教師修業双書3
「学び」を変える教材づくりへの挑戦

教師修業双書3「学び」を変える教材づくりへの挑戦

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どのような教材が子どもを動かし、「追求の鬼」を育てるのか

教材づくり(教材開発)をライフワークと考え教材づくりに専念してきた著者の訴え。何のために教材開発するのか。それは「追究の鬼」を育てるためだと明快である。学びを変える教材づくりの具体的実録を多くの例で示し、教材づくりの方法を容易にする事例。


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ISBN:
978-4-18-240119-0
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 164頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 学びを変える教材づくり(教材開発)
一 何のために教材開発するのか
二 努力と挑戦
三 学びを変える教材づくりへ
四 具体例
1 教材のおもしろさ
(1)目の前の物を教材にする /(2)何のための新しい教材か /(3)指導案に必要な四つの観点 /(4)どこにでもある教材
2 教材開発
(1)本当の学習とは /(2)便利さが招く物 /(3)授業でストレスがたまる? /(4)学校現場の現状と教材開発 /(5)最良の教材開発とは?
3 地図帳の学習
(1)都道府県の記載は何色? /(2)地名のおもしろさ /(3)日本一低い山をめぐって /(4)地図帳での応用学習「国名は何色?」 /(5)四年生で行いたい地図帳の楽しみ方 /(6)地図のおもしろさ「国道」
4 教 科書の学習
(1)指導の手順 /(2)重要な箇所は何度読めばわかるか? /(3)子どもが目を開く発問 /(4)次年度の教科書はどう変わる? /(5)発展学習の内容
5 子どもが学習意欲を出す教材
(1)良い教材は食欲が湧く? /(2)教材開発のコツ /(3)企業秘密を調べる? /(4)食材に求められるもの /(5)意外なターゲット
五 教師の歩いた道を歩かせる
U 教材づくりの具体例
一 「学校の歴史」を教材化する
1 ネ タを考える
2 田山修三氏への質問
3 田山氏からの返信
4 学校の歴史
5 区別・系統と配置図
6 授業の様子
二 ジャガイモ焼酎『北緯度』で町おこし
1 「北緯度」を知る
2 清里町焼酎醸造事業所取材
(1)工場はジャガイモ畑のまん中 /(2)焼酎つくり /(3)『北緯度』誕生
三 八丈島を教材化する
1 八丈島へ取材に行く
2 教材になりそうな見どころ
(1)宇喜多秀家 /(2)近藤富蔵 /(3)八丈歴史民俗資料館 /(4)八丈植物公園 /(5)黄八丈
四 霧島市福山町の純米黒酢造りの秘密をさぐる
1 クレオパトラの美しさの秘密
2 「黒酢」造りの条件
3 困難をのりこえて
4 ペストと四〇人の盗賊
〈魔法の壺のはたらきでできる「黒酢」〉
5 一つの壺が一つの工場
6 魔法の壺のはたらき
7 壺は薩摩焼・信楽焼が多い
〈二〇〇年造っても「黒酢」のルーツはわからない〉
8 「黒酢」造りの命は壺
9 問題児の壺
10 黒酢のルーツはわからない
〈黒酢造りの苦労と黒酢の効用〉
11 JAS規格認証食品第一号
12 黒酢とアマン
13 黒酢造りの強敵
14 黒酢の効用
〈手造りにこだわる黒酢と大量生産するミツカン酢〉――どちらも江戸時代から造り続けている――
15 絶えず研究している
16 黒酢の名のおこり
17 古い壺と新しい壺
18 手造りにこだわる
19 コンクリートの道の効用
20 ミツカン酢も江戸時代から
V 学びを変える教材づくりの工夫のし方
一 防風林が見えなかった
1 見えないものに気づく
2 一つのことに気づくと他のものが見える
3 思い込みで見てはいけない
4 いい教材は応用が効く
二 電車の中で偶然資料をみつける
1 何でも見てみる
2 教材には数字が必要
三 土地の人の意表をつく教材
1 美しい写真から導入
2 防風林の総延長は?
3 何のための防風林か
4 防風林はいつ植えられたのか
5 防風林の効用
6 防風林を切る人がいる?
四 根釧台地の格子状防風林
五 「これだけは何としても教えたい」
1 授業はスイカだ
2 今の授業は1から食べている
3 授業はスイカで決まる
W 社会科の「かけ算九九?」で学びを変える
一 社会科の「かけ算九九?」とは
二 県名指導の導入
1 何県の地図か
2 県名は何色で書いているか
3 国名は何色で書いているか
4 ABCは何という市か
5 県名と県庁所在地名
X 学びをつくる基礎・基本を考える
一 タラントのたとえ
二 これからは教育の方法を変えるべきだ
三 教材の条件
四 教科書の使い方の例
五 発展学習
六 授業も変える
Y [講演] 学びの基礎・基本を育てる授業のあり方
一 汗をかいた
二 子どもの学力低下の三つの原因
三 にもかかわらず、新教科書の状況は……
四 力をつける授業をするには1・「これだけは教えたい」ものをつかむ
五 力をつける授業をするには2・教えたいことは、教えてはならない
六 力をつける授業をするには3・教えたいことを、「学びたい、追究したいもの」に転化させる
七 転化させるための教育技術
八 地図帳の表紙を使った授業1
九 地図帳の表紙を使った授業2
十 「はてな?」の解決が、基礎・基本につながる
十一 子どもに育てなければならないのは「教えられたことを自ら倍増できる応用力」
十二 教師自らが生きる力を育てるために
十三 百聞があって、一見が生きる

まえがき

 わたしは、教材づくり(教材開発)をライフワークと考え、常に教材づくりに気を配っている。

 そこで考えてみた。一体何のために教材開発をするのか? と。

 究極のねらいは、「追究の鬼」を育てるためである。「追究の鬼」を育てるためには、能力に応じて、どこまでも追究できる教材を準備し、子どもたちに提示しなければならない。それだけではない。追究しながら、子どもたちが「学びをつくり変え、新しいものに」していかねば発展しない。教材は、学びをつくり変えるためにも、そういう内容を含み込んだものを準備しなければならない、と考えた。

 今までのように、「一教えて、一覚えさせる」ような授業法ではダメなのだ。学力低下が叫ばれたのは、「一教えて、一覚えさせる」方法の「一」が内容削減で、限りなく小さくなったからである。「一」が「〇・五」くらいに減ってしまった。薄い教科書を見れば、このことははっきりしている。

 そこで、わたしが提案しているのは、「倍増する能力」をつける教材の開発と、指導法の改善である。

 つまり、「五教えたら、子どもが自らの力で十に倍増できる」そういう「学び方」に変えることを提案しているのである。

 「倍増できる力をつける」には、「応用できる」教材内容を提示しなければならない。「応用できる」ということは、基礎基本である。また、子どもが学びを変えたり、応用したりするには、教材が「面白い」ことが必要である。

 天照大神が「天の岩戸」におかくれになったとき、神々は暗やみの中で相談した。そして、何か面白いことをし、笑い声が「天の岩戸」の中まで聞こえるようにすることだと考えた。それで、「天の岩戸」の前で大さわぎした。天照大神は、「暗やみの中で何を楽しんでいるのだろう。おかしいな?」と思い、ほんの少し岩戸をあけた。そこに待っていたアマノタヂカラオノミコトが、手をかけて岩戸をこじあけた。世の中は明るくなった。

 神でさえ、楽しいこと、面白いことには関心を持つのだ。子どもたちも当然、面白くなければ学ぼうとしない。

 本書の中で、どんな面白い教材・内容のある追究、しがいのある教材を提示していけば、子どもが動き始め、追究していきながら、いつの間にか「学びを変えていく」ようになるかということを、いろいろな角度から述べたつもりである。まだ十分ではないが、第一歩として本書を世に出してみることにした。

 教材も最新のものを提示した。というより、本書のために開発したものを提案したのである。おかしいところや、未熟なところがあることは承知の上である。挑戦していかなければ伸びていかないと考えて出した。

 一流の人、または一流になろうと一生懸命の人は、「何かに挑み続けている」ではないか。一流の人ほど努力し挑戦しているではないか。そして、人一倍勉強しているではないか。失敗にもこりずにやり続けている。

 わたしもまた、何とか一流になりたいとひそかに努力と挑戦を続けている。その歩みは超ノロである。しかし、あきらめずに、挑戦してきたものをまとめてみた。一読して、御指導御批判をいただければこの上ない幸せである。

 本書は、明治図書編集部の江部満編集長から「『修業双書』の続きを待ってますよ」というお言葉をいただき、力の限りをつくしてまとめたものである。記してお礼を申し上げたい。ありがとうございました。


  二〇〇七年三月   /有田 和正

著者紹介

有田 和正(ありた かずまさ)著書を検索»

1935年 福岡県生まれ

玉川大学文学部教育学科卒業

福岡県の公立校,福岡教育大学附属小倉小学校,筑波大学附属小学校を経て愛知教育大学教授

1999年3月 愛知教育大学定年退官

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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