- まえがき
- 序 所見になぜ「支援の言葉」が必要か
- 1 はじめに
- 2 所見に「支援の言葉」が必要なのはなぜか
- 3 子どもをより伸ばす(変える)所見でありたい
- T 支援の観点からみた望ましい所見文例
- 1 「支援の言葉」を見つける教師の技術
- (1) 情報収集法1(座席表活用)
- (2) 生活日記の活用
- (3) ポストイットの活用
- (4) 長谷流情報収集法
- 2 望ましい所見文例、10のポイント
- (1) 子どもを伸ばさない所見文例10例
- (2) 「望ましい所見文例」10のポイント
- 3 望ましい所見文例の補足?蛇足
- U 使ってはいけない表現と語句
- (1) 教育観の誤りによる表現・語句
- (2) 人権感覚を疑われる表現・語句
- (3) 具体性に欠ける表現
- (4) 一面だけをとらえ、すべてのように書く
- (5) 断定的に決め付けた表現・語句
- (6) 思いあがりからくる表現
- (7) 他と比較する表現
- (8) 家庭批判につながる表現・語句
- (9) 指導力不足を責任転嫁する表現
- (10) 専門用語・抽象的な用語・難解な語句
- (11) いきなり冒頭から注意が書いてある
- (12) 長所を短所としてとらえる
- (13) 指導や取り組み、今後の方向性がないもの
- (14) わかりきったこと
- (15) 所見記入に役立つ正しい表記法
- V 「支援の言葉」を入れた成績に関する所見文例
- 1 成績のよい子どもの所見文例(15例)
- (1) 具体的な事実をもって褒めること
- (2) 期待感をもって方向を示す
- 2 成績の普通の子どもの所見文例(9例)
- (1) 長所伸展法で書こう
- (2) ささやかな進歩を見つけて
- 3 成績のよくない子どもの所見文例(12例)
- 4 成績がよくなった子どもの所見文例(11例)
- 5 成績が下がった子の所見文例(9例)
- 6 国語、社会、算数、理科はよいが音楽、図工、体育の悪い子どもの所見文例(14例)
- (1) まずもって国社算理で自信を持たせる
- (2) 次に音楽、図工、体育の事実を書く
- (3) 方向性を示す
- (4) 期待している旨を表す
- 7 音楽・図工・体育はよいが国語・算数・理科・社会の悪い子どもの所見文例(19例)
- (1) 小学校時代の思い出
- (2) 得意な教科で自信を持たせる
- (3) 成長や進歩の様子を書く
- 8 努力しているわりには成績のよくならない子どもの所見文例(21例)
- (1) 良いことだけを書く
- (2) 努力の中身を具体的に書く
- (3) どの点が良かったのか書く
- 9 学習態度は悪いが成績のよい子どもの所見文例(5例)
- 10 学習態度はよいが成績の悪い子どもの所見文例(15例)
- W 「支援の言葉」を入れた学習態度に関する所見文例
- 1 学習意欲/積極性に関わる所見文例(13例)
- (1) 学習意欲・積極性がある子
- (2) 学習意欲・積極性に劣る子
- 2 授業中の集中度・根気・まじめさに関する所見文例(32例)
- (1) 「集中度・根気・まじめさ」評価の難しさ
- (2) 具体的な場面を切り取る
- 3 学習技能に関する所見文例(35例)
- (1) 学習には技能が必要である
- (2) 学習技能とは「〜の仕方」である
- 4 学習習慣/家庭学習に関する所見文例(34例)
- (1) 自学はバラエティに富んでいる
- (2) 努力の過程のすばらしさを書く
- (3) ほんのちょっとの成長も見逃さずに書く
- 5 発言に関する所見文例(34例)
- 6 友達との協力に関する所見文例(29例)
- (1) 子どもたちはいつでも協力している
- (2) 教師が留意しておくべきこと
- X 「支援の言葉」を入れた行動等の所見文例
- 1 明朗快活に関する所見文例(3例)
- 2 自主積極に関する所見文例(3例)
- 3 創意工夫に関する所見文例(4例)
- 4 責任感に関する所見文例(5例)
- 5 勤労奉仕に関する所見文例(3例)
- 6 思いやり・親切に関する所見文例(5例)
- 7 自然愛護に関する所見文例(3例)
- 8 基本的生活習慣についての所見文例(5例)
- 9 公平・公正に関する所見文例(6例)
- 10 行動に関する所見文例(3例)―目立たない子どもの場合―
- Y 「支援の言葉」を入れた特別活動の所見文例
- 1 話し合い活動に関する所見文例(9例)
- (1) 司会役で活躍した子
- (2) 進んで発言している子
- (3) まじめに話し合いに参加している子
- 2 係活動に関する所見文例(7例)
- (1) 係活動が大好き!
- (2) 係活動と呼ばれているもの
- (3) 係活動ならではの配慮はこれ
- 3 集会活動に関する所見文例(7例)
- (1) 集会活動をどう見るか
- (2) 準備段階での所見のポイント
- (3) 集会当日の所見のポイント
- 4 委員会、クラブ活動に関する所見文例(9例)
- 5 学校行事に関する所見文例(13例)
- Z 通知表の見方を保護者にどう伝えるか
- 1 保護者に伝える二つの視点
- (1) 長所を伸ばそう
- (2) オンリーワンを目指そう
- 2 保護者の意識を変えるために
- あとがき
まえがき
本書は、「子どもをほめて伸ばす」という考え方に基づいた所見文例集である。
ほめて伸ばすために、「支援の言葉」が必要なのである。
本書を書くにあたり、サークルで何度も検討した。
「通知表に欠点を書く教師なんか、今はいないのではないか。」
「私たちが書こうとしていることは、今や常識になっているのではないか。」
「いくつかその子の良い点、頑張った点を書いて、最後に少し問題点を書くくらいのことは殆どの先生がしているはずだ。」
こうした意見が、最初はあった。
そこで、いろいろなところから情報収集をした。
それとはなしに、同じ職場の先生方に「どんな感じで所見を書いているのか」を聞いてみたりもした。
すると、私たちが考えていたことは常識ではなかったのである。
所見の書き方には色々あった。
私も新卒の頃やっていたが、所見文例集を見て適当なものを選んで書くという方法もある。
私か一番驚いたのは、「子どもの問題点、悪い点は、きちんと書くべきだ。」と考えている先生が少なからずいることである。
現実に、所見の殆どを、その子の欠点で占めたものも存在する。
つまり、現実には欠点ばかりが綴られた所見は珍しくないのである。
本書は、所見には基本的に子どもたちの欠点問題点は書かないということを原則にしている。
どの子にも頑張った点や良い点があるはずだという考え方がベースになっている。
ただ、どうしても問題点を書く場合は、課題として、「どうすればよいか」を明記する形で書こう、励まし応援する気持ちを込めて書こうと共通理解した。
基本的には、その子を知ってる教師だけが、本当の支援の言葉が書けると考えている。
だから、本書の文例をそのまま書いても、子どもやその親の心に伝わらないかもしれない。
しかし、所見をどう書いてよいのか悩んでいる先生、若い先生には本書の文例はかならずや参考になると信じている。
子どもたちが、通知表を見て、所見欄を見て「頑張ろう」つて思うような所見欄を書きたい。その気持ちこそが大切なのだと思う。
いなば教育サークル代表 /長谷 博文
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