“就学時健診”から組み立てる発達障害児の指導

“就学時健診”から組み立てる発達障害児の指導

好評2刷

根本から特別支援システム再構築に迫る!目からウロコ提案

就学時健診で発達障害の子どもを発見できるのか・発見後の対応はあるのか、学校の教育システムで保障する実践課題を、この道の専門医平岩Drを交え問題提起。全国500地点からの情報を元に実態を明らかにしつつ、早期対応の大切さ、保護者への対応の留意点など明示。


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ISBN:
978-4-18-002115-4
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2刷
対象:
幼・小
仕様:
A5判 152頁
状態:
在庫あり
出荷:
2017年5月29日
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目次

もくじの詳細表示

まえがき /長谷川 博之
1章 小児科医発特別支援教育:教師に期待する仕事とは
/平岩 幹男
発達障害を抱える子どもたちの目標
診断の重要性
学校での期待される対応
2章 “就学時健診”全国マップ:実態を調査すると
[1] 発達障がいのある子をたくさん見逃していた就学時健診
〜健診後の保育園・幼稚園の担任との情報交換が必要である〜 /荻野 珠美
(1)就学時健診の問題点/ (2)就学時健診の実態/ (3)健診をその後の教育に生かす視点/ (4)学校の発達障害児対応システムづくり
[2] 中学校まで引き継がれない就学時健診の現状を改善していくための提案 /山口 俊一
(1)中学校まで引き継がれない就学時健診の現状/ (2)就学時健診実態調査レポートから見る全国マップ/ (3)これまで出会ってきた困難を抱える中学生,そして,苦しむ友人/ (4)現状を改善していくための提案
[3] 発達障害者支援法への対応が,市町村ごとに異なっていた /上野 一幸
(1)就学時健康診断の法的根拠/ (2)福島県内の状況/ (3)就学時健診の抱える課題
[4] 発見と対応システムの確認が必要だ /近江 利江
(1)就学時健診を入学する学校で受けていない児童がいる!?/ (2)就学時健診の目的を落としているのが実態/ (3)就学時健診で発達障害の子どもを発見できるのか/ (4)面談の内容/ (5)身体に関する健診/ (6)専門的な研修を受けていない教員がチェックすることの意味/ (7)発見システムと同様に対応システムの確立も必要
3章 小児科医発「特別支援教育:教師だから出来ること」に学ぶ
[1] 環境を整えることで,子どもの「自立」「自律」を保証する /松崎 力
(1)環境を整える/ (2)ふれあい囲碁という環境/ (3)ふれあい囲碁とモンテッソーリ/ (4)教師という環境
2 「怒らないで,認める,受け入れる」が共通認識に /森田 健雄
(1)教師がしてはいけないこと/ (2)教えて褒める/ (3)褒め方は技術と習慣
3 理解の上に支援が成り立つ
〜学校ができることは「将来」のために「今,自己肯定感を高める」ことである〜 /雨宮 久
(1)学校としての正しい対応/ (2)小学校時代に何を指導するか/ (3)自己肯定感を高めるのは「ほめる」こと
4 子どものセルフエスティームを高めるために,教師のセルフエスティームを高め,教えて褒める授業を実践する /兼田 麻子
(1)教師のセルフエスティームをいい状態に保つ/ (2)教えて褒める指導方法を実践する
5 伝わる褒め方を身につける /星野 優子
(1)セルフエスティームの向上がすべてだ/ (2)伝わる褒め方,伝わらない褒め方/ (3)授業の中でつける力
6 「セルフエスティーム(自己肯定感)」をもたせるための具体的な指導 /関根 朋子
(1)支援ではなく,理解せよ/ (2)セルフエスティームがもてるための指導法/ (3)将来を見据えて方向性を示せ
4章 “就学時健診”から組み立てる発達障害児の指導
[1 “就学時健診”の問題点はどこか]
1 健診システムがバラバラで子どもをとらえにくい /田村 治男
(1)就学時健診の問題点/ (2)就学時健診周辺の問題
2 「見逃し」を減らすための方策を立てる /鎌倉 由佳
(1)あの子がまさか!? 入学後のパニック/ (2)就学時健診の問題点はどこにあるか/ (3)発達障害を見抜けない,就学時健診の検査項目/ (4)検査担当者には,専門家が必要である/ (5)発達障害は,短時間で見抜くことは困難/ (6)早期発見が発達障害の子を救う
[2 “就学時健診”のあるべき姿]
1 発達障害の専門医のアドバイスで自己肯定感を持たせる指導を /小森 栄治
(1)就学時健診に発達障害の専門医を/ (2)すべての子どもたちに自己肯定感を/ (3)校内で情報の共有/ (4)幼稚園,保育園と小学校の連携を/ (5)大人になって自立できるように育てよう
2 早期対応のシステムが必要だ /本川 由貴子
(1)早期発見・早期対応のための就学時健診/ (2)発達障害と教育との密接な関係
3 子どもたちに必要な教育を受けさせるための健診のあり方 /山口 浩彦
(1)就学時健診の課題/ (2)就学時健診に必要なシステムづくり/ (3)就学時健診のフォローは地域で行う
[3 健診をその後の教育に生かす視点]
1 校内に,発達障害児の早期発見,早期対応システムを構築し,自己肯定感の高い子どもを育てる /金子 史
(1)就学時健診が正しく機能していない現実/ (2)発達障害の早期発見を見据えた就学時健診の実施を/ (3)就学時健診をその後の教育に生かす視点5
2 セルフエスティームを高め,学力を保障し,専門機関につなげる /木村 重夫
(1)「放置」するならやらない方がまし/ (2)就学時健診の新しい形/ (3)セルフエスティーム(自己肯定感)を高める授業/ (4)セルフエスティーム(自己肯定感)を高める意味
3 日常生活での困り感を少なくする工夫 /山田 仁
(1)学習環境の整備/ (2)授業場面での工夫/ (3)教材教具の工夫
4 健診(児童理解)で終わらせず,「どのように対応するか」まで方針を立てよ /鈴木 恒太
(1)就学時健診をその後の教育に生かす視点/ (2)就学時健診の結果から,その後の対応につなげる必要性/ (3)就学時健診の結果から,「学校の危機管理」につなげる必要性/ (4)就学時健診での診断と,その後「どのように対応するか」を確立する
[4 学校の発達障害児対応システムづくり]
1 どの時点で何を見るかをはっきりさせよ /谷 和樹
(1)就学前の状態をどのように把握するか/ (2)就学時の状態をどのように把握するか/ (3)9歳までに何を見るか/ (4)視知覚認知の問題を把握する/ (5)対応例の共有化
2 教師の対応,教室環境,教材採択を見直す /柏木 麻理子
(1)就学時健診と現在の小学校における対応システム/ (2)発達障害児対応システム@―教師の対応―/ (3)発達障害児対応システムA―教室環境を整える―/ (4)発達障害児対応システムB―教材採択―
3 よさを伸ばし就労できる能力獲得をめざして /関口 眞純
(1)特別支援教育について共通理解をする/ (2)発見の方法/ (3)よさを伸ばす/ (4)入学時の学校の方針/ (5)学校としての継続的対応システム
4 校内支援委員会を計画的に運営する /荒川 拓之
(1)発達障害の問題は,自己肯定感の低さ/ (2)新学習指導要領でも求められてきたもの/ (3)校内の支援委員会を年間に計画的に運営する/ (4)発達障害の就労支援について知ること/ (5)個別の指導計画を活用する/ (6)発達障害児についての特徴を少しずつ盛り込んでいく
5 校内にシステムがない場合にも,できることがある /小貫 義智
(1)システムの大枠/ (2)「見つける」,その5つの場面/ (3)報告する/ (4)指導する/ (5)結果を報告する/ (6)まずは無形の「システム」を
6 自立のための褒め方,叱り方 /小峯 学
(1)最終目標を明確にし,共通理解を図る/ (2)子どもの実態をつかみ,対応する/ (3)協力体制を築き,行動療法で指導する/ (4)ほめるということ/ (5)説明できるようにすること/ (6)子どもたちの叱り方/ (7)発達障害について教師が心がけておくこと
7 発達障害児のことを理解して対応するシステムをつくる /松本 一樹
(1)校内の発達障害児を把握/ (2)対応システムの具体的手順
5章 今後の取り組み課題 向山代表に聞く
/長谷川 博之
1 その子にとって,周りの子にとって,本当に幸せなのかどうかを考えよ
2 子どもの教育にとって,本当にそれがいいのかを検討せよ
3 教師は,年代ごとの課題に対する具体的な方針をまずははっきりと打ち出せ
4 勤務校の対応システムを構築し,その上で行政・医療と連携せよ
5 診断は教育のためにある

まえがき

 2010年7月19日,専門医として埼玉の就学時健診に携わる平岩幹男氏を招いた緊急の学習会を開催した。全国から70名を超える有志が集うた。

 学習会終了後,私のサークルのメンバーが言った。

 「ドクターのお話と,長谷川先生が実践している内容,以前から繰り返し話している内容が驚くほど一致していましたね」

 私自身も感じていたことだった。

 今回の平岩氏の90分,120分の講座,そしてQ&A。それらを貫くメッセージはこれであった。


  子どものセルフエスティームを高く保つことが何より大切だ。


 そのために教師が為すべきことを具体的に指導いただいた。「教師自身のセルフエスティームの重要性」の指摘には参加者一同唸った。

 子ども一人ひとりを見ていれば,その子が何を求めているかが見えてくる。

 日々子どもたちと関わる中で私に見えたそれは,


  自尊心を向上させてほしいという願いであった。


 自尊心の高い子は自分を大切にする。人生をきちんと考える。周囲の人間をも大切にすることができていた。

 逆に,幼少時からの不幸な出来事や誤った教育・対応,障害への無理解によって自尊心を傷つけられた子どもたちは,


  「その時が良ければそれでいい」という生き方をしていた。


 自分に損になることも平気で繰り返した。周囲の人間にもつらく当たった。中には嫌われることを進んでやって,孤立していく子もいた。明らかに間違った行為であるのに,指導されても止められない子たちもいた。

 その子たちの無言の願いが見え,聞こえた。この願いを叶えることこそ学校教育の果たすべき使命と考えた。

 そこで私は,2008年に「子どもの自尊心を向上させる方法を学ぶ学習会」を主催した。当日は100名を超える参加者が集うた。皆,求めるものは同じだったのだ。私は意を強くした。


 学習会のテーマを「就学時健診」にしたのには意味がある。就学時健診は我々教師が,学校が,発達障害の子どもたちに関わることのできる初めての機会なのである。我々の努力で「変革」できるものなのだ。

 私はとSSを活用し,全国各地500を超える小学校の就学時健診の実態調査を行った。

 以下の各項目について,である。


 1 発達障害の対応があるかないか。

 2 発見の検査は何か。具体的に。

 3 そのときの保護者への対応はどんなものか。具体的に。

 4 入学してすぐの学校の方針はどんなものか。

 5 入学する時の担任の対応は。教室経営・教材教具の吟味等。

 6 その後の学校としての継続的対応システムはあるか。

 7 このようなことに関する過去の職員会議などの記録はあるか。


 調査全体を貫くテーマは,

 【就学時健診で発達障害の子どもを発見できるのか】

 【発見後の対応(子どもへの対応,保護者への対応など)のシステムは具体的にあるのか,ないのか】の2点であった。

 担当者が述べた言葉まで,あるいは保護者の言葉まで,具体的な上にも具体的に報告してもらった。

 たとえば,「教育委員会と学校が行う」は抽象的である。

 (1) 教委から文書で依頼があるのか。それとも口頭か。

    どんな文書か(添付依頼)。口頭ならば,どんな依頼か。

 (2) 健診を行う教員の「研修」はあるのか,ないのか。

    「ある」ならば,いつ,何を,どれくらい研修するのか。

    「ない」としたら,誰が,どんな権限で行うのか。行う「立場」は決まっているのか。それとも「その年の1年担任」のように流動的なのか。

 このように,突っ込んで調べてもらったのである。

 結果,特別支援教育を進める上で,この健診をどう機能させるかがきわめて重要であるにも拘わらず,9割を超える学校の調査は「適切」ではなかった。発達障害の疑いのある子どもの発見にも不足,その後のシステムもなしという回答がほとんどを占めたのである。

 そこで本書では,平岩氏から学んだ,教室実践に役立つ発達障害児への対応の他,現在行われている就学時健診の実態,問題点,あるべき姿,健診をその後の教育に生かす視点,それらを踏まえての,具体的な発達障害児対応システムについて執筆を依頼した。

 本書が全国各地の就学時健診の更なる充実と,学校現場における最新最重要の課題である特別支援教育の発展に資することを願ってやまない。


  平成22年9月吉日   編著者 /長谷川 博之

著者紹介

長谷川 博之(はせがわ ひろゆき)著書を検索»

TOSS特別支援教育取り組み班

1977年1月生まれ

TOSS埼玉志士舞代表 向山一門事務局 向山型国語事務局

早稲田大学教育学部卒

専門:中学国語

埼玉県秩父市立高篠中学校勤務

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 発達障害発見のための就学時健診。

      そのシステムを知ることで、教室でどのように対応していけばいいのかが分かりました。

      教師、そして保護者の方にも是非読んでもらいたいと思いました。
      2011/8/1
    • 就学前の状態をどのように把握するか、就学時の状態をどのように把握すかなど具体的な方法が多数書かれている。従来の就学時健診の問題点はどこにあり、どのように改善していけばいいのか、目から鱗の情報ばかりである。
      2011/7/19
    • 「セルフエスティームの高い教師のみが、セルフエスティームの高い子どもを育てられる」なるほど。子どもたちのセルフエスティームを高めるために、自分は日々の授業で、学級で、何をすべきなのかと考えました。発達障害についての理解、発見のシステムと対応のシステムがもっともっと現場に広がってほしい!と強く感じます。
      2011/7/19
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