教え方のプロ・向山洋一全集94
高学年算数・できる子もできない子も満足する授業原則

教え方のプロ・向山洋一全集94高学年算数・できる子もできない子も満足する授業原則

個別評定で授業を展開し、超難問こそ教師の知恵を出せ!

「勉強が分からない子」と正対することから授業を組み立てる。出発点は「問題」を「自分なりに受け止め」ることから始まる!そして、子どもに多くのことを考えさせる場をつくっていけば、PISA型学力テストB問題への対応もムリなく進められる、ヒントを紹介。


紙版価格: 1,960円+税

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電子書籍版: なし

ISBN:
978-4-18-437412-6
ジャンル:
教育学一般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 184頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年5月22日
新学習指導要領解説書籍
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目次

もくじの詳細表示

1 向山洋一全集全一〇〇巻刊行へのまえがき
/向山 洋一
2 子どもが教えてくれる TOSSでないとだめなんだ
/前田 吉法
T 五年 難問システムで知的に展開せよ
1 原則を身につけるから個性も生きてくる 東京書籍「小数のしくみ」
2 シンプルな構造にする 啓林館「計算の見積もり」
3 たまの練習問題は「難問選択システム」(もう一つの向山型)の思想で 啓林館「円の練習問題」
4 サークルでの模擬授業こそ、最上の授業上達への道 一年間のサークル模擬授業は、百年間の学校の研究授業に勝る 東京書籍「速さの表し方」
5 子どもに多くのことを考えさせよ 啓林館「ひし形の面積」
6 「子どもの事実」足もとをもっとよく見て! 啓林館「割合を使って」
7 どの問題をどのように表記するか 啓林館「小数のかけ算」
8 扱わない方がいい場合もある 啓林館「わり算の筆算」
9 検算が大切 東京書籍「小数のわり算」
10 シンプルに そしてシンプルに 教育出版「倍とわり算」
11 もっともっと考える 東京書籍「小数のわり算」
12 カギは一つだけの「キーワード」からの脱皮 啓林館「百分率とグラフ」
13 超難問こそ教師の知恵を! 教育出版「百分率とグラフ」
14 面積の授業 向山の二つの入り方 東京書籍「平行四辺形と三角形の面積」
U 六年 小学校の集大成 PISA型・学力テストB問題への対応
1 子どもに考えさせる 啓林館「トンネルを通過する電車」
2 PISA型、学力テストB問題への対応 東京書籍「比例」
3 個別評定で授業を展開する 東京書籍「算数卒業旅行」
4 面積図を分かりやすく活用する 東京書籍「鶴亀算」
5 キーワードをどう授業するのか 東京書籍「平均」
6 何気ないイラストを多くの人は見逃している 啓林館「単位量あたり」
7 「勉強が分からない子」ともっと正対して工夫せよ 東京書籍「比の利用」
8 「問題」を「自分なりに受け止め」てみよう 学校図書「比」
9 向山型を教える重要な教材 学校図書「およその面積」
10 まず体積の定義を! 次に教え方を! 東京書籍「体積のはかり方と表し方」
11 中学二年テストで毎回〇点のA君が実力テストで八十三点を取った 向山型数学のドラマは中学でも起こった 東京書籍「分数のわり算」
12 同じ問題を出した四年前より実力は大きく向上した 東京書籍「約数と公約数」
13 面積図を使いこなそう 啓林館「速さ」

1 向山洋一全集全一〇〇巻刊行へのまえがき
   /向山 洋一

 向山洋一全集全一〇〇巻が刊行されることになった。

 これは、日本の教育界で初めてのことであり、他の分野でもほとんど耳にしない出来事である。

 私が、小学校で三十二年間実践したことのすべて、千葉大学、玉川大学で十年余にわたって教えたこと、NHKクイズ面白ゼミナール、進研ゼミ、セシールゼミ、光村、旺文社、正進社、PHP、サンマーク出版、主婦の友社などで発刊した教材群(その多くは、日本一のシェアをとった)などが入っている。

 すべての子どもの学力を保障するために、とりわけ発達障がいの子の学力、境界知能の子の学力を保障するために、慶応大学など多くの専門医と協同研究をしてきた成果でもある。

 教育技術の法則化運動は、結成して一年で日本一の大きな研究団体となり、二十一世紀にそれをひきついだTOSSは、アクセス一億、一ケ月で七十七ヶ国からのアクセスがあるなど、ギネスものの無料のポータルサイトとなって、多くの教師、父母の方々に情報を提供するようになった。

 TOSS学生サークルも全国六十大学に広がり、TOSS保護者の支援サークルも生まれている。

 総務省、観光庁、郵便事業会社と全面的に協力した社会貢献活動もすすめてきた。例えば、「調べ学習」として、全国一八一〇自治体すべての「観光読本」(カラー版)を自費で作り、八〇〇余の知事、市、町村長からのメッセージをいただいている。

 このような大きな教育運動の中で、多くの方々と出会い仕事を共にしてきた。波多野里望先生、椎川忍総務省局長はじめ、幾多の方々の応援に支えられてきた。

 また、こうした活動を普及していく多くの編集者とも出会ってきた。

 とりわけ、お世話になったのが、向山洋一全集全一〇〇巻のほぼ全部を創ってくれた江部・樋口編集長である。多くの方々に心から御礼の意を表したい。

 この一〇〇巻が完成する時、二〇一一年三月一一日、一〇〇〇年に一度といわれる巨大地震が日本をおそった。

 東北地方太平洋岸が壊滅的な被害をうけた。

 向山洋一全集全一〇〇巻と共に、この東日本大震災のことも、この全集に含めておきたい。

 どこよりもはやく、東日本復興の企画会議を招集し、今回百数十人から寄せられた「復興企画」の中から寄稿をお願いしたものである。

 「TOSSの活動、願い、実行力」を具体的に示すものとして、後世に長く伝えられていくことと思う。



2 子どもが教えてくれる TOSSでないとだめなんだ
   /前田 吉法


 1 先生授業下手くそだね

 十四年前。初めて講師として子どもたちの前に立った。今までずっと運動部で心も体も厳しいことを経験してきた。大学生のときにいった子ども相手のボランティアでは、子どもたちがどんどんよってきて、その子たちと一緒に楽しく過ごすことができた。自分には、子どもを引きつける魅力があるのだ。子どもたちはきっと、私を好きになってくれるはずだ。学校へ行くのが毎日幸せに思える教師人生を送れそうだなとそれなりの自信があった。

 しかし、現実は違っていた。初めて小学校で勤務したとき、六年生の理科の授業を担当した。教材研究をし、毎時間授業にのぞむ。チャイムがなり、いざ授業と思うが子どもたちは知らない顔でおしゃべりを続ける。私の指示など何も聞いていない。あまりにも、子どもが話を聞いてくれないので、大きな声で怒鳴る。一瞬静かになるが、すぐおしゃべりが始まる。そしてまた怒鳴る。その繰り返しであった。私が怒鳴るたびに子どもたちとの距離がひろがっていくことを感じた。そんなとき、子どもに言われた一言。それが

「先生授業へたくそだね。」

 なぜ、小学生の女の子にこんなことを言われなければならないのか。頭の中でどうしてという言葉がこだましていた。しかし、未熟な私は、変な子、程度にしか思わなかった。今考えると恐ろしいくらい鈍感である。

 そして、当然のように授業は崩壊していった。多くの子どもたちから、担任の先生に

「前田先生の授業は楽しくない。」

「先生(担任)が、変わりに理科の授業をやってください。」

という状態までになった。さすがに、担任の先生もかばいきれずに、私に一言いってくれた。それは、

「前田先生。私の授業見に来ませんか。」

という言葉だった。

 実際のところ、このころには、学校に行くのが嫌で嫌で仕方がなかった。そんな私に、手をさしのべてくれたのであった。

 そして、授業を見に行くことになった。教室にはいると

「えっ。今日の国語は前田先生がやるの?」

と、あきらかに嫌そうな顔でこちらをみる子どもたち。

「違うよ。あなたたちの担任の先生の授業をみて勉強させてもらうために来たんだよ。」

「そうなんだ。前田先生勉強してね。」


 2 初めてTOSSに出会う

 授業が始まった。漢字スキルをテンポ良く進める担任の先生。子どもたちは、私の授業では見たことのないような集中力で瞬く間に授業へのめり込んでいった。音読は、一回として同じ読み方はなかった。そして、討論の授業。子どもたちが、ノートに一ページ以上書いてある意見を発表していく。そこには、担任の先生の言葉はない。子どもたちがどんどん発表していく。まさに、初めて見た授業が指名なし討論であった。

 そして、どうしてもこのような授業がしたいと思いサークルへと通い始めたのあった。


 3「友情反対」という子を目の前にしてTOSSだから対応できた

 一瞬自分の耳を疑った。何がY君にこう言わせたのか。どうして、出会いのその日にY君がこういったのか。分らなかった。

 Y君は、五年生の三月にドイツから戻ってきた。小学校二年生までは、日本の学校にいたのでコミュニケーションには全く問題がなかった。しかし、何だかいつも、きつい顔をしていた。話かけても、ほとんど反応しない。担任でなかった私など知らんふりであった。

 そして、四月、Y君の担任となった。Y君は少しテンションが高いようだった。始業式が終わり、教室に戻った。大切な「黄金の3日間」である。

 わたしの自己紹介・クラスの子の自己紹介、そして、学級のルールについてなどさまざまなことを話した。Y君は、上機嫌に聞いている。しかし、それは突然だった。

「学校は、男女が仲良くするところです。」といった瞬間

「友情反対」

Y君が叫んだのだった。クラスはシーンと静まりかえった。Y君のみ、興奮していた。


 4 Y君を変えた向山型算数

 「友情反対」発言のあと、Y君と話をしたがなんの解決にもならなかった。そして、本格的に授業がスタートした。算数の時間である。案の定、Y君はチャイムが鳴っても突っ伏している。しかし、授業を始めた。

「教科書○ページを開いて。」この言葉を聞いたとき、Y君が突然動き出した。ゆっくりながらも、周りを見ながら教科書を開いたのである。そして、授業に参加したのだ。私は、思いっきりほめた。心からほめるというのはこういうことかと実感するくらいほめた。そして、その授業中、Y君は手を挙げ、発表し、丸付けだって一番にきた。

 授業後、Y君の近くにそっと寄っていった。

「Y君。今日はとってもがんばってたね。」

 Y君は照れながら

「今まで、教科書をみたらダメ・友達に聞いてもダメ」

「何をやったってダメ。って言われるんだ。ずっと勉強が分からなかったし、友達だって何も教えてくれない。だから嫌だったんだ。それに、他の先生は何言ってるか分からなくなっちゃうんだよ。」

 Y君は、話しながら目には涙をためていた。しかし、その目の奥には、確かにY君の変化が見えた。そして、最後に一言。

「先生。明日も算数。今日みたいにやってね。」

 問題解決学習ではダメになってしまう子も向山型算数なら変わることができたのである。勉強だって、友達とのつきあい方だって変わる。Y君は学級委員にだってなった。


 5 TOSSと出会っていなかったら

 私は、TOSSと出会っていなかったらと考えるとぞっとする。授業で悩み、子どものことで悩み解決のないままきっとつまらない人生を送っていたのだと思う。しかし、TOSSとの出会いで、授業が変わり、子どもとの関係も変わった。本当に感謝している。また、さらに発展させるために学び続けなければならないと思っている。

著者紹介

向山 洋一(むこうやま よういち)著書を検索»

1943年9月15日生まれ

1968年3月 東京学芸大学社会科卒業

2000年3月 東京都大田区立多摩川小学校退職

教育技術法則化運動代表,千葉大学非常勤講師,上海師範大学客員教授,日本教育技術学会会長,日本言語技術教育学会副会長。

月刊『教室ツーウェイ』『向山型「算数」』『向山型「国語」』編集長。月刊『教育トークライン』,隔月刊『ジュニア・ボランティア教育』編集人。

日本一のインターネット教育情報ポータルサイトTOSSランド代表。

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※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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