教え方のプロ・向山洋一全集95
体育実践力アップをイメージした報告文の書き方

教え方のプロ・向山洋一全集95体育実践力アップをイメージした報告文の書き方

「原因、仮説、結果」を踏まえた研究報告文の書き方ヒント

研究論文は・成果を分かち伝えるように示す・何を書くのかを意識する・大切な点がぬけていないか・論文には奥行きと厳密さが必要だ―という基本を、実践レポート文の分析を通して示す。また「要援助児童を逆上がりで成功へ導いた」事例で実践をまとめる作業法を提示。


紙版価格: 1,800円+税

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
978-4-18-437516-1
ジャンル:
教育学一般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 164頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年8月20日
新学習指導要領解説書籍
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目次

もくじの詳細表示

1 向山洋一全集全一〇〇巻刊行へのまえがき
/向山 洋一
2 私とTOSS―こうして出逢った教師修業のドラマ
/千明 浩己
T 研究とは「原因・仮説・結果」の関係を追究することだ
「向山式跳び箱指導」を支える前後の指導技術を探る
1 「原因」「仮説」「結果」の関係をつきつめて追究せよ
◆閉脚跳びの踏み切りは、つま先で両足を揃えて跳ぶのがポイント
2 だから小学校には四種の跳び箱が必要だ
◆子どものためにもミニ跳び箱を導入する
3 跳べた後、どうするか
◆両手ジャンプで雄大に跳ぶ開脚跳び――全員が跳べるようになった後の開脚跳び指導――
4 三〇年昔の実践を復活させた研究論文
◆開脚ができなかった子も跳べた石黒修氏の開脚跳び指導を追試する
U 研究論文の書き方
成果を分かち伝えるように示すのが研究である―なわ跳び運動を例に
1 低学年は日々何よりも楽しさを!
◆一年生のなわ跳び 前両足跳びの指導――全員三〇秒間に七〇回を目指して――
2 研究論文の自覚を!
◆フープ跳びなわで二重跳びを達成させる
3 なぜ「三カ月」で成功したのかを追究せよ
◆跳べない子になわ跳びを跳ばせる
4 研究論文には何を書くのかを意識すること
◆二重跳び全員達成を目指して
5 大切な点がぬけていてバラバラした授業だ
◆二重跳びが全員できるようになる指導のシステム
6 先行研究を踏まえた誠実な実践
◆空回しをしないと長なわに入れないBさんに有効な桑原和彦氏の長なわ指導
7 「分かち伝える」ことを意識せよ
◆怖がりで反抗的なあの子が跳べた! 長なわ指導のポイント
8 論の構造が甘い。しかし……
◆長なわ跳びは誰でも跳べるようになる――場作りの工夫とスモールステップでの指導を通して――
V 研究論文は“実践”“事実”に基づく結論を!
1 日本で初めてかもしれない実践報告
◆要援助児童を逆上がり成功へと導く
2 研究は「先行研究」を踏まえて
◆一年生、逆上がりクラス全員達成を目指した指導
3 考えられるだけの工夫をする
◆脳性麻痺を持つ子に逆上がりを体験させる──飯田式段階別台付き鉄棒指導のスモールステップを蹴り上げに応用する──
4 論文には奥行きが必要だ
◆基礎感覚作りと成功体験で、逆上がりができる
5 実践事例に基づく結論を!
◆逆上がり学級全員達成に向けた最後の一名の子の指導
6 研究論文は、もっと明瞭な報告を!
◆飯田・根本式段階別鉄棒で逆上がりができないT君が逆上がりを達成するまでの指導
7 もう一歩の厳密さを!
◆「登り棒」をメインにして、全員逆上がり達成を目指す
8 論より証拠を
◆子どもが自分で学習する鉄棒学習カード──授業をシステム化する学習カード──
9 もっと密度の濃い研究を
◆逆上がりの指導での教師の動き――「教師が汗をかく」の原則を追試する――

1 向山洋一全集全一〇〇巻刊行へのまえがき
   /向山 洋一

 向山洋一全集全一〇〇巻が刊行されることになった。

 これは、日本の教育界で初めてのことであり、他の分野でもほとんど耳にしない出来事である。

 私が、小学校で三十二年間実践したことのすべて、千葉大学、玉川大学で十年余にわたって教えたこと、NHKクイズ面白ゼミナール、進研ゼミ、セシールゼミ、光村、旺文社、正進社、PHP、サンマーク出版、主婦の友社などで発刊した教材群(その多くは、日本一のシェアをとった)などが入っている。

 すべての子どもの学力を保障するために、とりわけ発達障がいの子の学力、境界知能の子の学力を保障するために、慶応大学など多くの専門医と協同研究をしてきた成果でもある。

 教育技術の法則化運動は、結成して一年で日本一の大きな研究団体となり、二十一世紀にそれをひきついだTOSSは、アクセス一億、一ケ月で七十七ヶ国からのアクセスがあるなど、ギネスものの無料のポータルサイトとなって、多くの教師、父母の方々に情報を提供するようになった。

 TOSS学生サークルも全国六十大学に広がり、TOSS保護者の支援サークルも生まれている。

 総務省、観光庁、郵便事業会社と全面的に協力した社会貢献活動もすすめてきた。例えば、「調べ学習」として、全国一八一〇自治体すべての「観光読本」(カラー版)を自費で作り、八〇〇余の知事、市、町村長からのメッセージをいただいている。

 このような大きな教育運動の中で、多くの方々と出会い仕事を共にしてきた。波多野里望先生、椎川忍総務省局長はじめ、幾多の方々の応援に支えられてきた。

 また、こうした活動を普及していく多くの編集者とも出会ってきた。

 とりわけ、お世話になったのが、向山洋一全集全一〇〇巻のほぼ全部を創ってくれた江部・樋口編集長である。多くの方々に心から御礼の意を表したい。

 この一〇〇巻が完成する時、二〇一一年三月一一日、一〇〇〇年に一度といわれる巨大地震が日本をおそった。

 東北地方太平洋岸が壊滅的な被害をうけた。

 向山洋一全集全一〇〇巻と共に、この東日本大震災のことも、この全集に含めておきたい。

 どこよりもはやく、東日本復興の企画会議を招集し、今回百数十人から寄せられた「復興企画」の中から寄稿をお願いしたものである。

 「TOSSの活動、願い、実行力」を具体的に示すものとして、後世に長く伝えられていくことと思う。



2 私とTOSS―こうして出逢った教師修業のドラマ
   /千明 浩己


 ふと、一冊の本に目が止まった。「『いじめの構造を破壊せよ』向山洋一」とあった。

 当時いじめが原因で自殺する子どもが多発し、私は他人事でないと感じていた。ぱらりとめくってみた。


 「いじめ」は、教師だけがなくすことができる。

 「いじめ」を、いちはやく発見し、「いじめ」をなくすのは、教師の大事な仕事である。

 「いじめ」によって、多くの子供が傷ついた。「いじめ」によって生命を絶つ子さえ出てきた。

 「いじめ」の事件が新聞報道された時の学校の発表は、ほぼ決まっていた。

 「いじめを知らなかった」である。

 こんな答えが許されるだろうか。


 前書きの一行目から、一気に惹きつけられた。これほど明確に、断定的に「いじめ」の責任の所在を分析した文章にそれまで出逢ったことはなかった。息をするのも忘れたように、一気に前書きを読んだ。


 すばらしいクラス、知的な授業のあるクラスには「いじめ」はない。

 むろん、小さな「いじめ」は、どこでも発生するが、すばらしいクラスは、そんなものは解決していくのである。

 授業が面白くないクラス、クラスのまとまりがないクラス(それは勉強不足の教師のクラスといってもいいが…)。

 そういうクラスでは「いじめ」が生まれ、「いじめ」がクラスの中を支配する。


 私の読みたかったこと、知りたかったことはこれだ、と直感した。すぐに購入し、家に帰って読んだ。一気読みした。まるで、雷に撃たれたかのようだった。読後は、悪い夢から覚めた後であるかのような気分になった。

 本の中で否定されていたことの全てを、私はしてきた教師であった。罪悪感でいっぱいになった。

 その後、本屋さんにある向山洋一氏の本は、全て購入した。さらに、学校出入りの業者に注文し、手に入れることのできる本は、全て購入した。

 どの本を読んでも、雷に撃たれたかのような衝撃があった。そして、やはり様々な本の中で「駄目だ」と言われていることのほとんどを、私はやっていた教師であった。

 「子どものために、価値ある教師になりたい」その思いは本を読む毎に強くなっていった。

 私の教師修業はこうして始まった。


 教育技術法則化シリーズを全て揃え、セミナーにも出席するようになった頃、「東日本へき地教育研究会」に、出席する機会を得た。長野県のある小学校へ訪問し、研究授業を参観した。音読に力を入れている学校であった。

 授業後の授業研究会で、授業者から次の質問が出された。

 「音読をさせていると、どうしてもクラスの子どもの声が揃い、一斉読になってしまう。どうしたらいいか。」

 本来なら、クラスの子どもがそれぞれのペースで音読してほしいのに、いつの間にか声が揃い、一斉読になってしまう…それは私にも経験のあることであった。

 当日の研究授業でも、子ども達の声は一つにそろってしまっていた。

 これをどうしたら、解消できるのか。…何人かの教師が発言したが、それは「自分にも経験があることであり、その解決策を教えてほしい」、というものであった。

 そして、授業研究会では、ついに、その答えにたどり着くことはできなかった。指導主事の先生も、これについて、効果的な助言をすることはできなかったのである。今後の課題ということで、疑問は処理された。

 「教育の世界は難しい。こんな課題一つとっても、誰も効果的な指導にたどり着けないんだな」そう思い、気が遠くなる気がした。「隠れ法則化」として、やっと毎日の授業に少しずつ手応えを感じ始めていた矢先に、いきなり大きな壁が立ちはだかったできごとだった。


 その数カ月後、私は新潟の佐渡にいた。佐和田町立沢根小学校で公開研修会が行われたからだ。

 その研修会では、向山氏が、小学六年生を相手に授業をすることになっていた。

 「雑草のうた  鶴岡千代子」を教材にした授業であった。授業に入り向山氏は、範読、一斉読の後、全員を起立させ、「一人二回読めたら座りなさい」と指示を出した。

 ハッとした。「これは、数カ月前の長野県で、誰も答えを出せなかった場面と同じでは」…そう思った。

 案の上、六年生の声は一斉読になってしまった。詩を読んでいる子ども全員の声がそろってしまったのだ。

 「どうするんだろう?」そう思った時、向山氏は子ども達に声をかけた。その瞬間、一斉読が消え、一人一人がそれぞれのペースで読み始めたのである。私は、全身、鳥肌が立つような感動に襲われた。

 授業研究会で、「いくら『それぞれのペースで読みなさい』と言っても、何度『声を合わせなくてもよいんだよ』と言っても、一斉読になってしまって、これを解消することができない」と、各県の代表で来ていた先生方は、共通して誰もがその悩みを口にしていた。指導主事でさえ、そのことに関する有効なアドバイスはできなかった。

 その難問が、今、目の前でいとも簡単に、解消された!!…これは大きな衝撃であった。

 向山氏は、次のように言ったのである。


 三年生くらいのスピードだ。


 たったこのひと言で、子ども達の音読の声は激変した。まるで魔法であった。

 授業は、この後向山型分析批評の授業の骨格とも言えるような授業が展開され、その全てに目が覚めるような衝撃を受けたが、私にとって最も印象深く残ったのは、この場面であった。

 学びさえすれば、そこに答えは見えてくる。

 まるで教育という巨大な壁の前に立ちつくしていたような気がしていた私にとって、この出来事は教師修業を続ける上での、大きな励みとなった。解決策はある。しかも、真実はシンプルだ。

 「目の前の子どもの事実」と「腹の底からの教師の手応え」こそが、(教育の世界の真実を見極める)基準となる。

 授業研究後のシンポジウムで、向山氏が語った言葉だ。その言葉はあれから15年たった今でも、1ミリのブレもなく、今も教師としての私の疑問や悩みに答え、私の教師修業を支える大きな柱となっている。

著者紹介

向山 洋一(むこうやま よういち)著書を検索»

1943年9月15日生まれ

1968年3月 東京学芸大学社会科卒業

2000年3月 東京都大田区立多摩川小学校退職

教育技術法則化運動代表,千葉大学非常勤講師,上海師範大学客員教授,日本教育技術学会会長,日本言語技術教育学会副会長。

月刊『教室ツーウェイ』『向山型「算数」』『向山型「国語」』編集長。月刊『教育トークライン』,隔月刊『ジュニア・ボランティア教育』編集人。

日本一のインターネット教育情報ポータルサイトTOSSランド代表。

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※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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