谷和樹著作集1
向山型社会の全体像を探る

谷和樹著作集1向山型社会の全体像を探る

好評3刷

向山型社会を追求する谷和樹の到達点

著者は20代の頃から向山氏の授業実践を学ぶことで自分の力量を伸ばそうと努力してきた。本巻は「向山型社会の全体像」に迫る問題提起である。@写真を読み取らせる力を育てる。A事実で優等生の意見を覆す授業、B向山学級の児童の作文の分析等々、全体像に迫る。


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ISBN:
978-4-18-237014-4
ジャンル:
授業全般
刊行:
3刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 176頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2018年8月20日
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 向山型社会の全体像を探る
―向山型社会の全体像を探るキーワード〜「システム」と「社会科学の方法論」―
1 向山実践では「システム」が意識されている
2 向山実践では「社会科学の方法論」が意識されている
3 向山型社会の全体像とは
U「写真を読み取らせる力を育てる」研究の最高峰〜向山型の『雪小モデル』を突き詰める
1 向山洋一氏の基本発問
(1) わかったこと,気づいたこと,思ったこと
(2) 基本発問には深い意味がある
(3) 発問を「使う」ことと「使いこなす」ことは別の問題
(4) 質の評定基準
2 雪小モデルの系譜
(1) 研究主題はこのように絞り込む
(2) どちらの分類表が優れているのか
(3) 雪小モデルは3点セットである
(4) 読み取り能力育成の発問例
(5) 先行研究を踏まえる
(6) 本時目標達成の授業
(7) 指示の意味を社会科の知識から考える
3 向山氏が予定していた討論の授業とは
(1) クラス全てが公開授業
(2) ビデオ映像の分析で見えるプロの技@
(3) ビデオ映像の分析で見えるプロの技A
(4) 児童の発言の質を計測する
(5) 討論の授業からサイクル図へ
(6) もしも予定された発問をしていたら
(7) 環境サイクル図の提案へのつながり
4 向山氏はどのようにサイクル図を板書したか
サイクル図の書き順
V 事実で優等生の意見を覆す授業「青森でなぜりんごはとれるようになったのか」のルーツ
1 ルーツはどこにあったか
2 授業を支えていた事実
W 向山型社会科の情報の宝庫。「向山学級の児童の作文」を分析する
1 「向山学級の児童の作文」を分析する@
(1) 読んだだけで自分の授業が激変する。向山学級の「児童の作文」
(2) ノートからどのような向山氏の姿が見えるか
(3) 個に応じた指導とはこのようなことである
2 「向山学級の児童の作文」を分析するA
(1) 発表することへの構えとシステム
(2) いざとなったら,なにもできない人間は,心の弱い人間
(3) まず立って仮説を発表する。次に本当の発表にうつる
3 「向山学級の児童の作文」を分析するB
(1) 6年「雪」での発言を聞いて,奥深さを知る〜実践の背景〜
(2) わかる・できる授業と「ぎりぎりの教育内容」
(3) 「雪」の授業での発言
(4) 向山氏の評定
X 原理から実践へと具現化する巨大な力
─工業地帯の分布─
1 圧巻指導案「工業地帯の分布」の厚みとは〜理論から実践を導く手法〜
(1) 向山実践「工業地帯の分布」
(2) 小単元の流れ(仮説化まで)
(3) 向山氏の問題意識
(4) 理論から研究授業の骨格を構想する
(5) 原理から具体的イメージを構想する力
2 圧巻指導案「工業地帯の分布」の実態調査〜どの教科にもつながる厚みと普遍性〜
(1) 国語の実態調査
(2) 実態調査は何のために行うのか
3 体験に裏打ちされた仮説を資料で吟味していく授業。「工業地帯の分布」をどのように追いかけるか
(1) 向山実践「工業地帯の分布」を理解するために〈その1〉
(2) 向山実践「工業地帯の分布」を理解するために〈その2〉
(3) 向山実践「工業地帯の分布」を理解するために〈その3〉
Y「雪国のくらし」の授業
─「冒頭の3分」を分析する─
同じ単元で6回の公開授業
(1) 授業の冒頭3分で「あれども見えず」
(2) 手の影が光を遮るのは向山氏のミスか
Z 「奈良の大仏」の授業
─「ひどい授業」を向山氏が追試。その「驚くべき変化」とは─
「気のりがしない」追試
(1) 向山氏が発問するとイメージしやすくなる
(2) 向山氏は学習活動を分けて考える
(3) 読むだけで大変である
(4) 「読んだ感想や疑問をノートに書かせる」指示
(5) スピード感のあるノートチェック
(6) 原実践の学習過程には嘘がある
(7) 大仏の大きさをどのような発問でイメージさせるか
(8) 向山氏は社会科の授業でも「説明をしない」のか
(9) 終末のドラマ「40秒間の沈黙」につながる伏線
(10) 前半部分での布石
[ 向山学級の子どものノートから向山氏の授業を再現する
1 発問の奥深さ〜「口分田は何をもたらしたか」
(1) 圧巻指導案
(2) 口分田は何をもたらしたか
(3) なぜ向山氏はこのような発問を思いつくのか
2 向山発問を分析して,その奥深さを読み解く@
(1) 社会科の発問の定石
(2) 再度考える。なぜ,向山氏はこのような発問を思いつくのか
(3) 身分制度を向山氏が問うとこうなる
(4) 社会科での向山氏の発問の特徴
(5) 工業地帯の分布の「もう一つの指示」
(6) 再再度問う。「なぜ向山氏はこのような発問を思いつくのか」
(7) いつ「ひらめいた」のか
(8) 何を「ひらめいた」のか
\ 高度に設計された授業の組み立て
「四民平等の社会になったか」の授業
(1) 向山氏が用意した三つの資料
(2) 授業の導入
(3) メインの討論へ
(4) 推理小説のような伏線。驚きの最終発問
(5) 授業のクライマックス
] 意見を出させ,分類し,調べさせる。授業システムのつくり方
1 「4年 水」の授業,導入部だけを分析する
2 向山氏の「水道」の実践を参考に「学習スキル」を考える
(1) 1時間目にたくさんの知的な発問をしている
(2) ノートの書き方を具体的に指示している
(3) 調べ方を具体的に指示している
(4) さらに調査方法を具体的に教える
3 「分厚い内容構成・緻密な組み立て」向山氏の授業は発展的学習そのものである
XI 向山氏の実践をどのように追いかけるのか
1 向山氏のその学年の実践群を全てコピーし,分類し,ノートに貼る。この作業が1年の出発点だ
(1) TOSSランドを検索する
(2) 向山氏の実践を検索する
2 向山氏の原典を読み込み,さらに脳科学から学ぶ
(1) 向山氏の原実践を読み込め
(2) 向山氏の主張は脳科学と見事に合致している
(3) 「100の努力」にも脳科学の根拠がある
(4) 教師修業も全く同じ
3 向山氏の文章をノートに貼り,授業行為を手書きで抜き出せ
XII 社会科における向山実践の10の特徴
(1) 理論の支えが厚い
(2) 取り上げるテーマの重要性と適時性が高い
(3) 単元の組み立てに緻密なロジックがある
(4) 全体構造をシンプルに示すことができる
(5) 一時間の授業の組み立てにロジックがある
(6) 子どもが自分で学習方法を身に付けるシステムが組み込まれている
(7) 児童への個別指導が徹底している
(8) 基礎・基本を確実に定着させている
(9) ダイナミックさ・のびやかさがある
(10) もう一歩深める「何か」がある
〈資料1〉 向山洋一氏のおもな社会科実践(〜1999)
〈資料2〉 向山洋一氏,前期実践群の俯瞰図
あとがき

はじめに

 私は向山氏の授業実践を学ぶことで自分の力量を伸ばそうとしてきた。二十代の頃から一貫してそうだった。

 とにかく向山氏の文章は全部読みたい。巻頭論文などは当たり前で編集後記もQ&Aもトークラインの欄外のコメントも,一般紙に載った文章も,何もかも全部である。新卒の頃からである。

 本当に全部読むのは現実には無理だが,できれば読みたい。自分の知らない向山氏の文章のことを人が話していると悔しい。

 大学院から現場にもどった年,私は『教室ツーウェイ』の巻頭と原理原則(60頁)を最初から全部読み直した。このような場合には読むのは向山氏の文章だけでいい。この作業中に他の情報を入れると濁る。

 実物資料集は,子どもの作文やノート,学級日誌の隅々まで読む。向山学級の子どものちょっとした文章から,向山氏の教室での様子が読み取れるのだ。たとえば『スナイパー』の198号には「学級日誌」が載っていて「社会科のテスト」のことが書かれている。私にとっては宝のような情報だ。

 さらに,県の教育研究所に行ったら,教育雑誌のバックナンバーを創刊号から次々に漁る。向山氏の文章で知らないのがあったらその場でコピーする。そのファイルは今も私の本棚の目立つところでいつでも取り出せるようになっている。ほとんどの文章は全集に入っているからいいようなものだが,こうして自分で時間をかけて集めたものは頭によく残るのである。

 その人から学びたいと思ったなら,このように徹底的に信じて追いかけるのである。それが上達への一番の近道だ。いろいろな人の実践から様々に学ぶのも一つの方法だろう。しかし,たった一人の人を追い続ける方が,力量の伸びは速い。

 次に,自分で追いかけるテーマを決め,ノートに書く。向山氏の実践はあまりにも巨大だから,全部を追いかけることは不可能である。私は中心を社会科に決めた。

 そう決めたら,社会科については,隅から隅まで読み,線を引き,ノートに転写する。私の場合はワープロで入力して,必要に応じてプリントアウトしたものをノートに貼り,移動中などに書き込みをする。

 もちろん,向山氏の講座にも出かけていく。以前は向山氏の講座を受けたら,必死で大量にメモしていた。しかし,今は逆に「必死で見て,聞く」ようにしている。向山氏の姿を見て,その目線やしぐさや指名の仕方などを見るのだ。一つ一つに意味があるのである。どうして向山氏の話は「自分一人に話しかけてくれる」ように感じるのか。目線が何秒止まるのか。そうしたことを学ぶのである。

 何度もライブに出ていると,以前にも聞いた同じ話に出会う。そうしたらラッキーだ。向山氏の話は同じ話題でも1回では絶対にちゃんとわからない。わかり方は,聞く側の力量に規定されるからである。

 いい例が赤ねこ計算・漢字スキルのシステムである。おそらく10回は聞いたが,まだ新しい学びがある。

 本書は,そのような私の学びの,現段階での到達地点である。ぜひ,若い先生に手にとっていただきたい。向山氏の実践を私と共に追いたいと思う人が,一人でも増えてくだされば幸せである。


 本書の内容は,向山洋一先生のご指導がなければ何一つ書けなかった内容ばかりです。また,出版にあたっては,明治図書の江部満様に多大なご助言,多くの励ましのお言葉をいただきました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。


  2006年8月14日   /谷 和樹

著者紹介

谷 和樹(たに かずき)著書を検索»

兵庫県加東市立米田小学校 教諭

TOSS関西中央事務局。

1964年札幌生まれ。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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