- 教師の学級統率力を見直す /明石 要一
- まえがき /田口 広治
- T 教師こそが「いじめ」をなくすことができる
- 一 前提として、「いじめ」はどこにでもある 教師こそが「いじめをなくすことができる」という強い自覚を持つ
- 二 「いじめ発見システム」をつくる
- 三 「いじめ対処システム」をつくる
- 四 教師は「ほんのちょっとした行為」を見逃してはならない
- 五 集団の教育力で、「いじめ」と闘う
- U いじめの責任は教師にある
- 一 いじめの責任は教師にある
- 二 「いじめられている子」の立場に立つ
- V 子ども社会のいじめはどうなっているか
- 一 いじめは必ず発生する
- 二 いじめの構造 五つの特徴
- W いじめを発見する方法
- 一 いじめに対応するシステム
- 二 触診=観察の方法
- 三 問診=アンケートの方法
- 1 質問項目が具体的に書かれている
- 2 記入式でなく、丸つけで答えるようになっている
- 3 回数を聞いてある
- 4 先生への相談が入れてある
- 四 検査=調査・質問の方法
- X 小学校低学年のいじめの構造を壊す方法
- 一 いじめへの対応
- 二 またも、問題発生
- 三 問題の分析と解決法
- 四 授業で子ども同士の関係をつくる
- 五 授業で苦手な子どもをできるようにする
- 六 「一人ぼっちの子」の調査を行う
- Y 小学校中学年のいじめ構造を壊す方法
- 一 中学年の特徴
- 1 「境界知能」
- 2 九歳の壁
- 3 発達障害といじめ
- 二 中学年のいじめの構造を破壊する
- 1 授業での逆転現象
- 2 いじめへの対応
- 三 『発達障害といじめ いじめに立ち向かう一〇の解決策』より
- Z 小学校高学年のいじめ構造を壊す方法
- 〜教師が本気で闘うしかない
- 一 「もう誘わんようにした」
- 二 授業で変える…リレーの授業
- 三 教師が本気になって闘う…「いじめゼロ宣言」の取り組み
- 四 授業参観、学級通信で保護者に呼びかける
- 五 いじめゼロ宣言
- [ 中学校のいじめの構造を破壊する方法
- 中学校のいじめの構造を破壊するには相手を見くびらず、かつ複数の教師で闘うこと
- 一 絶対やめたい、学年内処理
- 二 教師集団で闘うこと
- 三 ボスの良心に訴える
- 四 いじめ指導にも「我流」がある
- 五 燃えるような「怒り」と包み込む大きさを持て
- \ 女子のグループ化の構造を壊す方法
- 一 高学年女子の問題への取り組みに必要な一〇原則
- 二 高学年女子のグループ化の構造を破壊する
- 三 グループ化の構造を破壊したその後
- ] 男子集団のいじめ構造を壊す方法
- 一 小さな違和感を見逃さない
- 二 じゃれているのか 意地悪なのか
- 三 女子の正義感を生かす
- 四 百人一首の効果
- 五 周りの子を味方につけて闘う
- 六 グループ決めでつめる
- ]T 万引き・恐喝の構造を壊す方法
- 一 万引き・恐喝の構造
- 二 万引きの習慣化は、本人を不幸にする
- 三 万引き・恐喝の構造を破壊する方法
- ]U いじめ撲滅に取り組む学校の仕組みづくり
- 一 学校としてのシステムをつくる
- 1 いじめに対応するシステム
- 2 いじめを発見するシステム
- 3 いじめに対処するシステム
- 二 学校での提案
- ]V いじめの構造を破壊する授業・学級経営
- 一 授業で人権感覚を問う
- 二 友達の頑張りを認め合う
- 三 弱いものをかばおう
- 四 子どもに力をつけること、そして、教師がほめること
- あとがき /田口 広治
まえがき
ある教師の子どもがいじめにあったという。
持ち物にいたずらをされたり、陰口を言われたりしたという。「学校に行きたくない」と言っているのだ。
担任の先生はすぐに動き、話を聞いたり、家庭訪問をしたりした。
周りの友達も助けてくれたそうだ。
その担任の先生も、ずいぶん悩んでいたそうだ。
どう対応したらいいのか、学級全体で取り上げた方がいいのか、学級の仲がよくなるような授業をしたらいいのか、様々なことを考えたそうだ。
努力の甲斐あって、「いじめ」の状態はひとまずなくなったそうである。
しかし、いい雰囲気にはなかなか戻らなかったという。
そのような学級、そのような悩みを抱える教師は、いたるところに存在するだろう。
向山洋一氏は、差別構造を壊す三つの基本として、次を挙げている(『いじめの構造を破壊せよ』明治図書)。
第一は「楽しい授業をする」こと。
第二は「百人一首」「チャレラン」などの躍動するイベントをすること。
第三は「どの子にも友だちができる」ように配慮すること。
私自身、この三つを意識しながら、授業や学級経営を行っている。
特に、「楽しい授業」を行い、子どもに力をつけていくことを意識して続けている。
また、「百人一首」も大事である。学級が楽しい雰囲気になる。子どもたちも大好きである。
向山氏は、「どの子にも友だちができる」ように配慮することが一番難しいという。
子どもを、一人一人、しっかり見る必要がある。子どもを見る仕組みをつくる必要もある。
向山氏は、次のように言う。
「いじめ」は教師だけがなくすことができる。
「いじめ」をなくすことは、教師の重大な仕事なのである。
すべての学級から、「いじめ」をなくさなければならない。「いじめ」の構造を壊さなければならない。
そのために、本書が役立てば幸いである。
本書を執筆するに当たって、明治図書の江部編集長には、終始アドバイスと励ましを頂いた。また、TOSS代表の向山洋一先生、日頃からご指導を頂いているTOSS熊本の椿原正和先生なしには、本書はできなかった。ここに感謝の意を表したい。
二〇一〇年六月 /田口 広治
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- 明治図書