びます。
当時の母校は、スポーツ大会優勝、進学実績抜群でした。私の属した科学クラブは「蛍光灯の諸特性」という研究で、品川区内最優秀となり、都の大会でも、研究内容の高度さが注目されました。
私は小学校の教師となり、年に一度、中学校の全教室の授業を参観するようになりました。
その光景は悲惨でした。
先生が勝手に一人でしゃべっているのです。クラスの3/1の子が机につっぷしていました。ノートをろくにとってない子もいました。
小学校の時、あんなに勉強好きだった子どもたちが、授業にそっぽを向いていました。
どの教室も、どの教室も同じでした。
全学級二〇くらいの中で、私の目から見て「一応授業らしい」と思えたのは、一学級くらいでした。
ひどい地域でもなければ、ひどい学校だったわけでもありません。
高級住宅地の田園調布中学校、大村はま先生がいた石川台中学校、ノーベル賞の利根川博士の出た雪谷中学校などです。学力テストでは、東京都トップクラスに入る中学校なのです。先生方も、見るからにヴェテランです。
子ども達は、学校の授業を相手にしないで、塾、予備校で学力をつけていました。
「あきらめた子」は、他のことに熱中していました。
中学校の授業は、やせ細っていました。
中学校の先生は、素質がある方が、いっぱいいます。その力が発揮できれば、小学校など問題にならないほど、ダイナミックでドラマチックな実践ができるはずです。
TOSS中学教師の中にも、すばらしい実践が次々と生まれてきています。
「部活がいそがしい」「進路指導がいそがしい」「生活指導が大変だ」と、中学校の先生方はいいます。
そのご苦労は、よく分かります。
でも、「短時間で処理できる仕事」「短く終らせられる会議」に山のような時間をかけています。全くの時間のムダがいっぱい見られます。
シロートの仕事なので、時間が浪費され、ダラダラした会議で多くの教師をしばっています。
プロらしい仕事術を身につければ、時間はかなり生まれ、「授業」の準備、研究にも時間をまわせます。
ぜひそうなってほしいと思うのです。
ガタガタしている日本の教育を、根本で支えられるのは、心ある中学教師である。
本書の「仕事術」が、役にたてば幸いです。
二〇〇五年一月二六日 TOSS代表 /向山 洋一
とは言うものの、具体的にどのように指導すればよいのかよくわからないというのが本音だろう。
本書では、各学年別の進路指導のポイントが具体的に示されている。それだけでなく、三者面談のポイントや入試直前の指導についても詳しく紹介されている。まさに中3学級担任としては必読の書である。