教え方のプロ・向山洋一全集98
これからの体育―とっても大事なテーマ20題

教え方のプロ・向山洋一全集98これからの体育―とっても大事なテーマ20題

ロングセラー

若い教師は何を目指せばよいか―大事な取り組みテーマ20

特別支援を要する子の体育―自閉症、アスペルガー、車椅子の子などの指導ポイントを実践記録の読解を通して提案。健康に関する大テーマ、残飯から考える食育の授業づくりのヒント、ストレスを吹き飛ばすライフスキルの授業づくり等、多彩なアプローチ法を紹介。


紙版価格: 1,760円+税

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電子書籍版: なし

ISBN:
978-4-18-437818-6
ジャンル:
教育学一般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫あり
出荷:
2018年1月17日
『新学習指導要領の展開』
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目次

もくじの詳細表示

1 向山洋一全集全一〇〇巻刊行へのまえがき
/向山 洋一
2 今、教師を続けられているのはTOSSと出会ったからである
/中濱 麻美
T とっても大事な特別支援を要する子の体育指導
1 初めての特A
◆自閉症児も一緒に跳んだ! 一分間で一〇〇回の長なわ跳び―桑原和彦氏の実践の修正追試―
2 一つの仮説にこだわりながら
◆体育授業における特別支援教育―自閉症のAくんが参加できるようになるまでの手立て―
U どこが違う? 実践記録と研究論文
1 実践記録と研究論文は違う
◆知的障害のある子どもたちに運動会の集団演技を一〇時間で指導する
2 本格的研究への第一歩
◆アスペルガー症候群の子に効果のあった指導―前転の実践を通して―
3 実践論文はこうありたい
◆車椅子に座ったまま、空手の動きで腕の運動
4 法則化論文の偉力
◆どの子も自転車に乗れるようになる指導ステップ
V “食育”を授業する理論的支柱はどこか
1 研究は先行研究を踏まえて
◆小学校一年生に「はしの正しい持ち方」を指導する
2 「引用」を正確に示せ
◆日本人を守る食べ物―納豆の効用―
3 もっと厳密な論理・証拠で組み立てよ
◆食生活の欧米化の影響
4 大きなテーマであり、引用文献もよい
◆日本の残飯量から考える食の授業
5 「食育」をすすめよう
◆長寿の国、フンザ地方の食の授業
W 本気で勉強する! “ライフスキル”の授業
1 もっと深く「笑い」を勉強せよ!
◆笑いでストレスを吹き飛ばす
2 WHOが提唱したライフスキル教育
◆友達とのやさしい会話で、心も体も健康に
3 世界保健機構(WHO)が提唱し日本で最初に取り入れ広めたTOSS
◆望まない性行為を断るスキル
4 もっと本気で勉強すること
◆性交をさけないエイズ教育を(高学年)
X 若い教師は何を目指せばよいか
1 これこそ、本当の国際交流
◆新学習指導要領に対応〜表現「ニャティティソーラン」(低学年での実践)
2 大切な研究です
◆子どもにとって様々な運動は必要か
3 最先端のテーマ
◆なんばの動きを取り入れた歩走の指導
4 よい実践だが、成長を願って「B°」
◆「SAQトレーニング」を変化のある繰り返しを使って授業化する
5 目の前の指導環境の見直しから
◆マットの上からリンクの上へ―スピードスケートの指導―

1 向山洋一全集全一〇〇巻刊行へのまえがき
   /向山 洋一

 向山洋一全集全一〇〇巻が刊行されることになった。

 これは、日本の教育界で初めてのことであり、他の分野でもほとんど耳にしない出来事である。

 私が、小学校で三十二年間実践したことのすべて、千葉大学、玉川大学で十年余にわたって教えたこと、NHKクイズ面白ゼミナール、進研ゼミ、セシールゼミ、光村、旺文社、正進社、PHP、サンマーク出版、主婦の友社などで発刊した教材群(その多くは、日本一のシェアをとった)などが入っている。

 すべての子どもの学力を保障するために、とりわけ発達障がいの子の学力、境界知能の子の学力を保障するために、慶応大学など多くの専門医と協同研究をしてきた成果でもある。

 教育技術の法則化運動は、結成して一年で日本一の大きな研究団体となり、二十一世紀にそれをひきついだTOSSは、アクセス一億、一ケ月で七十七ヶ国からのアクセスがあるなど、ギネスものの無料のポータルサイトとなって、多くの教師、父母の方々に情報を提供するようになった。

 TOSS学生サークルも全国六十大学に広がり、TOSS保護者の支援サークルも生まれている。

 総務省、観光庁、郵便事業会社と全面的に協力した社会貢献活動もすすめてきた。例えば、「調べ学習」として、全国一八一〇自治体すべての「観光読本」(カラー版)を自費で作り、八〇〇余の知事、市、町村長からのメッセージをいただいている。

 このような大きな教育運動の中で、多くの方々と出会い仕事を共にしてきた。波多野里望先生、椎川忍総務省局長はじめ、幾多の方々の応援に支えられてきた。

 また、こうした活動を普及していく多くの編集者とも出会ってきた。

 とりわけ、お世話になったのが、向山洋一全集全一〇〇巻のほぼ全部を創ってくれた江部・樋口編集長である。多くの方々に心から御礼の意を表したい。

 この一〇〇巻が完成する時、二〇一一年三月一一日、一〇〇〇年に一度といわれる巨大地震が日本をおそった。

 東北地方太平洋岸が壊滅的な被害をうけた。

 向山洋一全集全一〇〇巻と共に、この東日本大震災のことも、この全集に含めておきたい。

 どこよりもはやく、東日本復興の企画会議を招集し、今回百数十人から寄せられた「復興企画」の中から寄稿をお願いしたものである。

 「TOSSの活動、願い、実行力」を具体的に示すものとして、後世に長く伝えられていくことと思う。



2 今、教師を続けられているのはTOSSと出会ったからである
   /中濱 麻美


 1 マイナスからの出発

 「教師に向いていない。もう一度、大学から学び直せ」管理職から言われた。「先生が担任の間は、心配でうちの子を学校に行かせることはできません」保護者から言われた。二年目、学級を荒らした。子供同士のいじめが起き、教室で暴れる子が増え、集団脱走も起こった。放課後は万引きや喧嘩で家庭訪問をしたり、警察に行ったりした。

 夜遅くまで対応に追われ、くたくたになった。教室では、子どもが机の上を走り回り、泣いて家に帰る子も出た。

 やっとの思いでその年を終えた。春休みに「このまま教師を続けていていいのだろうか」と悩み、休みの間中、いろんな本屋を巡り、教育書を何十冊と読んだ。どんな本を読んでもピンとこなかった。そして、ある日、ふと本棚の下の方にあった本が向山洋一氏の著書だった。『すぐれた授業への疑い』『跳び箱は誰でも跳ばせられる』等、何冊か教師修業の本が並んであった。「教師修業とは何だろう」と疑問に思って『教師修業十年』を開いた。「天井裏から音がかえった」「ぼく死にたいんだ」目次を見て驚いた。ページをめくると目の前に浮かぶ子どもたちの様子、向山氏の主張や教室での出来事を読み進めていくうちに、この本を手放せなくなった。財布の中身を確かめ、買えるだけの本を持ってレジに並んだ。家に帰って一気に読んだ。泣きながら読んだ。「どんな子にも可能性があることを信じ、たゆみなく続く努力を重ねるのが教師の仕事なのだと思う」「事実を正確に、分析して見てとれるということ」問題を起こしている子どもたちを責めていた自分、言い切る程努力していない自分、対処療法で事実を分析していなかった自分に気づいた。自分に責任があったと認めるのは辛かった。次の日、銀行に行ってお金を用意し、本棚にあった向山氏の本を全部買った。読み進めるうちに、希望が見えた。四月が待ち遠しくなった。何とかまだ教師としてやっていける気がした。そして、何より、もう学級を崩壊させたくなかった。新しい職場で出会った四年生に、学級崩壊させないことで償いたいと考えていた。本に書かれている授業をしたら、あのように子どもたちが熱中してくれると思ったのだ。向山氏の本がたった一つの教科書だった。

 今から考えると学級崩壊した理由はいくつも考えられる。大学で授業のやり方は教わらず、教育実習の時に子どもたちに授業をしたことだけが頼りだった。教員試験に落ちた私は臨時的任用教員として初めて教壇に立った。覚悟もなかった。読む教育雑誌はたった一冊、授業のやり方は指導書が頼りだった。子どもを怒鳴り、毎日偉そうに説教する日々が続いた。授業をやっていても自分が楽しいと思うことはまったくなく、淡々と進んだ。時間が掛かる割には、おもしろくない授業が続いた。模造紙お化けをつくり、国語の単元学習をして、授業を工夫していると思っていた。算数の授業は計画通りに進まず、二単元は遅れた。子どもたちを知るためには遊ぶことだと教えられ、毎日、休み時間は遊びに出ていた。しかし、子どもがそばに来ることはあまりなかった。未熟とはいえ、振り返ると、申し訳ない気持ちでいっぱいである。貴重な一年間を学級崩壊の中で過ごさせてしまった。だからこそ、二度とこのようなことを起こさない教師でありたいと誓った。


 2 追試できることを探す日々

 向山氏が学級通信に書かれている授業をすると子どもたちは熱中した。口に二画の授業、要約指導の授業など、授業していると楽しかった。また、向山式跳び箱指導を本の図を手がかりにやってみた。一時間の授業の中で子どもたち全員を跳ばせることができた。飛べた瞬間、信じられないという表情をする子や全身で喜びを表現する子など、初めて跳び箱を跳べたうれしさが伝わってきて、やってよかったと思った。反対に、自分で考えた授業の時はぐちゃぐちゃになった。『学級集団形成の法則と実践―学級通信アチャラ』からわかる授業のやり方、断片があればすべてやろうとした。放課後の孤独な作業をやり始めた。座席表を準備し名前を書き込んでいく。子どもの名前すら満足に書けない。子どもの様子を思い浮かべるのは、さらに難しかった。書いてあることを真似する日々が続く。力のある内容だからこそ、子どもたちが熱中した。ノートにやり方を手書きで写し、そのノートを見ながら授業をした。辞書を学級に持ち込み、車偏の漢字もつくった。学級通信で様々な授業について紹介した。イベントを仕組むにも段取りが必要だと学んだ。子どもたちは設計図づくりに熱中した。学校にある物は何でも使っていいと話すとさらに燃えた。当日は雰囲気づくりのために絵や字をかいた紙を理科室前の廊下に貼りだした。その紙を見た通りがかりの同僚が心配して見に来たという一幕があったが、肝試し大会をして子どもたちは大満足だった。イベントを実施することで子どもは授業とは違う面を見せて、成長していった。最後の日には子どもたちがサプライズとして寄せ書きを送ってくれた。この時も職員室に帰って泣いた。うれしくても泣けるのかと初めて知った。


 3 サークルでの教師修業

 横浜市採用試験に合格した年、改めて教え方教室に参加したいと葉書を出した。新しく住む家も決まり、横浜の住所で教え方教室に申し込んだ。今までは何度葉書を出しても定員一杯で参加できなかったのだ。思いがけず参加可能というお知らせが届いた。わくわくしながら東京に向かった。師尾喜代子氏が受付をされていた。名簿を見て「あら、あなた。四月からサークルを開くけれど来てみない?」と誘っていただいた。師尾氏のご自宅と近かったのだ。思わず「はい」と返事をしていた。平成一三年のことだった。

 こうして横浜の地で初めてサークルに参加するというチャンスをいただいた。記念すべきブルーライト立ち上げの第一回目のサークルで、レポートを持って来るということはまったく考えず、手土産を何にしようか悩んだ。サークルでパソコン操作について教わり、メールを送信するということを教わり、メーリングリストというものがあると知った。仲間と一緒だからこそ努力できると知った。そして何より師尾氏からお聞きする向山氏のお話一つ一つに憧れた。

 横浜に来て二年目、初めて五年生を担任することになった。前年度、荒れた学年ということで緊張感が高まった。その時にバイブルとなったのは『いじめの構造を破壊せよ』だった。毎日、鞄に入れて持ち歩き、隙間時間になると必ず読んだ。毎日、この本を握りしめて教室に向かった。四月のある日、ほんのかすかに一人の男子が女子の机と離したのを見つけた。本の場面が浮かんだ。早速子どもたちに話をした。全員、私の方を向いたことがわかった。男子が机を付けた時、この学級でやっていけるかもしれないと思えた。しかし、日々、様々な問題が起こった。靴隠し、女子の仲間外し、登校拒否など、子どもたちは、自分たちでもほぐせない、絡み合った問題に悩んでいた。頻繁にサークルのメーリングリストに質問を出した。夜遅く何度もメールを発信した。必ず、サークル代表の師尾氏やメンバーの本間氏から返信があった。待ったなし、明日、子どもたちにどう指導するかわからない、という切羽詰まった状況であった。その時に具体的な方法を教えていただけた。どんなに遅くても一晩の内に帰ってくる返信が命綱に思えた。ただただ感謝するのみだった。そして、向山氏の本の中に、何かヒントはないか読んで探した。少しでも今の自分の学級で使えると思ったことは何でもやってみた。向山氏の本を何度も読み返し、サークルで相談し、TOSSランドにアップしている授業の数々を追試した。勿論、学年で信頼できるベテランの先生方に助けていただいたことも大きい。しかし、何と言ってもTOSSで学んでなければ、乗り越えられなかったと感じている。

 サークルで学ぶことで、あがり症で前に立つことが苦手だったことが、ちょっぴりマシになった。今でも苦手意識はあるが、サークルで鍛えてもらった。振り返ってみると、TOSSで教師修業を続けたおかげで人生がよい方に変わったと断言できる。きっかけは向山氏の一冊の本だった。今の状況に感謝してこれからも努力していきたい。

著者紹介

向山 洋一(むこうやま よういち)著書を検索»

1943年9月15日生まれ

1968年3月 東京学芸大学社会科卒業

2000年3月 東京都大田区立多摩川小学校退職

教育技術法則化運動代表,千葉大学非常勤講師,上海師範大学客員教授,日本教育技術学会会長,日本言語技術教育学会副会長。月刊『教室ツーウェイ』『向山型「算数」』『向山型「国語」』編集長。月刊『教育トークライン』,隔月刊『ジュニア・ボランティア教育』編集人。

日本一のインターネット教育情報ポータルサイトTOSSランド代表。

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※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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