新時代の教育改革5
アドラー心理学を生かした学級の再生
立ちすくむ学級・学校への提言

新時代の教育改革5アドラー心理学を生かした学級の再生立ちすくむ学級・学校への提言

原因論ではなく目的論で子どもを捉え、学級を再生させる。

本書は学級崩壊で立ちすくむ教師に、子どもを「なぜか」という原因論ではなく、「何を目的に行動しているか」という「目的論」で捉え、子どもとの関係を横にしていくアドラー心理学の実践を提言し、子どもと共に学級をつくり社会をつくっていくことを目指している。


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ISBN:
4-18-144016-8
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 152頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年11月20日
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 現代の学校の現状
1 無意識な子どもの言動
2 立ちすくむ教師のある日の姿
3 「荒れ」の兆候を見る
4 子どもの心と行動原理
5 子どもと教師は現代ではねじれの位置
6 教師が目指す学級集団
7 「荒れ」の進み方を科学的につかむアドラー心理学
8 「荒れ」のある学級の子どもは関係を求めている
9 信頼関係なくして前進せず
10 勇気をもつ教師による勇気をくじく行為
第2章 アドラー心理学の視点
1 アドラー心理学の主張 共同体感覚
2 アドラー心理学の主張 目的を探る
3 アドラー心理学の主張 誰の課題かを見る
4 アドラー心理学の主張 個人は分けられない総体的存在
5 アドラー心理学の主張 不適切な行動と適切な行動
6 アドラー心理学の主張 不適切な行動から目的を探る
7 アドラー心理学の主張 劣等感
8 アドラー心理学の主張 尊敬
9 アドラー心理学の主張 自分が変わろうとすること
第3章 次のステージへ
――学校教育への提言――
1 年度当初の生徒指導の方針への注文
2 命令しない関係づくり
3 尊敬を子どもに向ける
4 子どもをよい悪いで見ないこと
5 話し合いによる関係づくり
6 すべての子どもを勇気づける
7 嫌がらせ等
第4章 「荒れ」が目立ったときにするべき方針と対策
1 「荒れ」の渦中にある学級をどうするか
2 元通りまでの計画(新集団誕生まで)
3 適切な行動をとるまでの対応のヒント
4 生徒指導主任のアプローチ
5 教育相談主任のアプローチ
6 学校としてのアプローチ
7 担任の心・擁護と援助
8 子ども一人一人の把握
9 保護者への情報伝達のタイミング
10 「注目」「権力」「復讐」「無力や無能力」などの不適切な行動をとる子への接し方
11 どの子どもに対しても勇気づけを
12 子どもの声に耳を傾ける
第5章 アドラーの目で学校・教師・子どもを見る
1 同僚に言わない言い方を子どもにしないこと
2 正義や規律で子どもを責め過ぎないこと
3 まなざしをその子どもに置いておくこと
4 きまりの遵守は毅然ときっぱりときっちりと
5 失敗からも学ぶことのできる教育
6 意味づけを変える
7 教師は自分の個性を失わず新しいことを受け入れる勇気を
8 人として社会的存在になること
9 教師という存在
10 これからの学校の行く末とアドラー心理学の考え
11 教師も不完全な人間であるという自覚――アドラー心理学を実践で生かす――
第6章 「荒れ」に対する手立てを考える
1 「荒れ」に対する手立て
2 拮抗する「荒れ」と「適切な行動」
3 「荒れ」を自治的に変えていく話し合い活動「クラス会議」
4 初めてのクラス会議
5 アドラー心理学は「愛と勇気の心理学」
6 アルフレッド・アドラーの略歴とアドラー心理学に関する情報

はじめに

 「子どもが変わってきた」という。確かに「変わったな」と思う。職員室への出入りの仕方,態度の横柄さ,飽きやすさ,わがままさ,基本的な生活習慣の欠如等どれを挙げてもそう感じてしまう。

 それに加えて学級崩壊という現象が起きている。校長会などでもその話題でもちきりということだそうだ。

 「変わったのは,何か」と聞かれたら,「子ども」と答えるのが正しい答えだろうか。変わったのは子どもだけではない。親も変わった。今,自分自身も親となって改めて感じるのは,自分たち親の幼稚さである。子どもを育てきれない親がどんなに多いことか。自分で社会の一員として積極的に働きかけていく態度がどれだけ欠如していることか。そして,自分の親と比べて自分にどれだけ決断力や判断力がないことか。子どもに対しては,甘えさせ過ぎたり,与え過ぎたり,干渉し過ぎたり,構い過ぎたりといったことが,すべて子どもに影響している。そして,身の回りに楽しいことが多過ぎて,親自身も子育てよりも快楽の方向に走っている。

 社会も変わった。ゲーム機,携帯電話,パーソナルコンピュータ,食材加工技術等の進歩や生活の利便性を追求したスイッチ文化は大きな変化である。

 学級の不成立を見聞きしたとき,それは単なる子どもの甘えだろうと高をくくっていたが,実際に起こっているレポートを見るとそこには想像をはるかに超える実態が浮き彫りにされていた。立ちすくむ教師の談話を聞いても信じられない光景を聞くことになる。果たして,もしそういう事態に出くわしたときに自分に何ができるだろうと自分に問いかけてみても,想像できなかった。

 そんなある日,アドラー心理学と出会った。自分の中で先をみることができなかった学級の不成立のもつ意味が蓋然性をもちながらも科学的に解明されていた。目の前が明るく拡がった気がした。

 アドラー心理学は,精神科医アルフレッド・アドラー(1870〜1937)によって始まった心理学の理論である。アドラーは,オーストリアでフロイトと共に心理学を研究していたが袂を分かち,独自の理論をつくった。その理論を,当時の非行少年や親子問題のカウンセリングに役立てていった。特筆すべきは,その理論の古さにある新しさである。第2次世界大戦前につくられた理論という古さに関わらず,現在の学校現場における子ども達の行動にぴったりと当てはまるという新しさである。そして,我々が問題を見つけたときに最初に考える「なぜか」という原因追究をするのではなく,「何を目的に行動しているか」という視点で子どもを見ていこうとしていることである。原因論ではなく,目的論で子ども達の行動をとらえていこうとするのである。

 私は,アドラー心理学の本を読み漁り,そして野田俊作氏のオープンカウンセリングやアドラー心理学基礎講座にも参加していった。世の中というものを学んでいるように思えた。一字一句が新鮮な意味のあるものであった。

 アドラー心理学に出会ってから,子どもの見方が少しずつ変わっていったことは確かである。「見えないもの」が「見えるもの」に変わりつつある気がする。

 そして,「変わったのは,何か」という最初の問いに答えるが,今も昔も子どもは変わっていない。外国であろうと日本であろうと変わりはしない。ただ,子どもを取り巻く社会や親という環境が子どもに影響を与えているという条件付きであるくらいである。

 アドラー心理学を生かし子どもとの関係を横にしていくことで,子どもと共に学級をつくり社会をつくっていかなければと考えられるようになった。

 最後になったが,このように本にまとめる機会を与えてくださった石塚嘉典氏,校正では紙面づくりから使用している言葉の統一や表現,引用文献の許諾等まで細部にわたりお世話してくださった小野寺茜さんに感謝したい。


  2006年7月   /福永 敬

著者紹介

福永 敬(ふくなが けい)著書を検索»

山口県出身。昭和61年山口大学教育学部卒業。由宇町立神東小学校,美東町立鳳鳴小学校,山口市立小鯖小学校を経て,現在山口市立小郡小学校教諭。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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