若い教師力アップ選書1
図解 伝統的な教育理論に学ぶ授業づくりの基礎

若い教師力アップ選書1図解 伝統的な教育理論に学ぶ授業づくりの基礎

好評2刷

教師として知っておきたい基礎理論と授業づくりへの活用法

授業のプロに求められる「技」とは何か。教師が上手に教えれば、知識・理論や技能ばかりでなく考える力を高める。さらには学習に対する関心、意欲も身につける。本書によって若い教師が、子どもたちの学んだ力としての「学力」と「学習力」を育てるコツがわかる。


紙版価格: 1,860円+税

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電子書籍版: なし

ISBN:
978-4-18-244413-5
ジャンル:
授業全般
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 136頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年10月16日
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目次

もくじの詳細表示

まえがき
第1章 伝統的な教育理論に学ぶ授業づくり
1 言葉にこだわって指導する「言語主義」の授業づくり
「言語主義」では言葉をとおして教える/ 「言葉」を大切にする授業づくり/ 言葉で説明させて理解をたしかめる
2 知識の量と正確さを重視する「主知主義」の授業づくり
「主知主義」は知識を身につけることに重きをおく/ 知識と感性とは相反するものではない/ 教師が基礎・基本となる知識を抽出する
3 科学の知識体系を身につける「系統主義」の授業づくり
「系統主義」は「経験主義」の対極にある/ 「系統主義」の核心は知識体系の科学性にある/ 科学の原理や知識を整理してあたえる授業づくり
4 5つの学びの段階を順に追う「5段階教授」の授業づくり
「5段階教授」はドイツで生まれ世界に広がる/ 「5つの段階」が提起するそれぞれの内容/ 授業の導入,展開,整理で5段階教授を活かす
5 子どもの自発性や個性を尊重する「児童中心主義」の授業づくり
「児童中心主義」は書物中心の教育からの脱皮/ 「児童中心主義」は規律や規則を否定する/ 子どもが主人公になる授業づくり
6 実物をみて理解をたしかにする「直観主義」の授業づくり
「直観主義」は五感を活かした学習法/ 「直観主義」の核心は見たり,聞いたり,触れたり/ 「チョークとトーク」から脱出する授業づくり
7 経験することによって学ぶ「経験主義」の授業づくり
「経験主義」はデューイによって発展し日本にも影響/ 為すことによって学ばせる経験カリキュラム/ 仮説・実験・検証には討論する過程が欠かせない
8 五感を超えた感性で体得する「感覚主義」の授業づくり
自分の心と体をもって学びとる「感覚主義」/ 「感覚」の世界は記号化,マニュアル化できない/ 教師がモデルを示すことの教育的意味
9 ワザを磨きウデを上げる「技能主義」の授業づくり
「技能主義」の目的はワザを磨きウデを上げる/ 「技能主義」ではワザの体得を原則とする/ 技能や技術にすぐれた子を見つけ伸ばす授業づくり
10 日常生活で直面する問題を解決する「問題解決主義」の授業づくり
「問題解決主義」では実生活の問題を教材化する/ デューイの反省的思考が「問題解決主義」の原点/ 子どもの意欲をかき立てる問題解決の授業づくり
11 児童中心主義の弱さを克服する「改造主義」の授業づくり
「改造主義」は,教えるべきは教える児童中心主義/ 「改造主義」では社会的自己実現をめざす/ 授業づくりに欠かせない教育の目的の明確化
12 科学の法則を実証して見つける「実証主義」の授業づくり
「実証主義」では観察できる現象のなかから法則を見つける/ 「実証主義」の基盤は経験による現実の直視/ 事実にもとづいて考え判断する態度を育てる授業づくり
13 刺激─反応によって知識を身につける「行動主義」の授業づくり
「行動主義」では知識は刺激─反応によって身につく/ 「行動主義」が消去,強化,学習の転移を発見した/ 目標の設定,教材の配列,指導の方法が授業づくりの基本
14 一人ひとりの多様な能力を活かす「能力主義」の授業づくり
「能力主義」の目的は能力を分けることでなく能力に応じること/ 「能力主義」もまた平等主義のひとつ/ 習熟度別学習は子どもの個人差に応じる授業づくり
15 子どもの得意なやり方で学びとる「個別主義」の授業づくり
教育はもともと「個別主義」からはじまった/ 「個別主義」は能力差を前提にしてはいない/ 子どもが自分の速度とやり方で学ぶ授業づくり
第2章 各種の学習理論を活かした授業づくり
16 典型的な教材を選んで学習する「範例学習」を活かす
「範例学習」では教科の基礎的・本質的事例を取り上げる/ 「少ない内容を,深く徹底する」が学力を形成する/ 教科の本質に迫り焦点化する学習材を見つける
17 スモールステップで一歩一歩すすむ「プログラム学習」を活かす
「プログラム学習」では階段を登るように目標に近づく/ 「プログラム学習」の5つの基本原理/ 明確な学習目標を設定することが授業づくりの根本
18 どの子も完全に目標に到達させる「完全習得学習」を活かす
「完全習得学習」ではだれもが目標に到達できる/ 到達目標までの行動を分析して教材配列と途中評価をする/ 形成的評価と個別指導を取り入れた授業づくり
19 前もって学習内容の全体像を学ぶ「有意味受容学習」を活かす
「有意味受容学習」では教師がまとまった内容を与える/ 先行オーガナイザーが子どもの理解を助ける/ 単元のはじめに学習の全体像を教えてしまう
20 目的をきめて計画,実行,評価する「プロジェクト学習」を活かす
「プロジェクト学習」では子どもが目的をきめ計画する/ 子どもの創意工夫,探究心,計画性が育っていく学習/ 学習に向かう最大のエネルギーは主体的な参加
21 仮説・検証で法則や原理を見つける「発見学習」を活かす
「発見学習」で科学の概念や法則を見つける/ 聞いたことは忘れ,見たことは覚え,おこなったことは理解する/ 発見学習による授業づくりの具体的な手順
22 仮説を立て集団のなかで討論する「仮説実験授業」を活かす
「仮説実験授業」は日本で生まれた理科の発見学習/ 「授業書」によって子どもを問題場面に直面させる/ 子どもに予想と討論をさせる授業づくり
23 個性に合わせて最適に教える「適性処遇交互作用(ATI)」を活かす
「適性処遇交互作用」は子どもの適性に合わせた教え方/ 子どもの学習タイプには視覚型,聴覚型,触覚型がある/ 聞いて分かる子,読んで分かる子,体験して分かる子がいる
24 反復練習で基礎・基本を身につける「ドリル学習」を活かす
「ドリル学習」で繰り返して覚える勉強法もある/ 「ドリル学習」には強制力・励まし・達成感がいる/ 好きであろうがなかろうが,しなければならない学習もある
25 学習のあいだに適当な休憩を入れる「分散学習」を活かす
「分散学習」は休憩を入れることで効果をあげる/ 学習の内容によって「分散」と「集中」を選択する/ 子どもの集中力は10分間隔のTVコマーシャル
26 完成水準に達したあとも学習を続ける「過剰学習」を活かす
「過剰学習」はできるようになっても練習を続ける/ 「過剰学習」のできる子はより高い学力が得られる/ 練習を続けたくなる環境づくりと支援的な評価
第3章 学習の効率と深化を両立させる授業づくり
27 学習範囲と学習系列を組み合わせる「スコープとシーケンス」を活かす
「スコープ」は学習内容の範囲と領域の軸/ 「シーケンス」は学習内容の系列と順序の軸/ 生活の範囲と学習の系列を組み合わせた授業づくり
28 子どもの生活経験を学習の核にする「コア・カリキュラム」を活かす
「コア・カリキュラム」の「コア」は中心となる核のこと/ 戦後日本のコア・カリキュラムの核は子どもの生活経験/ はい回る経験主義にならないカリキュラムと授業づくり
29 子どもの発達にそって上へ積み上げる「らせん型カリキュラム」を活かす
「らせん型カリキュラム」ではコイル状に学習が高まる/ 子どもの発達段階に合わせて繰り返して学習する/ 各教科でも総合的学習でもできるらせん型の学習
30 無意識のうちに学びとっている「潜在的カリキュラム」を活かす
「潜在的カリキュラム」は意図もなく公式の表明もない/ 無意識に成立している教育を意識化して改善する/ 「潜在的カリキュラム」は目に見えないが教育力が高い
31 最低限,身につけておきたい「ミニマム・エッセンシャルズ」を活かす
「ミニマム・エッセンシャルズ」は精選された最低限の内容/ 「ミニマム・エッセンシャルズ」は読み・書き・計算だけでない/ 教える内容を精選することが分かりやすい授業を生む
32 教材と指導法を選ぶよりどころになる「授業目標の具体化」を活かす
「授業目標の具体化」は単元の内容と子どもの実態から/ 「授業目標の具体化」は教育目標のタキソノミーをもとに/ 授業目標の書き方は一文一義主義にする
33 法則が先か,事例が先かの「ルレッグ法とエグルール法」を活かす
「ルレッグ法」は先に法則を学んでから事例を知る/ 「エグルール法」は事例を学んでから法則を知る/ どちらを選択するかは目標,分野,時間による
34 2つ以上の側面から考えられる「脱中心化思考」を活かす
「脱中心化思考」はひとつの要素だけに注意を集中しない/ 「中心化」の思考ならば見かけに惑わされる/ 多くの要素を総合して物事を判断できる力を育てる
35 忘れるときの不規則性をあらわす「忘却曲線」を活かす
「忘却曲線」は人間の記憶が失われるようすを示した/ 「忘却曲線」のカーブをうまく利用して学習させる/ 人間は忘れる動物であると認めたうえで授業をつくる
36 自分の力でうまく勉強をすすめる「学習の技能」を活かす
「学習の技能」はじょうずに学習できる技術やコツ/ 「……しなさい」だけではできない子どもがいる/ 教科の学習内容も教え,教科の学習の仕方も教える
第4章 指導方法と学習形態を選択する授業づくり
37 言葉や感情をゆたかに交流する「応答的環境」を活かす
「応答的環境」は保育の分野でも学校の教室でも/ 「応答的環境」は子ども同士の間でも必要/ 学級づくりや授業づくりのなかで人的環境をつくる
38 討論によって学習を深める「話し合い学習」を活かす
「話し合い学習」のねらいは討論による学習の深化/ 「話し合い学習」は話し合うルールがあって成立する/ 話し合いの本質は言い合いではなく聞き合い
39 議論をたたかわせて学習を深める「ディベート」を活かす
「ディベート」は議論をたたかわせる討論ゲーム/ 「ディベート」をするときは一定のルールがある/ 学校の教育ディベートでは効用と限界をわきまえる
40 蜂がブンブンうなるように賑やかな「バズ学習」を活かす
「バズ学習」のもとは6人・6分間の話し合い/ 「バズ学習」は一斉学習よりも参加しやすい/ 一部の子どもが学習を支配する授業の改善
41 習熟の程度に応じて個人やグループで学ぶ「習熟度別学習」を活かす
「習熟度別学習」は子どもに合ったグループで学ぶ/ 「習熟度別学習」は1学級でも複数学級でもできる/ 教材の選択と一人ひとりの支援が習熟度別学習のカギ
42 関連する言葉をクモの巣状に広げる「ウェビング」を活かす
「ウェビング」はイメージによる言葉のクモの巣つくり/ 「ウェビング」で興味をひきつけ学習課題を具体化する/ 学習の全体像と手がかりを知ると学習しやすくなる
43 コンピュータを利用して学習する「CAI」を活かす
「CAI」はコンピュータを活用した学習支援/ 「CAI」でプログラム学習もお絵かきもできる/ コンピュータを知る,利用する,コミュニケーションをする
44 子どもが劇中の役割を演じて学ぶ「ロールプレイング」を活かす
「ロールプレイング」で子どもが役割を演じて考える/ 「ロールプレイング」は即興でおこなって効果がある/ 寸劇を演じさせる授業づくりの技術はまだ未熟
45 複数の教師が協力して教える「ティーム・ティーチング」を活かす
「ティーム・ティーチング」の目的はきめ細やかな指導/ 「ティーム・ティーチング」の3つの基本型/ 計画と指導と評価のすべてにおいて協力する
第5章 教育評価の考え方を取り入れた授業づくり
46 子どもの発言・発表を認めて返す「KR情報」を活かす
「KR情報」は子どもが発言・発表をした結果の情報/ 「KR情報」には知的KRと情的KRがある/ 授業がじょうずな教師は知的KRも情的KRもじょうず
47 頑張ったことへのご褒美をいただく「トークン法」を活かす
「トークン法」のトークンとはご褒美のこと/ 外国では教室でキャンディをくばる教師もいる/ 市販のスタンプやシールなどをじょうずに利用する
48 途中の評価によって授業を見直す「形成的評価」を活かす
「形成的評価」は単元や授業の途中における見直し/ 診断的評価・形成的評価・総括的評価の3点セット/ 子どもの探究学習や表現活動にも形成的評価が応用できる
49 その子の過去や他の分野と比べてみる「個人内評価」を活かす
「個人内評価」はその子どもの変化や特徴をとらえる/ 「個人内評価」は個人のなかに基準を設ける/ 授業づくりでは絶対評価,相対評価,個人内評価のどれも大切
50 子どもの学習記録を集めて振り返る「ポートフォリオ評価」を活かす
「ポートフォリオ評価」では子どもの学習記録を集める/ 「ポートフォリオ評価」で子どもの自己評価をうながす/ 学習の過程を振り返って得意分野や成果に気づく
第6章 子どもの学ぶ心理を活かした授業づくり
51 人間の欲求は最終的に自己実現になる「欲求の階層」を活かす
「欲求の階層」で人間の欲求は順々に上にのぼる/ 人間の欲求は最終的に自己実現の欲求にたどりつく/ 学級づくりで居場所をつくり,授業づくりで自己実現をはかる
52 子どもの内部からやる気が生まれる「内発的動機づけ」を活かす
「内発的動機づけ」は心の内部から生まれるやる気/ 「内発的動機づけ」は継続的安定的なやる気を生む/ 友だちがするから自分もするという動機づけもある
53 具体的操作から形式的操作に発達する「思考の発達段階」を活かす
「思考の発達段階」は子どもの考える力が育つ過程/ 保存の概念を獲得するころ自己中心の見方から脱皮する/ 形式的操作に入って言葉や記号をつかった思考ができる
54 教師の期待が子どもを伸ばす「ピグマリオン効果」を活かす
「ピグマリオン効果」はギリシャ神話による期待効果/ 教師に期待をもたれた子どもの学力が伸びた!/ 教師は気づかぬうちに子どもに高期待や低期待をしている
55 教師が子どもの前で模範をみせる「モデリング効果」を活かす
「モデリング効果」は戦後の教育で失われた教え方/ 「モデリング効果」は教師によっても子どもによっても/ 学級担任の話し方,書き方,考え方に子どもが似る
56 子どもの発達を待つのではなく促す「発達の最近接領域」を活かす
「発達の最近接領域」で子どもの発達を先回りする/ 子どものレディネスや発達は固定的なものでない/ 同じ年齢でも適切な指導と支援をすれば高度な学習ができる
57 学習の伸びが途中で一時停滞する「プラトー現象」を活かす
「プラトー現象」では学習や練習を続けても上達しない/ 「プラトー現象」はさらなる成長へのスプリングボード/ プラトーを知る教師はゆとりをもって教えられる
58 自分で自分の学習のようすが監視できる「メタ認知」を活かす
「メタ認知」とは自分の学習についての監視と制御/ メタ認知能力の低い子どもは学力も伸びない/ メタ認知能力を育てる授業づくりで学習力を伸ばす
あとがき

まえがき

 テニスやサッカーでも,クルマの運転やパソコンでも,わたしたちは,何かのスキル(技術)を身につけようとするとき,反復して練習する。

 これは子どもの勉強も同じで,漢字が書けるようになったり,計算ができるようになったりするために,ドリルを繰り返す。

 中学生も,英語の単語や文型は,教室で先生のあとについて何度も発音する。

 このように,わたしたち人間は,ある行為を繰り返せば知識や技術が身につくことを経験的に知っている。

 だから,学校の先生や父母は,子どもにイヤがられても,何度も「練習して覚えなさい」という。

 しかし,心理学の研究は,無意味なことを何度も繰り返す学習の効果は限定的で,量は少なくても,意味のあることをするほうが効果的なことを明らかにしている。

 なるほど,わたしたち人間は,たった一度だけの経験を,いつまでも忘れないことがある。それは,反復によってではなく,一度の経験が深く心にきざみこまれたのである。

 では,あまり意味のない反復の学習と意味のある一度の学習とでは,どちらが効果があるのだろうか。

 どうやら,それは,学習する分野や内容に大きな関係がありそうである。

 だから教師は,心理学や教育学で明らかになった授業の基礎理論を知っておき,学習の分野や領域,また学習内容に応じて選択し,使い分けられるようにしておきたい。

 それが,授業のプロフェッショナルに求められる技である。

 本書には,先生方が大学で学んだことのある理論が多く掲載されている。

 しかし,当時は,それらを実際の授業と結びつけて考えることは,あまりできていなかった。

 子どもが目の前にいないから,それを生きた理論あるいは生きた技術として理解できなかったのである。

 これは,わたし自身の教師生活を振りかえった経験でもある。

 子どもは,教師がじょうずに教えれば,知識・理解や技能ばかりでなく,考える力を高める。また,学習に対する関心・意欲・態度も身につける。

 じょうずに教えるということは,どんな指導目標を立て,どんな学習材を準備し,どんな指導をし,どんな評価をするかの選択肢を多くもち,場面や状況に応じて,最適なものを選べるということである。

 本書によって,若い先生方が,子ども達の学んだ力としての「学力」と,学んでいく力としての「学習力」を育てるための選択肢を増やすなら,かぎりなくうれしい。


  2008年7月   /長瀬 荘一

著者紹介

長瀬 荘一(ながせ そういち)著書を検索»

1950年生まれ。神戸大学教育学部卒業,神戸大学大学院教育学研究科修了。兵庫県公立小・中学校教諭,神戸大学附属中学校教諭及び副校長を経て,現在,神戸女子短期大学副学長・教授(教育心理学)

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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