- まえがき
- 第1章 今、子どもたちの食生活の問題点は何か
- 1 朝食をとらない子が増えている
- 2 野菜嫌いの子が増えている
- 3 甘いものをとりすぎる子が増えている
- 4 脂肪を多く含むものを食べ過ぎている
- 5 子どもたちは、なぜ、かまなくなったのか
- 6 食の安全性とは何か
- 7 孤食が増えているが、大丈夫なのか
- 8 肥満の子が増えている
- 9 牛乳は、本当に体にいいのか
- 10 家庭の食生活の乱れがひどくなっている
- 第2章 自分の食生活に関心を持たせる課題を見つける
- 1 毎日の食事調べから、どう問題を見つけるか
- 2 子どもたちに関心を持たせる話には、どんなものがあるか
- 3 集会活動を生かして関心を持たせる工夫には、どんなものがあるか
- 4 養護教諭の立場から、どのような働きかけをすればいいのか
- 5 家庭との連携で大切なことは何か
- 6 栽培活動をどのように食の学習につなげるか
- 7 米作り体験をどのように授業に生かすのか
- 第3章 自分の食生活を調べる
- 1 おやつ調べ、おやつ作りから食のことに興味を持たせる秘訣は何?
- 2 毎日の食事調査をどのように行ったらいいのか
- 3 低学年の子には、どういった働きかけが必要か
- 4 インターネットを活用した調べ学習をどのように行うか
- 5 家庭とどのように協力しあって進めるのか
- 第4章 絶対に必要な食の学習をこのようにする
- 1 やばい!全ての原因は朝食をとらないからだったんだと自分の考えを改めてしまう「朝食をとる」指導法
- 2 穀物(主食)中心の食生活の素晴らしさをどう教えるか
- 3 砂糖のとりすぎに気をつけさせる
- 4 知らぬ間に脂肪をとりすぎている
- 5 食品添加物の害を減らすには
- 6 食物繊維をとることは、なぜ必要なのか
- 7 噛むことの効用をどのように教えるのか
- 8 ダイオキシンと食
- 9 ポストハーベスト(残留農薬)の危険性を授業しておく
- 10 日本の食料の自給率はどのくらい
- 11 食べ残しと飢餓の問題を授業する
- 12 食生活が引き起こす病気とは
- 13 箸の持ち方を正しく身につけさせる
- 14 食のマナーをきちんと指導する
- 15 長寿食には、どういったひみつがあるのか
- 16 食の学習を通して国際理解を深めるのはどうすればいいのか
- 17 主食である米のよさにどう気づかせるのか
- 第5章 給食を生かして食の学習をする
- 1 給食をどのように食の指導に結びつけるか
- 2 栄養士とのTTは、どのように行うのか
- 3 給食時間に行う栄養指導はどうすればいいのか
- 4 給食を通して身につけさせたいマナーとは
- 5 子どもたちの献立を考えさせるために必要な授業とは
- 6 残菜の増加を環境学習に結びつける秘訣とは
- 第6章 食の最新情報知っておきたいこと
- 1 マクガバンレポートとは何か
- 2 食品ピラミッドを授業に生かす
- 3 給食を作る上での全国的な基準とは
まえがき
食の話題が取り上げられることが多くなってきた。
しかし、残念なことに暗い話題が多い。食生活の乱れに伴う心身の健康の悪化、食の安全性の問題、食料自給率の低下、食のマナーの悪さなど…。
学校現場でも例外ではない。
社会の影響をもろに受け、肥満に代表される生活習慣病の急増、キレる子が増えるなどの心の健康の喪失、孤食や個食の増加などによる食事形態の変容…。その他、多くの食に関する問題が子どもたちの回りで生じている。
このまま、子どもたちが大きくなり、社会に出るようになったとき、彼らは大丈夫なのだろうか。
こんな思いをいだいている教師は多いと思う。
そして、早く何とかしないといけないと思っている教師は多いと思う。
今まで、食の授業はあまりされてこなかった。されてきたことは、ほとんどが栄養バランスに関することであった。
もちろん、こういった食の授業は大切である。
しかし、社会の変化はそれだけの視点から行う食の授業だけでは、もはや、不十分になっている。
時代は、次の視点に立った授業を要請している。
子どもたちの成長という視点に立った食の授業
「成長」という視点に立った授業は今までにほとんどされてこなかった。実践は乏しい。
しかし、こういった授業をしたいと思っている教師は多いと思う。そこで、こういった授業をするときに、参考になるものとして本書をまとめさせていただいた。
向山洋一氏は、これからの食の授業には次の3つの柱が必要だと言われる。(文責…戸井)
(1)食と健康
(2)食と生活習慣
(3)食と環境
本書はこの3つの柱に基づき、編集している。
世界では、「自分の健康は自分でつくる」という方向に向かっている。医者任せ、薬頼みの時代は終わろうとしている。
自分で食べるものを選択し、自分で食生活を考えることを通して自分の健康を考えていく時代なのである。「選食時代」の到来である。こういった時代の要請に応じた食の教育をしていかねばならない。
箸の使い方などのマナーを見直し、日本の伝統的な食習慣を学び、先人が築いてきた日本の風土に合った食文化を継承していくことが大切である。
食と環境とのつながりは極めて強い。環境の汚染は、即、食べる物に返ってくる。残菜の増加と飢餓のことも重要な課題である。
完全な環境循環型社会を目指し、食生活をいろいろと考え、実行していく必要がある。環境の悪化が日々にひどくなっている現在、これは急務である。
本書をまとめるにあたり、TOSS代表の向山洋一先生をはじめ、多くの先生方にご示唆をいただいた。
また、明治図書の樋口雅子編集長には出版の機会を与えていただき、多くのご助言をいただいた。また、担当の及川誠氏には何度もご連絡をいただいた。
心からお礼を申し上げたい。
ありがとうございました。
この本を土台として、食の教育がますます広がっていくことを心から願っている。
/戸井 和彦
-
- 明治図書