- まえがき
- 第1章 どの子も書ける作文授業の提案
- 〜ワークとコンテンツで創るトレース作文〜
- 第2章 日記が書けない子を救った5つの手立てと2学期末までの書く力をつける取り組み
- 第3章 低学年作文ワーク
- @手紙の書き方 友達への手紙を書く
- A日記の書き方 その日の出来事を書く
- B記録文の書き方 植物の観察日記を書く
- C物語の書き方 ごまかす文章を書く
- D物語の書き方 書き出しを工夫して物語を書く
- E物語の書き方 会話文を書く
- F詩の書き方 楽しみながら詩を書く
- G要約の書き方 物語を簡単にまとめて書く
- 第4章 中学年作文ワーク
- @日記の書き方 書き出しを工夫する
- A記録文の書き方 学級会の記録 簡潔に要点を書く
- B報告文の書き方 社会見学で学習したことを書く
- C感想文の書き方 本を読んで感想を書く
- D意見文の書き方 反対意見 これは、○○ではない。
- E掲示の書き方 学級新聞を書く
- F広告の書き方 パッと目に飛び込んでくる広告文を書く
- G物語の書き方 視点を変えて書く
- H詩の書き方 技法を使って書く
- I要約の仕方 二十字以内で要約文を書く
- 第5章 高学年作文ワーク
- @手紙の書き方 礼状を書く
- A日記の書き方 知的でユニークな日記を書く
- B報告文の書き方 インタビューしたことを書く
- C意見文の書き方 例えを用いて意見を書く
- D広告の書き方 「かっこいい」と声があがる広告を書く
- E物語の創作 緊張場面を書く
- F物語の書き方 ごまかす文章を書く
- G詩の書き方 技法を使って書く
- H要約の仕方 主題を書く
- Iアウトラインの作り方 学級の思い出を書く
- Jノートの書き方 登場人物を検討する
- Kノートの書き方 起承転結を検討する
まえがき
(1) あらゆる場面で必要となる作文力
子どもたちは、さまざまな場面で作文を書く。課題に対する考え、授業の感想、実験の予想・結果、友達への意見など、ほとんどの教科で作文をしている。また、ほとんどの子どもは、日記を書いている。
(2) 子ども達の作文技術は十分ではない
子ども達は作文に慣れているか、といえば必ずしもそうではない。文章の基本を身につけているか、といえばそうでもない。作文表記のきまりに沿って書いている子は、ほんのわずかである。句読点を行頭に書く子、会話文を改行せずに書く子、常体・敬体の混在文を書く子、主語と述語がねじれた文を書く子などなど、間違った表記をしている子は少なくない。
(3) どの子にも作文の基礎技術を身につけさせよう
「主語・述語を正しく書く」「常体・敬体を正しく書く」などの基本的技能を身につけさせる指導は、国語科に限らずおよそどの教科でも指導できる内容である。いや、指導しなければならない内容である。小学校学習指導要領〔総則〕に次のように明示されている。「学校生活全体を通して、言語に対する関心や理解を深め、言語環境を整え、児童の言語活動が適正に行われるようにすること。」社会科の時間に自分の考えをノートに書かせる。理科の時間には、観察・実験の予想とそれに基づいた考察を書かせる。算数の時間でさえ、問題文をノートに写させる。このような場面で、正しい文が書けない子を放任した学習は成立しにくい。
基本的な作文技術を身につけさせるということは、国語の時間に限らず国語科教師に限らず全ての教師がさまざまな場面でしなければならない指導である。
(4) 作文技術は指導しなければ身につかない
「〜に気をつけて書きなさい」という指示がある。これは、指導とは言わない。この指示でこれまでできなかった子ができるようにはならない。指導とは、指示・作業・確認(評定)の繰り返しを通してできるようにさせる教え方のシステムである。「段落のはじめは一マス開けるようにしなさい」という指示では全員ができるようにはならない。「段落のはじめは一マス開けます。一文書けたら持ってらっしゃい」と指示する。できた子が持って来る。きちんと一マス開けて書いている子には「よーし。続きを書きなさい」と丸をつけてやる。できていない子には「一マス開けていません。書き直してもってらっしゃい」と書き直しさせる。書き直しの子が再度持ってくる。「よし、よくできたね。続きを書きなさい」と丸をつけてやる。こうすれば、全員が一マス開けて書くようになる。
(5) 個々の作文技術を取り上げて指導する
学校で子どもが書いている作文の大部分は生活作文である。生活作文は、表記や言葉遣いを適切に活用する作文技術と漢字や言葉を適切に活用する語彙力、そして達意の文章を書くための表現力の集合体である。生活作文を読めば、その子の書く力を診断することができる。
しかし、生活作文の指導だけでこれら三つの力を鍛えることはできない。
例えば、演劇の練習でいきなり舞台稽古はしない。舞台に上がるまでに姿勢や表情、発声や台詞などの基礎体力を磨くトレーニングをする。舞台稽古での役づくりは、これらの基礎体力なしでは到底できない。不十分な点は、舞台稽古ではっきりする。それを自覚した上で再度基礎トレーニングを積む。演技力は、舞台稽古と基礎トレーニングの往復運動で向上していく。
生活作文は舞台稽古にあたる。生活作文の内容は、作文技術・語彙力・表現力の作文の基礎技術に支えられている。作文力(書く力)は、生活作文と基礎技術を磨くトレーニングの往復運動で向上していく。
(6) 楽しく表現力をつける「ナビゲート作文システム」
作文が苦手な子は、なぜ苦手なのか。「書くことがない」「書き方がわからない」「楽しくない」からである。
この三つのないをクリアーする指導法「ナビゲート作文システム」を提案する。
ナビゲート作文は、作文技術の「表現力」を特化させた指導法である。
次の指導システムで構成されている。
「例題」で、子どもの身につけさせたい文体をなぞらせ体感させる。
「演習」で、ほとんどなぞって、一部だけ自作の作文を書く。
「練習」では、お手本文を真似て自作の作文を書く。
ナビゲート作文システムは、作文を子どもにマル投げしない。
「なぞり」が授業の核であるといえる。
お手本をなぞらせるために、ワークを使用する。ワークは、例題・演習・練習で構成されている。子どもは、ほんの少しの負荷をかけられて作文をすすめるようになる。ワークを使って全く同じ文体をトレースするので、子どもによって身につく表現内容が変わるということはない。
作文授業は、「書く作業」中心である。黙々と淡々と進みがちである。
ナビゲート作文は、ワークで授業をすすめる。ワークは、思わず笑ってしまうような文章で書き方をナビゲーションしてくれる。楽しい作文授業ができる。
また、学校生活で出会う作文場面に対応させた次のようなワークを収録した。「手紙の書き方(社会的手紙、実務的手紙)」「日記の書き方(個人日記)」「記録文の書き方(観察記録、見学記録、読書記録)」「報告文の書き方(見学報告)」「感想の書き方(読書感想)」「意見文や評論の書き方」「掲示の書き方」「広告の書き方」「物語の書き方」「要約のし方」
学校生活には、作文を書く場面は様々ある。
そのような作文を書かせる前に本書ワークを活用すると効果的である。
作文場面に対応した本書ワークを印刷して、一通りさせれば、基本的な作文技術は、伝わる。 その上で、作文をさせれば、どの子も一定レベルの作文を書くことができる。本書全てのワークは教室の授業をくぐらせている。効果は実証済みである。
作文嫌いはもとより、得意な子にとっても楽しい作文授業が実現できるナビゲート作文ワークを是非とも教室でお試しいただきたい。
二〇〇五年七月十八日海の日
TOSS/Advance代表 /河田 孝文
鳥肌がたちました。
特に、高学年の緊張場面を書く作文では
笑いあり
驚きありの授業となり
大変手ごたえを感じました。
教室に置いておきたい一冊です。
勉強のできない子も、できる子も満足できる構成になっているので一度やると子どもからリクエストされるくらいの人気です。
最初の説明文のところに指示・発問のほか、実際に子どもが作った例がかかれているので子どもの反応を予想して授業をすすめられました。
「ごまかす文章をかく」は、クラスで笑いさそう人気項目でした。
オススメです。