- まえがき
- 一 国際社会で堂々と渡り合える日本人を育てる!
- 1 世界から見た日本観
- 2 自国に誇りを持てない日本人
- 3 自国に誇りが持てる教育をする
- 4 日本人の気概を教える
- 二 ネット社会の日本人の生きがい
- 1 新たな世界〜インターネット社会
- 三 世界に和食を広め定着させた日本人
- 1 授業「世界に誇る和食」
- 四 地球温暖化で存亡の危機に立つ国を支える日本人
- 1 プラスチックを油に還す装置
- 2 存亡の危機に立つマーシャル諸島
- 3 ゴミの山からマーシャルを救う
- 五 世界を驚嘆させたハイテク測量・地図化技術
- 〜伊能忠敬の生き方@
- 1 世界各地で眠っていた伊能図
- 2 授業「伊能忠敬」
- 六 世界を驚嘆させたハイテク測量・地図化技術
- 〜伊能忠敬の生き方A
- 1 伊能忠敬の夢
- 2 夢をかなえるために大切なこと@
- 3 夢をかなえるために大切なことA
- 4 夢をかなえるために大切なことB
- 5 夢をかなえるために大切なことC
- 6 感想編
- 七 観光立国日本を教える授業をつくる
- 1 日本は観光大国か?
- 2 日本への観光者数の現状
- 3 観光産業の経済規模はトップ
- 4 日本をアピールする
- 5 観光のトレンドをリサーチする
- 八 世界最先端の発電システム「海洋温度差発電」は日本人の誇りである
- 1 「海洋温度差発電」の教材としての価値
- 2 「海洋温度差発電」複合プラントは人類を救う
- 3 日本初「海洋温度差発電」が世界を救う
- 九 進化し続けるタフな文化 歌舞伎
- 1 スーパー歌舞伎は歌舞伎か?
- 2 歌舞伎の誕生「阿国歌舞伎」
- 3 何度もあった歌舞伎の危機
- 4 進化する歌舞伎の演出
- 一〇 世界に誇るだし文化 うま味=@前編
- 1 味を伝える仕組み
- 2 うま味とは何か
- 3 うま味の発見
- 4 うま味の正体
- 5 うま味は国際語
- 一一 世界に誇るだし文化 うま味=@後編
- 1 うま味の脳への効能
- 2 うま味の身体への効能
- 3 だし文化は日本人の誇りである
- 一二 牛乳文化に見る日本の底力「融合力」
- 1 危機的状況にある牛乳文化
- 2 明治政府が発展させた牛乳業
- 3 当時の牛乳は日本酒と同じ値段
- 4 量り売りからビンの宅配へ
- 5 牛乳と日本の環境対策
- 一三 江戸幕府は優れたシステムの集合体である
- 1 討論で見せた子どもたちの日本国益論
- 2 ノートまとめ「江戸時代の文化をつくりあげた人々」
- 一四 日本人の気概
- 〜それでも私は助ける
- 1 強制収容所の恐怖
- 2 助けを求める人々
- 3 決 断
- 4 決死のビザ発行
- 5 最後の最後まで書き続けたビザ
- 6 冷たい処分
- 7 命の恩人「スギハラ」
- 8 感想編
- 一五 歴史に名を残す人物の日本に果たした役割を検討する
- 1 小村寿太郎の政治に賛成
- 2 小村寿太郎の政治に反対
- 一六 「日本の伝統文化」というカテゴリーを子どもたちに教える
- 1 日本の誇るべき文化たち
- 2 日本の伝統文化を教材化する
- 一七 伝統文化を教え、観光立国する子どもたちを育てる
- 1 日本の誇るべき文化たち
- 2 「茶道」を教材化する
- 3 「水墨画」を教材化する
- 4 子どもに伝えたい伝統文化
- 5 「愛国心」の意味
- 6 「社会主義」と「愛国心」は相反するのか
- 一八 漆工芸
- 1 概 略
- 2 歴 史
- 3 授業構想(実習も含めて)
- 4 必要な教材教具
- 5 必要なゲストティーチャー
- 6 問合せ先(研究会)
- 一九 水墨画
- 1 概 略
- 2 歴 史
- 3 授業構想(実習も含めて)
- 4 必要な教材教具
- 5 必要なゲストティーチャー
- 6 問合せ先(研究会)
- 二〇 竹細工について
- 1 概 略
- 2 竹細工の歴史〜別府竹細工〜
- 3 授業構想(小学四年生)
- 4 必要な教材教具
- 5 必要なゲストティーチャー
- 二一 陶芸レポート
- 1 陶芸の概略
- 2 陶芸の歴史
- 3 日本の主な陶芸品の産地
- 4 授業構想
- 5 必要な教材教具
- 6 必要なゲストティーチャー
- 7 問合せ先(研究会)
- 二二 盆栽について
- 1 概 要
- 2 盆栽の歴史
- 3 授業構想
- 4 必要な教材教具
- 5 必要なゲストティーチャー
- 6 問合せ先
- あとがき
まえがき
「ウォークマンは、どこの国がつくったんだ!!」
ソニーの創業者故盛田昭夫が机を叩いて声をあげた。
今から二〇年以上前のとある国際会議でのこと。
世界中の大企業トップが集まった会場で、日本が揶揄された。
「日本は、外国のモノマネ製品をつくるのがうまい」
それに対する回答が冒頭の盛田発言である。
ウォークマンの生みの親は、盛田と同じソニーの創業者井深大である。
いまから三〇年前、出張を前にした井深は、後に社長となる技術者大賀典雄氏をつかまえて「再生だけできるテーププレイヤーを作ってくれないか。スピーカーはいらない。ヘッドホンで聞くから」と依頼した。
大賀氏は、突拍子もない社長の依頼を懸命につくり上げる。井深は、そのできばえに大いに満足し、盛田に持ちかける。
「歩きながら聴けるステレオのカセットプレイヤーがあったらいいと思うんだけどね」
盛田氏も「これは売れる!」と判断した。
しかし、社内は大反対。
「録音機能のないテープレコーダーが売れるはずがない」
と。
盛田も井深も多くの反対や困難を乗り越えてウォークマンを製品化する。
これが、現在のワールドブランド「ウォークマン」の出生秘話である。
現在世界を席巻するiPodが世に出たころ、アップル社長スティーブ・ジョブズは、しばしばそれを「二一世紀のウォークマン」と呼んでいた。
井深・盛田のウォークマンがなければ、現在のiPodはない。
二人は、世界を変える商品を開発したのである。
これを子どもたちに伝えると、大層驚く。
そして、次のような感想を言う。
「日本人に生まれて良かった」
「日本を誇りに思う」
世界の最先端は、日本のものづくりに支えられている。
それだけではない。
日本人の思想が、行動が、さまざまな面で世界を支え救っている。
本書には、子どもたちに語り継ぎたい先人を授業として紹介されている。
日本に誇りを持てる子どもを育てるために、「日本人に生まれてよかった」と思える子どもを育てるために、本書を役立てていただきたい。
平成二一年二月 /河田 孝文
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- 明治図書