子どもの規範意識の育て方 中学年

子どもの規範意識の育て方 中学年

学級や授業での規範意識の育て方を詳述。

やんちゃ君に頭を痛めた先生、女の子に反抗された先生、シューズ隠しがしばしば起こって困った先生、キレる子を担任して教師を辞めたくなった先生。この巻はそんな悩める教師のために作られた本。学級経営や授業における規範意識の育て方を多様に示した本。


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ISBN:
978-4-18-150412-0
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年11月14日
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もくじ

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監修のことば――教師の「心のベクトル」こそ肝要だ――
まえがき
T 規範意識を育てる向山型校内研修
1 規範意識を職員に根づかせる語り /藤田 哲夫
2 規範意識を職員へ気づかせる取り組み /末光 秀昭
U 規範意識を「保護者」へ伝える取り組み
1 子どものよさを伝える学級通信の書き方 /末光 秀昭
2 水泳指導を通して、保護者へ規範意識を伝える /吉武 徹也
V 特別支援教育の視点で育てる規範意識(学級経営編)
1 プラス思考で語ると子どもは変わる! /末光 秀昭
2 全くいうことを聞かない子を納得させる語り /藤本 敬介
3 よくしゃべる子への教師の対応術 /松原 貴大
4 実験中に落ち着かない子には、こうするとよい /善能寺正美
5 友達を馬鹿にする言動を取る子にはこうする! /木下 和弥
6 突然キレて物を投げる子へのとっさの対応術 /吉武 徹也
7 トイレのドア、内側から鍵がかけられていた場合の対応術 /吉武 徹也
8 靴がなくなった! 教師の語りと対応術 /久保 宏行
9 体操帽子をよく忘れる子への語りと対応術 /久保 宏行
10 学習用具を忘れる子への語りと対応術 /吉武 徹也
11 宿題を忘れる子への語りと対応術 /山田 泰生
12 係活動をさぼってしまう子への語りと対応術 /山田 泰生
13 当番活動をさぼってしまう子への語りと対応術 /吉武 徹也
14 体育館で、友達にちょっかいをかける子への語りと対応術 /森永 祐司
15 ガラスを割った子への対応術と保護者への伝え方 /松原 貴大
16 掃除をどうしてもしない子への語りと対応術 /川口 悦史
17 教師に話しかけてばかりで仕事をしない子への語りと対応術 /川口 悦史
18 整理整頓が全くできない子への語りと対応術 /森永 祐司
19 グループで教師に歯向かう女子高学年への語 りと対応術 /森永 祐司
20 行事中、グループを離れて孤独になる子への語りと対応術 /吉武 徹也
21 教師へよく愚痴をこぼす子への語りと対応術 /久保 宏行
22 友達を殴る・蹴る子へのとっさの対応術 /吉武 徹也
W 特別支援教育の視点で育てる規範意識(授業編)
1 【国語】 雑なノートを提出する子への、規範意識の育て方 /末光 秀昭
2 【国語】 テストを嫌がる子への規範意識の育て方 /吉武 徹也
3 【国語】 長文の『物語教材』を嫌がる子への規範意識の育て方 /吉武 徹也
4 【理科】 全員がアルコールランプをていねいに扱う規範意識 /善能寺正美
5 【理科】 野外実験中における、規範意識の育て方 /善能寺正美
6 【道徳】 「道徳嫌い」と平気でいう子の規範意識の育て方 /藤田 哲夫
7 【体育】 準備、後片づけを嫌がる子への規範意識の育て方 /松田 健之
8 【体育】 「しつけ」による教師の規範意識の育て方 /吉武 徹也
9 【社会】 最初から参加しない子への規範意識の育て方 /吉武 徹也
10 【社会】 単元のまとめで、参加しない子への規範意識の育て方 /吉武 徹也
11 【特別活動】 行事を逃げる子への規範意識の育て方 /木下 和弥
12 【特別活動】 自分の意見ばかりいう子への規範意識の育て方 /木下 和弥
13 【英語】 発声を全くしない子への規範意識の育て方 /善能寺正美
14 【算数】 計算を嫌がる子への規範意識の育て方 / /東  邦彦
15 【算数】 応用問題を解こうとしない子への規範意識の育て方 /松田 健之
16 【算数】 すぐに問題を解いてしまう子への規範意識の育て方 /吉武 徹也
17 【図工】 とにかく参加したがらない子への規範意識の育て方 /吉武 徹也
18 【図工】 つくる前に不平をいう子への規範意識の育て方 /吉武 徹也
19 【音楽】 全く歌わない子への規範意識の育て方 / /都知木裕子
20 【音楽】 いじけて参加しない子への規範意識の育て方 /山田 泰生
21 【保健】 食育の授業の導入で規範意識を持たせる /都知木裕子
22 【保健】 献血の授業の導入で規範意識を持たせる /永川 俊文
23 【運動会】 最初に、明確に判断基準(善し悪し)を示すこと /中尾 憲治
あとがき

監修のことば──教師の「心のベクトル」こそ肝要だ──

 人間の心のベクトルには、三種類ある。ひとつは「未来に生きる」、今ひとつは「現在に生きる」、最後のひとつは「過去に生きる」である。

 長崎市のある指導主事が「〇年前に伴先生の授業を見て、心底衝撃を受けた」と発言した。

 当時の伴学級は、あの「やまなし」をやった六年生。その時は、室生犀星を扱った討論の授業を「学校訪問」で公開したのである。

 その後、私は四年生担任になった。四月、学級をもってびっくりした。まるでなっていないことばかりだったからだ。数年来、かなりひどい先生に担任されていたようである。

 「何でこんなこともできないんだ」

 「これもやってない、あれもできてない」

 「話は聞けない、動けない」


 こんなことばかりで、学級を訪れる卒業生に、「疲れるよ」とよく話していた。そのままいくと、おわかりのように、当然「自分の実践はこんなものじゃない。もっと凄い仕事ができるんだ」と、以前の六年生の実践にばかり目が向いてしまう。心のベクトルが「過去」に向かうのである。

 そこで私は、四月の最初に研究授業を引き受けて、自分の現在の仕事を公開した。


 無論、つい一カ月前までやっていた仕事(授業実践)とは、天と地ほどの開きがある。初めて私の授業を見る方は「何だ、あの人ってこの程度なのか…」と思うはずだ。それでも、私はそこに自分を追い込んだ。つまり、そうすることによって、


  前の学年での自分の仕事を、全て否定した


のである。

 そうやって「最低の状態」を公開してしまえば、後はもう上ってゆくだけだ。怖いもの無しの状態になる。目の前の仕事に、自分自身が没頭できるようになるのだ。

 結果として、その学級は一年間で相当なものになった。「包丁でスタン・スタン・スタンと切っていくような授業」ができるようになったのである(件の六年生よりも速い授業になったはずだ)。最低の、まるでできなかった子が一〇〇点をとり、どの子ができる子で、どの子ができない子かわからない状態になった。


 その子たちは、五年生では「最高の学年」と評された。

 もし、私が「自分の授業は凄かった」「自分の仕事はこんなものではない」と、過去の実践にしがみついていたら、このような仕事はできはしなかっただろう。「過去」が素晴らしければ素晴らしいほど、その「過去」は「現在」の自分を縛る。そこから脱却するには、「過去」を否定するしかない。だから、いかに「自己否定」することが大切かということなのだ。


 これは、向山洋一氏の哲学そのものだ。教師にとって「自己否定」とは、まずい授業の公開、研究授業に他ならない。ここから逃げる教師には、絶対に「新しい仕事の創造」などできるものではないのである。


 学校で行った「基礎・基本徹底システム」の研修で、計算テストの結果報告があった。ほとんどの先生方が、全てきちんと私が提案した形式で、個人名入りの結果(どの問題ができてどの問題ができてない)を報告した。


 ところが、そうではない年輩教師がいる。ある人は、はなから報告しない(通知票を付けていた)。ある人は、個人名を抜いて報告した。これを司会の教頭が、黙って通過させた。それで終わろうとするので、私は手を挙げた。「形式を守って提出してほしい」と発言したのである。本来、これは私が言うべきことではない。だから、「管理職がちゃんと指導してください」と言ったのである。この時点で勤務時間は終了していたので、あとは発言できなかった(出さなかった方は、いつもは勤務時間にうるさいのだが、こんな時だけはグチャグチャとわけのわからない言い訳をしていた)。

 終了後、教頭から校長室に呼ばれたので、いくつか話をした。


 「例えば私は、運動会は無くてもよいと思う」

 「しかし、学校の会議で共通理解したことだから、きちんと行う」

 「ところが、私の学級の子どもたちだけ、覆面をして走らせるとする」

 「これが『個人名を出さない』ということだ」

 「もしくは、うちの学級だけ運動会をボイコットする」

 「これが『報告をしない』ということだ」

 「運動会でそういうことが起こっても、黙って見て見ぬふりをする人はいない」

 「なぜならば、親や地域が見ているからだ」

 「では今日のはどうか。親や地域が見ていないから、見て見ぬふりが通るのか」

 「運動会と、子どもに基礎・基本の力をつけるのと、どっちが大事なのだろうか」

 「学校経営方針にも『基礎・基本の力をつける』『一人ひとりを伸ばす』と書いてある」

 「学校経営方針には、『運動会をしっかりやる』とは書いていない」

 「題目だけの経営方針ならば、やめてほしい。もっともらしいことを言わないでほしい」


 次の「基礎・基本徹底システム」の報告会で、私は二年生の時「一組」だった子たちがかけ算九九を覚えていないと、事実を報告した。二年一組担任だったのは、既に退職したが、滅茶苦茶なことをやっていた教師だ。そうすると、前回「覆面」で報告をした教師は、「特定の人を名指しで厳しく批判している」と攻撃してきた。私は、それ以上反論しなかったが、本当に「一体何を考えているのだ」と思っていた。大切なのは「子ども」である。これは間違いない。誰に尋ねたってそうのはずだ。「子ども」を守るのが私たちの仕事なのである。ところが彼らは、「自分たちの立場」「仲間の立場」を守ることを優先する。「わけの分からない教師」が可愛そうなのか。「わけの分からない教師に習った子どもたち」が可愛そうなのか。どっちなのかと私は言いたい。この一事をとっても、彼らのメンタリティが腐ってしまっていることがわかる。TOSSは彼らと全く次元が違う。仲間だからこそ、正面切って批判(喧嘩)できるのだ。彼らの間では、おそらくそういうことはないのではないだろうか。甘ちゃんの、母性オンリーのぬるま湯集団に堕落しているのが見て取れる。

 「規範意識」は、むしろ教師にこそ、求められている。その自覚をもって、本書を編纂してみた。


  二〇〇八年七月   /伴 一孝

著者紹介

伴 一孝(ばん かずたか)著書を検索»

1962年3月生まれ

1985年長崎大学教育学部卒業

現在,長崎県西海市立瀬戸小学校勤務

『向山型国語教え方教室』誌(明治図書)副編集長

TOSS長崎代表

吉武 徹也(よしたけ てつや)著書を検索»

1971年7月生まれ

1993年長崎大学教育学部卒業

現在,長崎県諫早市立御館山小学校勤務

TOSS五色百人一首長崎県支部理事

TOSS長崎・西諫早サークル代表

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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