- まえがき
- T 書くことで表現力を育てる
- 1 国語のノートに何を書かせるか
- 2 ノートを書くときのポイント
- 3 文を長く書かせる指導
- 4 評論文指導
- 1 毎時間ノートに自分の考えを書かせる
- 2 子どもが自分で驚くほど書く
- 3 五年「大造じいさんとがん」での評論文指導
- 5 手紙・はがきの書き方授業
- 1 はがきの宛名の書き方
- 2 季節の便りの指導
- 3 他校とはがきでコミュニケーション
- U 作文で表現力を育てる
- 1 運動会の作文
- 1 作文の出だしは決まりきっている
- 2 作文を読み聞かせることで、子どもたちが作文のよさに気づく
- 3 一番印象的なところから書かせ、評定する
- 2 文を長く書かせるための指導
- 1 よい見本を提示することで、文を長く書かせることができる
- 2 TOSSランドを使った作文指導
- V 読書感想文で表現力をつける
- 1 誰でも上手に感想文を書くことができる方法
- 1 感想文とは「二つのテーマ」を扱うことである
- 2 誰でも感想文が上手に書ける「山田式読書感想文指導法」
- 2 山田式読書感想文の指導方法
- 1 一番印象に残った場面を書く
- 2 似ている自分の体験
- 3 本を読んでから考えたこと、願い
- 4 本番を書く
- W 詩で表現力を育てる
- 1 詩の書き方教室
- 1 一字題一行詩で教える
- 2 技法を使って
- 1 レトリックの技術を教える
- 3 俳句
- 1 季語を与える
- 2 写真俳句を作る
- 3 上海市実験学校の俳句の授業から学ぶ
- 4 川柳
- 1 俳句と川柳の違いを教える
- X 話すことで表現力を育てる
- 1 スピーチ指導で表現力を育てる
- 2 ショー&テル
- 3 夏休みの作品処理
- 4 低学年の対話指導
- 1 あのね先生
- 2 隣どうしでの対話
- 3 教師のまちがいを「説明」させる
- 5 表現力を育てる驚異の教材「話す・聞くスキル」
- Y 討論の授業で表現力を育てる
- 1 討論の授業へのステップ
- 1 討論の授業のイメージを持つ
- 2 発表の習慣をつける
- 3 ほめる
- 4 自分の意見を書く習慣をつける
- 5 反論や質問をできるようにする
- 2 指名なし発表から指名なし討論の授業へのステップ
- 1 討論の授業を作る教師の力
- 2 討論成立の条件
- 3 指名なし発表から指名なし討論へ
- 3 国語授業に討論を取り入れる(五年「大造じいさんとがん」)
- Z 読むことで表現力を育てる
- 1 学習指導要領より
- 2 要約指導
- 1 向山式要約指導
- 2 向山式要約を教科書教材で行う
- 3 多くの子に黒板に書かせるようにする
- 1 書く子を制限する
- 2 班ごとに書かせる
- 3 黒板に書くことの意義を話す
- 4 要約文を検討させる
- 1 消去法で検討する
- 2 よいものを検討する
- 3 要約文を検討させることは難しい
- [ 分析批評で表現力を育てる
- 1 分析批評の授業をすると評論文が書けるようになる
- 1 分析批評とは何か
- 2 分析批評で指導すると評論文が書けるようになる
- 2 視点をもとに分析する
- 1 視点とは何か
- 3 「土」三好達治(四年生)でミニ評論文を書く
- 4 「ごんぎつね」新美南吉(四年生)視点を使った授業
- \ 発問で表現力を育てる
- 1 よい発問をすると、子どもは表現したくなる
- 2 よい発問とは?
- 3 よい発問を作るには
- ] 図解で表現力を育てる
- 1 自分の意見を図で表す
- 2 図に表すことで「どこを見ているか」「どこから見ているか」を問う
- ]T 向山式演劇指導で表現力を育てる
- 1 全員出演
- 2 脚本の作り方・選び方
- 3 オーディション指導
- 4 教師の演出
- 1 台本を渡した次の日に、「読み合わせ」を行う
- 2 その次の日には、立ちげいこを行う
- 3 最初の本格的な練習で、「はじめの場面」だけをやらせ、演技指導を行う
- 4 次のときは、一グループ二〇分程度で見ていく。あとはグループの練習に任せ、教師はそれを見て回る
- ]U 学級通信で表現力を育てる
- 1 学級通信に何を書くか
- 1 授業の様子を描写する
- 2 子どもの日記を学級通信に掲載することで文章を書く意欲を引き出す
- 3 親子の対話が表現力を向上させる
まえがき
若い先生が、次々に現場に出てきている。
教育界にとってとてもうれしいことだ。
その半面、現場で困ることもたくさんあると思う。
そうした先生にお役に立つのが本書であると思っている。困ったときに、すぐに取り出せる。それが、「基地」だ。表現力をいかに高めるか。そうしたとき、辞書のように取り出せる。だから、「ヒミツ基地」というわけである。
「子どものねりあいが大切だ」と言うが、その「ねりあい」のさせ方を教えてくれない。
子どもたちは、待ったなしで教師の目の前に現れる。
どう子どもに働きかけるか。どのような言葉かけをすればよいのか。
国語の表現力に焦点をあて、今までに力をつけた実績のある実践を紹介する。
例えば、ノートである。ノートを見れば、教えている教師の実力がわかる。
ある教師は、一年間に一冊のノートも使い切っていない。
そうかと思えば、一か月で一冊のノートを使い切る。それもほとんどの子が、同時に一冊のノートが終了する。
私は、学級通信で、ノートの終わる日を予告した。保護者から感謝の手紙が寄せられた。
それは、保護者もノートを買いに行く時間が欲しいのだ。急に明日までに必要だと言われても困るわけだ。
ノートは、脳みその鏡である。
考えたことをどうノートに書かせるか。
そして、それをどう発表させるか。
同じ方法ではダメだ。変化のある繰り返しで指導する。
毎日の国語の授業が楽しくなる。それは、教師がやることがわかり、その教師の働きかけに子どもたちが答えてくれて力をつけてくれるからだ。
学習した内容を評論文という形で表現させる。
そのとき、原稿用紙に何枚書かせるかだ。
その実践を知らない教師は、一〇枚でよしとするだろう。
一〇〇枚書かせた実践を知っている教師とでは、イメージが全く異なる。
多く書かせることがよいかどうかは別だ。そのことを教師が知っているかどうかということが大切になる。実践の厚みが違ってくるのだ。
本書では、表現力をつける場面を一二用意した。現場の教師が、極意として学んだことだ。ある意味、本書は、そうした困ったときに取り出せる「基地」となるはずだ。一つ一つが、具体的に書かれている。お役に立てれば幸いである。
本書執筆にあたり、樋口雅子氏には、大変お世話になった。お会いする度に叱咤激励をいただいた。
また、向山洋一氏には、授業のイロハから学んだ。本書でも多くの追試報告をさせていただいている。
ありがとうございました。多くの先生に感謝いたします。
二〇一二年六月吉日 TOSS岡山サークルMAK代表 /甲本 卓司
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- 明治図書