教え方のプロ・向山洋一全集46
社会的な規範を断固として教える「向山型道徳授業」

教え方のプロ・向山洋一全集46社会的な規範を断固として教える「向山型道徳授業」

好評2刷

向山式心の教育

ゆるぎない「社会規範」の確立をめざして今こそ心の教育をと主張する巻。TOSS道徳の使命、道徳授業改革へのアピール、TOSS道徳誕生の私案、向山型道徳の理論など.


紙版価格: 2,060円+税

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-404620-7
ジャンル:
教育学一般
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 196頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2018年10月24日
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目次

もくじの詳細表示

まえがき
序 今こそ心の教育を
――ゆるぎない「社会規範」の確立をめざして
T TOSS道徳誕生の原風景
一 TOSS道徳の使命
二 向山の出発点、それは「子どもの事実」
U 道徳授業改革の狼煙をあげる
――箱根アピール
一 冒頭発言「道徳教育改革会議のねらい」
二 箱根会議の討論の範囲
三 問題点の明確化
四 改革方向の提案
五 第二回発言、これまでの話し合いをまとめてみると――四つの問題点
六 第三回発言、徳目をいったんテーマ化する――授業化への四段階
七 授業化過程での問題点
八 第四回発言、授業内容を考える視点
九 第五回発言、五つの方向性
一〇 最終発言「箱根アピールの提案」
一一 箱根会議を終えて、道徳会議アピール――多くの教師の努力を!
一二 箱根会議の成果と課題
V TOSS道徳誕生の序章「道徳向山私案」
一 道徳とは何か?
二 「道」とは「徳」とは
三 道徳教育の問題点
四 つまらなさの原因
五 道徳授業の改革
六 小さい時こそ
七 戦争後の特殊な状況
八 人間の生き方としての原理・原則
九 『菜根譚』
一〇 道徳授業の方向性とジュニア・ボランティア教育
一一 向山がつくる道徳授業
W 店TOSS道徳誕生点向山型「道徳」の理論
一 2・ TOSS道徳一日講座(1 向山型「道徳」の理論)
二 2・ TOSS道徳一日講座(2)
1 論議の素通りの原因/ 2 論議する意味/ 3 道徳の体系/ 4 道徳の授業の方法/ 5 道徳の教育目標/ 6 TOSS道徳
X TOSS道徳教育研究会発足
一 TOSS道徳教育研究会会則
二 特別連載 生き方の原理・原則を教える道徳教育
1 貫くことのむずかしさ――中央事務局「自己変革」の時代を経て/ 2 「力ある教材」の開発を!――朝日作文コンクール「幼児作文」の威力/ 3 本物は共通する面を持つ――向山提案「五つの原則」こそを論議の対象に/ 4 それは日本の国家のあり方を左右する重要問題である
Y 向山の道徳の授業
一 岩根小学校「心の教育フェスティバル」での授業
二 「心の教育フェスティバル」向山の授業の批判とお答え
三 問題提起とは何か
四 「速くわかる」ことは良いことかの授業
1 この人は誰でしょう?/ 2 子どもの予想/ 3 人生は測り知れない
五 「命」の授業
Z 対談「戦後教育の欠陥を克服する道徳」
――梅原猛VS向山洋一
一 オウム事件を教師としてどう捉えるべきか
1 オウム事件の背景/ 2 麻原の卑劣さを教えよ/ 3 戦後教育の致命的欠点/ 4 日本の教育の欠点を克服する方向
二 私たちの日常にひそむ異様で異常なこと
1 日本の教育の責任/ 2 ある母親の怒り/ 3 地に落ちた、公立小学校への信頼
三 梅原猛・向山洋一緊急対談「今こそ心の教育を」
1 私たちの校長先生に/ 2 道徳教育に欠けていること/ 3 宗教教育の大切さ/ 4 平和教育も事実に基づいて/ 5 「心」と「環境」と「創造」の教育/ 6 「心の教育」を具体化する/ 7 教育で大切なこと/ 8 日本の教育の歴史/ 9 志を持った教育を
社会的な規範を断固として教える「向山型道徳授業」の解説 /星野 裕二

まえがき──「道徳」「指名なし討論」「黒帯六条件」などの向山の主張──

 全集が、お役に立っているという。

 考えてみれば、私の「新卒日記」は、三五年も昔に書かれたものだ。

 二〇代教師がこの世に生をうけるずっと前の物語である。

 「手に入れよう」と思っても、入手できない文章だ。

 二〇代、三〇代の教師にとっては、「初めて読む向山の文章」が、いっぱいあるという。

 向山洋一全集の編集方法は、著しくめずらしい方法をとった。

 私の単行本や雑誌論文などを項目ごとにバラバラにして、同じ項目を再編集したのである。

 バラバラにしてできた冊子は、部屋の中に山のようになった。

 それを「授業論」「研究論」「教材論」などに大分けして、さらに小さく小分けしていったのである。

 それを読み直して、一冊の本にしていった。

 編集したのは、二〇名余の私の弟子たちである。

 教師の世界に弟子はおかしいと思うかもしれないが、「学問研究」も「実践研究」も、実は「技能・能力」の向上は「修業」以外にはなく、それには「弟子制度」が一番適しているのである。

 教育界初めての「弟子」制度の是非は、向山の弟子がどのように育ったのかという「事実」が証明してくれるだろう。

 合宿をやること何度か。

 費用は「全集の向山の印税」によって支払われた。つまり、向山は全集の収入のほとんどを、編集合宿という弟子との楽しい作業に費やしてしまったのである。

 もちろん、それでよかった。

 編集作業は、楽しく、かつ勉強になったからである。

 バラバラにした冊子の中から同じ項目を集めて一冊の本にすると、書いた年度がちがうのが混ざることになる。

 極端な話、新卒の頃の文と退職の頃の文が一冊の本に混ざることもあった。

 しかし、違和感は全くなかった。

 向山の主張にブレはなかったからである。

 新卒の頃から、退職の頃まで、向山の主張は一貫していた。

 それは、向山は、教育実践をしていく時の指標が次の二つだったからである。


 一 子どもの事実

 二 腹の底までズシーンとくる手ごたえ


 この二つを指標としている以上、本物だけが私の心に残ることになる。

 私は、見栄や出来栄を気にして文を書いたことなど、一度としてないのだ。

 事実を、それのみを大切に書いてきた。

 もちろん、未熟さや間違いはあった。

 しかし、それは成功のための通過点なのである。

 細心に、誠実に対応していけば、必ずのり越えていけるのである。

 第四期にも、思い出深い主張がいくつもある。

 たとえば、黒帯六条件。

 上達論のなかった教師の世界に、日本で初めて「上達論」を示した本である。

 たとえば、「指名なし討論」。

 今では、あまりにも有名になった指名なし討論。

 私は「子どもが次の人を指名する方法」を、一回見ただけで駄目だと思った。

 「リズム」と「テンポ」が大きく乱れるからである。「集中」が「指名」のたびに崩れるのだ。

 「指名なし」によって、その崩れはなくなったのである。

 たとえば、「道徳」授業の主張。

 日本で「道徳に賛成か反対か」の論議はあったが、「いかなる内容の道徳が必要か」の論議はほとんどなかった。

 私は、根本的な部分、道徳の授業の骨格について、いささか研究をして主張したのである。

 向山の実践は、教え子、同僚によって、あます所なく伝えられている。

 いい所だけ見せようとする気は、私には全くない。

 「事実」こそが大切だからだ。

 教師生活三二年間のすべての実践が、全集には含まれている。

 それにしても、第四期一五冊を加えると、全部で六十冊になる。明治五年の学制発布以来、日本一の全集になるという。

 この後、何冊かの残りを発刊することになる。

 また、日本一の教材企画人として、「進研ゼミ」「セシール」「旺文社」「啓林館」「光村図書」などで開発したかつての教材を刊行することになる。この日のことを考え、二〇年近く前から、著作権をいただいていたのである。

 第四期全集が、後輩たちの教室で役立てば幸いである。


  二〇〇二年一二月一日   /向山 洋一

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