知的追求「向山型社会」の展開 小学4年

知的追求「向山型社会」の展開 小学4年

好評5刷

社会科の基礎学力を保証する向山型社会のエキス満載

体験・知識の量を増やす討論の授業への第一歩、自ら学ぶ学習システムを作る、地球への誇りや愛情を育てる、エネルギー問題は国家の大事など実践例を示す。解説は吉田高志。


紙版価格: 1,800円+税

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-424515-3
ジャンル:
社会
刊行:
5刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年9月17日
新学習指導要領解説書籍
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 討論の授業への第一歩 体験・知識の量を増やす
一 向山型社会のモデルを読み解く /高橋 勲
1 向山型社会のどこを解明し、そこから学んだことを授業にどう活用しようとしたのか
2 向山型社会のモデルを読み解く
3 「暖かい土地と寒い土地」授業実践から
4 わかったつもり、が怖い
二 向山型社会の「体験―→討論」のシステムで社会認識を育てる /雨宮 久
1 討論に必要なシステム
2 予想から検討へ移った「ごみはどこから」の授業実践
3 向山型の解明
三 「くらしと水」を発展させて環境教育へとつなげる /真柄 二郎
1 討論の授業を作る〜「課題は活動の中からさがす」〜
2 サイクル図を使って〜「水のサイクル」を授業する〜
U 自ら学ぶ学習システムをつくる
一 向山型社会で基礎学力をつける
――「水道」の授業の追試で学習システムをつくる―― /飛田 政彦
1 向山型社会の授業が基礎学力を保障する
2 四年社会科「水道」の授業を追試する
3 追試実践を終えて
二 電話・FAXの活用で子どもの新たな学びをつくり出す県の学習 /奥田 修
1 子どもが学ぶシステムをつくる向山型社会
2 内部情報の蓄積(第一・二時)
3 調べる計画を立てる(第三時)
4 調べ活動(情報を収集するための段階 第四・五時)
5 調べ活動(収集した情報を活用する段階 第六・七・八時)
6 発  表(第九時)
7 サイクル図を使った授業(第一〇・一一時)
8 学習のまとめ(第一二・一三時)
9 子どもが学ぶシステムづくりをめざすことによって
三 子どもたちが自分の目で足で調べるようになった「向山型自ら学ぶシステム五つの方法」 /片倉 信儀
1 自ら学ぶシステム
2 実  践
3 実践してみて
V 地域への誇りや愛情を育てる
一 津波と闘った幕末の志士 浜口梧陵
――江戸末期ニューディール政策で地域を救った男がいた―― /畑屋 好之
1 日本人として背骨を伸ばしていられるために
2 授業の実際
3 実践を終えて
4 引用文献・HP
二 「見沼代用水を引く」の授業で情報処理能力を高める /高橋 順
1 向山型社会のどこを解明したか
2 コンピュータの活用
3 「見沼代用水の開発」の授業
4 「見沼通船堀」の授業
5 向山型社会から学んだこと
三 福井県は全国有数のエネルギー供給県である、という誇るべき特色を伝える /上木 信弘
1 地域や国に対する誇りや愛情を育てる社会科の授業とは
2 福井県の誇るべき特色
3 実践(二時間連続・平成一〇年度四年生二八名)
4 学習のまとめ
5 エネルギー教育の導入としても有効
W エネルギー問題は、国家の大事
一 「くらしを支える電気」エネルギー問題を授業する /松本 俊樹
1 社会科四年で「電気・エネルギー教育」は可能である
2 どのように授業を組み立てるのか
3 四年生一学期単元「くらしを支える水」の発展として授業する
4 単元「くらしを支える電気」の授業記録抄
『知的追求「向山型社会」の展開 小学4年』の解説 /吉田 高志
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はじめに

 「中学年の社会ほど面白いものはない」と私は思っている。

 しかし、私のように考えている教師は、そう多くはないらしい。

 「四年生の社会は、どう進めていいのかわからない」という声があちこちから聞こえてくるからである。

 原因は、地域教材を扱わなくてはならないことにあるらしい。つまり、教科書が、ほとんど役に立たないのである。

 地域素材や子どもたちの身近にある問題から教材を開発する。それを、教師が教えるのではなく、子どもたちに調べさせる。そして、その結果をまとめる。

 これらの一つ一つのことをどうするかということがまず問題となる。

 さらには、一つ一つをつなげていって授業全体をどう組み立てるかが問題となる。

 ところが、これらのすべての問題に答える向山実践があるのである。

 「四年社会水道の授業」である。

 この授業は、向山先生が四年生の子どもたちを受け持ったときに行った最初の授業である。いわば白紙の状態の子どもたちに、どのような指導をしていったのかが克明に書かれているのである。

 例えば、予想の立てさせ方である。「家ですぐに調べられる問題」「すぐには答えのでない問題」の二つについて予想を立てさせている。前者は、家の人に聞くというもっとも簡単な調べ方をマスターさせるために出し、後者はこれから学習していく「テーマ」として出している。

 これと同時にノートの記入方法も指導している。「ノートに正しい答えを書く欄」を作らせる。箇条書きの指導をする。こうした一つ一つの指導がていねいに行われている。

 この実践記録を初めて読んだときは、私は目から鱗が落ちる思いがした。自分自身がいかにいいかげんな実践をしていたかに気づいたからである。そして、必死になって追試をしたものである。

 さて、この実践では、地域教材の活用の開発についても重要な指摘がされている。引用する。


  私は、このような時「川」「道路」「電話」などの「長いもの」をとりあげる。(中略)

  「川」でも「道路」でも「電話」でも、自分のすぐ近くにある。

  そして「長いもの」は、「自分の近くにある」とともに「遠く」まで伸びている。広がりがある。

  しかも「長いもの」は、ともに付属する施設やら看板やらがあって、調べる手がかりがある。

  さらに「長いもの」は、自分の生活に結びついている。

  だから教材としていい面を持っている。

      (「教え方のプロ・向山洋一全集」二十三巻(明治図書)五十五ページ)より


 この文を読んで後、私は「電気が届くまで」や「おいしい水、まずい水」の授業を行っている。拙い実践だったが、子どもたちは熱中して授業に取り組んでいた。「長いもの」は、確かにいい教材になる。子どもたちがよく知っている身近なところから調べ始めて、子どもたちがほとんど知らないところまで、授業を進めることができるからである。もちろん私にとっても新しい発見の連続であった。

 四年生では、地域教材を開発しながら、子どもたちの予想を立てる力、調べる力、書く力を鍛えていかねばならない。

 本書では、「四年社会水道の授業」を代表とする向山実践に学びながら、こうした一つ一つの指導方法を明らかにすることに取り組んだ。

 四年生の子どもたちは、活動的である。その四年生が熱中するような知的な社会科授業を作り出すことに、本書がお役に立つことを願っている。


 本書は、TOSS社会研究会の五年にわたる研究実践の中から生まれてきました。執筆にあたってくださった先生方、そしてTOSS社会研究会を支えてくださった会員の方々に心よりお礼を申し上げます。

 また、日頃から温かいご指導をいただいている向山洋一先生、本書の企画から執筆に至るまで細かくご指導いただいた明治図書の江部満編集長に、お礼を申し上げます。ありがとうございました。


  二〇〇三年一月   /吉田 高志

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