教え方のプロ・向山洋一全集91
21世紀に大きくシフトする学力保証と教育の方向

教え方のプロ・向山洋一全集9121世紀に大きくシフトする学力保証と教育の方向

学習力は丸暗記でつける―発想転換し習得時代に備えよう!

学力保証は、履修から習得へ大きくシフトをと遂げた。問題解決学習は、学力保証に逆行する学習システムである。確認しておくべき課題「教育と技術、技量」そして「システム」漢字習得、漢字文化における向山の主張。言語力の育成、学力テストB問題に対応する。


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電子書籍版: なし

ISBN:
978-4-18-437110-1
ジャンル:
教育学一般
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 192頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2018年10月17日
新学習指導要領解説書籍
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目次

もくじの詳細表示

1 向山洋一全集全一〇〇巻刊行へのまえがき
/向山 洋一
2 震災からの復興へ
/谷 和樹
T 学力保証は、履修から習得へと大きくシフトを遂げた
1 新学習指導要領に見られる「新しい時代の要請」
2 「習得システム」は「無責任な教育システム」を改善する「意志」
3 到達度評価は大きな問題である
4 知っておくべき「絶対評価」の扱い
5 基礎学力を保証する「本物の研究と実践」
6 意外に知られていない「学習力は丸暗記でつける」ということ
U 問題解決学習は、学力保証に逆行する学習システムである
1 多くの反響が起こった向山の新聞連載「真犯人はこいつだ」
2 専門医が問題視する「トライ・アンド・エラー」を強要する問題解決学習
3 「脳を使う学習をしてこなかったのは問題解決学習だった」という事実
4 しっかりと基礎を身につけさせている向山型算数
V 確認しておくべき課題〜「教育と技術、技量」そして「システム」
1 日本の教育界のかかえる二つの根深い欠点
2 世の中の「役に立つ教育技術=かくし財産」を「共有財産」へ
3 我流教師が苦労して生きのびてきた、人には決して言えない「秘密」
4 教育界に「一つの主張」を示した「向山式跳び箱指導法」
5 教室が騒然となるのは「授業の力」が弱いためである
6 TOSS教師がもらった保護者からのうれしい言葉
7 日本教育界の先人大槻幹雄先生の書簡集
W 漢字習得、漢字文化における向山の主張
1 学習のやり方には原則がある
2 子どもを苦しめる体力主義(人力車イメージ)の漢字練習法
3 なぜ「漢字文化」の授業が必要か
4 知的障害の子にも教えられた「輪郭漢字」
5 「漢字英語まじり文」で外国に「漢字文化」を伝える
X 言語力の育成、学力テストB問題に対応する
1 日本の教育界の基本方針は原文で読むべきだ
2 新教育課程で国語授業のどこが変わるのか
3 国語授業の改善が強く求められている
4 言語力の育成・活用の重視〜非連続型テキストの教材化〜
5 基本的な視点をふまえて対策を考える
6 教育実践を確かなものに、時代に応えたものに
Y これからの授業での主流「スマートボード」
1 スマートボードの授業は子どもが熱中し、参観の教師の目が点になる
2 TOSSランド・スマートボードの授業が今や最先端である
3 あと数年でスマートボードで授業できることが教師の必須の条件となる
4 二十一世紀の教師に必須の技能、スマートボード活用能力育成への支援
Z 子どもに心身の健康を保証する食育教育
1 すべての学校すべての学級での実践が求められている
2 授業実践のための食育八分野
3 心のバランスを取り戻さなければ摂食障害は治らない
[ 地域や日本を愛する心を育む観光立国教育と世界遺産教育
1 TOSSの基本は「子どもと未来を見つめる」こと
2 教師がやるべきことが示されている「観光立国推進基本計画」
3 観光立国教育は子ども達の未来を作る
4 観光立国教育は次の手順で
5 世界遺産を教える時の三つの視点
あとがき
/平瀬 公士・雨宮 久・小松 裕明

1 向山洋一全集全一〇〇巻刊行へのまえがき
   /向山 洋一

 向山洋一全集全一〇〇巻が刊行されることになった。

 これは、日本の教育界で初めてのことであり、他の分野でもほとんど耳にしない出来事である。

 私が、小学校で三十二年間実践したことのすべて、千葉大学、玉川大学で十年余にわたって教えたこと、NHKクイズ面白ゼミナール、進研ゼミ、セシールゼミ、光村、旺文社、正進社、PHP、サンマーク出版、主婦の友社などで発刊した教材群(その多くは、日本一のシェアをとった)などが入っている。

 すべての子どもの学力を保障するために、とりわけ発達障がいの子の学力、境界知能の子の学力を保障するために、慶応大学など多くの専門医と協同研究をしてきた成果でもある。

 教育技術の法則化運動は、結成して一年で日本一の大きな研究団体となり、二十一世紀にそれをひきついだTOSSは、アクセス一億、一ケ月で七十七ヶ国からのアクセスがあるなど、ギネスものの無料のポータルサイトとなって、多くの教師、父母の方々に情報を提供するようになった。

 TOSS学生サークルも全国六十大学に広がり、TOSS保護者の支援サークルも生まれている。

 総務省、観光庁、郵便事業会社と全面的に協力した社会貢献活動もすすめてきた。例えば、「調べ学習」として、全国一八一〇自治体すべての「観光読本」(カラー版)を自費で作り、八〇〇余の知事、市、町村長からのメッセージをいただいている。

 このような大きな教育運動の中で、多くの方々と出会い仕事を共にしてきた。波多野里望先生、椎川忍総務省局長はじめ、幾多の方々の応援に支えられてきた。

 また、こうした活動を普及していく多くの編集者とも出会ってきた。

 とりわけ、お世話になったのが、向山洋一全集全一〇〇巻のほぼ全部を創ってくれた江部・樋口編集長である。多くの方々に心から御礼の意を表したい。

 この一〇〇巻が完成する時、二〇一一年三月一一日、一〇〇〇年に一度といわれる巨大地震が日本をおそった。

 東北地方太平洋岸が壊滅的な被害をうけた。

 向山洋一全集全一〇〇巻と共に、この東日本大震災のことも、この全集に含めておきたい。

 どこよりもはやく、東日本復興の企画会議を招集し、今回百数十人から寄せられた「復興企画」の中から寄稿をお願いしたものである。

 「TOSSの活動、願い、実行力」を具体的に示すものとして、後世に長く伝えられていくことと思う。


2 震災からの復興へ
   /谷 和樹


 向山洋一氏は言う。


  教育の最も根本的な目的をただ一つだけ言えと言われたら、それは「人間の生きていく気力を育てること」である。  (『授業の腕を上げる法則』向山洋一)


 私たちは教師である。教師の大切な仕事は、教え子とともに未来を見つめることである。未来が見えないとき、人は生きていく気力を失い始める。

 東日本大震災が起きた時、向山氏は真っ先に「教師にしかできない仕事」に着手した。

 第一に「必ず復興する」という確信を、子ども達とともに語ることだ。

 いかに未曾有の災害であろうとも、参考になる先例はある。阪神・淡路大震災である。ぼろぼろになった神戸の町。しかし一年後には復興を始め、三年後には見違える姿になった。まさにフェニックスのように。現在の東日本も必ずよみがえる。「だいじょうぶだよ。必ず復興する」このメッセージを伝えるために、神戸の仲間達に依頼し、向山氏は緊急のテキストを作成した。神戸が変化していく様子を定点撮影した写真で構成し、その確かな復活を子ども達に見せるのだ。

 阪神・淡路大震災だけではない。日本はこれまで、幾度となく国が滅びるほどの危機にみまわれてきた。そして、そのすべてで、日本は世界中が瞠目する復興を遂げてきたのである。思いつくままに挙げても「白村江の戦い」「元寇」「黒船の来航」「関東大震災」「東京大空襲」……たとえば東京大空襲では、畳一枚に焼夷弾二発とも言われる大量の爆撃が実行された。死亡者・行方不明者は十万人以上と言われ、たった一回の空襲で東京市街地の東半分、実に東京三十五区の三分の一以上の面積が焼失した。一面の焼け野原となり、向山氏の自宅から五反田までが見渡せたほどだったという。当時ボランティアもなく、義援金もなく、補助金もなかったが、それでも復興したのである。

 このような過去の知見を子ども達にわかりやすく伝え、そのことで未来を確信できるようにすることが重要だ。

 第二にすべての子どもに対する「基礎学力の保証」である。

 今回の震災で、とりわけ被災地の子ども達の基礎学力の保証が危機的な状況になっている。まず始業時期が遅れた。給食等もストップした。そのことで午前中授業などをせざるを得ない状況は今後も生じるだろう。当然時間数が足りなくなる。また、授業が始まったとしても、子ども達の心が虚脱状態であろうことも推定できる。このような環境の中で、子ども達に基礎学力を保証するための条件は次の四つである。


  @ 指導内容の厳選と優先順位の確定。具体的には指導内容を系統的に一覧できる「B4一枚」のチェックシートなどが早急に必要だ。

  A 内容を確実に定着させるための工夫がなされた教材。具体的には心を安定させながら取り組むことができ、しかも確実に定着する「うつし書き」タイプの教材開発が必要だ。

  B 効果的に教えるための指導ユースウェアの共有。具体的には向山洋一氏の『授業の腕をあげる法則』を基本原理として採用した「指導ユースウェア」が各教科ごとに必要だ。

  C 子どもに笑顔で「教えて褒める」ことのできる、優れた指導力のある教員。発達障害の子ども達を含めた条件でも常に質の高い実践ができる教師の指導力研修会が必要だ。


 第三に原子力発電所の事故に伴った「風評被害」等の打破である。

 「放射線とはどういうものか」という正しい教育。それが、日本の教室では、全くなされてこなかった。

 福島の子ども達に対するいじめの問題、屋外での体育実施などへの過度の忌避、被災地から疎開してきた児童の医療拒否や避難所への受け入れ拒否などの悲劇は、正しい教育がなされていれば起こらなかった事象だ。組合等を中心とする教師のイデオロギーには極めて大きな問題があったと言わざるを得ない。原子力発電に対する過度のアレルギーが中間貯蔵施設等の受け入れ拒否につながっていた。それが今回の建屋内燃料プールの水素爆発を引き起こした遠因になっているのである。私たちも含め、「教育の責任」を明確にすべきである。

著者紹介

向山 洋一(むこうやま よういち)著書を検索»

1943年9月15日生まれ

1968年3月 東京学芸大学社会科卒業

2000年3月 東京都大田区立多摩川小学校退職

教育技術法則化運動代表,千葉大学非常勤講師,上海師範大学客員教授,日本教育技術学会会長,日本言語技術教育学会副会長。月刊『教室ツーウェイ』『向山型「算数」』『向山型「国語」』編集長。月刊『教育トークライン』,隔月刊『ジュニア・ボランティア教育』編集人。

日本一のインターネット教育情報ポータルサイトTOSSランド代表。

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※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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