- まえがき
- T 基礎学力の保証に必要な教師の力
- 一 新学習指導要領から見る基礎学力
- 二 基礎学力の保証に必要な教師の力
- U 小1プロブレムへの挑戦
- 〜特別支援の必要な子への指導〜
- 一 教師の対応が子どもを変える
- 二 基礎学力を保証する教師の指導技術
- 三 場面別、苦手なことへの対応事例
- 四 必ず身につけたい基本的なスキル
- 五 特別支援の必要な子への適切な環境を整える
- V 低学年の言語技術をこう育てる
- 〜新学習指導要領の求める国語科五つの能力〜
- 一 新学習指導要領が目指す五つの能力
- 二 指名なし発表を取り入れると授業が激変する
- 三 指名なし発表から話し合い活動につなげる
- 四 真似をさせることで書く力をつけていく
- 五 丸一〇個ですらすらと読む力をつける
- 六 子どもたちが熱中する五色百人一首の指導
- W 算数的な活動を意識して基礎基本を習得させる
- 一 数の概念をとらえさせるには順序がある
- 二 百玉そろばんで量感をとらえさせる
- 三 TOSSかけ算九九計算尺で九九を攻略
- 四 教科書を中心とした授業で基礎基本を習得させる
- 五 ノート指導で表現する能力を育てる
- 六 サクランボさんで定着させる足し算と引き算
- 七 うっかりミスを減らす足し算の筆算
- 八 ものさしが上手に使えるようになる裏技
- 九 文章題は場面の様子をイメージさせる
- 一〇 式にもこだわる
- 一一 パソコンを使いこなせ
- X 入門期だからこそ身につけたい学習の基礎
- 一 一つ一つ、丁寧に、しっかりと教えたい、ひらがな指導
- 二 正しい姿勢で音読ができるようにする
- 三 一年生最初のノート指導
- 四 暗唱ができるようにする
- 五 読み聞かせ、紙芝居に興味を持って、聞くことができるようにする
- あとがき
まえがき
「保証」か「保障」か
「保証」か「保障」かという論議がある。上に「基礎学力の」と入れて考えてみる。
「基礎学力の保証」と「基礎学力の保障」である。さあ、違いを明確に述べてほしい。どのように異なるのか。いや、同じようなことなのか。
この概念が違うと、すべてが違ってくる。
この「ほしょう」の違いを次のように考えてみる。
「基礎学力の保証」の場合は、基礎学力を身につけることを請け負うことである。実現しない場合は、基本的に想定していない。
そして、「基礎学力の保障」の場合は、基礎学力が身につくよう様々な処置は行うが、結果として身につかない場合もあり得ると考えればよい。
例を出す。
品質保証は、「保証」と書くことが多い。
品質になんらかの欠陥が見つかれば、無料で修理・交換を行う。また、そうしなければならない。
また、「安全保障」は「保障」でないととんでもないことになる。
安全確保のために同盟を結んだり、軍備を拡張したりするが、もしも戦争が起こり焼け野原になったとしても同盟国は、弁償も何もしてくれない。それが、「保障」である。
では、話を戻す。
基礎学力は「保証」か「保障」か。
学校で使う場合は、どちらでもよいようにも思える。できない場合もあるよとするなら「保障」でよい。
しかし、すべての子に学力をつけさせると考えれば「保証」となるわけだ。
当然、仮に学力がついていないときには何らかの手を打つなり責任を明確にしなければならない。
であるから本書では「基礎学力の保証」に標準を合わせ、「保証」するには、どのようなところに気をつけなければならないかを論じていくことにする。
本書が、多くの先生の「やる気」を引き出し、すべての子に「基礎学力」が身につくことを願っている。
教師は、子どもたちに学力をつけることが第一の仕事である。
教師が学ばないで誰が学ぶのか。
日本の国家の行く末は私たち教師にかかっているのだ。
平成二三年一月 /甲本 卓司
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- 明治図書