〈集団統率力で学級の崩壊を防ぐ〉問題提起8
統率力で規範意識を育てる

〈集団統率力で学級の崩壊を防ぐ〉問題提起8統率力で規範意識を育てる

どの子にもあらゆる場面で規範意識を育てよう!

子どもの規範意識を育てる基礎基本は何か、親の力で規範意識を育てる、担任教師の力で規範意識を育てる、崩壊クラスの規範づくり、学級の「子ども集団の力」で規範意識を育てる、校長の力で規範意識を育てる、海外研修で生徒の規範意識を育てるなど事例解説。


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ISBN:
978-4-18-249225-9
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 216頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年12月6日
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目次

もくじの詳細表示

教師の学級統率力を見直す /明石 要一
はじめに /明石 要一
T 子どもの規範意識を育てる基礎基本
一 子どもの疑問・質問に正面から答えよう
二 父親の役割は何か
1 武士の父親は何をしたか
2 カウボーイの父親の役割
三 「ちょい悪」文化で規範を育てる
1 子どもの「やんちゃ」とは何か
2 ギャング・エイジが大切
四 「第三の大人」の役割
五 今の子どもに必要なしつけは何か
1 ネット利用のしつけの期待と不安
2 子どもの順序制のしつけ
3 基本的な生活習慣のしつけ
六 しつけは「子育ては手抜きをせよ、しかし気は抜くな」を心がけよう
U 親の力で規範意識を育てる
一 規範意識のズレ
1 規範意識のズレはどこから
2 「しつけ」重視の傾向
3 「自己(子)中心的」な保護者の存在
二 親の規範意識の重要性
1 規範意識を形成する親の教え
2 三歳までにしつけたいこと
3 幼稚園・保育所に入るときには
三 先人に学ぶ家族の教え
1 「家訓」・「什の掟」に学ぶ
2 「親父の小言」に学ぶ
3 家庭での「ならぬもの」は何か
四 親の背中で教える(行動で示す)
1 親の背中で教える@「席をゆずる」
2 親の背中で教えるA「見送る」
五 大切な公の場での親の叱り方
1 他律的な規範意識を示す叱り方
2 自律的な規範意識を示す叱り方
六 家族の約束を家族会議でつくる
七 家族のコミュニケーションが規範意識を育てる
八 親をどう育てるか
1 幼稚園・保育所で親子の規範意識を育てる
2 「就学時健康診断」と「入学式」で「未学習」の親と関わる
3 教職員全体で保護者をサポートする
九 教師と保護者の信頼関係こそ、規範意識を育てる
1 「保護者をほめる」
2 「先生をほめる」
一〇 「第三の大人」として子どもと関わる
1 親子レクで「第三の大人」を増やす
2 子どもの友達の「第三の大人」になる
一一 「相互補完」の精神で
一二 「ペイ・フォワード」の気持ちで
V 担任教師の力で規範意識を育てる
―「序・破・離」を意識した指導
一 「黄金の三日間」でしたいこと
1 絶対に守ってほしいルールを示す
2 担任としてこだわりたいルールを示す
二 三週間目までにしたいこと
1 学校生活上のルールを徹底する
2 学習のルールを徹底する
三 三カ月目にしたいこと
1 道徳の時間と関連させて指導する
2 学級活動の時間を生かす
四 半年目にしたいこと
1 行事を活用して規範意識を育てる
2 音読の教材で考えさせる
3 緊急な対応をする
4 保護者から受容してもらっていることを指導に生かす
五 一年を終えるときにしたいこと
1 子どもたち同士が相互に評価する
2 担任からも評価をする
W 崩壊クラスの規範づくり
一 崩壊クラスとの出会い(着任から学級開き)
二 クラスのバンチョウ「N君」と付随する四名の仲間たち
三 手紙作戦とはがき作戦(とにかく心をつかみたい)
四 友達から評価を受けつつも、すぐには変わらない
五 担任の願いをプリントする(変化はしているが、問題行動はまだまだ目立つ)
六 三者面談で、自分の目標を整理する
七 目標の明確化
八 崩壊の原因を分析し、一点突破で対策を立てる
X 学級の子ども集団の力で規範意識を育てる
―「学級ミニコミ」を使って
一 「学級ミニコミ」をつくる
二 自分で考えるように促し、考えを深めさせる
三 先回りして止(とど)め、止(とど)まったことをほめる
四 集団を意識した行動を煽り、行動が現れたら称讃する
五 「集団の力」が規範意識を育てる
Y 算数の授業で規範意識を育てる
一 算数的規範意識
二 出会い〜考えるっておもしろい〜
三 授業びらき
四 過程が大事
五 いつでもそうかな
六 よりよい物を選択する 友達の考えを把握し、説明する
七 よさを味わう
八 日常の生活の中で
Z 校長の力(メッセージ)で規範意識を育てる
一 低下していた規範意識
1 万引き事件
2 火遊び事件
二 学校全体の取り組み―生徒指導計画
三 生活習慣の定着と規範意識の確立の実践
1 はまっこ合格認定証
2 はまっこのあいさつ
3 高浜第一小学校の十カ条
4 高浜第一小学校名詩一〇〇選―宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の暗唱
5 毎月の生活目標
四 指導の成果
1 万引き調査の結果
2 学校生活への満足度調査結果
3 学校全体での指導
[ 海外研修で生徒の規範意識を育てる
一 社会性・コミュニケーション能力を身につける〜生活の中でのライブ体験〜
1 あいさつの効果
2 ホームステイの効果
3 自分との対話―「他者との関わり方」も学ぶ
二 基本的生活習慣の確立〜ホームステイで、思いやり・感謝の心・我慢する心を育てる また、自立に向けての準備として〜
1 食事で生活習慣のリズムを回復する
2 洗濯は自分の手でする
3 お風呂・バスルームでエコ環境を学ぶ
4 リビングで英語力の向上
5 携帯電話、パソコン、ゲームのない世界
6 様々な家庭(家庭形態、家庭事情)の理解
7 父親の役割
8 教会でしつけを学ぶ
三 学校で「外国」と「日本」の違いを学ぶ
1 授業中
2 制 服
3 校内で
4 自己肯定感を高める教育
四 安全面について
1 法律・規則の大切さを学ぶ
2 自己責任を実感する
五 最後に
\ 教師の指導力で「教育困難」学級の規範意識を育てる
―職業高校のケース・スタディより
一 今、高校が抱える問題は何か
1 生徒の二極化
2 筆者のクラスの抱えた問題点
二 三年間の指導で手がかかったこと
三 「バラバラ」な教室をどのように立て直したか
1 個別指導と集団指導
2 家庭との連携をどうとったか
四 「立て直し」は自分一人でできたか 学年の協力はあったか
五 教育実践から得た学級立て直しの原則
1 生徒とのコミュニケーションのとり方
2 普通の生徒の集団力を高める
3 個々の生徒の自発性を引き出す
4 家庭との連携の勘所
5 教師集団の支援のとり方
] 集団宿泊活動(通学合宿)で規範意識を育てる
一 通学合宿とは
二 佐倉市での通学合宿
1 生活体験にしぼる
2 ミーティングの重視
3 実行委員会形式での運営
三 子ども・保護者・地域の変化
1 子どもの変化
2 保護者の変化
3 地域の変化
4 感 想
四 子どもの規範意識を高めるために
]T 学校支援ボランティアの力で規範意識を育てる
一 学校支援ボランティアとは
二 子どもたちの規範意識は、「大人の背中を見て育つ」
三 木更津市の学校支援ボランティア活動推進事業
1 ねらい
2 活動の実際
3 推進のための具体的取り組み
四 子どもたちの規範意識は「ありがとう体験」から
五 「第三の大人」が子どもたちの規範意識を育てる
六 子どもたちの規範意識の根幹は、自己肯定感
1 「失うもの、失いたくないもの」があるか、ないか
2 非行少年の嫌いな言葉
3 大人からの信頼=自己肯定感
七 学校支援ボランティア活動を支える教師の意識
]U 社会の力(慣習・言い伝え)で規範意識を育てる
―「江戸しぐさ」プロジェクトの実践(小学校六年)
一 「江戸しぐさ」とは
二 「江戸しぐさ」はマナーや作法を超えたもの
三 「江戸しぐさ」プロジェクトの実践
1 六年生が抱いている願いを布石にする
2 六年生の子どもたちが「江戸しぐさ」に出会い、そのよさを実感する
3 最高学年である六年生として、プロジェクトの願いとゴールを設定する
4 目標の達成のためにチームを結成し、「子ども寺子屋」を開くための準備や練習を行う
5 下級生を「子ども寺子屋」に招待して、「江戸しぐさ」のよさを伝える
6 さらに「江戸しぐさ」のよさを町の人たちにも伝えるために「江戸しぐさかわら版」を作成し、配布した
7 自分たちのプロジェクトを振り返り、成長を実感した
四 「江戸しぐさ」は子どもの規範意識を育てる
おわりに /明石 要一

はじめに

   規範意識の育成はどうすればよいか―福井県に学ぶ―

 〈福井県になぜ注目するか〉

 文部科学省が学力調査を四三年ぶりに実施した。そこで注目されたのが秋田県である。前回最下位に近かった秋田県がトップに躍り出たことで全国的に注目を浴びたのである。

 各都道府県の教育関係者が「秋田詣で」を始めている。確かに、秋田県は小学校、中学校とも学力テストの結果、三年連続上位を占めている。しかも体力テストも二年間上位を保っている。少年非行、不登校も少ない。

 しかし、視点を変えてみると大学進学率では秋田県は芳しくない。進学率は、三七%にとどまる。全国ランキングでは四〇位である。例えば、東京大学進学者は八人である。東北六県で一番低い。

 問題は大学進学率だけにとどまらない。規範意識の低下の一つに考えられる高齢者の自殺率でもトップである。子どもの頃はよいのだが、成長するに連れて進学率が低下し、家族の絆が薄くなっているのが、気になる。

 秋田は注目されるが福井県は話題に上っていない。不思議でならない。四三年前の学力テストの結果、福井は富山と共に上位にあった。そして、今回の参加のテストでもベスト5に入っている。

 この成績は学力テストにとどまらない。体力テストの結果でも上位を維持している。そして、規範意識の指標の一つになる少年非行の発生率〇・〇九%で、少なさベスト5に入っている。さらに、高齢者の自殺率も全国三二位と低い。

 なぜ、福井県は学力、体力とも上位を占めているのだろうか。そして規範意識も高く、家族の絆も強いのであろうか。


 〈福井県の秘密は何か〉

 手元に『健康格差社会を生き抜く』(近藤克則著、朝日新書)がある。興味深い本である。今は健康格差社会である。その中で、健康の「勝ち組」(長寿)と「負け組」(短命)に分かれている、という。

 そして、著者はこれまでの様々な国のデータを紹介しながら、この格差を生む要因として次のことを上げている。

 @ 経済格差

 金銭的に余裕のある者は定期的に病院に行き、健康診断を受けているので発見が早く処置を受けている。結果として長寿になる。

 A 未熟児は短命

 未熟児は統計的に見ると残念ながら短命になっている。

 B 会社でのストレス

 会社でのストレスが高い人ほど短命である。会社でほどよいストレスを感じる人は長寿である。

 C 家族でのストレス

 夫婦仲が険悪でストレスの高い人は短命である。逆に、円満な夫婦は長寿、というデータがある。

 D 地域社会の絆

 ここに注目したいのであるが、地域社会の絆があるエリアーは長寿であり、絆が薄いエリアーは短命である、という。

 そこで、福井県のデータを見ていく。どのような特徴を指摘できるだろうか。

 @ 経済的に裕福である

 まず、経済的な指標である貯蓄残高を見る。福井は東京、三重に続いて三位である。経済的に裕福である。

 同じことが失業率でも証明できる。労働力人口に占める完全失業者数の割合を見ると、一位の岐阜、二位の島根に続いて三位と低い失業率を示す。

 また、夫婦の共稼ぎ世帯数も多いのである。これは五八・二%とトップである。次が山形、富山が続く。女性の社会進出が高い。俗に言う「一馬力より二馬力」の方が金銭的に余裕が出やすい。

 A 住みやすい

 住みやすさの指標は様々である。ここでは朝日新聞のアエラ編集部が調べた住みやすさを使う。それは「学ぶ・育てる」「安心・安全」「働く・稼ぐ」「住む・暮らす」「楽しむ・生きがい」の五つの分野で尺度を作っている。これによると、福井はトップである。それに滋賀、石川が続く。

 住みやすさを居住空間の広さで見ると、福井は富山に続いて二位に位置する。持ち家率が高く、住まいも一七三・七平方メートルと広いのである。

 そして、三世代の同居率を見るとこれも高い。トップの山形に次いで福井(二位)、秋田(三位)、新潟(三位)が続く。

 B 健康県である

 塩分は控えめである。トップは沖縄であるが、福井は九位と健闘している。そして、お米の消費量は上位である。コシヒカリの摂取量は日本一である。さらに、救急病院・一般診療所の数も福井はトップである。病気にかかっても受け入れ態勢が整っている。

 だからであろうか、福井県の平均寿命は八二・八六歳(平成十七年度)で順位は四位である。長寿県といってよいだろう。

 C 地域の絆がある

 福井県は一向一揆の土地である。一向宗は「講」を行っている。今でも地域によってはお寺などで共同でご飯を持ち寄って食べている。「○○講」を通して地域の絆を深めている。また、ボランティア活動も盛んである。一〇歳以上の参加率は三三・六%と全国で四位である。

 D 図書館の利用率

 都道府県図書館の統計によれば、福井県は蔵書冊数では人口比で三位、個人貸し出し冊数では二位、そして入館者数では一位である。県民の図書利用が高いのである。

 規範意識を育てるには、ひとつのことだけにこだわっては効果が薄い。これまで紹介してきたように、それぞれが複雑に関係しあっている。

 福井県の学力と体力が高いのは学校力だけでなく、家庭力と地域力のサポートがあるからである。家庭でストレスが少なく、地域の絆が深く、健康で長寿の県である。人々にとって住みやすい「まち」なのである。

 規範意識を育てる近道はない。家庭の絆を基礎に、学校での絆を強くして、地域の絆を広めていく、方向を見据える必要がある。


   /明石 要一

著者紹介

明石 要一(あかし よういち)著書を検索»

昭和23年1月17日生まれ

大分県姫島村出身

東京教育大学大学院博士課程満期単位取得退学

専門分野:教育社会学(青少年教育)

文部科学省中央教育審議会生涯学習分科会副会長

文部科学省子どもの居場所づくり推進協議会座長

2010年ゆめ半島千葉国体・大会式典委員会委員長

千葉県青少年問題審議会副議長

専門は教育社会学。1993年に千葉大学教育学部教授に就任。文部科学省中央

教育審議会の生涯学習分科会副会長,千葉大学教育学部学部長,2010年ゆめ

半島千葉国体の大会式典委員会委員長・大会広報委員長等も務める。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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