- はじめに
- 本書の使い方
- 第1章 国際バカロレアの授業づくり
- 1 MYP「言語と文学」解説
- 2 概念的理解の理論に基づくMYP
- コラム@ 学びの責任の移行モデル
- 第2章 重要概念「ものの見方」で深める学び
- 1 中学1年 かぐや姫を批評する
- ―悲劇のヒロイン!? それとも……―
- 2 中学1年 歌は世につれ世は歌につれ
- ―現代の歌詞と古典の和歌を比較してみる―
- 3 高校1年 「読み」の変容 テクストvs.コンテクスト
- ―『セメント樽の中の手紙』を通して―
- コラムA エージェンシー
- 第3章 重要概念「創造性」で深める学び
- 1 中学3年 創造は試行錯誤の繰り返し
- ―俳句・短歌の創作活動と振り返りを通して―
- 2 中学3年 視覚的なコミュニケーションの探究
- ―シナリオと映像づくりを通して―
- 3 高校1年 表現の多様性を学ぶ
- ―菊池寛『入れ札』のポスター制作を通して―
- コラムB 映像文法
- 第4章 重要概念「つながり」「コミュニケーション」で深める学び
- 1 高校1年 言葉と映像で人の心を動かす
- ―テレビコマーシャルの分析と制作から―
- 2 高校1年 直訳の向こう側へ
- ―五言絶句・七言絶句の訳詩づくり―
- 3 中学1年 家族とのコミュニケーションを密にしよう
- ―家族の好きなものインタビュー―
- 4 高校1年 コミュニケーションの背景にある文化
- ―東洋のコミュニケーションと西洋のコミュニケーション―
- コラムC メディア・リテラシーの基本原則
- 第5章 様々な重要概念で深める学び
- 1 中学1年 身の回りのシステムに気づく
- ―国語と技術の共通点・相違点発見による概念理解―
- 2 中学2年 時を超えた共感と共鳴
- ―『平家物語』を通して「見ぬ世の人」と対話しよう―
- 3 中学3年 メディアの誘導
- ―モードの違いを意識した編集活動を解釈にいかす―
- 4 高校1年 動物の権利と人間の責任
- ―ジャンルによる主題の伝わり方を探究する―
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
本書は,国際バカロレア中等教育プログラム(MYP)「言語と文学」において,どのような授業が行われているのかを紹介する本です。前作『「探究」と「概念」で学びが変わる!中学校国語科 国際バカロレアの授業づくり』に続く,第2弾です。
前作では,国際バカロレアがどのような使命や理念をもって教育を行っているのか,また「言語と文学(日本でいう国語)」の授業づくりをどのように行っているのか,という点について,国際バカロレアの公式ガイドをもとに解説し,海外のインターナショナルスクールでの実践を中心に紹介していきました。
前作が「理論編」だとすれば,本書は「実践編」にあたります。
近年では,国内でも国際バカロレア認定校・候補校の数が増えてきました。また,それらの学校で多くの先生方の努力と工夫により,様々な実践が積み上げられてきています。
本書では,その一部をご紹介することで,国際バカロレア「言語と文学」の実際の授業内容や,これまでの「国語」との共通点や相違点などをお伝えできればと考えています。
国際バカロレアの授業づくりにおいて重要になってくるのが「探究」と「概念」です。国語の授業の中でどのような「探究」を行っていくのかについては,これまでにも多くの本が出ていますが,「概念」をどのように扱うのかについて言及している本はまだ多くありません。本書をご覧になっていただき,それぞれの単元の中で「概念」がどう位置づけられ,活用されているのかに注目してみてください。同じ「概念」でも多彩なアプローチがあり,学年を追って探究テーマが深まっていくことが,お分かりいただけるでしょう。
国際バカロレアMYPは,11歳から16歳までを対象としたプログラムです。国内では,中学校と高校1年生に該当します。本書に掲載されている実践にも,それぞれ中学校から高校1年生までの対象学年を掲載していますが,それはあくまで目安です。学校や子どもたちの状況に合わせて,様々な学年で実践することができます。
本書は,中学・高校で国語を教えている先生方を主な読者として想定しています。国際バカロレア校だけでなく,どの学校でも活用できる「主体的・対話的で深い学び」を促す授業づくりのヒントが盛り込まれています。ぜひご活用ください。
また,これから国際バカロレアの学校で働きたい,国際バカロレアを研究したいという大学生・大学院生の方にも手に取っていただきたいと考えています。本書が今後の国語教育を考える上での一助になれば幸いです。
2021年10月 /中村 純子・関 康平
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- 明治図書