新社会科への対応1
写真類読み取りの授業

新社会科への対応1写真類読み取りの授業

写真から入ると授業がこんなに面白くなる!

社会科の授業を楽しくするコツは@写真や図、絵などの資料、Aグラフなどの統計資料の活用だと編者は主張する。そのために@写真・イラスト資料のメリット、A写真の読み取り方を初級から中級、上級と発展段階をふまえ教材例をあげて詳細に提案する。


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ISBN:
978-4-18-433514-1
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 152頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年12月16日
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
一 写真・イラスト資料のメリット
1 写真・イラストが言葉では足りないイメージを補う 〜五年「暖かい地方のくらし」・六年「修学旅行」〜
2 写真・イラストで本物を使うよりよい授業ができる
3 写真を使えば事前体験が可能になる 〜三年「商店の働き」〜
4 写真を使って体験したことを再現できる 〜三年「商店街のお店のくふう」〜
二 写真の読み取り方にはステップがある
1 すべてのスタートは「雪小モデル」から
@ 雪小モデルと子どもたちの意見分類表
A ここから始まる「場所あて問題」〜四年生以上 地図帳を使って〜
2 写真の読み取り方〈初級〉
@ まずは意見をたくさん出させる
A 色や形から目をつける〜四年「寒い地方のくらし・暖かい地方のくらし」他〜
B 自分の中でくらべる〜五年「自動車工業」〜
C 見えるものから見えないものへ(方向、場所、時間)〜四年「交通事故」〜
D 原因や結果を考える〜四年「交通事故を防ぐ」〜
E 足りないものを補う
F 二つに分けて整理する〜三年「商店の働き」〜
G 写真と本文のキーワードをつなぐ〜六年「米作りのはじまり」〜
3 写真の読み取り方〈中級編〉
@ 二枚を使う 写真と写真
A 二枚を使う 写真と統計〜三年「交通事故からくらしを守る」〜
B 二枚を使う 写真と体験・実物〜四年「ごみの処理」〜
C 二枚をくらべる 見えるものをくらべる〜六年「文明開化」〜
D 二枚をくらべる 見えないものをくらべる
E 二枚をくらべる つながりを考える〜五年「環境」〜
F 二枚をくらべる 解釈する〜六年「米づくりのむら―吉野ヶ里遺跡」〜
4 写真の読み取り方〈上級編〉
@ 価値を問う(損か得か)〜向山氏の実践「雪国のくらし」〜
A 批評する(間違いを見抜く)〜六年「黒船来航」〜
B くらべて決める(住むとしたらどっち?)〜六年「貴族のくらし」・五年「暑い地方と寒い地方」〜
C 色々な発展教材を使う
おわりに

はじめに

 社会科の授業を楽しくする工夫は、たくさんある。

 しかも、簡単な方法である。知ってさえいれば、誰にでもできる。準備もほとんどいらない。

 そんなにうまい方法があるのかと思われる方も多いだろう。

 でも、本当である。

 その方法を知っているので、私は三〇年以上も楽しく社会科の授業を続けてくることができた。

 もちろん、私だけが自己満足しているわけではない。子どもたちも私の社会科の授業を楽しみにしていてくれる。行事などで社会科の授業がつぶれると文句が出るぐらいであった。

 国語や算数の教え方にコツがあるように社会科の授業にもコツがある。

 そのコツは何かというと、実は簡単なことである。


  資料から授業に入るということである。


 たった、これだけのことである。しかも、その資料は教科書や資料集に掲載されている資料でいいのである。

 教科書に掲載されている資料は、大きく分類すると次の三つである。


 @ 写真や図、絵などの資料

 A グラフなどの統計資料

 B 「農業組合のAさんの話」のような文字資料


 社会科として重要なのは、@の写真類とAの統計資料である。この二つから授業に入ることが社会科授業を楽しくするコツである。

 ただし、コツを習得するにはある程度の修業が必要である。修業とは、正しい方法をまねていきながら自分のものにしていくということである。修業は、基本から入っていくのが最も効率的である。基本から学んでいけば、コツはすぐに習得できる。

 少し具体的に話をしよう。

 まず、写真資料の活用方法である。

 次頁の写真は三年生の「福井市の様子」のために私が撮影した写真である。

 海辺の狭い土地を利用して棚田をつくっている様子を理解させることをねらったものである。

 この写真だが、いきなり「棚田」をとりあげたりはしない。まずは、この写真に写っているものを徹底して読み取らせる。次の指示を出すのである。


 指示 この写真を見て分かったこと、気がついたこと、思ったことをノートに書きなさい。1、2、3と番号をつけながら箇条書きで書きなさい。


(写真省略)

 つまり、写真の中にある情報を徹底して読み取らせるのである。「海がある」「島が見える」「田んぼが階段みたいになっている」「少し高いところだと思う」「もうすぐ田植えをするのだと思う」というようにである。断片的でよい。徹底して情報を集めさせる。

 教師は、子どもたちが写真の中から読み取ったことに感心したり、ほめたりしていればよい。子どもたちは夢中になって活動するはずである。

 こうして写真に写っている場所の情報を蓄積させた上で、土地の様子について踏み込んでいく。階段のようになっている田のことを棚田ということ、棚田の農作業は大変なことを押さえていき、どうして、このあたりに棚田が多いのかと問うのである。

 つまり、ある程度情報を蓄積させた上で、発問を出すのである。こうしたステップを踏めば、活発な討論ができる。

 次に、グラフなどの統計資料の扱い方である。


(図省略)

 社会科における統計資料の指導は、三年生からはじまる。その指導の第一歩は、棒グラフをつくるところからはじめる。

 いきなり棒グラフの作成、と思うかもしれない。

 しかし、子どもたちにつくらせることによってグラフの特色が理解できるようになるのである。

 例を挙げてみよう。三年生の「お店の働き」のところに「買い物調べ」のグラフが登場する。これは、子どもたちに調べさせてつくるグラフである。家に帰って母親などに、買い物を一番よくする店を聞いてこさせ、その結果を表に整理して、グラフにまとめていく。

 こうした指導にもコツがある。

 まず、子どもたち一人一人に調べてきたことを発表させていき、教師が黒板によく買い物に行くお店の表をつくる。次に、その表をグラフに仕上げていく。このときにノートを使うことがコツである。わざわざグラフの枠を印刷したプリントを準備する必要はない。教師が指導してノートに書かせるのである。

 次にシールを準備しておく。ごく普通の丸いシールである。写真のように棒の部分にシールを貼り付けさせていく。シール貼りは子どもたちの大好きな活動である。喜んで取り組む。こうして買い物調べのグラフのできあがりである。表と違って、どのお店で一番買い物をしているのかがすぐに分かる。

 私の場合は、ここで終わりではない。事前にもう一つのことを調べさせておく。それは、そのお店によく行く理由である。例えば「家から近い」「新鮮な物がある」「値段が安い」などである。


(図省略)

 これを使ってもう一つグラフをつくらせる。ただし、今度は、一回目ほど指導を丁寧に行わない。

 まず、表に整理することは、同じように教師がする。次に、グラフの表題と枠づくりだけ一緒に行う。後は、子どもたちにまかせてしまう。この方が力がつくのである。もちろん指導が必要な子には、個別に指導をする。

 こうして図のようなグラフができあがる。その結果、近いお店によく行くということが分かる。

 このようにして資料から授業へと進んでいく。活動が中心となるので、子どもたちも喜ぶ。その上で、お店で働く人の工夫へと切り込んでいくのである。

 ところで、社会科にはもう一つ大切な学習がある。それは社会科見学である。

 町工場の見学、消防署の見学、警察署の見学、クリーンセンターの見学、スーパーマーケットの見学、自動車工場の見学、歴史博物館の見学等々である。

 社会科は、事例を通して学ぶ教科であるから、直に観察できたり体験できたりする見学は非常に重要である。

 ところが、この見学を授業にどう活かすかという点で悩んでいる先生方も多いと聞く。模造紙にまとめさせてはみたが、どのような力がついたのかがよく分からない。社会科新聞をつくらせてみたが、資料を丸写ししただけだった。こうした声が聞こえてくる。

 時間とお金をかけて行った見学が、子どもたちの社会を見る目を育てることにつながらないというのは、非常に寂しいことである。

 実は、見学を毎日の授業に活かしていく方法についてもちゃんとした方法があるのである。

 一つは、見学メモをノートに書かせるということである。これは、できるだけたくさん書かせる。番号も打たせる。

 次に、それらのメモを、目的に沿って選ばせることである。消防署の見学であるなら、「火事を防ぐための工夫」でよい。こうして情報を集め、それに選択をかける。

 この選択の部分が、多くの授業で欠落している。だから、資料の丸写しなどが生じてしまうのである。情報は選択してこそ、価値が出る。その上で、レポートなどにまとめさせていけばよい。

 このような指導技術というかコツを知っているのと、知らないのでは大きな違いが出る。

 本書は、こうしたコツを身につけるための入門書である。本シリーズで紹介した事例を参考にしながら、実際に実践することでコツを身につけていくことができる。

 本シリーズは、次の三冊から構成されている。


 1 写真類読み取りの授業

 2 グラフや統計資料の読み取りの授業

 3 見学のまとめを活かす授業


 本シリーズを通してまずは、社会科指導の基本を身につけていただきたい。

 その上で、社会科授業の本当の醍醐味を味わっていただきたいと願っている。

 社会科授業の本当の醍醐味とは、フィールドワークにある。工場で働く人の声を直に聞いたり、地区の歴史の会の方から話を聞き取ったり、図書館に通い詰めて資料を集めたりと、足でかせいだ資料をもとに授業をすることである。こうした授業に一人でも多くの先生がチャレンジしてくださることが、本シリーズの作成に関わった社会科が大好きな教師集団の願いでもある。


 最後に、本書で紹介した実践の多くは、向山洋一氏の実践から学んだものである。向山氏には、日頃から温かいご指導を受けている。ここでお礼を申し上げたい。

 また、明治図書の江部満編集長には、本書の企画から執筆にいたるまで、さまざまなご指導をいただいた。お礼を申し上げたい。ありがとうございました。


   /吉田 高志

著者紹介

吉田 高志(よしだ たかし)著書を検索»

1957年生まれ。1979年より福井県内小学校勤務。

TOSS福井サークル代表。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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